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絵本の話を中心に、好きなもの、想うことなど。

しんた・ぴんく と名づけたい

2005-10-11 11:05:01 | 好きな絵本
 毎月購入している「おおきなポケット」を買いに行った際、珍しく、
他に雑誌を2冊買いました。1冊は
海 五郎さんの「わくわく本」で紹介されていた、
みづゑ秋号「絵本のつくりかた2005」。もう1冊は、母の友11月号です。

 母の友は、長新太さんの追悼特集だったため‥。買おうか、ここで読んで
しまおうかと迷いながらページを繰っていたらこんな文章がありました。

 原画が完成し、入院の前日にいただいたお葉書には「ころころにゃーんが
最後でしょう。福音館ではじまり、福音館で終わりです。お元気で。さようなら」
と書かれていました。
 
 長さんに原稿を依頼していた「こどものとも」第二編集部編集長 関口展さんの文です。
2006年度4月号の「こどものとも0.1.2」のための依頼、とあるので、
次にさくらのつぼみが膨らむ頃、私たちは長さんの最後の作品を手にとることが
できるのでしょう。(タイトルは『ころころにゃーん』だそうです)  

 作品に関するニュースは、楽しみを与えてくれたけれど、葉書の中の文は、
その場で強く私の胸を打ちました。これは家に帰ってからも、何度も読み返さなくては、と
思わせるほどに。
 始まりがあれば、それには必ず終わりがついてくる。頭ではわかっているつもりでも、
いざその場所に自分が立たなければならなくなった時、自分はどれくらい「自分」で
いられるのだろう、と思います。
 長さんは、どんな気持ちで、この葉書を書いたのだろう。もしかしたら、
家にはもう戻ってこられないかもしれないなあと、思っていたのでしょうか‥。
 
 母の友の追悼特集のことなど、全然知らなかった時に、図書館から
『はなちゃん おふろ』という本を借りてきていました。だいぶ前に
このはなさんのところで紹介されていて、気になっていたのです。
主婦の友はじめてブックシリーズの中の1冊で、ほかにも『はなちゃん おさんぽ』
『はなちゃん すべりだい』があるようです。  
 18ヶ月くらいから楽しめます、と書いてあるように、1歳半から2歳くらいの
赤ちゃんに読んであげたら(一緒に読んだら)、ほんとに楽しいだろうなあ‥。

 おとうさんとお風呂に入っていたら、石鹸が湯舟に飛び込んで、それをあひるに
乗ったはなちゃんが追いかける‥。お風呂の中は「さかなたちのゆうえんち」に
なっていて、今度は石鹸に乗って、さかなたちと遊ぶはなちゃん。
船に乗ったおとうさんが、「そろそろでよう」と呼びにくるまで遊びます‥。  

 とっても印象的なのが、本の中の色使い。黄色、オレンジ、ブルーと、
きれいな色の中でもひときわ目をひくのがピンク色です。石鹸のピンク、
あひるのくちばしのピンク。鯛やヒラメのピンク、そして最後の場面で、
おとうさんがはなちゃんをくるむ、バスタオルのピンク。ほんとうに、きれいなピンク色です。
 
 前出の「母の友」の中で、福音館書店での著作を年代ごとで紹介している
ページがありますが、1990年代からあとの本には、ピンク色がよく使われているように思います。  
 いろんな御意見はあるかと思いますが、ワイン・レッドとか、レモン・イエロー
とかと同じように、あのピンク色を私は、「しんた・ぴんく
と名づけたい‥。
はなちゃん おふろ

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5 コメント

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しんた・ぴんく・・・ (まみいご)
2005-10-13 00:36:05
ホントにキレイなピンクですよね・・・

しんた・ぴんく・・素敵なネーミングです。

そういわれるとこの前借りた本も あの鮮やかなピンクが 印象に残りました。

色・・・とても大切ですね・・。
返信する
こんにちは。 ()
2005-10-13 17:55:55
「母の友」に特集があったのですね~。

「母の友」も「MOE」の近くにあったのになぁ。

全く気づきませんでした。



福音館で始まって、福音館で終わるってすごい運命のようなものを感じますね。

長さんのデビュー作も復刊されるし、始まりの絵本と終わりの絵本と並べて楽しむのも楽しそうですね。



「ころころにゃーん」とても楽しみだわぁ~。
返信する
きれいな色 (ruca)
2005-10-14 09:45:45
まみいごさん、空さん、おはようございます。



長新太さんの遺作「ころころにゃーん」が

ぴんく色で描かれているのを知って、なんだか

嬉しくなりました。



結果的に最後の作品となってしまったものが、

(もし、病気が治っていたら、もっともっと

絵を描き続けてくれたはずだから)きれいな

色で描かれていたことで、残された側の私たち

は、ある種の「安心」をいただいたような気が

します。
返信する
しんた・ぴんく (miyaco)
2006-04-14 13:29:52
rucaさん、こんにちは!

“しんた・ぴんく”という言葉はここが初出なのかな?

実はbk-1→絵本でほっとタイム♪→という経由でこちらに辿り着きました!繋がってますね~☆



昨年の追悼特集花盛りの頃にはちょっと距離を置いていたんです。

もうすぐ1年経とうとする、というところであらためていろいろ読んでいると、本当に惜しい方がお亡くなりになられた…と実感しますね。ピンクつながりで、TBさせてください。
返信する
miyacoさんへ (ruca)
2006-04-17 15:08:39
こんにちは。

空さんの「絵本でほっとタイム」を経由して

わざわざきてもらったなんて、なんか恐縮して

しまいます。そんなら、TBすればよかったなあなんて。



ショッキングピンクの誘惑って、言葉がすぐに

浮かんだということ、よくわかります。ほんとに

きれいで、ほんとに鮮烈なピンクだものね。



晩年になればなるほど、明るい色=ピンク色を

好んだのかなと推測していたら、わりと最近の

絵本で、みどりばっかりを使っていたのも

あったから、特に限定していたわけじゃないんだ

と思いました。



長新太さんが、80歳になった時の作品、90歳に

なった時の作品が見たかったなあと思います。

ほんとに残念です。
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