みに・ミーの【みにスケール模型日記】

ミニスケールAFVを中心とした模型日記です。

フジミのティーガー、左側面の履帯交換用ワイヤーの取り付け

2010年02月27日 00時56分05秒 | AFV(独)
 フジミのティーガーI、車体左舷側面のワイヤー交換用ワイヤーを取り付けました。フジミのこの部分は、非常に細いワイヤーがあらかじめ彫刻されていて、まことに惜しいのですが、ツィメリットコーティングの作業のために削り取ってしまったんです。するとコーティングの後でワイヤーをどう再現するかが課題だったわけですね。
 材料は何を使おうか、いろいろ考えたんですよ。細さと曲げ加工のしやすさから言えばやはり真鍮線でしょうが、ミニスケールの場合1/35と比べて格段に車体への接着が難しいんですよ。他に、ミシン糸に木工ボンドを水で溶いたものをしみこませ、乾燥させた擬似ワイヤーも試してみましたが、以外と狙った形にまとまってくれない。接着のしやすさという点から言えば何と言ってもプラ棒ですが、タミヤのプラ丸棒は直径1ミリまでしかありませんよね? これでは太すぎ。エバーグリーンのロッドも、一番細いやつは0.5ミリ。これも太すぎで、車体上面の牽引用ワイヤーみたいになってしまいますし、それに二重三重に曲げて這わせたら車体側面からはみ出してしまいます。
 で、結局行き着いたのが、プラストラクトのプラ棒。これには0.4ミリと0.3ミリという極細のものがあるんです。これなら何とかなりそうです。但し、あくまでプラ棒ですから、あまり強く曲げるとポキリと折れてしまいます。接着はまあいいとして、問題は曲げ加工。
 そこで登場するのが、またぞろヒートペン。細いプラ棒を曲げるときにも使えるんです。もちろんこんな細いものは、いくら温度を最低にセットしても、直接当てるととろけてしまいます。
 まずエッチングパーツのための曲げ工具、ミッションモデルズのクラブハンドラーとかマルチツールとかエッチメートなどを駆使して、あらかじめ丸棒を曲げたい位置で曲げ加工しておきます。ただし金属線と違って、プラ棒は曲げグセがつくだけで弾性で元にもどろうとします。そこでヒートペンのロッドの丸いところに近づけてやや熱しながら、あらかじめ曲げた部分が曲がったままになるように調整します。
 次に、瞬間接着剤さえ剥がれるというコーティングシート(名前忘れました)の上で、ピンセットとプラ用接着剤を使いながら、意図した形にワイヤーを固定して行きます。こうすれば、ワイヤーが平面上でクネクネ曲がった状態になるわけです。形が整ったらシートからパリパリと剥がして、車体へ接着。さらに、ワイヤーの留め具をプラ板でそれらしく作ったらOK。ワイヤー両端の輪っかの部分は、別にコーティングシートの上で加工して後付けしてあります。ワイヤーと輪っかの接続部は後でパテをちょこっと盛るつもり。
 注意すべきことは、このプラ棒は接着剤が付着すると材質が劣化するのか、曲がっていた部分がポキリと折れることです。だから大まかに形を作る際には接着剤を使わず、工具とヒートペンを使うのがよいようです。その後でシートの上に押しつけて平面を保ちつつ、接着剤を塗り、ピンセットで形を整えます。
 いや~、結構うまくいきました。もう一回やればもっと上手にできるぞ、たぶん。これならレベルのティーガーIを作る際にも、キットのワイヤーパーツを使うよりきれいにいきそうです。プラ棒を使うと、金属線の撚(よ)りがないのでワイヤーらしくないのかもしれませんが、まあ細いんだから仕方ないと思いましょう。

 昨日のブログを見た友人から、ミニスケールのティーガーIの序列がトラペ<フジミ<レベルなのはよく分かるが、ではドラゴンはどこに入るのかと尋ねられました。あら?ドラゴンは最初から眼中になかった…。ドラゴンのティーガーI中期型・後期型はツィメリットがあらかじめ施されているキットですから、ツィメリットを自分でやるという話なら、対象外ですね。それに、最近の極初期型はまあ別にして、中期型も後期型も問題なしとは言えないし…。防盾とか予備履帯とかワイヤーとか…。そう言えば、フェールマン戦隊のティーガーが出たってことは、その内初期型も出るんだろうと思ってたのですが、音沙汰ありませんねえ。

さらにフジミのティーガーでツィメリット練習

2010年02月26日 06時08分02秒 | AFV(独)
 トラペのティーガーIで少し自信がついてきたので、今度はフジミのティーガーIにヒートペンでツィメリットコーティングを施してみました。フジミのティーガーも割と好きなキットです。砲塔上面装甲板の折れ曲がり部分が筋彫りになっているのはやや気に入りませんが、それ以外は非常によい。キャタピラは説明図どおりにやると上面の垂れ下がりがガクンと急に曲がる感じになるので、手でしごいてゆったりと垂れ下がるようにしてあります。まあ私にとってのティーガーは、トラペ<フジミ<レベルというランク付けなので、トラペは使い捨て練習用、フジミはリハーサル、レベルは本番なんですね。

 さて、問題のヒートペンによるツィメリットですが、こちらが慣れてきたのもあると思いますが、トラペよりもやりやすい感じがしました。たぶんプラスチックの材質も原因でしょう。トラペのは柔らかくて熱で溶けやすく、溝がきれいに刻みにくい、それに対してフジミはプラの材質が適度に堅い、という感じがします。でも、それより重要なのは、ヒートペンのビット先端の温度管理だと思います。
 トラペであれこれ試している時に、ある時は浅からず深からずきれいに溝が刻めるのに、その後は急に刻みにくくなると感じました。同じようにビットをプラに当てても、うまく溝にならないんです。もしかしてこれ、ビット先端の温度が上がりすぎるからなのかもしれません。ヒートペンには温度調節のつまみがあって、ツィメリットの作業の際には最低温度の160度に設定するように指示されています。しかし、常にビット先端の温度を計測しつつその値をフィードバックして温度調節しているわけではありません。作業を続けているとどうしても先端の温度が高めになる、そうなるとプラが溶けすぎるのかもしれません。
 先日紹介したように、説明書にはビットに息を吹きかけて温度を下げる、という方法が書いてあります。しかしちょっと思いついて、ティッシュペーパーに水をたっぷり染みこませて小皿に置き、それで温度調整をしてみました。作業をしていて、溝が刻みにくくなったなと感じたら、ビット先端をその濡れティッシュにジュッと押し当てて先端温度を下げるんです。そしたらまたうまく溝が刻めるようになるんですよ。160度前後といっても、濡れティッシュに押し当てるとけっこうジュッと音がして湯気が出ますね。まあビットは真鍮製ですから、この程度のジュッで痛んだりはしないと思います。
 それで、溝を一列刻むごとにジュッとやって温度を下げ、具合を見ながら次の列に進みます。私は右利きなので左の列から順に右へ行く。すると、前の列と新しい列との境界線も離れず繋がらず、適度な分かれ目に見えるようになります。問題の溝の縦方向の連続性ですが、溝のピッチが合うように慎重にビットを当てていけば、まあまあ連続して見えるものです。一応、ワッフルパターン風には見えませんよね。ねっ?
 それから、失敗した場合のやり直しもある程度出来ることが分かってきました。やはり縦方向のピッチが合わなかったり、溝が斜めになったり、間隔がが空きすぎたり、うまく溝が出来なかったりということは生じます。その時、ビット先端をゆっくり濡れティッシュに当てて、やや温度を低めにしておいてから、溝が不揃いになった場所のプラ表面に、あまり押しつけずに軽く当てると(当てる時間はやや長め)、結構きれいな溝が再生されるんですよ。
 前回のトラペに比べて今度のフジミは、結構きれいに出来たんですが、そう見えますか? さて、残る課題は、車体左側面の履帯交換用の長いケーブルをどう再現するか(ツィメリットのために削り落としてしまってます)、それから、ツィメリットコーティングが所々剥がれ落ちた感じにするにはどうするか、ですね。

トラペのティーガーでツィメリット練習

2010年02月24日 00時21分40秒 | 工具・材料
 ヒートペンを使って、トランペッターのティーガーIにツィメリットコーティングを施してみました! そんなに時間はかけずに、この程度にはできるんですね。ますますヒートペンに惚れ込みました。
 トランペッターのミニスケールものには問題のあるキットが多いのですが、ティーガーもその例外ではありません。全体的な形状の狂いはそれほど無いように見えますが、細かい疑問点は山盛り。それほどティーガーに詳しくない私でも気づくことばかり。これを修正し始めるときりがないし、精神衛生上悪い。他に無いならまだしも、ティーガーなら他社製品があるし…。試しに買ってみた後期型ティーガーIですが、まあもう適当に作るか部品取りしかないなと、ほったらかしでした。
 でも、部品取り用と言うほど最近のトラペは安くない。初期型は、まだしもファイフェルフィルターがレベルと違う形のものが入っているので、これをレベルに流用するつもりです。操縦席前方のショベルもレベルには入っていないのでありがたい。ただし、形状に難有り。ついでにこのショベルは後期型にも入っています…。
 で、ティーガーIの後期型ですが、ひょいと思いついて、ツィメリットコーティングの練習に使ってみたわけです。射爆演習場の標的にするよりは、浮かばれるというものでしょう。
 砲塔に鉛筆で書いた縦線がうっすら見えますが、これはフリーハンドでコーティングを打っているとどうしてもだんだん斜めになってしまうので、まっすぐ打つための目安として砲塔リングに対して直角方向に、鉛筆で何本か線を引いていたものです。以前紹介しましたが、ヒートペンのツィメリット用ビットは、刻み四つ分が一つのヘッドになっているので、ローラーと違ってねじれやすいんですね。
 さて練習用ですから、温度を変えたり、押しつける力を変えたり、押しつけ方を変えたりと、いろいろ試してみました。拡大するとそれこそあらが目立つので、これ以上近づいて撮影できませんが、かなりガタガタですね。いろいろ原因はあるのですが、やはりヒートペンのビットは刻み四つ分ずつのヘッドを続けてスタンプする形なので、コーティングの刻みがなかなか連続しないのです。ヘタをするとワッフルパターンのようになっちゃう。
 もう一つ、トラペのプラの材質も関係あるように思いました。柔らかい材質なのか、ヒートペンの温度を最低の160度にセットしても、やや溶けすぎて深くえぐれたりします。またビットを離した瞬間にとろりと溝が埋まってしまう(ハイジのチーズパンみたいに)のも、熱で溶けすぎるからなのでしょう。しかしところどころはうまくいったので、そのうまくいったときの条件をよく考えて、その条件を再現しつつ意図した表現ができるよう、もっと練習してみたいと思います。部品取り用の初期型をもう一つつぶしてもかまいません。初期型にはツィメリットは塗布されていないって? いいんですよ、どうせ練習用ですから

 ところで、なぜ主砲だけパーツの成形色が違うのかとご不審の向きもおありでしょうが、実は主砲だけレベルのキットとトレードしたんです。レベルのティーガーは、砲塔左右非対称が表現されていないとか、OVMの配置に間違いがあるとか、いろいろ指摘されていますが、まあ1/72のティーガーのベストキットであることに間違いはないと思います。ただし、主砲はどうもいただけない。マズルブレーキの形が変だし、砲身長も足りない気がします。もちろんトラペの主砲も決してよくはないのですが、ちょっと切り貼りすればレベルよりはマシになりそうなんですね。そこで、トラペの主砲をレベルに持っていって、レベルの主砲をこちらの訓練用車体に持ってきた、というわけです。

ミラージュのM3グラントのリベットを再修正

2010年02月22日 06時10分54秒 | AFV(英)
 先日書いたように、ミラージュのグラントのリベットが一部、型抜きの関係でつぶれていたので、ヒートペンのリベット用ビットで修正してみました。でも、並び方が不揃いになっていたんですよね。原因は、元々のリベットを削った時、その位置が分かる程度に跡を残して削っておいて、その跡をたよりにリベットを打ったため。この方法だと、リベット同士の間隔はいいんですが、うっかりすると直線に並んでくれない。
 どうも気に入らないので、練習のためやり直してみました。ヒートペンによって付けられたリベットは、熱で溶けてくっついただけですから、簡単にきれいに削り落とすことができます。その際に、やはり完全に平らにせずに、位置が分かる程度に跡を残し、今度はシャープペンシルで直線を下書きしておきました。後はフリーハンドでリベット打ち。
 もっと正確にやるには、メーカーのブレインファクトリーから出ている「リベット定規」を使わなければなりません。手許にはハセガワのリベットゲージしかなかったのですが、これは飛行機用なので、どうもミニスケールの戦車には間隔が合わないみたい。でもまあ、そこまでやらなくとも、この程度にはできるってことでお許しを。
 写真を見ると、ところどころリベットの頭がつぶれているように見えますが、これはヒートペンのビットがプラを掻き取る際に出来る、バリと言うか、はみ出しと言うか、糸引きと言うか、そのカスがリベットにくっついているためです。特にリベットや車体側にべったりくっついているわけではありませんので、デザインナイフの先で簡単に除去できます。また、リベットをなじませるためにラッカーシンナーを一塗りするならば、このカスも溶けちゃうかも。

ヒートペン用沈頭リベットビット

2010年02月20日 21時01分03秒 | 工具・材料
 ヒートペンは、不要ランナーに練習(遊び)でいろいろ試しているだけでも楽しいので、いろいろやってみました。今度は「沈頭リベット」作成用のビットです。0.5ミリのものを適当に押しつけてみました。こんな感じになります。これに0.4ミリのものも合わせて使って、飛行機の全面にリベットを打ちまくったらどんな感じになるんでしょう。
 マクロレンズで拡大撮影すると、ビットを押しつけた際にできるリベット周辺の溝やその外の盛り上がりが目立ちますが、肉眼で見るとそんなに目立ちません。もうちょっと軽く押しつけるとか、温度をもう少し低く調整するとかすれば、もっと繊細に表現でいるかもしれないのですが。まあこの「沈頭リベット」の説明書には、ヒートペンの温度を160℃(最低)に設定するとしか書いてありませんから、それほど細かい調整は要らないのかもしれません。しかし他のビットの説明書には、温度調整についてさらに触れているものがあります。
 先日採り上げた「マイナスねじ頭」ビットでは、その温度調整について次のように書いてあります。
「通常の成形キットのプラスチックの場合、ヒートペンの最低温度よりも少し低めの温度が最適です。温度を下げるには、ヒートペンの先端部に向けて1~10回程度大きく息を吹きかけます。この作業を2分間隔くらいで続けて下さい。」
ヒートペンの目盛りは160℃から始まっていますが、それよりやや低い方がよい場合があるんですね。沈頭リベットについても、こうした温度調整をしながら再度試してみたいと思います。でも実は、他にもあれこれ試している内に、私は細かい温度調整が意外に重要な場面に出くわすことになるのですが、それはまた後の話…。

スケールアヴィエーションのソ連機特集 その2

2010年02月19日 00時04分00秒 | 書籍
(前回の続き)それから、この機関砲の「極端に大きな発射衝撃を機体隔壁や肋骨材らに殆ど介することなく機体外板に数十本の螺子だけで固定するのは……大丈夫なのだろうか」と心配しておられます。いや、外板へのビス留めだけで機関砲を固定しているということは常識的にないと思いますよ。機関砲を装着後、パネルを閉めてビスで留めるのは当然のこと。だからって、その外板のビスだけが機関砲を固定していることにはならないと思います。むしろ、こういう装着方法で機関砲が発射できるということは、内部のどこかで機体の構造材にしっかり固定されていると考えるべきでしょう。
 また、「機関砲弾を給弾する度に上図のように完全に分離するのだ。給弾後、胴体に取り付ける度に取り付け角などは狂わなかったのだろうか」とも述べておられます。取り付け角については、上で述べたように機関砲が機体の構造材にしっかり固定されるようになっていれば、毎回射軸が大幅に狂うということはないのでしょう。もちろん、MiG-15の射撃照準システムがライバルのF-86のそれに大幅に劣るものであったことは確かです。しかしだからと言って、F-86にとって、MiG-15は決してチョロい相手ではなかったことも事実で、MiG-15の射軸が給弾の度に毎回狂ってくるほどいい加減なものだったとも思えません。
 もう一つ問題なのは、MiG-15の機関砲の給弾は、機関砲パックをを一々降ろさないと行えないものだったのか、とういことです。著者はイラストのキャプションに、「左右の外版は中央と蝶番で連結され、図のように機体から下げ降ろさなくとも左右のみの開閉が可能だ。小整備などには便利な構造となっている」と述べておられます。そうすると、ここから「小整備」だけではなく、砲弾の給弾も可能なのかもしれません。機体に装着した状態でも開閉できるこのドアについては、当ブログでも以前触れました。
 さてこれについては、Squadron / Signal社の『Walk Around Mig-15 Fagot』にこんな写真が載っていました。このように、機関砲パックを完全に地面まで降ろさなくても、左右のパネルを下方向に開いた状態で給弾が可能だったことが分かるのです。但し注意すべきは、単にパネルを開くだけではなく、機関砲自体もやや降ろされているという点です。機関砲機関部の上に砲弾マガジンがあるのですが、整備兵の手はそのマガジンの上に伸びています。やはりパネルを開くだけではここに手が届きません。左右パネルを開いた上で、機関砲をやや降ろして給弾する、という方法もとられたようですね。

 この「アナタノ知ラナイ兵器」ですが、確かに目の付け所はよい。こうした疑問点に気づくこと自体、相当飛行機に詳しい人ならばこそです。特に、MiG-15の機関砲は収納した時どのように固定したか、なんてこと私はいままで気づきもしなかったんですよ。しかし残念なのは、その疑問が疑問だけで終わっている点です。よくって、推測が加えられているだけ。
 機関砲の固定については、確かに著者のおっしゃるとおりで、降ろされた機関砲パックのどこを見ても、機体構造物にがっちり固定されるような部分が見あたらないんです(だからって外板にビスで固定されているとは思いませんが…)。上の面には機関砲弾のマガジンがあり、機関砲ベイの天井にがっちり固定される部品はなさそうです。蝶番で開く左右パネルに挟まれた中央部パネルは、機関砲の機関部を乗せるパレットになっているそうです。いろんな資料を見ると、そのパレットには補強の桁も通っているらしい。ということは、この中央部のパレットが機体外殻の構造物にがっちりとはまるようになっているのではないかと思われます。
 もちろん筆者は、「筆者がみたまま感じたままを述べるいつものだ」と断っておられる。だからって私は、筆者が感じたままを書いただけの文章を金を払ってまで読みたくないんです。やはり、プロでなければ知らないこと、プロが調べたからこそ判明したこと、それを読みたくて模型の資料を買うんですね。このMiG-15の記事を読む限り、疑問点は確かに面白いのですが、その疑問点が疑問のまま残されています。文体については好みの問題ですが、思いつくままの疑問で終わっているのは残念です。私のような素人が調べて分かる程度のことは、せめてちゃんと書いておいてほしい。今後も興味のある特集があれば『スケアビ』は買います。せっかく買ったなら「アナタノ知ラナイ兵器」の連載記事も読みます。しかし「アナタノ知ラナイ兵器」の単行本はと言うと、今のところ買うつもりはありませんね。

スケールアヴィエーションのソ連機特集 その1

2010年02月18日 06時36分25秒 | 書籍
 『スケールアヴィエーション』誌の3月号が「冷戦時代のソ連軍機」なので、買ってみました。私は『スケアビ』と『アーモデ』、特集に興味を感じた方どちらかを買っているのですが、最近はずっと『アーモデ』ばかりだったな。でもソ連機特集ですから、今回は買い。
 表紙はいきなりAモデルのTu-128フィドラー。めちゃかっこいい! 中の記事も、あの作りにくいキットをよくぞここまで!という作例ばかりです。コンドルのMiG-25、KPのSu-7フィッター、そして何よりVESのSu-15フラゴン! いずれも、フォルムはとてもよいのに作るのが大変、というキットで、ではそのよいフォルムを出した作例はというと、なかなかお目にかかれないのです。今月号はお買い得でした。
 また、鹿目晃一郎氏の「Take it easy Modelling!!」も、あのキットこのキット、よくぞみんな作って下さったと、大感激。La-176も、Be-61も、Yak-28Pも、途中まで作って何度も中断したキットなので、作る人が作ればこうなるんだ、しかもそれが「Take it easy」だとは、もう感動ものです。
 私が気づいた細かいことを敢えて述べますと、P.47のMiG-9ファーゴ、タイトルには「スカラベ1/72」とあるのに本文は「Aモデル」となっています。作例はどちらでしょうか。ちなみにAモデルからは異なる時期にMiG-9のキットが二種類出ていまして、もちろん出来のよいのは後から出た方。それから同じページのYak-21。本文には「キットの風防は滑らかなラインの物ですが、よく見る実記写真ではゴツゴツした感じの風防が付いています」と書いてあります。しかし著者のおっしゃるゴツゴツした風防はYak-17UTIのことではないかと思います。極々簡単に言うと、Yak-21はYak-15の複座練習型。Yak-17の複座練習型がYak-17UTI。両者はやや異なる機体です。Yak-15は尾輪式。だからこのYak-21も尾輪式。Yak-17は首輪式。だからYak-17UTIも首輪式。よって簡単に区別できます。Yak-15はすぐにYak-17に置き換えられますので、それに伴ってYak-21も少数生産に終わっています。一方Yak-17UTIはかなりたくさん生産されています。この記事ではYak-21とYak-17UTIとがやや混同されている感じがします。

 もう一つ、こがしゅうと氏の連載記事「イラストで見る末期的兵器総覧 アナタノ知ラナイ兵器」では「MiG-15」が採り上げられています。おっ、MiG-15の記事となると見過ごせません。早速読んでみると…
 なんだかすかした、キザな文章ですね。「シクミだ」とか「テッキリ」とか「ヤタラと」とか「するツモリ」とか、所々カタカナになっている。それに「MiG-十五bis」などと数字だけ漢数字になっている。だったら「B-17」は「B一七」じゃなくて「B十七」と書かなければいけないんでは? 「VK-1」エンジンを「VK-一」ってのも、かなり苦しい。
 それはそれとして、やや問題なのは「ウェポンシステム」の項目。本ブログでも何度も採り上げたように、MiG-15の機関砲はパック式になっていて、機体からワイヤーで吊り降ろして整備することができます。これについて著者は「推測で申し訳ない限りだが」と断りつつ、この機関砲を吊り下げている四本のワイヤーは「絡車」(リール)で巻き上げるようになっているのかと疑問を呈しておられます。そして「仮にそうでないとしたら大事だ。ヤタラと思いこの部位を屈強なオトコ達が担ぎ上げるサマは……何とも無骨で、」と述べておられます。
 いや、そんなことはありません。機体側に装着したクランクハンドルでワイヤーを巻いて機関砲を昇降させている写真はいろんな本に載っていますし、また北朝鮮の亡命機の機関砲をクランクハンドルを回して降ろしている映像は、Youtubeでも見ることができます。
 またこの機関砲の設置方法について、「機関砲に不具合が生じた場合」、もしくは「極端な場合あらかじめ給弾が完了したこの部位を用意して」そっくり交換することができる、「整備や保守点検・給弾等において非常にすばらしいアイデアに思える」と述べておられます。機関砲が故障した場合の交換は確かに容易でしょう。しかし、給弾をすませておいた機関砲をそっくりそのまま交換する、という整備方法が実際に採られたのかどうか、分かりません。この機関砲パックを機体から降ろすには、まず機関砲の砲口カバーを三つ取り外し、それからパックの固定を解除し、クランクハンドルを装着して降ろし…、という手順になります。その過程で外さなければならないビスの数はかなりのもの。もしも、機体に機関砲を装着したままアクセスパネルを開けて給弾するという普通の方法が採れるなら、そちらの方がよほど手早いということになりそうなのですが、その点はもっと調べないと何とも言えません。(続く)

ヒートペン用マイナスねじ頭ビット

2010年02月16日 23時28分22秒 | 工具・材料
 ブレインファクトリーのヒートペン用別売りビットの一つに、マイナスねじ頭を再現できるものがあります。どんな感じか、ランナーの余りで試してみました。いや、本当にマイナスねじの頭が再現できるんですね。これは0.75ミリのものです。
 使い方はいたって簡単。使用方法はここに載っていまして、それによると、一度押しつけてねじ頭を作っておいて、平面から盛り上がった部分を削り、もう一度押しつけて完成、ということです。もちろんここにも書いてあるように、表現の意図次第では、一回で止めてもよいわけです。
 写真向かって右側は一回押しつけたもの。左側は平らに削った後二回目に押しつけたもの。写真ではあまり代わり映えはしませんかね。でもこれ、マイナスねじですから、一回目と二回目とでねじ頭の向きがずれるとおかしなことになるはずですよね。使用方法にもあるように、ねじ頭の方向を示すマークがありますから、それで向きをそろえるわけです。しかしこの写真の場合、私はあまりマークを気にせずに、だいたいの向きを合わせるつもりでやってみました。それでもこの程度にはできます。ほんと、このヒートペンというのは使いやすく、いろんな可能性を秘めた工具ですねえ。

ミラージュのM3グラントのリベットをヒートペンで修正する

2010年02月14日 19時32分05秒 | AFV(英)
 いや、ヒートペンでリベットを付けていたら楽しくなってきました。今日はミラージュのグラントのリベットです。ミラージュのM3リー/グラントはとてもよいキットですが、車体の装甲板各面が箱組み風になっていて、前面装甲板が傾斜しているだけに慎重にすり合わせをしなければなりません。その上、側面装甲板はパーツ一枚なので型抜きの問題はないのですが、前面の傾斜装甲板は金型が斜めに抜かれるので、一部リベットが崩れているんです。今までは、ハセガワのリー/グラントやスチュアートから削って来たりしていたのですが、今度はヒートペンという強い味方があります。
 38(t)は何もないところにリベットを打つようになっていましたが、今度のリー/グラントは元々崩れたリベットがくっついています。そこで、デザインナイフで不良リベットを削る際、完全に平らにせずに、元のリベットの位置が分かる程度に跡を残しておいて、それを目印にヒートペンでリベットを付けました。しかし結果は結構列が乱れてしまいました。リベットの間隔は削り跡を目安にするとして、せめてシャープペンシルかなにかで直線を引いておくべきでした。
 でもその気になれば、失敗したリベットはデザインナイフできれいに削れますので、再度リベットを打ち直すのもそれほど大変ではありません。その意味でも、ヒートペンによるリベット打ちってのは便利ですね。

UMの38(t)にヒートペンでリベットをつける

2010年02月13日 23時58分15秒 | AFV(独)
 塗装直前の車輌が、戦車の製造工程よろしくずらりと並んでいるのですが、なかなか塗装に入る時間がありません。急に、途中で放り出していたユニモデル(UM)の38(t)の続きを始める気になりました。これ、リベットを自分で追加せよ、というすげえことが書いてあるキットなんですよ。
 38(t)は、やはり我々の世代にとっては「プラガ」戦車ですよね。ドイツ戦車の中でもなかなか好きな方なのですが、知識の方はあまりありません。ミニスケールでは結構あちこちからキットが出ていますが、なまじあるためにこれが遍歴の原因に…。アタックの初期のキットで38(t)の各型がどんどん出て、後には自走砲タイプや偵察戦車やヘッツァーなどもどんどん出て、でもこれがなかなかの難物で、装甲板の角度が合わないなどとごちゃごちゃやっていたところ、UMから新しいキットが出ちゃった。同じ時間をかけるならUMだと、こちらをいじっていたところ、何と、リベットを自分で移植して接着せよと書いてあります。そんなご無体な…。まあ知らなかったことにしようかと思っていたところ、今度はミニスケールデポット(トライスター)からレジンキット各型が出ちゃった。超絶ディテール! やっぱ作るならこっちだよな。ところがその後、実はオーバースケールだという話も聞き、まあミニスケールだから少々のことは気にしない、と思っている内に、結局どれも放置状態に。軽戦車の神様ごめんなさい。
 さてこのUMのキット、38(t)Ausf.Cは、エンジンルーム左右と砲塔砲耳部左右に、リベットを追加するようになっているんです。砲塔については、たぶん装甲板の厚さが変わって組み方が変わったからだと思いますが、後期のD/F/G型は前期のA/B/C型よりもリベットの数が少なくなっています。キットのパーツは少ない方なので、このC型にはリベットを追加しなければなりません。
 またエンジンルームについては、やはり後期には無いリベットが、前期のタイプにはついています。キットではこのリベットはすべて省略されていますが、これは型抜きの関係で仕方がないことでしょう。しかし写真を見ても、この位置のリベットはけっこう目立つようです。いくらミニスケールとは言っても再現してやりたいところ。
 UMのキットには別にリベットが並んでいる板状パーツが入っていて、そこからナイフでリベットを削ってきて指定した場所に接着せよ、と指示されているんです。その数が半端ではなくて、合計50個。おまけに、何しろミニスケールのリベットですよ、小さいのなんの。めんどくせえ、ってことで、そのままになっていました。
 ところが先日も書いたように、このたびヒートペンと専用ビットという強い味方を導入いたしました。これ、試してみよう。ってことでやってみました。丸頭リベットビットです。0.4ミリを使ってみましたが、もうちょっと小さい径でもよかったかも。作業しやすいように、異なる成形色のプラでリベットを作っています。よく見ると直線に並んでいませんが、まあほぼフリーハンドでこれくらいできれば御の字でしょう。砲塔のリベットは、実は数を間違えたのですが、まあ黙っていれば分かるまい…。いや、慣れたらほんとに手軽にリベット植え付けができます。50個に達するリベットも一時間足らずで付け終わりました。