身体的な活動が、認知機能やアカデミックの達成に利益をもたらすという研究は、
これまでもいくつか発表されています。
こちらにもいくつかまとめてきました:
身体を動かし発達促進:http://blog.goo.ne.jp/managaoka/c/aeca69db2e0d020e35467916437af17c
今回は、
「算数の学習に動きを取り入れることで、学習効果が著しくアップする!」と示す、
「Fine Motor(微細運動)」と「Gross Motor(粗大運動)」とは?
この研究では、動きあり&動きなし、の違いだけでなく、「動き」の中でも、
「Fine Motor(微細運動)」と「Gross Motor(粗大運動)」の学習面での効果の違いに着目したそうです。
ちなみに、
Fine Motor (微細運動)とは、目と共に手や手首や指などを用いる小さな動きのコーディネーション。例えば、はさみを使ったり、紙を折ったり、スプーンを用いて食べたり。
「Gross Motor (粗大運動)とは、腕や足や、他の大きな身体の箇所を用いた大きな動きのコーディネーション。例えば、走ったり、這ったり、泳いだり、階段を上ったり、自転車をこいだり。
身体全体を使った「粗大運動」がより算数の学習効果をアップさせる?
研究チームは、165人の小学1年生を以下の「3つのグループ」に分け、
6週間の算数指導カリキュラムを施したといいます。
グループ1. 算数の指導に「Fine Motor (微細運動))を取り入れる
移動せず座り、1人もしくは少人数のグループでレゴやブロックを用いる。例えば、算数や幾何学的な問題を解くために模型を作るなど。
グループ2. 算数の指導に「Gross Motor (粗大運動))を取り入れる
テーブルや椅子は取り除かれた教室にて。例えば、身体で三角形や数字を作ってみたり、生徒1人1人を動かすなどして足し算や引き算をするなど。
グループ3.通常の算数の指導のみ
机に向かって座り、鉛筆と紙と定規などを用いるのみ。
生徒は、6週間の算数指導の前と後に「算数のテスト」を受けます。
すると、グループ2の「身体全体を使った生徒」が、他の2つのグループに比べ、著しくスコアを改善したといいます。
こちらに詳細チャートあり:http://www.frontiersin.org/files/Articles/231099/fnhum-10-00645-HTML/image_m/fnhum-10-00645-t002.jpg
研究を率いたコペンハーゲン大学のJacob Wienecke氏曰く、
「子供は、動いたり身体全体を使うことでより学びます。
激しい動きが学習効果をアップさせるという研究は発表されてきましたが、
より激しくない動きであっても、学習のトピックに結びつけられている限り、
同じように効果的、もしくはより効果的ということが分かりました」とのこと。
階段上りながら段数を数えるとか、
数字のラインを作ってその上を歩いてみるとか、
「人間すごろく」を作るとか、
身体も頭もフル回転で学習効果アップなんて、楽しくていいですよね。
「動く」ことは算数が平均、もしくは平均以上にできている子により有効?
この研究によると、平均もしくは平均以上に算数ができている場合は、
動きを用いたほうがより著しい好影響を受けたけれども、
平均よりできない場合は、
動きを取り入れても取り入れなくても、違いはなかったとのこと。
つまり、その子の算数レベルを観ての対応が必要ということですね。
とはいえ、この研究によると、平均よりできない子にとっても、
「動き」を取り入れることがデメリットになるわけではないので、
クラス全体に「動き」を取り入れたカリキュラムを組むことは有効なのでしょうね。
ただ、動きを取り入れることで、平均以上にできている子なら、
ますますできるようになっていくため、
できる子とできない子の格差がますます開いてしまわないよう、
配慮が必要になるでしょう、とのこと。
(平均よりできない子へより多くの指導時間を持つなど)
確かにです。
これまで接してきた子、我が家の子をみても、
「動く」ことが、かなりベネフィットになる子がいる、
そう実感しています。
その子の様子を観つつ、
生活の中で「動き」ながら学んだり、
学習に「動き」を取り入れたりと、
心がけていきたいですね。
「しよう!」と思うことが溢れて、
ふと立ち止まり、もうどこから手をつけたものかと呆然としてしまいますが、
とにかく、思い描くビジョンのほんの一片一片でも形にしていくなら、
必ず、全体像に近づく日が来る、そう信じつつ。
それではみなさん、今日もよい日を!