日本海をめざし北上する。
浦富海岸は凪いでいた。
時間は少々早いが、予定の店「網元」で昼食をいただこう。
冷凍物は使わないのがモットー。
玄関を入ると、背丈よりも高いメニュー板がでんと構えている。
どれも美味しそうな写真つきで迷ってしまう。
決めた料理名をつげると、一枚の番号札を渡され二階へ移動した。
なんとグループごとの部屋食だ。
ピチピチの鮮魚介。
ひとくち食べては、各々が自分のを褒めちぎる。
和室でじゅうぶんに寛ぎ、お腹いっぱいになったところで。。。
海岸沿いにわずかばかり車を走らせ、船のりばに到着。
船に関しては、苦い経験が重なっていた。
遊覧船が風雨のため欠航とか、出航しても短縮コースになってしまったりとか。
フェリーに乗ったはいいが、波が荒くて船酔いしたり。
とにかく船との相性がことごとく悪い。
その日は、ほどよく晴れ上がり波は優しかった。
気をよくして島めぐり遊覧船に乗り込み、後方のオープン席に陣取った。
乗船者は我が家の3人と、ほかに6人だけ。
95人乗りだが、たとえ1人でも動かすんだろうね。
いざ船出!
海上の向かい風は肌寒いくらいひんやりとしている。
どこまでも透きとおる海水に感嘆する。
日本三景の松島の女性的な美しさに対して、ダイナミックで男性的な魅力から「山陰の松島」
とも呼ばれている。
その説明のとおり、豪快な景観がつづく。
穏やかな爽快クルージングだった。
土産物屋の前こんなものが。
船長が作るスルメがおもしろくって目は釘付け。
グルグルと高速回転し、飛んでいるみたい。
回転機をとめて作業中の船長が話してくれた。
くっついてしまった足を1本1本はなすのだと。
回すだけで勝手にスルメ!ではないんだね。
地道な作業、ご苦労様です。
翌日は猛暑となった。
朝食後、鳥取城跡へ腹ごなしの散策に。
ほんの一歩きの軽い気持ちだったが、かなりの広さがありビックリした。
汗を拭いながら、鳥取市街を見おろす。
裏手には久松山が迫っていた。
263mとほど良い高さに、登りたくて仕方がない。
駄目もとで誘ってみたが、即刻却下されてしまった。
長居をすれば、私がまた何を言いだすか分かったものじゃないと警戒したのだろう。
登山口など見向きもせずに、とっとと来た道を折り返す2人。
置いていかれちゃ大変とあとに続いた。
そして、第一の目的地「砂の美術館」へ向かう。
鳥取砂丘の一角にあり、砂像彫刻を展示する美術館だ。
6期目のテーマは「砂で旅行・東南アジア編」。
世界トップクラスの砂像彫刻家による作品がならぶ。
巧緻を極めた作品群にため息をつく。
エキゾチックな国々を周遊し、神秘な時にひたった。
荒波と風雪が彫りあげた島々。
人の手が彫りあげた砂像。
どちらにも壮大なドラマを感じずにはいられない。