病室から出て、僕は家に向かって車を飛ばしていた。僕は動揺していた。
魅録の子が悠理の中にいる…。
頭ではわかっていた。僕から離れていた間、悠理は魅録に抱かれていたのだ。結果としてこうなることも有り得る。
けれども苛立ちはおさまらない。
真人の場合は、僕が真琴を殺してしまったという負い目もあった。だが、何より悠理の子であるあの子が無条件にかわいかった。
同じ悠理の子であるが、魅録の子でもある子供。
魅録の子と言うだけで僕は受け入れられそうもなかった。
悠理の悲痛な表情に『今すぐ結論を出す必要はない』と言ったが、本心では堕して欲しいと思っていた。
愛情を持つ、自信がなかった。
父親である、当の魅録はこの事実を知ったら、どう答えを返すのだろう。
ふとそう思い、車を止め、魅録に電話をかける。大事な話があるので会いたいとだけ告げた。
最初は渋っていたが食い下がると、今からなら、と返事を貰った。
方向転換をし、魅録の職場の近くの喫茶店に向かった。
僕が着いてから魅録に連絡し、10分後に現れた。
「話って、なんだ?」
突然呼び出されて、戸惑っている。いや、身構えていた。コーヒーを注文し、向かい側に座る。
「実は、悠理のことなのだが…。」
「悠理?野梨子のことじゃないのか?」
「野梨子?なんで僕が野梨子を?」
魅録の的外れな問いに逆に僕は驚いた。野梨子は全く関係ない。何故、今、野梨子なんだ。
「…お前さん、野梨子にストーカー行為をしていたんじゃないのか?野梨子が悩んでると言ってたぞ。」
はっ?
「何故、僕が!全く野梨子とは無関係です!」
僕の剣幕に魅録が驚く。いや、周りの客も驚いていた。僕は少々恥ずかしく、コホンと咳ばらいをした。
今の僕が野梨子に付き纏うなんてことはありえない。
「野梨子のことなんて、どうでもいいんですよ。僕は悠理のことで魅録に話があるんです。」
魅録は解せない、という顔で僕を見ていた。
「お前、悠理と離婚したんだろ?今更、探してるのか?」
「いや…、探してる訳ではないんだ。彼女は今、僕のところにいる。」
「清四郎のところに!?」
かなり驚いていた。まさか戻ってきてるとは夢にも思わなかったのだろう。
「そう、僕のところに戻ってきています。魅録と関係を持ったという話も悠理から聞きました。」
淡々と僕が告げると、魅録の顔色が変わった。
「まさか…、話というのは…。」
「魅録が察しているとおりです。…彼女は今、妊娠しています。魅録はどうしたいですか。」
「突然…、そんなことを言われても…。」
そういうと水を飲み干した。驚きから苦悩しているような表情へと変化する。
5分、10分と沈黙したまま時間が過ぎる。20分が過ぎようとした頃、魅録が重い口を開いた。
「すまないが…、悠理と結婚することは考えられない。悠理がどうしても生みたいのなら別だが、…堕ろして欲しい。もし、生まれてきたとしても、今の心境では子供を認知することもできない。俺たちは終わったんだ…。」
「…!」
その言葉を聞いて、僕はこの男を殴りたいと思った。理性でなんとか押し止める。
こうなることがわかっていて、悠理を抱いた訳ではないのか?
避妊もせずに…。
「魅録は悠理を愛していない、と言うんですね。」
「ああ。…正確にはずっと何年も彼女だけを愛していた。しかし、今は違う女を愛している。そいつの為にも認知する訳にはいかない。彼女を傷つけるわけにはいかないんだ。」
「…野梨子、ですか。」
僕の中でひっかかっていた名前が自然と口から出て来た。
魅録は驚きつつも、その言葉に頷いた。
だから、会ったときから、野梨子のことを気にしていたのか。
野梨子は僕たち家族の間を引き裂き、魅録と付き合っていた。結局、彼女は一緒にいてくれれば誰でもよくて、魅録を捕まえた。
ストーカーなんと野梨子の嘘を真に受けて、信じて、かわいそうな女だと思っている…。
僕の中では魅録に対し、憤りというより、憐憫の思いしか起こらなかった。もう、ここで魅録と話すことはない。
「わかりました。何もいうことはありません。」
僕は立ち上がり、伝票を持って外へ出た。
---
20も半分くらい書いているのですが、ちょっと書き直そうと思ってます。
あまりに流れが不自然で・・。
もっていきたい方向にもっていけないため。
次は少し時間がかかるかも。
これももうちょっと早くアップする予定だったのですが、最近、眠くて・・・。
魅録の子が悠理の中にいる…。
頭ではわかっていた。僕から離れていた間、悠理は魅録に抱かれていたのだ。結果としてこうなることも有り得る。
けれども苛立ちはおさまらない。
真人の場合は、僕が真琴を殺してしまったという負い目もあった。だが、何より悠理の子であるあの子が無条件にかわいかった。
同じ悠理の子であるが、魅録の子でもある子供。
魅録の子と言うだけで僕は受け入れられそうもなかった。
悠理の悲痛な表情に『今すぐ結論を出す必要はない』と言ったが、本心では堕して欲しいと思っていた。
愛情を持つ、自信がなかった。
父親である、当の魅録はこの事実を知ったら、どう答えを返すのだろう。
ふとそう思い、車を止め、魅録に電話をかける。大事な話があるので会いたいとだけ告げた。
最初は渋っていたが食い下がると、今からなら、と返事を貰った。
方向転換をし、魅録の職場の近くの喫茶店に向かった。
僕が着いてから魅録に連絡し、10分後に現れた。
「話って、なんだ?」
突然呼び出されて、戸惑っている。いや、身構えていた。コーヒーを注文し、向かい側に座る。
「実は、悠理のことなのだが…。」
「悠理?野梨子のことじゃないのか?」
「野梨子?なんで僕が野梨子を?」
魅録の的外れな問いに逆に僕は驚いた。野梨子は全く関係ない。何故、今、野梨子なんだ。
「…お前さん、野梨子にストーカー行為をしていたんじゃないのか?野梨子が悩んでると言ってたぞ。」
はっ?
「何故、僕が!全く野梨子とは無関係です!」
僕の剣幕に魅録が驚く。いや、周りの客も驚いていた。僕は少々恥ずかしく、コホンと咳ばらいをした。
今の僕が野梨子に付き纏うなんてことはありえない。
「野梨子のことなんて、どうでもいいんですよ。僕は悠理のことで魅録に話があるんです。」
魅録は解せない、という顔で僕を見ていた。
「お前、悠理と離婚したんだろ?今更、探してるのか?」
「いや…、探してる訳ではないんだ。彼女は今、僕のところにいる。」
「清四郎のところに!?」
かなり驚いていた。まさか戻ってきてるとは夢にも思わなかったのだろう。
「そう、僕のところに戻ってきています。魅録と関係を持ったという話も悠理から聞きました。」
淡々と僕が告げると、魅録の顔色が変わった。
「まさか…、話というのは…。」
「魅録が察しているとおりです。…彼女は今、妊娠しています。魅録はどうしたいですか。」
「突然…、そんなことを言われても…。」
そういうと水を飲み干した。驚きから苦悩しているような表情へと変化する。
5分、10分と沈黙したまま時間が過ぎる。20分が過ぎようとした頃、魅録が重い口を開いた。
「すまないが…、悠理と結婚することは考えられない。悠理がどうしても生みたいのなら別だが、…堕ろして欲しい。もし、生まれてきたとしても、今の心境では子供を認知することもできない。俺たちは終わったんだ…。」
「…!」
その言葉を聞いて、僕はこの男を殴りたいと思った。理性でなんとか押し止める。
こうなることがわかっていて、悠理を抱いた訳ではないのか?
避妊もせずに…。
「魅録は悠理を愛していない、と言うんですね。」
「ああ。…正確にはずっと何年も彼女だけを愛していた。しかし、今は違う女を愛している。そいつの為にも認知する訳にはいかない。彼女を傷つけるわけにはいかないんだ。」
「…野梨子、ですか。」
僕の中でひっかかっていた名前が自然と口から出て来た。
魅録は驚きつつも、その言葉に頷いた。
だから、会ったときから、野梨子のことを気にしていたのか。
野梨子は僕たち家族の間を引き裂き、魅録と付き合っていた。結局、彼女は一緒にいてくれれば誰でもよくて、魅録を捕まえた。
ストーカーなんと野梨子の嘘を真に受けて、信じて、かわいそうな女だと思っている…。
僕の中では魅録に対し、憤りというより、憐憫の思いしか起こらなかった。もう、ここで魅録と話すことはない。
「わかりました。何もいうことはありません。」
僕は立ち上がり、伝票を持って外へ出た。
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20も半分くらい書いているのですが、ちょっと書き直そうと思ってます。
あまりに流れが不自然で・・。
もっていきたい方向にもっていけないため。
次は少し時間がかかるかも。
これももうちょっと早くアップする予定だったのですが、最近、眠くて・・・。