とっちーの「終わりなき旅」

出歩くことが好きで、趣味のマラソン、登山、スキーなどの話を中心にきままな呟きを載せられたらいいな。

『ダブルフェイス 潜入捜査編&偽装警察編』

2013-01-30 22:51:16 | ドラマ


TBS・WOWOWの共同制作で2局同時期に放送されたスペシャルドラマ『ダブルフェイス』をやっと見ることができた。
このドラマは、2002年公開の香港映画『インファナル・アフェア』のリメイク作品である。
ずっと前から録画してあったのだが、なかなか見る時間がなく、見だしたらドキドキする展開に目が離せなくなり一気に見てしまった。
TBS版『潜入捜査編』(主演・西島秀俊)とWOWOW版『偽装警察編』(主演・香川照之)の2作品で完結だ。
キャッチコピーは「ヤクザの幹部、実は潜入捜査官。」、「エリート警察官、実はヤクザの潜入員。」である。

<ストーリー>
「潜入捜査編」
森屋純は、暴力団織田組に長年潜入捜査をしている神奈川県警の捜査官。そのことを知るのは、直属の上司・小野寺警視正のみ。森屋はヤクザと警官という二重生活に苦しみ、任を解かれる事を切望していたが、小野寺は組を壊滅させられればと約束する。森屋は麻薬取引の情報を漏洩させるが、県警内部にも組長の織田が高山亮介を刑事として潜入させており情報戦が展開される。結果、麻薬取引はつぶすが、組員は証拠不十分で全員釈放され、両者痛み分けになった。このことで双方の内部に犬(内通者)の存在が明らかになった。 小野寺は森屋に、織田は高山に犬の正体を探らせる。 森屋は知り合った精神科医の西田奈緒子に自分の身分を明かし、元に戻ったら乾杯しようと約束するが…。 森屋は織田の決定的な犯罪証拠を掴み、あるビルの屋上で小野寺と密会するが、そのことを察知した高山が組に伝え、組員たちが差し向けられた。森屋に絶体絶命の危機が訪れる。

「偽装警察編 」
少年の頃に織田大成に拾われ、ヤクザの身でありながら刑事になった高山は、小野寺警視正の殉職後、織田から新たな命令を受ける。それは厚生労働省の代議士の娘・末永万里に接近し関係を持つことだった。偶然もあって万里と同居を開始した高山だったが、織田からはさらに万里を薬漬けにするよう命令される。高山もヤクザと警官の二重生活に揺れていたが、父親に抗う生き方をする万里と接した高山はある決断をする。 小野寺の遺品のパソコンや携帯電話が高山に預けられた。潜入捜査官の情報が入ったパソコンだったが、高山はパスワードがわからずログインできない。 一方、小野寺と弟分のヒロシを亡くした森屋は、奈緒子にも連絡を取らず抜け殻のような日々を過ごしていたが、ある日小野寺からの電話を受ける。それは高山がかけたものだった。高山は小野寺の後継者として森屋と手を組み、織田に罠をかけるが-。

<キャスト>
•森屋 純(織田組幹部、裏の顔は神奈川県警潜入捜査官) - 西島秀俊
•高山 亮介(神奈川県警警部、裏の顔は織田組の潜入員) - 香川照之
•織田 大成(織田組組長) - 小日向文世
•麗子(織田の妻) - 伊藤かずえ
•ヒロシ(森屋の弟分) - 伊藤淳史/偽装警察編は回想のみ
•小野寺 力(警視正) - 角野卓造/偽装警察編は回想のみ
•菅原(警備部部長) - 平田満
•岡崎(組織犯罪対策課刑事) - 堀部圭亮
•堺 俊彦(情報解析係刑事) - 高橋光臣
•西田 奈緒子(精神科医) - 和久井映見
•末永 万里(代議士の娘、フリーター) - 蒼井優/偽装警察編のみ

「潜入捜査編」では、警察の潜入捜査官として暴力団組織の中で生きる森屋純(西島英俊)が主人公で、森屋と弟分のヒロシ(伊藤淳史)との友情を中心に描かれている。「偽装警察編 」では、エリート警察官でありながら、裏の顔は暴力団の構成員という高山亮介(香川照之)が主人公で、高山と有力政治家の娘(蒼井優)とのふれあいが見どころである。どちらも、身分を隠してそれぞれの組織に属しているので、いつその正体が見破られないかという不安で精神的に追い詰められている状況が、ドラマの中ではひしひしと伝わってくる。いろんな場面でちらっと出てくる仕草や小道具が様々な伏線として後の展開につながっているのが面白く、うまく作られたドラマだなあと感心した。

とにかく、西島英俊と香川照之という二人の素晴らしい俳優の丁々発止のやり取りと息づまる対決シーンには目が離せなかった。それぞれ1時間半もあるドラマだが、どうなっていくのか気になってついつい最後まで見てしまった。結局、ハッピーエンドで終わるはずもなく、全編にわたる冷たく寂しい空気感と登場人物たちの孤独感が増幅されて終わる。原作映画「インファナル・アフェア」には「無間道」(一度踏み入れたが最後、二度と抜け出せず苦しみを繰り返す地獄)というタイトルが付いており、この物語の全てを表しているといえる。ラストの落ちていくエレベーターの映像は、「無間道」を表すかのように、登場人物たちの生末を暗示しているようだった。とにかく、凄いドラマだったというしかない。