第44話 ノラんず・バーに出てきた仔猫達

「全部でどうやら、9匹ね、仔猫達―。」
そう言ったのはお母さん。ノラんず・バー(ベランダ)の窓のレースのカーテンの中から見ている。お母さんは、とっても内気である。そして、変わっている。まあ、それはそれとして、この野良仔猫達はどうなるのであろうか…。こっちが商店、いいえ、 焦点である。(笑)

　ノラは、ノラんず・バーでいつものように見ているから、知っている、何もかも…。
5匹は三毛ちゃんの仔。残り3匹は茶トラの仔。合計=9匹の父親猫は、満ちゃんである。満ちゃんは去勢していないので、どんどん子供を作る。それが出来ないノラはちょっと鬱になることもあった―。

　一方、ボクは、猫アレルギーで皮膚がぼろぼろになっていた―。その姿では外にも出られなくなっていた―。しかたなく、再入院する運びとなった。一家は、ノラを手放せなくて、ボクを強制的に入院させたのだ。ひどいものだ―。ボクは精神的にもぼろぼろになった―。それもあるのか―?

　そして、仔猫達は巣立ちの時期を迎える―。
ベランダの段ボールというホテル?民宿から、独り立ちするのだ。とっても人間にも動物にも大事な階段だ―。人間は、脳が成長する一方、独り立ちは遅いみたい―。

　そんなある日―、
「あぁ!仔猫がたくさんいる!」
遂に見つかってしまった。でも安心して欲しい。大家ではない、逆にうちのノラでもない―。野良仔猫9匹だ―。

　6年前の、あのときの智子と同じ年頃の小学生3人トリオである。女の子だ―。集まってきて、ベランダの中を覗いている。巣立ちしたので段ボールから出てきてしまっている。見つけられてしまった―。ノラは冷めた目で眺めていた―。

　噂は光の速さの様に速く、小学生の間で広がってしまった―。
　ただ、見逃すはずがなかった。―それは、うちのアパートの大家である―。

自動車で駐車場を走る際に、うちのベランダをそっと覗いて通る―。ノラは眩しかった―。大家の目は邪悪な輝きの目を放っていた―。
ノラもそう言っていられない。部屋の中で穏やかに見ているノラにも影響はあるの―。