とっちーの「終わりなき旅」

出歩くことが好きで、趣味のマラソン、登山、スキーなどの話を中心にきままな呟きを載せられたらいいな。

有森裕子さん『よろこびを力に・・・』

2010-11-25 23:25:03 | スポーツ
浜松経済クラブ主催による講演会が昨日あった。講師は、元マラソンランナーでありオリンピックメダリストの「有森裕子」さんである。『テーマはよろこびを力に・・・』ということでマラソンを通して得た思いを熱く語ってくれた。

有森裕子さんは、日本人にとっては忘れることの出来ない有名なマラソンランナーである。テレビはもちろん、いろんな大会でもゲストランナーで出場し何度も見ている。個人的には、15年前韓国の済州島マラソンに出場した際、ホテルのエレベーターで偶然小出監督と一緒にいた有森さんと話をしたことがある。まったくの初対面と言うわけではないが、今回の講演を聞いて、すごい努力家で粘りと根性のある熱い気持ちを持った人だったというのが良くわかった。講演は、生まれた時からメダリストになるまでのエピソードを交えながら90分熱のこもった話が続いた。

彼女は、岡山県で生まれた。出生時は、股関節が外れたままだったいう。母親が早いうちにおかしいと気づき、しかるべき処置をしたおかげで普通に歩けるようになったそうだが、その影響で、歩行能力は人より劣りよく転んだりして怪我が絶えなかったそうだ。そんなこともあり、子供時代は絵画や手芸が好きな子だったという。学校では、得意なものが見つけられず劣等感にさいなまれる日々を過ごしていたらしいが、ある日自分を理解してくれる先生に出会ったことで人生が変わったという。その先生の言葉で、自分が欠点だと思っていたことが欠点ではなくなることを知る。「私は私でいいんだ」という思いが湧き出し、その先生が顧問をしている陸上部に入ったのが、スポーツへの道に入ったきっかけだったのだ。

有森さんのすごいところは、来たものに対して全力で立ち向かうという気持ちだ。中学時代は、運動会で誰も出場しない800mに進んで出場し3年間この種目では誰にも負けたことがなかったそうだ。とにかく諦めずに続けることが大事だという。いくつもは無理だが1つでいいので、一生懸命になれば難しい事ではないのだ。

そして、中学を卒業し高校に入る。高校でも走ることで自信を持つため陸上部に入ろうとするが、名門校であるこの陸上部には簡単に入部させてもらえなかったそうだ。中学時代、運動会で優勝した程度くらいの実績では、顧問がまったく相手もしてくれなかったようだ。しかし、ここで簡単に諦める有森さんではなかった。とにかく顧問に顔を覚えてもらうよう顧問の立ち回り先に何度も出没し粘ること半年。さすがの顧問も呆れて入部を許可したそうだ。99%無理と思っても、1%の可能性があればそれに向かって頑張る。駄目なら自分が納得できるまで粘り強くやることが大事だという。なかなか、そこまで頑張れる人はいないものである。しかし、頑張って入部した高校の陸上部でも彼女は万年補欠で終わってしまう。

高校でも泣かず飛ばずで終わった彼女は、もう陸上はやめようという気になってしまっていたが、高校の顧問の先生の「しんぼうせい」という言葉に踏みとどまった。3年間、彼女をいい舞台に出場させることが出来なかったことを顧問の先生も気にしていたのだろう。大学でも陸上を続けられるよう、先生が推薦状を書いてくれ日体大に入学する。だが、大学でもそれほど実績はあげられず無名の補欠同様の選手で終わってしまう。それでも彼女は、頑張って粘った。じっと我慢し自分を信じて頑張ったのだ。大学卒業後も、実業団入りを目指し、持ち前の粘りでリクルートにアタックする。これが小出監督との出会いだったそうだ。小出監督も彼女の実績がないことに驚きながらも、やる気があることを感じ取ったのだろう。並み居る有力選手の中に彼女を入れることを認めたのである。やる気があったからこそ、よい指導者の下で大きく変わっていったのだ。

そしてあとは多くの人が知ってのとおり、バルセロナ五輪で銀メダル、アトランタ五輪では銅メダルという記録を打ちたて国民的マラソンランナーになったのである。とにかく最初から最後まで、水も飲まず熱き口調で語る有森さんの話には元気付けられた。

マラソンで学んだこと。「全て一日で力を発揮するのがマラソン。明日がわからないから今日を頑張る」という言葉が印象的だった。

追記:バルセロナ五輪でのエピソード。沿道からの「アニモ、アニモ!」の声援がニックネームの「あんも」に聞こえて、海外でもこんなに応援してくれているのかと勘違いして頑張ってしまったという。「アニモ」とはスペイン語で頑張れという意味らしい。それに因んで岡山には、有森裕子記念館「アニモ・ミュージアム」があるそうだ。






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