みに・ミーの【みにスケール模型日記】

ミニスケールAFVを中心とした模型日記です。

ドラゴンのチャーチル その2 スーパースティック砥石の威力

2011年11月25日 23時08分39秒 | AFV(英・チャーチル)
 ドラゴンのミニスケールキットに人間としての細かい配慮が足りないのはいつものことですが、このチャーチルも実際に組み始めるといろいろ気になるところが。気にしなければいいのでしょうが、私ゃ気になる。例えば湯口の位置に関しては、結構削りにくい場所に置かれています。例えばこの転輪。ムカデのようなチャーチルの転輪は組み立てやすいように、しかもディテールを損ねないように、巧みに一体成形になっていて、片側2パーツ、左右で計4パーツで組めるようになっているんです。だったら簡単に組み上がるかと思ったら、湯口のカットで手間取りました。
 トップ写真のように、転輪の内側、キャタピラが通る場所に湯口がどーんと出ているんですね。ここは外から見えないとは言え、キャタピラが触れそうなので、ある程度は整形してやりたいところ。この湯口のおかげでそこだけキャタピラが盛り上がったりしたらいやですから。しかしこういう直角に引っ込んでいて、しかも全体は円形という場所は、ナイフが使いにくいんですよね。
 ところが、こういう場所の整形にうってつけの新製品が出ました。ガイアノーツの「スーパースティック砥石」です。シャープペンシルのような本体に、四角い棒状のヤスリをセットして、ペンでこする要領で削れるという優れものです。
http://www.gaianotes.com/products/g-goods_g10.html
で、これが、上のような引っ込んだ場所には大変便利なんですね。デザインナイフであらかた削った後で、この四角い棒状のヤスリの先端や側面を使って削るわけです。いや~、ドラゴンがこういう湯口を作ってくれることを見越して、わざわざガイアノーツがその対策ツールを発売してくれたのか、と思えるほどに、私にはタイムリーな新製品でした。

 他にも、胴体左右側面のスポンソンパーツも、上のキャタピラレールに当たる場所に、大きく湯口が飛び出しています。しかしここもスーパースティック砥石のおかげで簡単に修正できました。

 さてチャーチル、この続きも…。なんだか細かいところで難航しそうです。

さて、ドラゴンのチャーチル

2011年11月23日 11時30分25秒 | AFV(英・チャーチル)
 本ブログのテーマの一つである「チャーチル歩兵戦車」。そのミニスケールの新製品が出たとなると、喜び勇んで一番に組み立てるはずのところ、なにしろドラゴンでしょう? なんだか警戒してしまって素直に喜べないんですよね。ドラゴンのミニスケールは、物によってはすぐ売り切れて再入荷が無い、ということもあり得ます。AFVクラブの製品でもチャーチルは話題になりました。ドラゴンの場合ももしや、ということがあり得るので、複数のお店に予約をしていました。しかし、「missing-lynx」のディスカッショングループでは、決して諸手を挙げて大歓迎というわけではないようです。いろいろコメントがありますが、その要点は「確かに出来はよい」「しかし、排気管やスコップなどが一体成形など、スナップキットに近い」「悪くはないが、値段相応とは言えない」ということになりましょうか(私の英語力では限界がありますが)。
 で、早速意欲が萎えて、予約入れたお店にはまだ受け取りに行ってません。でも出先で見かけたので一個買いました。これだけ何個も買っているんだから、文句の一つも言わせてもらってかまないよね…? しかし全体的には悪くないと思いますよ。このブログを見て、買おうと思っていたのを止めたりしないで下さいね。こちらがチャーチル大好きなので、点数が厳しくなる、とお考え下さい。
 では、まず第一印象から、実際の作製レポートと、しばらく連載したいと思います。ただ相変わらず本業が立て込んでいるので、時間はかかりそうですけど。おまけにいつものクセで、他に面白いことがあると、そちらに話が飛ぶかもしれませんけど。

 で、一番機になるのは、前の日記でも触れたように、一番前の泥よけを外した状態で作れるかどうかです。答えは、一応可能だけど、簡単には行かない、ということです。フェンダーをカットするのはまあ大丈夫。しかし問題は、車軸側です。ドラゴンのスポンソンパーツはトップ画像のようになっています。矢印をつけた、前方誘導輪の軸受け部分。これがご覧のように大変手抜きの形状になっているんです。これは、古いエッシーにも劣る表現ですよね。エッシーのキットは、泥よけが一体成形になっていますから、この軸受け部分は泥よけの下になっています。

これは、随分前に撮影した、エッシーのMk.3をMk.4に改造途中の写真なんですが、泥よけから除いている部分、ドラゴンよりほよどちゃんと出来ていますよね。上下のレール部分もちゃんとあるし。で、実車は

こうなっているわけです。こんな風に加工しないと、泥よけを外してわざわざ見せるのは恥ずかしい気がします。これは車軸の位置を前後させて履帯の展張度を調整するシステムです。この写真のような感じで、車軸の前方に四角く穴を掘って、それらしい軸を作ってやらなければならないわけです。まあこのままで気にしなければいいのでしょうが…。この実車写真は、いわゆるウォークアラウンドのサイトから引用しました。どこのサイトだったか、メモしてなかった…。

ドラゴンのチャーチル、入荷か?

2011年10月29日 22時15分11秒 | AFV(英・チャーチル)
 いよいよドラゴンの1/72チャーチルMk.IVが入荷しているようですね。
http://www.1999.co.jp/10160645
http://www.1999.co.jp/image/10160645n/40/1
私の行きつけのお店にはまだ到着していないようですが、いずれにせよもうしばらく買いに行けそうにないので、ご対面はちょっと先になりそうです。
 で、実物を手にしていない内は何も言えないのですが、ネットショップの画像から判断できる範囲で、ひと言印象を。
 キャタピラを覆うフェンダーは、左右とも車体上面と一体になっています。エッシー(イタレリ)は胴体上部とは別部品でした。ではフェンダーを外した状態に加工するにはどうでしょう。エッシーの場合、単にフェンダーを取り付けなければすむというほど簡単ではなく、特にスポンソン側をかなりいじらなければならなかった。このドラゴンの場合はどうでしょうか。スポンソン側の縁がどうなっているかによりますが、エッシーよりは簡単な作業でフェンダーを外せるように見えます。
 で、ドラゴンのキットで一番気になるのが、一番先頭の、円弧状になっている泥よけ。これが外した状態に出来るかどうか、ということなんです。
 画像から判断するに、どうも比較的簡単な作業で、泥よけを外した状態に加工できそうですよ。よく見ると、この泥よけは上面のフェンダーにくっついた状態になっていますが、その下になるスポンソン側には一切つながっておらず、従ってこの泥よけをフェンダーから正確に切り離しさえすればよさそうなんですね。エッシーの時は、この泥よけの側面がスポンソン側の誘導輪車軸部分にかぶさったまま一体成形されていました。だから泥よけを外すには車軸周辺を作り直さねばならず、大変面倒なことになったんです。え?私?いや、計画を練っただけで、実行せずにおりました~。このドラゴンのキットでは、誘導輪を支えるブーム部分が完全に泥よけから独立しています。この泥よけは実車では外していることが非常に多いので、ここが加工できるのはありがたい。同様に、駆動輪回りの後方泥よけも、外そうと思えば外せそうですね。
 もう一つ、デカールも気になります。どうも、塗装例は一種類だけのようです。車体番号や部隊マークやニックネームやブリッジサインなど、もっとたくさん入れてくれていればよかったのにな。まあ、それはそれとして、ドラゴン大嫌いよりもチャーチル大好きの方が現在のところ勝っているので、今のところ楽しみにしています。早く現物来ないかな~♪

チャーチルAVRE粗朶束運搬用パーツ

2011年10月04日 11時06分07秒 | AFV(英・チャーチル)
 はや十月になってしまいました。現在もちょっとずつ、これをちょっとずつという模型生活を送っています。またこれは随時報告。で、先日店頭で見つけたので、買ってしまいました。レジキャストのチャーチル戦車用改造パーツ。1/35の、もちろんAFVクラブ用です。例の、巨大な粗朶束を運搬するための台架で、操縦席前に取り付けます。上陸地点に掘ってある対戦車壕に粗朶束を投入して埋め、上を通れるようにする、ホバーツファニーズの一つで、これを装着した時は砲塔を横に向けたままにする、という代物。もちろん粗朶束投下後はこの台架も直ちに取り外して、次の戦闘行動に入ります。
 で、このレジキャストのパーツですが、ご覧の通り各面ごとにパーツが分けられていて、それを箱形に組んでいくようになっています。他にもこの台に粗朶束を乗せてそれを固定するためのシャックル類、投下時に車内から操作して直ちにワイヤーをリリースするためのコネクター、といったパーツも入っています。是非作ってやりたいのですが、いくつか問題も。まず、肝心の巨大な粗朶束を作るのが大変。この粗朶束には、小川などに投下した後、水をせき止めてダムを造ってしまわないよう、水を通すためのパイプが芯として使われています。そしてそのまわりにかなりの数の粗朶が円筒状に束ねられています。写真を見ると、まず比較的小さい直径の粗朶束を何本も作り、それをさらに束ねて大きな粗朶束にしているようです。これを模型としてどう表現するか。その辺から実際に小枝を集めてきて糸で束ねて行かなければなりませんね。
 それから、その粗朶束を台架へ固定するワイヤーの張り方が、説明書だけでは今ひとつよく分からない。他の写真からあらかじめ研究しておかなければなりません。それと、レジンパーツをきちんと直角に接着して台架を作るのもなかなか大変。これはもしかして、このレジンパーツの通りに適当なプレカットプラ板で組み立てる方が、接着が簡単だし頑丈に作れるのかも…。ってことは、大枚(?)はたいて買ったこのキットは、立体設計図ってことですね。それにしても、ホバーツファニーズってのは形としてとても面白い。

超音波カッター活躍中

2011年09月15日 23時46分10秒 | AFV(英・チャーチル)
 たとえドラゴンが1/72でチャーチルを発表したとしても、ミリキャストのチャーチルの価値が些かも減ずるわけではありません。最初期型から最後期型まで、通常戦車型から工兵用特殊車輌まで、その幅広いラインナップはさすがです。で、部品分割が細かい以前のシリーズは現在入手困難で、しかも組み立てに高度の技術を要しますので、もうちょっと上手になってから。最近の、パーツの一体化が進んだバトルフィールドシリーズのチャーチルは、まだしも現実的です。
 とは言うものの、レジンキット特有の難しさは如何ともしがたい。おまけに、ここだけの話ですが、レジンの抜きは今のバトルフィールドシリーズは以前のシリーズより劣るんです。せっかく一体化が進んでいるのですから、気に入らない部分を一旦切断して修正するなんてことをするのももったいない。どこで妥協するかですね。

 さてなぜまた急に在庫のバトルフィールドシリーズのチャーチルを作り始めたのかというと、いや、大して意味はないんです。忙しい時に限って、あー色塗りてえ~とか、ランナーからぶちぶちパーツをカットしてえ~とか、とにかく形にしてかっこよさを味わいてえ~とか、絶版品コレクションを眺めまわしてえ~とか、突発的に衝動に駆られることがありまして。今回は、超音波カッターですぱすぱ切りてえ~、の波が来たんです。
 バトルフィールドシリーズのチャーチルは基本的に足回りは一体成形。キャタピラの接地面にあたる部分にでっかい湯口があって、これをカットしないと全てが始まりません。トップ画像の矢印をつけた湯口をカットして、接地面を平らに整形するんです。接地面のキャタピラのパターン再現は最初からあきらめる、というのがよろしいようで。
 こうした大きい湯口を切除するのはなかなか大変です。ヤスリで削っていては時間がかかるし、削りカスも大量に出る。かといって通常のカッターでレジンをカットするのは、刃がギシギシして非常に面倒。こういう作業には何と言っても超音波カッターですね。豆腐でも切るかのようにすらすら切れます。
 以前もレポートしましたが、超音波カッターは太いパーツをざく切りにするのは不得意。切り進むにつれて刃が食い込んで、切りしろの逃げ場がなくなるので、刃が止まってしまいます。一番いいのは、かんながけの要領で削って行くことです。これで、この太い湯口もキャタピラぎりぎりまで短時間で削ることができます。
 昨日から夜の空き時間に作業して、これだけ湯口をカットしました。

バトルフィールド仕様のチャーチル各型の車体、7輌分です。通常の工具ではこんな短時間ではできませんね。もう、すぱすぱ切れるので大変気持ちがいい。やり過ぎてキャタピラまで削ってしまわないよう注意しなければなりませんが、ヤスリと違ってあくまでカッターですから、手元の状態は見えやすい。ヤスリみたいに削り過ぎちゃったということは起こりにくい。モーターツールと違って、不用意に刃がすべって要らぬところを削るということも起こりません。
 よく見ると、フェンダー・脱出ハッチ・増加装甲板などの違いから、いろんな型が混ざっているのがお分かりでしょう。ここにはMk.ⅠやMk.Ⅱの初期型は含まれていません。って、結構大量に買い込んでいたんだなあ…。で、同じ7輌を並べて横から撮影してみました。

ボクスホールの戦車工場みたい。…かな?

ドラゴンからチャーチルMk.IVが?!

2011年09月06日 08時46分19秒 | AFV(英・チャーチル)
 すでに話題になっているようですが、ドラゴンから1/72でチャーチルMk.4が発売になるようです。狂喜乱舞といきたいところですが、うーん、所詮ドラゴンですからねえ。人の期待を裏切るのが得意なメーカーだから、まあ冷静に待つことにしましょう。と言っても、2箱や3箱は軽く買うと思いますけど。あ、だからって今まで積んでいる、と言うか、複数を順次改造しながら作り進めているイタレリ(旧エッシー)が無駄になるわけではありません。あれはあれで、ドラゴンが出たところで価値がなくなるわけではない。キャタピラについては、DS素材よりは、プラキャタピラの方が絶対良いはずですし。あれ?そういえば、以前の予告ではMk.IIIで、しかもドラゴンアーマーってことになってなかったかな?
 それはそれとして、ドラゴン君は早速箱絵でポカをしてくれたようです。
http://www.1999.co.jp/10160645
この箱絵を見ると、砲塔の下の縁が帯状に厚くなっていて、これはMk.7用の新型砲塔の特徴ですよね。でも、それにしては砲塔上面が溶接になっていません。新型砲塔は鋳造と溶接の併用型で、砲塔の天井が鋳造の車体側面に溶接されるようになっています。しかしこの絵だと砲塔天井も一体の鋳造のように見え、これはMk..4の特徴に合う。車体側面の脱出用ハッチも四角形。ってことは車体もMk.4の仕様。これを要するに、砲塔下縁の帯状のふくらみさえ除けば、その他の特徴はMk.4と考えてよい、ということになります。
 ここを見ると、砲塔のパーツは一応正しくMk.4のものになっているようですね。実際のパーツ写真ではなく、CGではありますが。
http://www.dragon-models.com/html/7424poster.htm
いや、助かった。箱の中のパーツさえ正しければ、まあ箱絵の間違いは大目に見ましょう。またこれによると、車体上面と左右フェンダーとが一体成形になっているようですね。フェンダー外してキャタピラが見える状態にはしにくい。

 どうも、パーツの設計者と箱絵画家と組み立て説明図の編集者との連携がとれていないようですが、これくらいのことならドラゴンならありがちなこと。だって、イタレリのチャーチルだって、箱絵には間違いがありますもんね。ここでイタレリの箱絵について検証。
 トップ画像は、エッシーとイタレリのチャーチルの箱絵を比較してみたものです。左上がエッシーの旧白箱のもの、左下はプラキャタピラになってからの白地箱絵のもの。構図は似ていますが明らかに異なる絵です。旧箱はチュニジアでの塗装、新箱はライトグリーン(ライトブロンズグリーン)の単一塗装。いずれも正しくMk.3の砲塔になっています。それに対して、イタレリ版の箱絵はどうでしょう。砲塔が明らかにMk.7仕様の新型砲塔になっています。しかも主砲にマズルブレーキがない、ってことはMk.7の75ミリ砲ではなく、その前のタイプの6ポンド砲なんですね。実際にこんなことはまずあり得ないと考えられます。
 好意的に考えれば、スポンソンの脱出ハッチが四角い旧車体にMk.7仕様の新砲塔が載っている、というのはアップデート型ですね。Mk.9以降の、新造車輌ではなく、既存の車輌を改造したタイプです。ではイタレリの箱絵のような砲塔、つまりMk.7の砲塔に古い6ポンド砲を載せたタイプは、というと、Mk.9ですね。これは新しい75ミリ砲が間に合わなかったため、砲塔のみ新しくして主砲は古いままにしたもので、主砲も新しくなるとMk.10になります。
 但し、砲塔の交換と並んで、車体側へのアップリケアーマー装着が同時に行われているので、厳密にはイタレリの箱絵のように砲塔のみMk.9で車体は増加装甲無し、ということはほとんど考えられません。そういう個体もあった可能性はゼロではないと思いますが、いずれにせよイタレリの箱絵はその可能性を意識して描いたのではなく、単に間違ったんだと思います。しかし、中のパーツはちゃんとMk.3なので問題はありません。ま、箱絵で楽しむのも一興。

型想いによる複製

2011年01月28日 20時34分12秒 | AFV(英・チャーチル)
 光硬化パテの流動性の話をしたのはなぜかと申しますと、これをやってみようと思ったからなんですね。またまた分かりにくい写真ですが、ワークの「型想い」でチャーチルのキャタピラを複製しようとしているところなんです。エッシーのチャーチルMk.Ⅲ、現在イタレリから出ているやつ。あのキャタピラは、昔のビニル製の頃のも、後のプラ製のものも、なかなか出来がよいと思います。Mk.Ⅲは組み立て説明図の通りに組む限りはキャタピラのスポンソン上側はすっぽりとフェンダーの中に入ってしまい、見えません。だから、ビニル製の時もそこでがっちり焼き止めして止められたんですね。プラ製になってからは、せっかくの連結式プラキャタピラを見えないところにもずっと使うのがもったいないので、見える部分だけ使って、余ったキャタピラは昔のキットに流用、ってことも考えていました。他にも、車体や砲塔にぶら下げて補助装甲とするにも使えますし。
 さらに、ミリキャストのチャーチル各型。レジンの抜きの問題で、どうしてもキャタピラの見える部分が傷んでいることがあります。これを修正するのは大変なんですが、エッシーのものを複製して部分的に継ぎ接ぎにできれば、少なくとも見える部分はしっかり補正できます。このくらいの大きさのパーツだと、1/72と1/76の違いはほとんど問題にはならないようです。
 ということで、そうした使い道を考えると、余ったプラパーツだけだとどうも資源不足。そこで、いくつか複製して使ってみようと考えたんですね。古いエッシーのビニル製キャタピラに、お湯でよく熱した「型想い」を押し当ててみました。結構細かいところまで型取りできるようです。問題はこれに流し込む材料を何にするか。もちろん一番よいのはレジンですが、少量ずつ使おうにも、ご存じの通りレジン樹脂は開封後そんなに保存期間が長くない。このためにわざわざ買ってくるのももったいない。
 そこで、光硬化パテを使ってみることにしたんです。型に流し込むには、やはり流動性が高くなければなりません。粘度の高くなったものはやはり使いにくい。それで前回のようにぽかぽか暖かいところにしばらく置いてみたわけですね。
 そしたら、こんな感じで流し込めました。これはまだ硬化させる前の状態です。表面はあまり盛り上がっておらず、自然に流れてかなり平らになっているのが分かると思います。これに、ライトペンの光を当てるわけです。

ディエップ上陸作戦のチャーチル 渡渉用ダクトの話 その6

2010年07月22日 22時29分33秒 | AFV(英・チャーチル)
 すみません、もう一枚ディエップの写真。『DIEPPE, THROUGH THE LENS OF THE GERMAN WAR PHOTOGRAPHER』(P.27)に載っている、ニックネーム「COMPANY」のMk.1です。同書によるとこの「COMPANY」は、ニックネーム「CHIEF」のMk.1に続いて右旋回しようとして左前方の車輪に被弾、キャタピラを切断され、海岸線の隆起の手前で動けなくなったようです。その後副操縦士が3インチ榴弾砲を発車しようとしますが仰角が足らず、歩兵が遮蔽物に使っている海岸隆起の向こうを射撃することができず、やむなく砲塔の2ポンド砲とBESA機銃を使用しました。さらに敵の迫撃砲弾を何度も受けますが、乗員は負傷することなく最後は捕虜となったようです。
 さて、ここの記述で気になること二つ。車体の3インチ榴弾砲について「after clearing the water proofing around his 3-inch howitzer with a smoke shell,」とあります。ディエップのチャーチルをよく見ると、ハッチや砲口に敗れた防水カバーがまだくっついているのが見えます。砲口に貼り付けた防水シートをわざわざ下車して人が取り外すことはありません。当然初弾で吹き飛ばすようになっていたと思います。ここで榴弾砲手が発煙弾を使ったというのは、初弾に榴弾を使うと防水シートに当たって危険だからでしょうか。いやそんな厚い防水をしていることはないと思われます。たまたま歩兵の援護のためにまず発煙弾を使ったのだと思います。
 もう一つ、「CHIEF」の後ろをついて行こうと右に旋回しようとしたように、ここは読めます。ただし全体が写っている航空写真を見ると、「CHIEF」はこの「COMPANY」から見てかなり離れた右後ろにいるんです。なぜそのような位置関係で擱坐したのかはよく分かりません。ただし他のページの記述からして、この「CHIEF」は早い段階で上陸した後、視界確保のためかなり海岸を動いているようなんですね。また「CHIEF」の後を「COMPANY」が追おうとしたのは、おそらく「CHIEF」がカーペット敷設装置を装備した車輌だったからだと思われます。
 さてここで話題になっている渡渉用ダクトですが、左舷側のダクトはまだついたままです。写真手前に一つダクトが転がっていますが、これがこの車輌の物かどうか分かりません。この車輌のものだとすると右舷側のものはずですが、それがこちら側に落ちているのは、もしかしたらこの車輌が旋回しようとしていたから、もしくは片側の履帯を破壊されて車体の向きが変わったからか。まだ装着したままの左舷側ダクトにも被弾した跡が見えます。これはおそらく本文にある迫撃砲弾によるものかもしれません。

ディエップ上陸作戦のチャーチル 渡渉用ダクトの話 その5

2010年07月14日 23時23分06秒 | AFV(英・チャーチル)
 この話、もうちょっと続きます。この写真はディエップのチャーチルのものとしてはよく引用される写真ですが、車体の側に戦死した兵士が写っているため、その悲惨さに胸が痛みます。
 車体砲塔が写っているのでMk.1だと分かります。エアインテークカバーに書いてあるニックネームは「BURNS」となっています。『DIEPPE, THROUGH THE LENS OF THE GERMAN WAR PHOTOGRAPHER』(P.27)によると、上陸後三分ほどで最初の鉄条網を超えようとしたとき被弾、窪みにのめり込む形で擱坐したので武装も役に立たず、乗員は脱出、内一名が負傷、一名が戦死したとのことです。ただしその戦死した乗員(副操縦士、つまり榴弾砲砲手か?)は「killed later in the morning」と書いてあるので、この写真に写っているのはその副操縦士とは別人かもしれません。
 この写真もよく見るといろいろなことが分かってきます。装着しているのは重量型の履帯です。ここで話題にしている吸気ダクトも写っています。写真手前、車体の右に一つ落ちています。そして車体のすぐ後ろには後部ダクトも見えています。竹槍型延長排気管は右側のものが取れてしまっています。各砲には防水用のカバーがまだ見えています。初段発射時に安全に破れてしまうようなタイプだと思われます。手前のダクトの側には無線機らしき物が転がっていますが、これは車内から持ち出した物なのか、歩兵が携行していた物なのかはわかりません。左後部フェンダーには予備履帯を載せているようです。

ディエップ上陸作戦のチャーチル 渡渉用ダクトの話 その4

2010年07月11日 23時59分46秒 | AFV(英・チャーチル)
 『DIEPPE, THROUGH THE LENS OF THE GERMAN WAR PHOTOGRAPHER』に、さらにこんな写真が載っていました(該書P.18)。Mk.3の「ボビン」装着車輌です。ご覧の通りこの車輌のダクトは、少なくとも左舷と後方のものが残っています。おそらく右側も付いているのではないか。そうすると、通常は上陸と同時に投棄するダクトを、場合によっては装着したまま前進した車輌があるということになります。
 これはニックネーム「COUGAR」の車輌だと思います(C SquadronだからCで始まる)。この写真でも分かりますが、「COUGAR」は上陸後、護岸を超えて海岸の道にまで達することに成功した数少ないチャーチルの一輌です。ここまで到達できたのは、まさにボビンから敷かれたカーペットのお陰だと考えられるのですが(他の車輌は玉砂利にスリップして進めなかった)、しかしそのカーペット敷設に集中するため、あるいは敷設の邪魔にならないように、ダクトの投棄は後回しにされたのかもしれません。左右はよいとして、後部のダクトを投棄してしまうと、せっかくのカーペットの上に被さって邪魔になるかもしれませんから。
 さてこの本によると、「COUGAR」はここまで来てドイツの75ミリ砲弾を砲塔リングに被弾。僚車のMk.3「CAT」がこの75ミリ砲を沈黙させた後、そのまま自分の6ポンド砲でタバコ工場に向けて攻撃を続行。左の履帯を破損し、次いで右の履帯にも被弾して、乗員は脱出し、海岸まで退却。脱出時に乗員は車輌を自爆させたようです。
 このボビン、左右二本をキャタピラで踏みながら敷設するタイプだと思われます。ここに見えている心棒の左右に本来はアームがあって、車体側面に装着されているんですが、被弾の衝撃のためか既に取れてしまっています。それにしても、華奢な作りのボビンですね。ノルマンディーで使われたホバーツファニーズの工兵車輌の、本格的なカーペットレイヤーとは比較になりません。もちろんそのカーペットレイヤーの開発にもこのときの戦訓が活かされています。
 このボビンの改造パーツは「マタドール」から出ていて、以前レポートしたことがあります。え? すみません。まだ作っていません…。
http://blog.goo.ne.jp/m4-mee/e/70903098e2ebece95ff3cd52dc1922b4