北岳山麓合唱団

ソウルジャパンクラブ(SJC)の男声合唱団です。毎週火曜日、東部二村洞で韓国の歌と日本の歌を練習しています。

実尾島(シルミド)に行ってきた

2014年09月03日 01時03分05秒 | ソウルライフ

実尾島(シルミド)という映画をご存じですか?

時は1968年、実尾島という無人島に金日成の暗殺を目的とした特殊部隊が創設されました。部隊の存在はもちろん国家機密。隊員は日夜、過酷な訓練に励んだものの、世界的な緊張緩和ムードで暗殺計画は中止。結局、部隊の存在そのものが政権のお荷物になってしまったのです。活躍の場を無くした隊員は朴大統領への直訴を決意。バスを乗っ取り、ソウルに向かいますが、途中で銃撃戦となり、24名の兵士が死亡しました。軍事政権下にあった韓国で、この事件(実尾島事件)はタブーとされ、永らく公表されませんでした。

時は変わり2003年。この実話をもとに映画が製作され、韓国で大ヒット。日本でも日曜洋画劇場で放映されましたから、ご覧になった方もいらっしゃるかも。

そして、8月15日、その実尾島に行ってきたのです

実尾島全景。どうみても南国の楽園。とても仁川(インチョン)国際空港の目と鼻の先にある島とは思えません。

 

実尾島に行くためには、仁川空港から舞衣島(ムイド무의도)に渡る必要があります。舞衣島行きの船は、空港近くの蚕津島(チャムジンド)からたくさん出ているのですが、問題は交通。

仁川国際空港から蚕津島船着場(잠진도 선착장)行きのバスに乗ること10分。公休日ということもあって、船着場に向かう道路は大渋滞。突然、運転手さんがバスを停め、

「お客さーん、引き返しまーす。ここで降りてください!」

ええっ、バス停でもないのに!案の定、乗客のおばさんが怒り出しました。

「なんでこんなところで降りなきゃ、いけないのよ!船着場はずっと先でしょ!」

「お客さん。道を見てくださいよ。大渋滞でしょ。歩いていくしかないですよ。」

「どれくらい歩くのよ!」

「20分ぐらいですよ!さあさあ、早く降りてください!」

おばさんはそれでも食い下がりましたが、渋滞でバスは動けません。とうとう、乗客全員がバスを降り、徒歩で船着場に向かうことになりました。

写真の右端を見てください。はるか遠くに建物が見えますね。我々が降ろされた場所です。左側が目的地の船着場!8月の炎天下を1時間近く歩きました

でも、船着場までは長蛇の渋滞。そのまま乗っていたら2時間はかかったでしょう。臨機応変な運転手さんに感心しましたが、船着場までの乗車賃を払い戻してほしいと思ったのは、私が日本人だからでしょうか?

舞衣島行きのフェリー。乗船時間は数分ですが、例の事故もあり、真面目に乗船名簿を書き込んで、提出しました。

舞衣島からマイクロバスに揺られて約10分。例のおばさんが、

「運転手さーん。実尾島って、今、大丈夫なの?」

「潮が引くまで、あと30分ぐらいかかります。」

行ってみて分かったのですが、舞衣島と実尾島は浅瀬でつながっており、引き潮の時だけ、徒歩で渡ることができるのです。

「お客さーん、あんまり遊んでると、潮が満ちて、実尾島から戻れなくなりますよ。」

「いつごろ、満ち潮になるの?」

「さあねえ....。適当に戻ってきてください。」

「バスは何時まで走っているの?」

「夕方ぐらいまで走ってますよ。」

 

乗客全員が降りたので、一緒に降りました。

さっそく実尾島に向かおうとすると、今度は目の前に入場ゲートが!ええっ!入場料取るの!実尾島遊園地とありますが、遊園地とは名ばかり。それらしきものは何一つありません。後でわかったのですが、要は実尾島への近道を占拠しているのです。まあ、大した入場料じゃなかったけど。

あとこれ、どう見ても軍部隊の入口にしか見えません。昔はホントの軍施設だったりして?

「国境の長いトンネル」ではなく、名ばかりの遊園地を抜けると、南国でした。

このあたりは世界有数の干満の差で有名。満潮時と干潮時で10メートル近い差があるそうです。

到着時の景色。手前は潮の干きを待つ人たちです。

待ちきれずに渡岸を強行する人も。管理事務所から「危険ですから、水から上がってくださーい」とアナウンス。

大学生とのことでしたが、写真を撮る私に「ブログに載せるんでしょう!実尾島に、こんなバカ学生がいた!って、書いてくださいね。そう、最高にイカれた奴(최강 또라이)!だって、書いてくださいね。」学生さん、約束どおり、ちゃんと書きましたよ。

そう言っているうちにも、潮はみるみる干いていきます。うっすら水底が見えてきました。

潮の流れも落ち着いたところで、靴をぬいで、気もそぞろに渡岸開始。

あらら。最後はこのとおり。すごいでしょ!

突如、大音響!北朝鮮軍の上陸?と思いきや、ホバークラフトが出現しました。3分ほど停船して去っていきましたが、一体、なんだったのでしょう。

ついに上陸。両側に針金で柵が設けられています。潮が満ち、あたりが水没すれば、この針金だけが頼りです。

貝殻で覆いつくされている地面。裸足であるくと、足を切ってしまいそう。

潮干狩りをする人たち。スコップを持ってきたらよかった....。

仁川近海は生態系の宝庫です。ツブツブにみえるのは、おびただしい数のシオマネキ(潮招)。誰が名づけたのか?知りませんが、絶妙のネーミング。大きな片手で、潮を招いているようです。

ご一緒させていただいた、合唱団のYさんと。ハングルで実尾島と書いてあります。

原生林の中をぐいぐい進まれるYさん。一体、この先に何があるのでしょう....。

Yさんとはぐれて、しばし森林浴を楽しみました。

そろそろ頂上です。この向こうに何があるのやら。

林を抜けると....。

気分はすっかり坂本龍馬!海の向こうはアメリカじゃないけど....。

日本では見ることのできない黄海です。はるか遠くに北朝鮮が見える、と言いたいところですが、実は仁川市の一部です。

 そろそろお腹もすいてきたので、実尾島を後に。

ふと振り返ると手前にあったはずの海がこの通り

食事は豪快な貝の網やき。

中央の大きな貝はタイラギ。韓国ではキチョゲ(키조개)と呼ばれ、市場でよく見かけます。見た目はともかく、なかなか美味な貝です。

あと、故郷の徳島では「カラス貝」と呼んでいましたが、要は西洋料理のムール貝。韓国でもスープや網焼きにして食べます。徳島では食用としないので、最初は抵抗がありましたが、食べてみると、これもなかなか。我々はマッコリでしたが、韓国のお酒によく合います。

ちなみに隣のテーブルでは中年夫婦がワインで乾杯。持ち込みでしたが、海の家でワインとはなかなかオツだな、と思いきや、「店員さーん。キムチおねがいします。」

海の家でキムチをつつきながらワインを味わう....すごい組み合わせです!ここらへんは、さすが韓国

のどかな休日を過ごす人たち。野外や公園にテントを張って、終日まったり過ごすのが最近の流行りです。

海の家の雰囲気。ゆったりと時間が流れていきます。

帰り道で。見渡す限り、干上がってしまった海。

見どころたくさん、実尾島旅行もおしまい。Yさん。暑い一日でしたが、どうもお疲れさまでした


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