反復来訪すること3年半にして、初パンフレットを手にした。
受付窓口が開いていることでさえ、目新しい。
無人の入口を入り、竹筒に硬貨を投入するのが常だったから。
ここに限らず、内容にふれると心の遊び場に垣根ができてしまうから、パンフはとくに必要ない。
参拝時間が日没まで、とあるのが目をひいた。
そういえば・・・いつぞやは、うす暗くなるまで居させてもらった。
時計管理ではなく、自然まかせだとわかりますます惚れこむ。
お茶席も初めて。
いつも、参拝料以上のはかり知れない物をいただいて帰る。
ちょっとは、貢献できるかな。
そのお返しの意もこめて、一服いただいた。
特別開放された部屋から、違う角度の庭を見わたす。
「以前は穴場だったんですよ。」
観光タクシーの運転手が、客に話している。
情報網の発達がもたらした結果だろう。
あまたの人が庭を取り囲み、密に腰をおろしている。
色んな方言が入り混じる。
来たい時に来れる、恵まれた環境に感謝しなくてはならない。
なんだか、ずっと違和感が続いていた。
全てがあるべき場所に位置しているが、何かがちがう。
かえでの赤が差し、優雅ではある。
しかし、その赤に圧され、つつじの植え込みが迫りくる。
奥ゆきを欠いてしまった庭に臨み、縮こまった心は開けっ放しにならない。
誰もがこぞって見たがるこの風景をまえに、気持ちは冷ややかだ。
それは、光明院との出会いに起因するものなのかもしれない。
人っ子一人いない、黒と白と緑がおりなす閑雅な空間。
強烈な印象が、私のなかに居すわってしまった。
と同時に、心の居場所までみつけてしまったのだから。
またシーズンオフに、穴場ねらいの醍醐味を味わえばいいさ。
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