カツオくんはかもめ第三小学校5年3組&『まぐろ袋ブログ』

どうもこんにちは、富田林薫(とんだばやしかおる)です。
遠洋マグロ漁船乗りです(ぇ?

「2011年5月」。

2011-06-01 19:41:44 | Weblog
題詠blog2011:026~034。

携帯の震えはむかし水晶のころにかわしたとおい約束

まちがえて水力発電このダムのふかみは碧い森の悲しみ

きらきらとまわる猫の眼真夜中の天動説を示しはじめる

公式にならないように海鳥をみなみの島のみさきに放つ

寄り道をしたのでしょうね山肌をあなたの声が遅れて届く

真夜中をぶーんって泣いているのですクリーム色の電気メーター

こんなにもさびれた町のすみっこに赤いポストが笑顔のようだ

めをとじてあけたら青き翅ひろげ奇跡的から蝶になります

帚星76年越しに現れてスペースデブリを掃くのでしょうね

うたのわ。

雨音をわすれた午後の青空に鳩を解凍するのでしょうね

雨がふる鉛のようなくるしみがちいさな傘を叩く たすけて

指先がシャープ/フラット揺れながらもう黒鍵になってゆきます

ひびきから思い出せれば純白のギターを弾いてあの頃でしょう

忘れたら卵を抱いて生命のひかりのように集まりなさい

それはそれは判らない仕組みですが希望を放つ機械のスイッチ

晴れるといいね晴れならば土踏まずに教えてあげる土の感触

放たれて飛べるのですかどこまでも紙飛行機になってゆきます

新緑の午後の日射しにあの頃はテクノポップでしたお父さん

気が付くと蕾であったいもうとが花を咲かせる姿勢のようだ

五月雨にわすれてしまうつかのまのあなたが空であった頃など

女装家のあなたのひかる真夜中のガラスの靴の新宿二丁目

図書館を建てたのでしょう新緑を貸し出しカードの表にのせる

向日葵になりそこねては幾度なく向日葵ばかりの本を手に取る

明け方のドルフィンキックを得とくするイルカの歌の話をしよう

もう少し回してみれば始まりのティースプーンの銀河のひかり

窓際にすわりたいよねほら海が見えるとこまで青い電車の

いやあしたわたしがおわる直前に笑顔があればいいのでしょうね

夏空の青を証明したいから君のプールに高飛び込みを

もう一度はじめましょうね潮風の笑顔のような穏やかな朝

ええ、東京タワーの赤色は宇宙からひ孫が見つけやすいように

かっぱ寿司のベルトコンベア流れてゆく僅か百円の誰のたましい

それはそれはとてつもない長い棒を持って何処までも棒高跳びを

ゆうぐれにテクノポップが現れてオレンジ色のテクノカットだ

いつまでも泣かなくていい五月なら海のふるえの温めるから

飛び跳ねてゆきませんか水面からあらわれるでしょう五月の魚

からからのセロハンテープをはがしゆく前は愛だったようなものを

しましまのこころがよぎる暗闇のビルのすきまに縞馬の群れ

金魚鉢あふれるように真昼間の夢の続きを反射しましょう

「2011年4月」。

2011-05-01 17:17:20 | Weblog
題詠blog2011:017~025。

失望を幾つ許せば春の日のわたしは羽根を持てると言うの

スケボーの車輪のひかり公園に初夏の準備をはじめる予定

悲しみのアンモナイトの貝殻はやがて地層に抱かれていた

無くしても見つければいい永遠の幻灯機からあふれでる星

Tシャツを洗い終えたら灯台の風のたもとで夏を待ちます

でたらめに空の光を追いながらああこれはたぶん僕の星座

蜜蜂の羽音の響くその先は無くしたはずの花なのでしょう

もう一度すべてのひとに感謝祭忘れぬようにパレードの列

真夜中の小麦畑の地図を手にミステリーサークルを探す旅

うたのわ。

海辺からどちらともなく手をつなぐ炭酸水の気泡のひかる

深緑をテープで留めるひかりさす窓の縁から森の明け方

川エビの細い腕から脱皮するあなたの内に運河のひかり

それはそれは明日を愛おしむように湖池屋ポテトチップスの袋をあける

黒ゴマと間違われてもアリたちは朝のひかりに生きていました

あなたなら散った桜の花びらをあつめて歌にするのでしょうね

それはとても大きな釘抜きで大地から曲がった釘を抜いてゆきます

逸れてゆくカーブボールの哀れみと泣いているのだキャッチャーミット

それからは桜の花が咲くように一瞬でまばゆいひかりでした

絶対といえないものを繰り返し築いては壊されて 僕ら

背伸びする向日葵の群れああ此処は夏の日を迎える全て

理由わからないまま海泣いている誰も嫌いになったりしないよ

気がつけば星のラジオが彗星のかなしい歌を届けています

揺れるたびわたしの内の日常がまた遠ざかるような夕暮れ

海鳴りになくしたものがあるのなら明日のために探してあげる

笹舟を川にあずけてわたしなら下流で春を待っていますね

潮騒を忘れていたら春の日の三島由紀夫のページの揺れる

コカ・コーラ 三億年後の夏の日も僕の渇きをいやしておくれ

欠けた日の足りないものを組み立てるレゴブロックは青にしておく

「2011年3月」。

2011-04-01 22:11:00 | Weblog
花。

わたしからひかりの花を送るためいま海ほたるあつめる渚

向日葵のふりをしている少年の夏の続きを忘れぬように

気がつけばあなたは遠く振り向けば小さな百合の白い祭壇

実直でありたい花が次々と意味をわからず枯れてゆきます

うすももの記憶を辿り春の日のあなたが花であったかのよう

題詠blog2011:012~016。

堅い人だらけの街の夕暮れに海月のような思いを伸ばす

故郷のオーケストラが現われて忘れかけた田園を奏でる

思い出は残るのですか ここはもう涙のような潮騒のあと

とりあえずともしてまわる蝋燭にねがいのようなちいさな炎

絹糸を夕日にあてる一日がそれはやさしく終わろうとする

うたのわ。

潮騒の聞こえる街が消えてゆく消えてゆく 潮騒の悲しい

日常がとうふのかどにぶつかってあっさりと崩れてゆきました

波頭 するどい指をあなたから何も知らずに受け取りました

わたしから伝えることを絵葉書の森の緑に挟んでおきます

どうしたのでしょうか雨の冷たさは得体しれない不安でしょうか

生きていることの何かを羨むようにあなたの流す雨が冷たい

三月のひとりの午後を戸惑いにかえゆくような春雨のなか

忘れてはならないことを春の日が伝えています 蕾はここだ

どこまでも砂漠のような街角に必要不可欠を置いてゆく

永遠の擬似空間に握手する君の名前はトモダチコレクション

冬空をわたしのなかにひらいたら雪の欠片がきらきらと散る

三毛猫の尻尾にふれる春の日の予定表には日だまりと書く

三月の歌にあわせてフルートを菜の花売りが吹いている

口笛の空に渡ればあしたから春の海ならいいですね

「2011年2月」。

2011-03-02 19:46:59 | Weblog
題詠blog2011:001~011。

初めての冬の距離感ふたりには雪が降ります 寄り添いなさい

とおく種であったころの幸せを砂丘のすみから植えてゆきます

昭和史をほどいてみれば群青のひかりのような飴細工あり

よく冷えたアクエリアスの気泡からまさかのような夏がはじまる

姿見のなかのわたしは嘘つきだ嘲るような薄いくちびる

困惑をとおいひとから受け継いで星空を落下するペガサス

愛なんてこれっぽっちもありませんもう耕すのは止めてください

下手くそなピアノでいいね白鍵はあなたのために黒鍵はわたしのために

あきらめた温もりのよう蒼白の寒暖計を手にとる夕べ

しおさいのあなたを求め呼吸するわたしの内に疾駆する馬

終わらない椅子取りゲームの会場にあしたのような籐椅子を置く

うたのわ。

ピンポンとチャイムを鳴らし春一番をお届けします笑顔ください

呼吸するようにあなたは夕暮れの言葉を歌にかえてみました

水色の音符でつづる波うちの高音部から歌いはじめる

美しいアルミニウムの断片を日が暮れるまで空に翳した

内側にむかって差し入れる指先のやさしいものにふれてください

星空があなたのためにあるようにブラネタリウムの台座を研く

水道水、水道水 海だった頃の静寂を喉の渇きに教えておくれ

悲鳴  ひとつひとつを薄紙に包んで月のひかりにさらす

ただ空が問答無用に青いからあなたと共に飛行機雲だ

終わりならあなたを拾う明け方の真白き羽根を持てる指先

何れダウンジャケットの形をして優しく被う背中に出逢う

限りなく野ばらであった片隅に花の種などのこせればいい

閉じられたドアを見ている配達夫届ける為の理由なくした

もう一度ハガキとなって受け入れる赤いポストの気持ちを探る

夕べにはあひる隊長バスタブに浮かべて何処もとどかない海

もう空がこんなこんなに赤いのは少女のための初恋かしら

雪かきを終えてわたしはスコップと未来のような春を待ちゐる

雪晴れの名も無き白をあつめては仔猫のような名前をつける

完璧にならないまでも真夜中を白熱灯のわたしが照らす

弁明を聞かずに森を吹き抜けるわたしは風のふりをしている

疑問符をしずかに添えて答えなら月のひかりでいいと思えた

気がつきばよかったのです逆光のあなたの頭上あわいリングに

赤れんが倉庫の影がのびてゆく また夕暮れがわたしにちかい

壊れそうなトラバント抱いて走り出す 荷室から東欧の明け方

ああ、たたきこわしたのは一夜の星空発生装置 わたしの未来

twitter。

あなたからメールの来ない午後三時それにつけてもおやつはカール

春までの森をしずかに待っているそれにつけてもおやつはカール

粉チーズ振りかけてゆく午後の日のそれにつけてもおやつはカール

「2011年1月」。

2011-02-01 20:13:52 | Weblog
鏡。

きらきらとビーズの破片くちびるに万華鏡濃度高めつつ触れ

・しし座流星群近付いて国道のカーブミラーにあつまるひかり

・アンティーク鏡台の引き出し深く異国の姫の微笑みをかくす

星空を悲しいほどに散りばめるダストトレイルは鏡面仕上げ

・ジャバウォックの詩を失くして解らない鏡の国のアリスの死因

うたのわ。

音楽の時間から終焉に向う時の泣いていたモーツァルト

珊瑚礁の記憶と供に丸く丸くなって鍋の中のオマール海老

虹色の職人気質うつむいたひとのこころを上に向かせる

手にしたら風の書籍のようで指先をすり抜けてゆく言葉たち

お勧めの料理の皿の隅っこにブロッコリーだった頃のわたし

雪降らし装置かかえて嘘つきの頭上を白くしろく変えてく

森であることをわたしの内面に知らせるための電報がくる

ゆるしたら空になりますゆき先はいわし雲から教えられます

ベランダの白いTシャツ夏の日の風のあだ名を付けておきます

約束がやぶられた夜モーターのコイルにきつく銅線を巻く

雪深き来々軒の店先に「LOVEはじめました」の貼紙のあり

なんてこと夜がこんなに優しいのなら朝がなくてもいいと思った

バランスの崩れた夜のわたしたち平均台から滑り落ちます

姿見のなかのわたしが微笑めばたぶんわたしも微笑むだろう

鳥の鳴いている気がしてベランダの窓を開ければ風の音のみ

まちがえて飛行機雲になりかわり僅かばかりのわたしを残す

目覚めれば花の匂いは消えていてわたしは春を待つガラス壜

クエーサーの星の子どもにかこまれて光の速度叶えつつゆけ

赤色の回転灯が走り去るまた幾らかの悲しみに向かって

夕暮れが傾く方に傾けばわたしも紅く染まるのでしょう

わからない成分たちが目頭を独り立ちする雨のふるらし

調理器具ねがっていたら明日には悲しみを粉砕するミキサー

合わせ味噌の夜は静かに牡蠣鍋の隙間に愛をとけてゆきます

もう手のひらの粉雪は消えると知ってひろげます手のひら

街灯のあかりは夜のやさしさの俯くひとに教えていたの

ワイパーの動きは少し忙しなく弾かれる雨も少し寂しい

永遠の翼のようなふりをして飛び立つための理由をさがす

スクランブル交差点を立ち止る誰もわたしを気にしていない

遮断機の此処と向こうの間にはもう越えられぬ悲しみがある

河口から吹き上げてくる風達よわたしのもとに集まるがよい

ゆっくりと起立しなさいひかりある明け方の海のクレーン

願ってもカードのジョーカー奇術師の指の先から弾かれてゆく

ゆうぐれの傾きながら国道のガードレールに脚をからめた

明け方をなでていた風のこどもがわたしの頬もなでてくれた

吐息は郵便ポストに入れてきた明日あなたに届くのでしょう

うつくしい夢をみていたはれわたるあたらしい空に浮かんだ

twitter。

良いのならいつか四月を持っているあなたにわたす桜の花弁

街角の直進性はズレていてわたしギアの幾つかの壊れ物

月食のマシンをひとつ懐にしのばせながら夕暮れをゆく

花を植える機械となつて幾ばくか砂漠のような隙間をうめる

くらがりの運河はふたり寂しいと水上バスの航跡に添う

何ごともなかったように西友の買い物客はいつも明るい

夕暮れの言葉すくなくモアイ部の部費は夕日に削られていた

ひかりさす中野ブロードウェイ走り抜ければ美少女である

秋葉原ガンダム喫茶のオムライス母の味だと思えガンヲタ

千駄ヶ谷「泥人形」は喫茶店ママの名前はあるいは粘土子

茜さすパーブルタウンは同人誌リア充なんて誰も言わない

「2010年12月」。

2011-01-01 08:47:09 | Weblog
うたのわ。

風のような気がして振り向けば落葉がすこし寄り添い合った

未知数をかぞえていたら彼方から夕日のような数学者くる

許してはくれない棘が喉もとに出かかる声を突き刺すのです

黒猫が今日の記憶をしなやかに悲しい屋根を飛び越えてゆく

触れなくともギターの弦はのびてゆく夕日の影を追い掛けながら

空色の鞄は遠い夏の日を詰めていたこと忘れてしまう

悲しみの炬燵のなかに火星から赤いひかりがあふれはじめる

憎しみの声は忘れてなりましょうミルクティーなら温かいはず

許したら鳩になるまで冬の日を凍えるように飛ばなくていい

冬からの電話が続く胸中に溜まる落ち葉を拾い集める

ノイズから歌になるまで抱いていた明日のような短波受信機

思うのは憎しみをすべて許したら星空に降るアジの開きだ

水面のかたりだす夜 うおの背をなでようとした湖がある

希望から外れた空の交差点スターダストになってるなんて

ジングルベルの回転数をあげながら観覧車からのぞむほしぞら

蛍光灯またたきながらさよならを私のもとに告げるのでしょう

あなたから夜空のように歌いだす星になるまで続けましょうね

すきまから聞こえるようにある歌のまたイヤフォンを深くさしこむ

それはすぐ消えてしまう粉雪をあつめていますこころの小瓶

つないだ手をはなさないよう気をつけて雪道をゆく雪道をゆく

燃え上がる湖のほとりひとり漆黒のセーターの毛玉ひっぱる

最後までいたかった空消えてゆく消去ボタンを押したのは誰

逆光をこころに刺しておだやかな白熱灯ある春を待ってる

できるだけ涙をとめる夕刻にあなたのようなあなたが消えた

十二月の空の話は深刻で飛んでゆけない 雪が降り出す

光ります 証のように雪を待つ手のひらの上ひとつひとつに

シャーペンを胸ポケットに大切にしまって内に少しの春を

カラフルな夢をみているよい夢を持って帰ろう願いのような

おそるおそるどちらかというと腕を振りわたしの中から走り始めた

すこしずつ背をそむけたらミスチルの月のひかりの領域にいる

モノクロにやさしいのです鍵盤は昭和の音になるのでしょうね

万人に伝えるべきだおっぱいのともしてまわる浄化作用を

十二月ひかりのなかにプレゼント聞きまちがえて円周率を

もしぼくが悪代官に生まれかわれば水戸納豆は販売禁止

一生に一度は女人の帯を引き「お代官さまあー」と言われてみたい

越後屋は改心をして三越と名前をかえる愛しさと切なさと寂しさと

「本物かな?」と小判の端をかじるから 悪代官さまも歯が命

悪代官に生まれかわって越後屋と銀座のクラブで豪遊したい

歯車のない世界のなかでふれあうの面と面はやさしくて

青き星ならばいつまでも青き月を抱き寄せよ あなたは

いま孔雀の羽根は冬の日の光りの無きに頑なまま いま

大きなそれは大きな指先が生えてきた核弾頭を引き抜く

緑陽樹 忘れてしまう夏空をその一葉に覚えているか

気を抜けば沈んでしまう鋼鉄を水中の翼となり持ち上げる

援護します わたしが一つ壊れてもわたしの代わりはたくさんあるの

赤い羽根共同募金のひとたちが鳩の不幸をスルーしている

オレンジ色の特急に乗り込む朝のとてつもない運命の予感

本日のパフューム占いラッキーアイテムはのっちカラーはバーミリオン

来年もジングルベルがあるように青い地球をかざりましょうね

人類がはめつするほどあわれんで宇宙の彼方に長距離電話

赤鼻のトナカイならば生け捕って僕がサンタになってあげるよ

彗星の婚約指輪が欲しいなら取ってくるまで はやぶさとなり

かなしみを煮込んだ鍋を人類の気持ちになってふたをする

何時からか空の涙を受けとめるガラスの器をみがいています

傲慢な言葉のなかでゆっくりと丸まってゆくひらがなのよう

寒暖計 空の小指につながるために赤い糸のばす暖かな午後

何処へゆく雨なのだろう私には語りかけずに立ち去ってゆく

背伸びする水銀灯の真上には星空がある 何処にもゆけず

鮮やかさが無くなつてゆく存在を掴みそこねて 外れます

忘れられた傘の所有者に思い出す心がないかもしれません

強風はわたしの明日を持ち去つて昨日の空ばかり見えます

であるのにもかかわらず消されるということで何もない現実

おそらくは差し延べられるミスチルのニューアルバムを買って帰ろう

どことなくあったかだろうじーさんとばーさんが手を取りあって歩む冬の日

師走、師走。スタートライン 先生の心は遥かウサイン・ボルト

呼吸というものからしてなんか忙しそうなふりをしている 十二月

「2010年11月」。

2010-12-04 08:59:43 | Weblog
部活動。

・何時までも卓球少年あの娘にはシェイクの仁って呼ばれたぜ

・最強の稲妻サーブ繰り出せばバレーボールの引っ掛かる屋根

・おそらくは崩れゆく砂と文芸部のテーブルに残される一片の詩

・卒業式の夕やみに紛れ外されるシャア同好会の部長のマスク

○落下物ご注意下さい。たった今弓道部が秋空を射抜きました

「改作」
 落下物にご注意下さい。たった今弓道部が秋空を射抜きました

2010/11/19 穂村弘の歌会。

まちがえて風を信じたベランダの羽毛布団が羽根をひろげた

題詠blog2010:096~100。

交差点ふちどる花は思い出をだれかのために思い出を 咲く

気がつかなければよかったと思います命の換気扇のまわる音

両腕のかわりに羽根をあげましょうという契約書ひろげたら空

青空とそれはイコールだった頃の麦わら帽子が発見される

願わくば二億年後の祝福をゆめみて一人コールドスリープ

うたのわ。

わからない意味の言葉が水槽のさかなの音になつてゆきます

ゆく場所があるのでしょうね明け方の空の東へ飛び立つ鳩は

生涯をかけて僕らはチルチルミチル青い小鳥は近くにいます

届かないひかりの果ての太陽光電池パネルのうつむきかげん

肌と肌をあわせるように大気圏再突入のゆるやかな角度は

高み、高み、昇れば宇宙さえずりの雲雀という名の人工衛星

いつからか地雷のような草原にかわいた涙でうえてゆく 百合

満月のひかりひろがる天空のうさぎの話をしてくれたまえ

悲しいなテーブルの上ふりつもるガラスみたいに砕けた歌が

ほうげきの手をやすめたら内側の誤食しなさい林檎のひかり

人魚姫のころのあなたは身を投げて声が無いのに泣いたと思う

たくさんのたくさんの血のしみついたいずれ手にする赤いティアラを

平面をいきているかの薄っぺらい手と手をつなぎ生きているのか

コンピュータ僕の友達コンピュータ僕の明日を教えておくれ

何かしら僕の明日があるようなしし座流星群の先の先でしょう

観念的な世界があって気がつけば観念のなか泳いでいるの

熱は熱はたまご焼き器の真実の目玉焼きには優しくもない

詳しくは知らないけれど蜥蜴怪人にもたぶん家庭があるのだろうね

お父さんご免ね僕はイケメンで新ライダーオーデション受かっちゃったよ

お父さん僕の手の悪のガガザドバスソードはまだまだとても重たいけれど

怪人の夫の遺品 泣きぬらす妻は悪のガガザドバスソード手にしてをりぬ

つまり正義は多数決 排除されたショッカー蜥蜴怪人の幼子は泣く

あをによしならばあなたの体温をわたしの肌にわけてください

通販で買うスライサーうすくうすく僕のからだを削りながら 夜明け

海面に目を合わせれば世界はふたつひろがる青とみえない黒と

つめたさの肌をあわせてあの海のテトラポッドはよりそいあって

奥深く突き刺さる陰を優しげな釘ぬきのように抜いてゆく

浮いてくるトマトを沈める外部から圧倒的な放漫だった

星ひとつおちてゆきます嘘つきなあなたの前をかがやきながら

心無しか冷たいのだろう手を手をつなごうとする冬のはじまり

ブラジルで生まれたはずの豆が放つのは南国のかおりと温

マフラーを見つけそこねた明け方はどうしようもなく細いくびすじ

掌のあたため方を真夜中のロイヤルミルクティーなら知っている

いずれは朽ちてゆく大木の根元に苔はうれしそうに輝いている

ゆくえ不明の鳩がおります夕刻にオペラ座辺りで見かけましたか

たちあがる塔がどこかにあるならば手をふりながらおはようを言う

純水のボウルにひたす純粋なテーブルクロスになれない布を

おそらくは鳥になれない夕やみに漂うだけの羽毛をつかむ

「題詠blog2010」。

2010-11-14 10:22:29 | Weblog
001:春
アントキの猪木にこころ奪われた春一番よさよならごめん

002:暇
わたくしは暇なのではない、ネトゲとか、ガンダムとか、フィギュアとか、忙しいのだ

003:公園
わすれたとはいわせないブランコはそらまでとんだ児童公園

004:疑
休符、わたし、休符、あなた、休符、休符 楽章の終わりは疑問符

005:乗
一周のあいだにすべての嘘きえることを信じて乗り込む観覧車

006:サイン
一途なキャッチャーがストレートのサインばかり出して 打たれる

007:決
玄関先に決心があらわれてとっとと靴を履けと急かすのです

008:南北
東西線、南北線 交わるあたり方角が手をつなぐ夢をみました

009:菜
あけがたの春菜を摘んで風向きが南にかわる時を待ちます

010:かけら
それは言葉のかけら深夜ひとつずつあつめてはこころに還す

011:青
モンゴルの空が訪ねてきたらしく朝青龍が涙している

012:穏
不自由な指先で壁を塗り直しては穏やかに暮らしています

013:元気
明け方に元気になって飛び回る夢をみました ゆめでした

014:接
とおくとおく海と空との接点に鯨はいるか確かめたいね

015:ガール
南海の孤島に流れ着いた静代がフラガールとして生まれ変わる

016:館
今では相撲中継だけが安らぎの爺さんの暮らす蝋人形の館

017:最近
最近が近付いてきてどうよどうよと問いかける 放っといてくれ

018:京
京葉線。京浜東北線。ならば、京埼線と呼ぶべきだろう埼京線

019:押
たまに誰か思い出してあげればいいのです 押尾学の横顔なんて

020:まぐれ
この星にひとが生まれたおそらくはまぐれ当たりの始まりだろう

021:狐
心臓の音が遠ざかる あれは林道に忘れられた狐の手袋

022:カレンダー
ディズニーカレンダー詳細に見つめ隠れミッキーをさがす

023:魂
コーラから抜けてゆく魂がありそうで硬くキャップをしめる

024:相撲
紙相撲の土俵で生きているかのようにバランスがとれない

025:環
環太平洋恒久平和条約 鯨とイルカと鮪のあいだにて締結

026:丸
あなたが丸まっている間に窓辺から春の準備をしておきました

027:そわそわ
そわそわが日だまりのキッチンのアスパラガスから聞こえてきます

028:陰
いつの日か陰をなくしてひかりある表になりたい月の裏側

029:利用
またひとつ歌をなくして街角に悲しみのご利用券が配られる

030:秤
月旅行はじまる朝にわたくしは兎の秤をなくしたようだ

031:SF
デジタル3DSFシネマのように宇宙人がやってくるヤア!ヤア!ヤア!

032:苦
滝にうたれる修行僧の苦しみはいずれ滝へともどるのでしょう

033:みかん
炬燵、みかん、炬燵、みかん、炬燵、みかん 冬の日は無限ループ

034:孫
寂しげな背中にとどく孫の手を孫のないひとたちに配る

035:金
金色にかがやく草原のかたすみで風になっているフルート

036:正義
ラグーンブルーのイメージを奏でる高中正義という人のギター

037:奥
三月の本棚の奥に取り出して欲しそうな薄桃色の背表紙

038:空耳
木耳は木の耳だから空耳は空のどこかの耳なのだろう

039:怠
怠惰うずたかく積もりそうな夜は窓を開け風にあたる

040:レンズ
本当のオレンジが広がるように夕暮れの凹レンズを磨く

041:鉛
水晶の玉の代わりにいつまでも鉛の玉をみがいています

042:学者
昼下がり宇宙の果てにたどり着きうたた寝をする天文学者

043:剥
まるでわたしシール剥がした後の台紙ようにふちだけが残る

044:ペット
もしかしたら壮大な意思に飼われる服を着たペットなのかも

045:群
順番待ちの人びとを押しのけて我が儘な水牛の群れが走り出す

046:じゃんけん
「グー」「チョキ」「パー」のじゃんけんの仲間に「グワシ」もなりたいと泣く

047:蒸
寒風に立ち尽くす網走の灯台に蒸しタオルをかけてあげる

048:来世
ふたり手を取り合って来世では花を育てて暮らしましょうね

049:袋
捨てられたコーヒーの麻袋あるときは地球を旅してきました

050:虹
海沿いの鉄橋の橋げたに悲しい時は虹のスイッチがあります

051:番号
製造番号:A-873REI 型番:綾波レイ メインメモリ消去の時間です

052:婆
まる子の爺さんの名前はさくら友蔵。では、前田さんの婆さんの名前は?

053:ぽかん
いずれとおくとおく深海に沈めた嘘がぽかんぽかんと浮くのです

054:戯
ほとばしるグランドピアノ清流から交差するラヴェルの水の戯れ

055:アメリカ
水ぬるむ記憶をたどるアメリカザリガニを素手で掴んだことの

056:枯
何かしら優しいものを明け方の花瓶の中に枯れない花を

057:台所
諦めたジューサーミキサー台所の戸棚の奥に暮らしています

058:脳
悲しいのですね曇り空に突き出した脳外科医の指先は鉛色

059:病
少年の笑顔の消えた真夜中のまた泣いている小児病棟

060:漫画
少女期のままの笑顔の漫画家のハッピーエンドを描き続ける

061:奴
白色はしろいろの永遠のために冷や奴に箸を差し込む

062:ネクタイ
ネクタイを結びそこねた日常の誤飲してゆく白い錠剤

063:仏
笹舟に願いをたくす明け方の仏国文学のような川の流れの

064:ふたご
おとうとの声はとぎれた星空のふたごのあには涙をぬぐう

065:骨
海に近い耳小骨へと触れてゆくおはようらしき穏やかな揺れ

066:雛
草原の雛壇の夢 春風が吹き出す頃にまた来ましょうね

067:匿名
匿名で構わないからこの僕に三億円ほど寄付してくれぬか

068:怒
此処だけの話なのですが胸中に喜怒哀楽を育てています

069:島
玄関に南海の孤島が現れてどうしても僕と友達になりたがる

070:白衣
先生の白衣の白にすこしだけ希望の色をまぜて下さい

071:褪
永遠の希望のような約束の記憶も褪せてゆくのでしょうね

072:コップ
溢れ出す冷水を受け止めるには僕のコップはとても小さい

073:弁
遅れ気味にやってきた弁明にいったい何を聞いたら良いの

074:あとがき
聞かないで下さいあとがきから読みはじめた小説もあります

075:微
顕微鏡写真のなかに遥かなる銀河宇宙が生まれた模様

076:スーパー
この街は電話ボックス消えてゆきスーバーマンに着替え出来ない

077:対
対になるブックエンドの片方は燃えないゴミの真夜中に泣く

078:指紋
明け方を気にする事のない夜にワイングラスの指紋が残る

079:第
ああ、第3新東京市 地中深く深く沈みこむ魂のゆきさき

080:夜
真夜中のセルフスタンド一人では動きだせない玩具の車

081:シェフ
靴下をなくしたシェフの前菜に寄り添っている石田純一

082:弾
連弾を忘れてしまうピアニスト右足に穿く靴下がない

083:孤独
靴下を穿いた孤独はアスファルトかつかつという音も残せず

084:千
もう少し希望があるというのなら千のナイフに穿かす靴下

085:訛
靴下を穿いた訛りの足跡がわすれてしまう東北の土

086:水たまり
始まりはほんの些細な水たまりだったのかもしれないね 海も

087:麗
麗しい人へと贈るコスモスの風の丘にはやさしい揺らぎ

088:マニキュア
あてどない未来あなたに褒められる人差し指にマニュキアを塗る

089:泡
気がつけば泡の世界の片隅に金魚のように暮らしています

090:恐怖
昨日まで普通の街にゆっくりと恐怖の種が発芽してゆく

091:旅
旅先が現れてくれるような旅をドラえもんなら叶えてくれる

092:烈
痛烈なファールボールは何時までもファールボールに違いなかった

093:全部
ゆきさきは何処なのですか願わくは全部森へと帰ればいいのに

094:底
漠然とした未来のような塊を川の底から掬い取るのだ

095:黒
黒々と漂うものの寂しさを照らしてあげる懐中電灯

096:交差
交差点ふちどる花は思い出をだれかのために思い出を 咲く

097:換
気がつかなければよかったと思います命の換気扇のまわる音

098:腕
両腕のかわりに羽根をあげましょうという契約書ひろげたら空

099:イコール
青空とそれはイコールだった頃の麦わら帽子が発見される

100:福
願わくば二億年後の祝福をゆめみて一人コールドスリープ

「2010年10月」。

2010-11-03 08:07:32 | Weblog
水。

水のないプールの底を撫でてゆく生まれたばかりの秋のてのひら

題詠blog2010:086~095。

始まりはほんの些細な水たまりだったのかもしれないね 海も

麗しい人へと贈るコスモスの風の丘にはやさしい揺らぎ

あてどない未来あなたに褒められる人差し指にマニュキアを塗る

気がつけば泡の世界の片隅に金魚のように暮らしています

昨日まで普通の街にゆっくりと恐怖の種が発芽してゆく

旅先が現れてくれるような旅をドラえもんなら叶えてくれる

痛烈なファールボールは何時までもファールボールに違いなかった

ゆきさきは何処なのですか願わくは全部森へと帰ればいいのに

漠然とした未来のような塊を川の底から掬い取るのだ

黒々と漂うものの寂しさを照らしてあげる懐中電灯

うたのわ。

紅い紅い意識をひとつ鞍に乗せ泣いていました跳ね馬の背

十時十分三十秒一日を二回だけ丁寧に三等分に切り分ける

繊細な歌を信じたアナログのレコード針はすり減ってゆく

ひかりある兎のぬいぐるみを抱いて月へと向うしずかな夜だ

画一にティッシュを配る僕たちのティッシュ配りが増え過ぎている

ミントガムみたいな切符にぎりしめ何処へゆこうか銀色列車

救済が在るとして巻き上げるカルボナーラに天のフォークを

妖精があらわれて卵料理をえいえんのいのちに変えてゆく

探しています惑星が水の星だった頃のありふれた魚の記憶

フラスコに時間旅行の真似をして理科教室の秋のゆうぐれ

液晶のパネルのなかの友達は嘘つきだけど優しいでしょう

透明な螺旋をひとつ上りゆく意味が空から下りてくるまで

もう忘れることがすべての湖に月のあかりをわけてください

間違えた黒鍵だらけのピアニカに明日の息を吹き込みましょう

あしたには風の吹く街飛ばされてやさしい空にあえたらいいな

音があるリズムがある揺れがあるそこで言葉は敵わなかった

ねえそこのコーヒーカップ二年前から使われなくてとてもごめんね

あしたがあるのあしたがあるのあしたには優しい夢をみせてください

疲労する僕たちの街の暗がりに浮動小数点を見かけたようだ

名前のない電車に乗って改札を抜ければ街は秋色でした

永遠の秋の音なら夕暮れを過ぎてゆくのに気がつきません

目の前に森が出来たら図書館を建ててあげようあなたのために

流れてゆく雲にあわせて流れてゆく僕という重さのないもの

それならばスカイツリーの高みまで昇れるひとの空に近いね

彗星の軌道のうしろ尾を掴みついてゆくならしあわせがいい

ゆつくりと出迎える君あるように薔薇の門柱いとおしく庭師

明滅のイルミネーション届くなら泣き顔の君よろしければ笑顔

思い切り補助輪なしのダッシュしてきっと貴方が支えてくれる

鎌倉の海の記憶は潮風の鳩サブレーが塩味だった

それはそれは秋の夜を研ぎ澄ます明朝体のような三日月

流星の東の空の憧れにこの子は何処にゆくでしょうか

つかのまのひかりのような日常を拾いあつめるまちがいだろう

いまさらっていう感じで僕は蝉の抜け殻なんかを見つけてしまう

秋の音はMP3変換に取り込まれ微かiPodはブルーなのです

しにたいという程ではないが手段なら僕の未来にありふれている

「2010年9月」。

2010-10-02 22:26:32 | Weblog
虫。

・草原のバッタの脚が√のように願わくば少年は夏の数学者

・蝉時雨 取り残されたこの森の木々の隙間に手を取り合って

・ゆるやかに秋の日は増え夏の日の忘れてしまう昆虫標本

・バタフライの飛沫の記憶水のないプールの底を蝶は飛び立つ

・蝉の声を最後に聞いて八月は麦わら帽子の凹みのなかに

題詠blog2010:081~085。

靴下をなくしたシェフの前菜に寄り添っている石田純一

連弾を忘れてしまうピアニスト右足に穿く靴下がない

靴下を穿いた孤独はアスファルトかつかつという音も残せず

もう少し希望があるというのなら千のナイフに穿かす靴下

靴下を穿いた訛りの足跡がわすれてしまう東北の土

うたのわ。

ワイシャツの釦をとめる日常は可も不可もない白色だろう

繰り返すフォローアンフォロー呟きは優しい嘘で十分でした

立つことの意味をなくして信号機うつむき加減の三つの庇

「もうどうしようもない馬鹿ね」と呟いて夜明け前人魚は声を足へとかえた

たくさんのしあわせ のようなものが追い越してゆくのが見えるわ

あお色の誘蛾灯ならきのうから胸のあたりでなにかさみしい

いくつかを理解している(でも)いくつかは理解されずにしんでゆくのだ

コンビニの袋の清さはあっさりと捨てられること受け入れること

昨日から忘れています書きかけの手紙の最後に綴る言葉を

ふりそそぐ雨は銃弾 僕のもつ傘の世界はとてもちいさい

何をなにを信じているのでしょう僕たちの歌はみじかい夏であるのに

青い目の王蟲は迷子腐海からとおくはなれたビルたちの森

蟲笛で森まで帰ろう傷ついた翅蟲の群れになぐさめられて

VOICE!Perfumeのシンクロ率が越えてゆく綾波レイのシンクロ率を

「2010年8月」。

2010-09-01 19:27:18 | Weblog
題詠blog2010:070~080。

先生の白衣の白にすこしだけ希望の色をまぜて下さい

永遠の希望のような約束の記憶も褪せてゆくのでしょうね

溢れ出す冷水を受け止めるには僕のコップはとても小さい

遅れ気味にやってきた弁明にいったい何を聞いたら良いの

聞かないで下さいあとがきから読みはじめた小説もあります

顕微鏡写真のなかに遥かなる銀河宇宙が生まれた模様

この街は電話ボックス消えてゆきスーバーマンに着替え出来ない

対になるブックエンドの片方は燃えないゴミの真夜中に泣く

明け方を気にする事のない夜にワイングラスの指紋が残る

ああ、第3新東京市 地中深く深く沈みこむ魂のゆきさき

真夜中のセルフスタンド一人では動きだせない玩具の車

うたのわ。

贋物の星座に抱かれ眠る夜プラネタリウムの君のようだね

八月のなくした僕の貝殻にとおくきこえる蝉のしおさい

褐色の歌手じじじじーと歌い終え夏の隙間に落ちてゆく 翅

揺り篭のそとの世界を思い出しながら眠る天空のゆりかご

ひかりひかり生まれて消える真夜中の線香花火のマゼラン星雲

抜け殻を拾って歩く公園は生まれ変わった蝉でいっぱい

エアカーテンのように遮断する見えない壁を無言と呼んだ

連続で瞬きを続けていたらばくばくとバクが夢を食べるのです

通り雨通り過ぎたら濡れた髪慰めあって帰ろうか

願わくは少し時間をおくれ永遠の黒の隙間に生をねじ込む

ミンミンミンミンミンミイーンミンミンミンミンミンミイーーン みじかい夏よ

八月の僕は陽射しを求める蝉で冷たい雨に泣いたりもする

僕たちの僕たちによる僕たちの為のサマーウォーズ 理由などない

夏の日のひかり空に多すぎて眩しくないのトンボの複眼

七日間の夏のひかりを記憶するミンミンゼミの翅の透明

「2010年7月」。

2010-08-01 07:56:11 | Weblog
電話。

 夏空のひかり電話のベルが鳴り「愛している」とひまわりの声

・君からの返事ないのはiPhone4の受信感度の悪戯だよね

 「アンテナが一本だから悲しくてとてもとても不安なまみより」

 終焉を迎えた夜のあなたには話しかけても通じない バリ3

・それは二年前の多機能ケータイ流れ着くガラパゴス諸島の渚

題詠blog2010:061~069。

白色はしろいろの永遠のために冷や奴に箸を差し込む

ネクタイを結びそこねた日常の誤飲してゆく白い錠剤

笹舟に願いをたくす明け方の仏国文学のような川の流れの

おとうとの声はとぎれた星空のふたごのあには涙をぬぐう

海に近い耳小骨へと触れてゆくおはようらしき穏やかな揺れ

草原の雛壇の夢 春風が吹き出す頃にまた来ましょうね

匿名で構わないからこの僕に三億円ほど寄付してくれぬか

此処だけの話なのですが胸中に喜怒哀楽を育てています

玄関に南海の孤島が現れてどうしても僕と友達になりたがる

うたのわ。

記憶せよ 夏の始まり空のひかりを愛するように三ツ矢サイダー

盛夏 世界に雪ふりつもる夜の夢見てダウンジャケット眠る

マフラーは夏にきらわれ真っ暗なクローゼットの片隅に泣く

少しずつ真夏をふくむ向日葵を明日の窓に飾りましょうね

枯れてゆく理由は知らず水差しに透明な透明な涙あふれる

昔、キャンディーズだった頃の夏の日よ「暑中お見舞い申し上げます」

ええ、それは青い山脈の途切れる辺り 空を紡いで暮らしています

夕闇は誰かやさしく差し延べて 淋しいのは明滅の信号機

それがそれが僕の世界であるように水槽のなかの泡と消える

帝国の終わりを告げる黒電話 厳かに最期のベルは鳴り響く

愛しそうに煙草の煙り吐き出して空を見上げる 晴れならばいい

否という水の無慈悲をかいくぐる流線型を撫でておくれよ

それは最愛の電話ボックス伝える声を無くしてビル陰に佇む

泣き出した雨の理由を知りながら狭いこころに阻まれている

ゆっくりと閉じるのは瞳のようで見えないことの淋しさの闇

ごめんなさい脇目も振らず駆け出した未来が見えた気がした

ただ草原に立ち上がる噴水があればいいと思っただけです

宛先のかすれた手紙の為に少し支え合いましょうか 夜を

風のやさしい歌声を聴いて夕暮れの空は飛行船に馴染む

ああ、白い、白い、肌のようだね 隙間なくペールオレンジ塗りつぶす

感情のオイルをたらすドロイドの微かにひかるギアボックスに

アフリカの声は届かぬ中国の少女はつくる赤いブブゼラ

「2010年6月」。

2010-07-01 11:36:29 | Weblog
題詠blog2010:056~060。

何かしら優しいものを明け方の花瓶の中に枯れない花を

諦めたジューサーミキサー台所の戸棚の奥に暮らしています

悲しいのですね曇り空に突き出した脳外科医の指先は鉛色

少年の笑顔の消えた真夜中のまた泣いている小児病棟

少女期のままの笑顔の漫画家のハッピーエンドを描き続ける

うたのわ。

大空を横切る鳥をゆびさしてゆくあてのない指先のさき

星の数を数え終えた瞬間を考えながら薄くなってゆきます

横顔はやや雨よりにうつむいてながれるままの雨音を聞く

触れるもの傷付けあえば消えてゆくアザミの棘を指先に持つ

イマジンとイソジンの類似について考える僕はおそらくヒマジンだろう

イソジン オール ザ ピープル 想像してごらん喉の痛みの消えた世界を

雨の日のわたしのなかの海溝の深みのような水溜まり在り

サイダーの泡のすべてが準備する 弾けるような夏の装い

ひらおよぎ雲の間を泳ぎゆく 雨のラインを繋げるように

どことなく浮き足立ったあじさいを背面跳びで越えてゆく

蝸牛だった頃の雨はやさしくて雫ひとつに満たされていた

遠く空へと旅だった あなたも はやぶさと名前をかえて戻っておいで

梅雨空を箱の中から取り出して哀しい朝の手品師が泣く

紫陽花は花弁の奥に忍ばせる だれもしらない雨の信管

紫陽花の青は青は親和性 彼方より空の雫を引き寄せる

ブランコの法定速度を越えてゆく重い鎖を解き放つまで

生きてきた時間より(たぶん)生きられる時間のほうが(たぶん)少ない

よあけまえ三半規管を過ぎてゆくこれはやさしい汽笛のようだ

月光のやさしいほうへちかよれば午前零時の揺りかごのある

噴水で水掛け合った記憶のせいで何時までも濡れている頬

消えてゆく後ろ姿の見上げればカーブミラーに映るさよなら

六月のやや控えめな空色で画用紙の隅を塗っています

噴水の高みにちかい新緑の手を伸ばしても届かない夢

朝、昼、晩 この首を伸ばせば届くのですかキリンの高み

あるいは夜のセルフスタンド自らの意思でまわりはじめる洗車機

はれわたる空の静かは帽子掛けストローハットをかけてあげよう

数万年かけて水滴の落ちる暗闇で手を繋ごうとした鍾乳石たち

海に近い方の奇術師が半透明ブルーの布で悲しみを消してゆく

「2010年5月」。

2010-06-01 19:29:15 | Weblog
UFO・宇宙人 。

・大気圏スペースノイドの夢の縁 宇宙人とは言わないでくれ

 母さんの麦わら帽子の夏の日のUFOになり飛んでゆきます

・狂おしくピンクレディーにすがりつきUFOからが青春でした

・八月のアダムスキーのデジャヴューの手を取り合って少年少女

 絶え間なく降り注ぐ愛の名を永遠と信じればいい宇宙人グレイ

うたのわ。

いま 僕のこころのすみの暗がりを覗き込もうとレントゲン技師

地平線の反転を望むように逆立ちをした 踵は空に近いのでしょう

チェンジアップ緩いカーブ描きながらタイミングずれてゆく 僕は

オートマティックトランスミッションアクセルを踏み込めば 何処まで

覆面レスラーとして燃え尽きれば夜空に黄金のゴング鳴り響く

果てる夜の暗がりの中にはみ出して死んでゆく真っ白い液体の

それは生が静としてあるような屋久島の千年杉の緑に眠る

外部からさしだす指は切れそうな月のひかりを携えていた

血のいろがうすい気がした一月の肌と肌とをこすりあう夜

輪の中の誰かの背中ひらいたら抜け殻だけが残されました

レコードの回転数を終えてゆく天使の羽根をひとつ残して

深夜その辺にあるものを一つずつ積み上げてつくるその辺

目を閉じれば反転する螺旋階段ころがるように落ちてゆく

twitter。

厳かなスリーカウント鳴り響きもう立てないかラッシャー木村

「2010年4月」。

2010-05-02 08:41:01 | Weblog

神。

 不自由に立ち尽くすことで僕達に女神は自由をくれたのでしょう

・そうかれこれ三百年間こどもたちの足音を聞いている神社の石段

・ゆつくりと季節は流れてゆくのです精神科病棟の窓からも桜並木

 サッカーの神はいたずら好きで決定的チャンスには手に降り立つ

・あけがたの真白き神が降り立ちてわたしをコクピットにいざなう

うたのわ。

マンション情報誌眺めつつ1LDKにひかりあれ南向きのベランダ

不動産屋の曇りガラスにひかりある 私に似合いの古いアパート

天がおりてきて手のひらに近づくのだ ああ、曇り空の幻覚作用

現実を求めてやまぬ掌のヘブンリーブルーの種子をもてあます

なくしてはゆくものの声をききました深夜さんご礁から伝わる波頭

子守唄を信じていた頃のように春の日の揺りかごの眠りをここに

ウェイトレス、ウェイトレス。夏の日のひかりのソルベアイスをひとつ

曇り空を生きてゆくことの証のようにただ薄い影をたしかめあった

まわりみちをしたのでしょうね教会はこんな近くに建っていたのに

さくらさくら とおい街の記憶をとりもどして花びらを手のひらに置く

指先よからだじゅうに触れてアナタノカタチヲキオクスルノダ

昨夜、悲しみの境界線の運河に架かる橋のたもとにふるえる猫よ

すぎてゆく時間もやさしいわたくしの手のなかで熟れてゆく桃よ

風の速さに負けないように親愛なる自転車のペダルを磨く 四月

よそゆき格好で少しすましたリュウグウノツカイと乗る水中列車

秒速五センチメートルであなたが花びらであった時の記憶をたどる

あたたかいココアのよこでゆっくりとあたたかくなってゆく深夜

誤字ばかり気にしていたら朝刊の死亡記事から飛び出す天使

理科室の三角フラスコのなかに放課後のままゆれる液体がある

思い出となるような歌を残して穏やかな春となればよいです

どちらかというと暖かな方向に寄り添って桜並木の川沿いをゆく

燃費なんておかまいなしにアメリカンフリーウェイをV8でゆく

twitter。

雪解けのサイド7に白い奴

春キャベツララアを載せてエルメスに

ジオングの脚のないのがはるがすみ

アッガイを愛した春はとおくなり

夏近しみどりの中に混ざるザク

ジェットストリームアタック的な春一番

たんぽぽの綿毛のようにボール飛ぶ