青みかんと準惑星

小ネタ乗せようかと思ってます。
時々二次系の下書き・・・

10年目の嵐 41

2007-07-30 23:28:49 | 二次系
その話しあいのあと、僕はリビングで一人、お酒を飲んでいた。
野梨子の考えていることは、恐ろしいことだった。
その計画には、僕も付き合わされる。
養子先を探すのだ。
養子先を探して、一旦養子に出したあと、施設にいれる。
そうせざるを得ない状況なんだと納得させるために。
酒が進むが頭は冷えていた。
野梨子とまた離れ離れになってしまうのは、僕には耐えられなかった。
酒は飲んでいる、というより煽っているというほうが正しかった。
気づくと、OPアンダーソンの2本目を開けた。
その時だった。背後から声がした。
「美童…。」
「萌々子…。」
「飲みすぎだわ。」
「ほっといてくれ。」
僕は酒をグラスに注ぐ。
「既に一本空けたのね。私も貰いたいところだけど、未成年だから、付き合えないし…。」
僕の隣に座る。
「いつ、2人は籍を入れることにしたの?」
無邪気な様子で萌々子は言った。
「籍は入れない…。暫くね。」
「えっ、どうして?」
「とりあえず、子供を生むまでは入れないことにしたんだ。一緒に生活はするけどね。」
「そう…。」
萌々子はそれ以上深入りできないと思ったのか、僕の隣でしばし黙りこむ。
僕が次のお酒を注ぎ足すと、話しかけてきた。
「ねぇ、美童。聞いてくださる?」
僕は黙っていた。
人の話を聞くどころではない。
「美童、あなたの言ったとおり彼氏が出来たわ」
「そりゃよかったね。」
僕は無視をして、酒を飲む。
「でも別れたの。やっぱり、私は美童が好き…。」
不意をつかれて萌々子にキスされた。
「何を…。」
「あなたが言うとおり彼氏にも抱かれてきたわ。もう処女じゃないの…。」
”僕ではなく最初は好きな人と恋愛して、その人とどんな形でもいいから恋愛を完結させなさい”、僕は以前、萌々子にそう言った。”私は美童が好きなのに、母様があなたの中にいたとしても、私はあなたに抱かれたい”と萌々子は泣いた。僕は”野梨子を愛している”とその時は萌々子に伝え、諦めて貰った。
それなのに。
萌々子は僕の上で喘いでいた。
僕は自暴自棄になり抱いてはいけない人を抱いていた。
心は、満たされない…。

翌日、二日酔いをする頭で、一番に愛することはできないと萌々子に伝えた。
「母さまを愛していると、いうの?母さまは妊娠してて、どうせできないじゃない。出産するまで結婚しないなら、その間だけでも付き合って欲しい」と泣かれた。
僕は根負けし、了承した。野梨子と結婚するまで萌々子だけを相手するのが怖かった。それで複数の恋人を持つことにした。そして、野梨子にも結婚しないなら彼女を好きに作るよ、と言った。


====

僕は萌々子と二人でいた。三日だけ二人でここに滞在予定だったが野梨子が魅録のところから戻って来ないので、親子鑑定が出るまで延長した。この旅行で萌々子とは終わりだと言うことは萌々子も了承している。だから僕からなかなか離れようとしない。
「どうしても母様がいいの?私のほうが若いわ」
「逆を言うなら僕は君からすればかなりおじさんだよ。君にはもっと君と釣り合いの取れる人がいるさ」
萌々子は僕の顔を暫く見たあとに黙り込み、「母様がよくてもいいわ…。でも旅行中は私を見て。」と言って僕に口づけた。
野梨子によく似た大きな目、小さな鼻、野梨子より少し厚めの唇…。野梨子ではない野梨子のような気がして、やはり彼女と付き合って行くことは出来ないと思っていた。彼女を抱くたび野梨子を僕が欲していると言うことを思い知らされた。

親子鑑定が出たと野梨子から連絡があった。
僕は萌々子に「明日、野梨子を迎えに行かなくちゃ。」と言った。
「どこに?」
「内緒だよ。婚姻届を出しに行くんだ。萌々子、これからは親子ではないけれど…、また家族だよ。」
「美童…。こんなに一緒にいたのに、やっぱり、私じゃ駄目なの?」
「ごめんね…。」
僕は萌々子を抱きしめた。
萌々子は僕の腕の中で泣き、ひとしきり泣いたあと、荷物を纏め始めた。
「どこに、行くの?」
「白鹿のおばあ様のところ。暫く、遊んでから帰るわ…。」
そう言って、まだ明日まで時間があるのに、荷物を持って、出て行った。

翌日、野梨子と泊まっていたホテルの近くの駅で待ち合わせる。僕の知人からサインを貰い、婚姻届を出した。その足で海辺のホテルに向かう。本来二週間滞在予定だったが野梨子が魅録のところにいたため一週間滞在になった。僕は野梨子と幾度となく身体を重ねた。野梨子は何度も絶頂を向かえ、僕に縋り付いた。
こうして、縋りついてくれることに、僕は安堵する。
野梨子が、僕を欲している、と。
体だけかもしれないけれど、それでもよかった。僕から、野梨子が離れられなければ…。
誰にも、野梨子は渡さない。

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ということで、40を超えてしまいました・・・とうとう(苦笑)。

10年目の嵐 40

2007-07-30 23:27:35 | 二次系
野梨子を抱かない理由はもっと僕に引き寄せたかったからだった。
日本に来て、僕は僕のあとを追い掛けてきた彼女と山の中の別荘にいた。
彼女、萌々子は野梨子と前夫の間の娘だ。一度は僕を諦めたし、僕も相手にしなかったのだが、今は僕の腕の中にいる。

野梨子は気付いていないが、魅録の子供を妊娠していると聞いたとき、僕は傷ついていた。
僕と生活を再度行うと決めた彼女が、魅録の子供を僕の元で生むなんて、気がおかしいとしか思われなかった。


====

リビングで僕たちは話していた。どうしても、僕は野梨子と魅録の子供について、話さなければならないと思っていた。
「ねえ野梨子、考え直さない?僕は君ともう一度生活を立て直したいんだ。魅録の子供が僕たちの間で必要かな?」
「堕ろせ、とおっしゃいますの?」
野梨子の表情が変わる。
「せっかく、この世に生をうけて、私の体の中で育まれているんですわ。殺すなんて残酷ですわ…。」
「野梨子…。」
そこまで、強く言ったつもりはなかったが、結果は一緒だ。
野梨子は続ける。
「堕ろすという行為自体が、私の体を傷つけてしまうことになりますのよ?それでもあなたは堕ろせとおっしゃいますの?」
僕に強く迫る。
僕は苦笑しながら、「わかったよ…。とりあえず、子供は生む方向で考えよう。」と言った。
でも僕は魅録の子供を育てられるほど、心が広くない。
「僕が育てるには、問題があるけどね・・。」
「美童の子供として育てるつもりはありませんわ。」
「どういうこと?」
「子供は施設に預けてしまいますの。」
その言葉に驚いた。施設に預けてしまうのに、生むというのか?
「それって、何のために生むつもりなの?預けてしまうっていうことは、育児放棄?生まれた子の幸せより自分の体のことだけが大事なの?」
僕は責め立てるように野梨子に言った。
野梨子は不敵な笑みを浮かべる。
背筋がゾクッとした。
「育児放棄なんて、しませんわ。私の代わりに、ちゃんと育児はしてもらいますの。預け先は、父親ですわ。」
「えっ…。」
どういうこと?
「施設にいれておけば、きっと魅録は引き取りますわ。自分の子供を放っておくなんて、絶対にできませんわ。あの性格では…。」
僕は正直言って、野梨子が怖いと思った。
そこまで、考えて、子供を生むのか…。
「でも、もし、引き取らないと魅録が言ったら?」
「そのときには、暫く施設に預けた後に、魅録のご両親にお話するまでですわ。魅録と間違いがあって、子供を生みました、と。」
「間違いって…、君が望んだことじゃないか。」
「そう、ですわね。」
冷たい瞳で僕を見た。
「でも、あなたと離婚をしなければ、私は魅録と関係を持つことなんて、ありませんでしたのよ?」
「そしたら、子供はできなかった、とでも言いたいの?」
野梨子はうなずいた。
「それに私とよりを戻したいとおっしゃったのはあなたですわ…。私はそれを承諾しました。けれども、既に子供が出来ていた、それだけのことじゃありませんか。」
「怖いな…。」
「でも、あなたは私を望んでいる。そして、私から離れることなんてできない、ということですわね。」
僕はうなずいた。
明らかに、僕は野梨子に惚れていた。
その、怖さも含めて。
「計画は失敗することなんて、ありませんわ。ご安心なさって。」
野梨子は悠然と微笑んだ。

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また今日も途中できってます。
野梨子の本心としては、魅録が預かるのは当たり前というところでした。
前回、魅録のほうから、野梨子に「引き取る」といったわけですが、そのときに感動?してましたけど、それも嘘ではありません。言われてみれば、そこまで自分からいってくれるなんて、と思った、という次第です。

10年目の嵐 39

2007-07-24 22:27:30 | 二次系
私たちはお昼を外で食べることにした。その後、施設に行くという予定にして。施設に行くと彌緑は機嫌良さそうに保母さんに抱かれながらミルクを飲んでいた。
「魅録、彌緑ですわ」
近寄り、魅録に言った。目や鼻が魅録に似ている。私に似ているのは口と太く濃い眉だけ。
充分にミルクを飲んだあと、私は彌緑を抱き受けた。受け取るとやっぱりホッとする。
魅録は恐る恐る近寄り、彌緑を触る。
「抱いてみて下さいな。」
私が渡すと魅録はぎこちない動作で受け取った。
「あなたの子供ですわ、魅録。」
そういうと魅録は彌緑に向かって微笑んだ。

車での帰路についていると、魅録は私に言った。
「ずっと、施設暮らしはかわいそうだな…。」
「そうですわね。…でも私にはどうにもできませんのよ。養子にも出してしまいましたし…。」
「そうだよな…。みどりだっけ。どういう漢字を書くんだ?」
「…彌緑の彌は弥生の弥の旧字体ですわ。ながびくと言う意味ですの。永遠という意味をこめてますの。緑はgreenの緑ですわ。凪いだ草原のように平和で穏やかな人柄でいて欲しいと思いましたの。」
「穏やかな人柄か…。」
「ええ。」
本当は、そんな意味なんてなかった。漢字の意味からとってつけたものだった。
「読み方を変えるとみろく、ですわ…。」
私は魅録を見つめた。
魅録は運転しながら、優しい口調で「そっか。」と言う。表情は穏やかだ。私は続ける。
「本当は魅録の名前をそのままつけたかったんですの。ですから、読み方を変えれば魅録になりますわ。」
「うん…。」
幸せそうな穏やかな横顔に私は胸が痛かった。最初から擦れ違わずに出会えていればよかったのに、そう思わずにはいられなかった。魅録が悠理を愛さずに私を最初から愛してくれれば、私たちのボタンは掛け違えることはなかったのに、と思う。
魅録の家に戻り、迷惑じゃなければもう少し一緒にいたいと私が言うと勿論、と魅録は答える。
魅録の子供だとわかりきってはいたが一応親子鑑定を勧める。魅録たちが親子だと確証を得られたほうがよかった。
魅録と食事をし、なだれ込むようにその日を過ごした。
翌日も魅録は会社を休む。一日中二人でいる。子供は親子鑑定を行った。
前より魅録と一緒にいるのは楽しかった。
このまま何もかも捨ててこの場所に居られたらどんなにいいだろうとも思う。三人で暮らすのも悪くない、私はそう思っていた。
日本にいる間だけはこんな妄想も許される。けれども現実には出来ないことだと頭の隅ではわかっていた。

その翌日、魅録は会社に行った。私は魅録の部屋で寛いでた。ドアホンが鳴り、返事をせずに玄関に向かう。スコープを覗くと、美童が立っていた。
私は驚き、慌ててドアを開ける。美童は不機嫌そうな様子で鍵を閉めた。
「捜したよ、野梨子。ホテルに帰って来ないし。」
私は黙っていた。
「もう、満足なんじゃないの?子供にも会わせたんでしょ?いつまでいるの?ここに。」
「後少しだけここに居たら帰りますわ。親子鑑定が一週間後にはでますもの。それま…」
美童は私の口を塞ぐように口づける。身体がそれに反応するように熱くなる。身体を触られているうちに声が上がる。
「妬けちゃうな…。魅録とこれ以上のことしてたんでしょ?結婚したら僕がすると言ってたのに…。」
美童はその場で立ったまま私を犯した。深く交わっていないのに、私は呆気なく陥落した。

美童と交わってしまうと、私の体は美童を求めていた。魅録ともその後親子鑑定が出た5日後まで毎日体を重ねていたが美童には敵わなかった。

親子鑑定が出たその日、私と魅録は彌緑の元に行った。魅録は嬉しそうに子供を抱き、私に言った。
「野梨子も養父も育てるのが無理なら、俺が育てるよ。」
「駄目ですわ、魅録。あなたにはあなたの人生が…。」
「親子鑑定の結果が出る間、考えてたんだ。やはりこの子は不幸には出来ない。愛している野梨子との間に生まれた子供だ。引き取って育てるよ。養父に言って、養子離縁だけしてくれないか。その後認知して俺の籍に入れる。」
魅録がそこまで考えてくれたのが嬉しくて私は涙ぐんだ。
「わかりましたわ。ありがとう、魅録。」
私はそういうと涙を拭った。
すべて、うまく行く…。

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野梨子が本当のことを言ってるのかどうか、定かじゃないし・・。
怖い怖い。

10年目の嵐 38

2007-07-23 21:35:31 | 二次系
私はホテル戻ってきてから魅録に電話をかけた。
2回コールで繋がる。
「野梨子です…。」
か細い声が自分の口から出る。
魅録は電話越しに驚いているようだった。
「どうした…?」
「どうしても、会って話しがしたいんですの…。」
「会って話しが?」
「ええ…。」
魅録の怪訝そうな様子が伝わってくる。
「電話じゃ、駄目なのか??」
「うまく伝えられる自信がありませんわ。あと、人には聞かれたくないんですの…。」
「わかった…。」
「いつ、会えます?」
「いつでもいいのか?」
「ええ」
魅録は黙り込み思案する。
「じゃあ、今夜。家で待ってる。」

夜9時過ぎに私は魅録の家に行った。久しぶりのせいか若干緊張する。
魅録が出て来て、家の中に招かれる。
確かに彼女がいるらしく、部屋の雰囲気が変わっていた。女性ものの雑誌も置いてある。違う部屋にいるみたい…。違和感を感じる。
コーヒーを私に出しながら魅録は聞いた。
「人に聞かれたくない話とは…。」
私は深呼吸をし、言った。
「魅録と別れて、娘の元に参りましたけど、ずっと魅録のことを思っておりました…。でも、私からあなたに別れを言い出した手前、戻ることはできませんでしたのよ。」
私は魅録を一瞬見つめ、視線を外した。
「しばらくして、…あなたの子供が出来たことに気付きましたの。」
魅録を再度見ると驚いた顔をしていた。
「ほんとなのか?」
私は頷く。
「向こうで、子供を生みましたのよ。でも…、親しい方々や御弟子さんの反対を受け、やむなく養子に出しましたの。非嫡出子で生むことも反対にあいました。けれども、あなたと結婚をしたとしても、私は三度目になりますわ。それだけで、週刊誌に面白おかしく書かれてしまいますのよ…。」
「世間体が大事なら、どうして…?。」
「おろせばよかったとおっしゃいますの!!」
自然に感情が高ぶる。涙が溢れてきた。
「…私がどんな思いであなたの子供を生んだのか知りもせずに!!」
強い口調で魅録に言った。魅録はハッとしたような顔をする。
「愛していたからあなたの子供をおろせなかったんですのよ!!」
そこまで言うと魅録はうなだれ、「すまない」と謝った。
少し追い詰め過ぎたようだ。
「ごめんなさい、魅録…。追い詰めるつもりじゃありませんでしたの。あなたの子であるあの子を一目見て欲しかっただけなんですのよ…。」
私は魅録を抱き寄せ、魅録の髪に唇を寄せる。
「魅録に本当のことを話さなければ、あの子があまりにも不憫ですもの。父親が存在を知らないなんて…。」
魅録の頭を私の腕の中から離し、魅録を見つめる。
「ああ…。」
魅録はそういうと私に口づけた。そのキスは以前より上手になっていた。

崩れ落ちるように私たちは身体を重ねた。以前のように魅録は私に要求をして来なかった。そして、以前と比較したら、だいぶよかった。

朝まで何度か身体を重ねた。私は美童が構ってくれない鬱憤を魅録にぶつけていたような感じだった。
あまり眠れなかったが、とりあえず朝食を食べる。その後魅録は会社とどこかに電話をかけたようだった。
私は魅録の電話が終わると「どこに電話してましたの?」と尋ねながら自分から口づける。その口づけは深くなり、再度身体を重ねた。

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長いので分割しただけなので、近々続き載せます。

10年目の嵐 37

2007-07-17 23:05:21 | 二次系
子供が生まれて約三ヶ月が過ぎていた。私は今美童と子供と三人で飛行機に乗っていた。
出生届は生まれて2週間ほどしたときに大使館に行き、届け出た。勿論非嫡子である。
父親はいない。
子供は家族には誰にも見せてはいなかった。私の体調が悪いということと子供の内臓に疾患があると言うことを理由にし、美童に皆が別荘に来ないようにして貰った。
養護施設に入れる、と言うのは本当だった。その為もあり日本に向かっていた。私が魅録の子供を育てるということは、スキャンダルの要因になりかねないので無理だった。いや、魅録の子供が生まれたことさえ、世間には知られてはならなかった。美童の子供ならまだよかったのだが。
おろすと言う選択肢もあったが、私の中では子供をおろす行為自体が許されなかった。
しかし、それ以前に、ずっと私が恋をしていた魅録の子供をおろすのには抵抗があった。魅録と結婚するのには魅力を感じなかったが…。結婚をしないでおろさずに生むためには日本から脱出することが不可欠だった。
美童は浮気を条件に私を受け入れた。けれども、スウェーデンに来てから、美童は抱いてくれなくなった。そして生んだにもかかわらず今も抱いてはくれない。
短くため息をついた。
窓の外には成田空港が見えてきた。

美童は私をホテルまで送った。美童の父の名前でホテルを予約していた。美童は私たちと部屋まで一緒に来る。用意して貰ったベビーベッドに子供を寝かしつけていると、「結構眺めのいい部屋だね。こんなところで夜景を見ながら君を抱けたら最高だね。」と美童は窓の外の景色を眺めながら言った。
私は何も答えず黙っていた。どうせ美童は私を抱かない。
美童は私の近くにやってくると、私に口づけた。抱かれないとわかっていても私は美童のキスを受け入れる。
キスだけで身体が熱くなる。美童は私をベッドに運ぶと私の衣類を脱がせ、愛撫し始める。
いつも、ここまでだ。
そう思っていても私は抵抗をせずに美童にされるがままだった。私の口から喘ぎ声が漏れる。
私がもっとして欲しいと思った頃、美童はやめる。
私はほてった身体を持て余す。息も絶え絶えになりながら俯せになると、美童は私を仰向けにし、口づける。私は美童の手を自分の胸へと誘うが、美童は口づけをやめ、クスリと微笑んで「早く結婚しようよ…、野梨子。」と言って私から身体を離した。私は頷くと服を着始める。
「ところで魅録だけど。」
美童が口を開いた。
「彼女がいるみたいだよ。…今更、行って、どうだろう?」
約一年。
状態は変わっているだろう。彼女がいることくらいは想定内だった。
私が服を着終えるのを見計らって、「そろそろ、行くよ。」と美童は再度私に口づけると部屋を出て行った。美童は私の知らない彼女の家に行った…。

翌朝チェックアウトをし、子供を連れて養護施設に向かった。非認可の施設で、ミルク代として200万円置いてきた。勿論、私の素性は明かさない。名前は白鹿彌緑(みどり)と名付けた。彌緑は魅録の名前をもじっただけだった。
ちなみにいまは佐藤彌緑である。生まれてすぐ、スウェーデン在住の美童の知人と老人と養子縁組をした。美童の知人には揉め事が起きてしまうため戸籍上だけでも養子縁組しなければならないのだと話すと快諾した。美童には言わなかったが彼の目的は私だった。美童がお手洗いに行っている際に、私が目的だと告げた。私は美童に内緒で日本にくるまえにこの老人に1度だけ抱かれてきた。老人は二度と私を抱こうとは思わないだろう。そんな体力は彼にはないのだから。

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養子縁組したのも、野梨子の策略です。
一番と二番の策略を決めていて、だめだったら二番の策略なんです。

・・・思ったより鬼でもないかも。
ま、養子に出してしまうこと自体が鬼といえば、鬼なんですけど・・。

10年目の嵐 36

2007-07-10 23:41:44 | 二次系
可憐の連れてきたメイド美那はかわいかった。かいがいしく、俺の世話をやいてくれた。彼女が俺に好意を抱いているのはわかっていた。でも俺は野梨子のことをまだ引きずっていた。野梨子以上の女はいなかった。
先日、可憐を抱こうとしたのは可憐が優しかったから、もしかしたら野梨子を忘れさせてくれるかもしれないと思ったからだった。
でもそれは間違いだった。可憐にも俺が可憐を思っていないことがわかっていた。
あの時、可憐に下手だと婉曲言われた。確かにあの後は凹んだが可憐の優しさに救われた。そして野梨子が去ったのも俺が野梨子を思いやらなかったことも一因とだと気付いた。野梨子の愛に頼りすぎたから野梨子は重荷に感じて去ったのかもしれない。
今までアダルトなど見たことがなかったのだが、俺はアダルトを見たり、ネットで研究をした。
美那が来て2週間した頃、美那の体に触れたいと思うようになった。理由は申し訳ないが、試して見たかったからだった。
夕食の片付けを終え、帰ろうとする美那を少しだけ一緒に飲んで欲しいと引き止めた。
小一時間ほど飲んだ頃、俺は美那に何度も視線を送った。美那はそのたびに、顔を赤く染める。美那の隣に座り、「美那…」と名前を呼んで彼女に口づけた。
俺に好意を持っているから、もちろんそのキスは受け入れられる。
俺は彼女の衣類を脱がせると、表情を伺いながら胸の突起物を口に含み愛撫した。彼女の表情が変わったところを同じように愛撫するとそのうちに、彼女は声を上げた。
これか。
俺は下に手を延ばす。可憐が、濡れているといった意味が、やっとわかった。
いつもはこんなことを意識する前に自分のものをいれていた。
指でその場所を愛撫すると彼女はさらに声を上げた。

美那を抱き、美那を喜ばせるくことにより俺は自信を取り戻して行った。毎日毎日美那を抱いた。言葉にならない声を上げながら乱れてしがみつく美那を更にいじめて失神させる。こんなにいかせるのが楽しいとは思っていなかった。自分がいけば女性も行くものだと思っていたが違っていた。野梨子にもこうしていかせてやりたかったと思った。
美那のことは野梨子ほど愛していないが、かわいかったから、時期が来たら結婚してもいいと思っていた。
そのために、仕事に復帰することにした。

仕事に復帰し、美那とは順調に交際を続けていた。今日は美那と、美那の住んでいる近くの駅で待ち合わせる。
「魅録さん、近くにおいしいプリンやさんがあるの。買って行って、食べましょう」
「そうだな。」
「やった!」
美那は嬉しそうにした。考えてみれば何かを二人で買って、家で食べたことなどなかった。いつも美那が作るか、二人で外で食べるか、だった。
プリンやに着き、二人で店に入る。
美那がどれにしようかと迷っている。
「全種類買ってもいいぜ。」
「そんなに食べられないわ。」
美那は呆れた顔をする。その表情に俺は笑った。
全種類といえば、悠理くらいか。
大量の食べ物を見ると悠理のことを思いだしてしまう。野梨子を愛する前は1番好きだと思ってた女…。俺の子供を身篭って、そしてどうしたんだろう。おろしたはず、だよな…。
ふと、窓の外に目をやると見覚えのある長身の男の後ろ姿が見えた。
清四郎か…?!。
追い掛けて子供のことを聞きたい衝動に駆られた。
行きかけて、美那の「魅録さんはどれにする?」と言うのんびりした声で我に返る。
「あ、ああ。俺はノーマルのプリンで…。」
美那が店員に注文する。
もう過ぎたことだ…。
悠理のことは。
俺はお金を払いプリンを受け取ると美那を連れて店を出た。


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相変わらず、野梨子を引きずったままです。
そして、忘れさせて・・と受身な・・・。
だめ男くんです。
少しは成長したらしいです。

最後のところは清四郎が魅録を目撃したところと重なります。
たまたまプリンやさんが、美那の家の近くでした。

野梨子編、誤って、日曜に消してしまいました・・。
来週、アップできるかな・・?

10年目の嵐 35

2007-07-04 21:54:42 | 二次系
あれから二月が経った。
ベビーシッターも来て、あたしは余裕のある日々を送ることができるようになった。
赤ちゃんの顔はどんどん変わっていた。けれども誰に似ているのかわからない。真人のときは真琴に似ていると思ったものだったが。口元や鼻の形はあたしに似ている。けれども目や眉は似ていない。魅録には全く似ていない。そのことが若干、あたしを不安に感じさせた。あの期間あたしが交渉をもったのは魅録だけだった。けれどもこの子は魅録に似ていない。あのとき、あたしは精神的に不安定だったから、白昼に夢遊病になって誰かと交渉をもったのかもしれない。
そう考えると空恐ろしくなった。
赤ちゃんを見ながらあたしはこんなことばかり考えていた。
あたしは悩みすぎて蓮に対して態度がなおざりになっていく。清四郎にも相談できずに悶々としていた。
悩み始めて二日後、その日は土曜日だった。和子姉ちゃんが遊びにきた。蓮が生まれてからたびたび遊びに来る。真人のときは清四郎があまり人にあわせないようにしていたのもあり、聖羅は母が独り占めしているような状態だから、自分の甥という感じがして、かわいいのかもしれない。けれども、本当の甥でない…。
きてくれるのは嬉しいが、あたしはちょっと憂鬱な気分になっていた。
今夜は三人で食事をする予定だった。
午後3時に来て、あたしに気を使ったのかたくさんのお菓子を持ってきた。
蓮をあやしながら和子姉ちゃんが嬉しそうに言った。
「この子…。ほんとに似てるわね。」
えっ…。
「誰に?」
「誰にって、決まってるじゃない。清四郎よ。目元なんてそっくりね」
ケラケラと笑う。
清四郎に似ている?
予想もしていなかった。
言われてみれば確かに目や眉や額の形は清四郎に似てる。
あたしは混乱した。清四郎と交渉を持った覚えはないのに。
「どうしたの?悠理ちゃん。顔が蒼いわよ。」
「ん…。なんでもない。ちょっと調子が悪くなっただけ。…和子姉ちゃん、蓮と遊んでて。」
あたしはそういうと自分の部屋に入り鍵をかけた。
あの子は魅録の子ではなくて清四郎の子?
確かに似ているけど、魅録の家から戻ったあとに妊娠した訳ではない。
魅録と交渉を持つ前に清四郎とは交渉を持っていないはず…?
あたしは清四郎に電話を掛けた。
「もしもし…、清四郎?」
『どうしました?珍しい…。』
「あたし…、お前と交渉を持ったか?」
『はっ?』
「だから魅録の家に行く前にお前とやったのか」
あたしの剣幕に清四郎は慌てた様子で答えた。
『ちょっ…、ちょっと待って下さい。帰ってから話しましょう』
「いつ帰って来るんだよ。」
『姉との食事に間に合うようには帰ります。』
「わかった。」
あたしは清四郎が帰って来るまで落ち着かない気分で部屋に閉じこもっていた。部屋を出たら和子姉ちゃんに動揺が伝わってしまう気がした。

***

僕は5時頃家に帰った。姉から悠理の体調が悪そうだという話しを聞く。けれども悠理は体調が悪い訳ではないだろう。あの件で閉じこもってるだけだ。やはり…、わかっていたが悠理はあの日のことを全く覚えていなかった。僕が犯したのだから仕方がないが。
日がたつにつれ、蓮は魅録には似ていないようだと僕も思っていた。やっぱり僕の子供かもしれない。子供の顔を見るたびにそう思っていた。
短くため息をつき、僕はドアをノックした。
「悠理、開けて下さい。」
悠理は隙間から僕を覗き、鍵を開けた。混乱したような顔をしている。
話しが聞かれないように、僕は再度鍵を掛けた。
「電話の件ですが。」
僕は軽く咳ばらいをする。
「悠理は覚えていないでしょうが、悠理が出て行く前日に寝ました。」
さすがに犯したとは言えなかった。
悠理は驚いた顔で僕を見た。
「ほんとか?」
「ええ…。」
「じゃあお前の子の可能性もあるんだ。」
「そういうことになりますね。」
悠理は安堵したような表情を見せた。
「ずっと、悩んでたんだ。魅録に似てないし・・。他にヤッたやつもいないしって。夢遊病かと思ってたよ。」
僕がそれには答えず、微笑むと、「お前が父親だといいな。」と悠理は笑った。
相変わらず、単純な奴…。
苦笑まじりにため息が出る。
深く考えられるよりは、そのほうが、いいのだが…。
悠理は機嫌がよくなり、鍵を開け、部屋を出て行った。
僕はやれやれと、ため息をつき、自分の部屋に行って、服を着替えた。
着替えている最中、ほんとに僕の子供であれば、と思っていた。
親子鑑定をしようかとも一瞬思ったが、まだ早い気がした。


---
この夫婦は安泰・・。
ということで、次は魅録。
そして、その次に鬼野梨子・・・(苦笑)。ちょっとだけ野梨子を書き始めてます。恐ろしい・・・。