「楽しい樹液の啜り方」。

真夜中のコンビニぐらいの明るさでピンポンラリーは続けたいのだ

ひび割れたコーヒーカップを手ぢからでもとに戻せる人を探すわ

昨夜から天にのぼったさよならで泣き散らかしてるようね梅雨空

戦争でなげきかなしむ人たちを鶴亀もようのふろしきでつつむ

あなたから笑顔がこぼれだすころを伝えるためのからくり時計

タマネギと鴨を抱きしめ眠る夜の禁じられてる遊びのように

タンポポが綿毛をとばす信号は青だすすめとささやいている

カーテンのすきまにのばす片腕にきらめく光を信じればいい

あしたからきみは人として人として生きてゆくのよ愛しい蛙

かなしみとなみだとあせを吸収しすくすくそだつ緑の芝生

夕焼けがとまらないから足元に停止ボタンを探してしまう

影踏めば影が笑うよ影踏みは楽しいことだと教えてあげる

大きさを確かめている心臓の鼓動と熱にいだかれながら

石段をのぼる速度に夕闇がおいつきそうでとっても困る

金儲けしてなにが悪いと言う人を半透明の袋にいれる

図書館の棚で手にした価値観を伝えたくって箱根駅伝

ふところに電光石火とびこんで婚姻届をネジ込んでやる

美男子で医者の息子で金持ちで背も高いけど指が嫌いだ

吐き捨てた言葉が巷に溢れだし　清掃局はネコの手募集

今週の星占いは最悪でマーズ・アタック仕掛けちゃいそう

こうなれば東京タワーに繭作り冬眠してやるお前のせいだ

セオリーをぶっ壊すんだ俺たちはゴミは分別するんだけどね

初夏の日をてのひらに浴び二人して光合成でも致しませんか

本日の内巻きカールはご機嫌がとてもよくてよワインもお願い

ああっもう、それはあなたの勝手であってあの女も納豆も嫌い

なけなしのジョークですからお客さまその髪型もお似合いですよ

泣き顔は似合わないからアフリカの木彫りのお面買ってあげるね

唇の震えが止まらぬ真夜中はどうしようもなくブレストファイヤー

ジョーズです何が上手と聞かれても困るんですけどジョーズですから

ぼくたちはちいさな虫でたいぼくの甘いじゅえきをすすっているよ