青みかんと準惑星

小ネタ乗せようかと思ってます。
時々二次系の下書き・・・

10年目の嵐 19

2007-04-29 16:21:00 | 二次系
病室から出て、僕は家に向かって車を飛ばしていた。僕は動揺していた。
魅録の子が悠理の中にいる…。
頭ではわかっていた。僕から離れていた間、悠理は魅録に抱かれていたのだ。結果としてこうなることも有り得る。
けれども苛立ちはおさまらない。
真人の場合は、僕が真琴を殺してしまったという負い目もあった。だが、何より悠理の子であるあの子が無条件にかわいかった。
同じ悠理の子であるが、魅録の子でもある子供。
魅録の子と言うだけで僕は受け入れられそうもなかった。
悠理の悲痛な表情に『今すぐ結論を出す必要はない』と言ったが、本心では堕して欲しいと思っていた。
愛情を持つ、自信がなかった。
父親である、当の魅録はこの事実を知ったら、どう答えを返すのだろう。
ふとそう思い、車を止め、魅録に電話をかける。大事な話があるので会いたいとだけ告げた。
最初は渋っていたが食い下がると、今からなら、と返事を貰った。
方向転換をし、魅録の職場の近くの喫茶店に向かった。
僕が着いてから魅録に連絡し、10分後に現れた。
「話って、なんだ?」
突然呼び出されて、戸惑っている。いや、身構えていた。コーヒーを注文し、向かい側に座る。
「実は、悠理のことなのだが…。」
「悠理?野梨子のことじゃないのか?」
「野梨子?なんで僕が野梨子を?」
魅録の的外れな問いに逆に僕は驚いた。野梨子は全く関係ない。何故、今、野梨子なんだ。
「…お前さん、野梨子にストーカー行為をしていたんじゃないのか?野梨子が悩んでると言ってたぞ。」
はっ?
「何故、僕が!全く野梨子とは無関係です!」
僕の剣幕に魅録が驚く。いや、周りの客も驚いていた。僕は少々恥ずかしく、コホンと咳ばらいをした。
今の僕が野梨子に付き纏うなんてことはありえない。
「野梨子のことなんて、どうでもいいんですよ。僕は悠理のことで魅録に話があるんです。」
魅録は解せない、という顔で僕を見ていた。
「お前、悠理と離婚したんだろ?今更、探してるのか?」
「いや…、探してる訳ではないんだ。彼女は今、僕のところにいる。」
「清四郎のところに!?」
かなり驚いていた。まさか戻ってきてるとは夢にも思わなかったのだろう。
「そう、僕のところに戻ってきています。魅録と関係を持ったという話も悠理から聞きました。」
淡々と僕が告げると、魅録の顔色が変わった。
「まさか…、話というのは…。」
「魅録が察しているとおりです。…彼女は今、妊娠しています。魅録はどうしたいですか。」
「突然…、そんなことを言われても…。」
そういうと水を飲み干した。驚きから苦悩しているような表情へと変化する。
5分、10分と沈黙したまま時間が過ぎる。20分が過ぎようとした頃、魅録が重い口を開いた。
「すまないが…、悠理と結婚することは考えられない。悠理がどうしても生みたいのなら別だが、…堕ろして欲しい。もし、生まれてきたとしても、今の心境では子供を認知することもできない。俺たちは終わったんだ…。」
「…!」
その言葉を聞いて、僕はこの男を殴りたいと思った。理性でなんとか押し止める。
こうなることがわかっていて、悠理を抱いた訳ではないのか?
避妊もせずに…。
「魅録は悠理を愛していない、と言うんですね。」
「ああ。…正確にはずっと何年も彼女だけを愛していた。しかし、今は違う女を愛している。そいつの為にも認知する訳にはいかない。彼女を傷つけるわけにはいかないんだ。」
「…野梨子、ですか。」
僕の中でひっかかっていた名前が自然と口から出て来た。
魅録は驚きつつも、その言葉に頷いた。
だから、会ったときから、野梨子のことを気にしていたのか。
野梨子は僕たち家族の間を引き裂き、魅録と付き合っていた。結局、彼女は一緒にいてくれれば誰でもよくて、魅録を捕まえた。
ストーカーなんと野梨子の嘘を真に受けて、信じて、かわいそうな女だと思っている…。
僕の中では魅録に対し、憤りというより、憐憫の思いしか起こらなかった。もう、ここで魅録と話すことはない。
「わかりました。何もいうことはありません。」
僕は立ち上がり、伝票を持って外へ出た。

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20も半分くらい書いているのですが、ちょっと書き直そうと思ってます。
あまりに流れが不自然で・・。
もっていきたい方向にもっていけないため。
次は少し時間がかかるかも。

これももうちょっと早くアップする予定だったのですが、最近、眠くて・・・。

10年目の嵐 18

2007-04-23 23:44:11 | 二次系
私は今日も魅録の部屋にいた。彼は私にのめり込んでいた。私も同様だった。始めは子供に感じていた罪悪感も徐々に感じなくなり、今では週に1,2回は泊まっていた。けれども私が上か魅録が下かの単調な行為に私は物足りなさを感じていた。美童だったら、清四郎だったらと比較していた。
行為を終え、けだるい感じが抜けないまま帰路に着く。
もう夜の22時を過ぎているというのに、一生の部屋から笑い声が聞こえてきた。
「一生、まだ寝ていませんの?」
一生の部屋の襖を開けると、そこには、…美童がいた。私は一瞬目を疑った。
どうしてここに?
私の驚きをよそに、「やあ、野梨子。」と何もかも知ってるような顔で、にやりとしながら私を見た。
「美童…。どうして?」
「僕が時々一生に電話してるのは知ってるよね?」
「ええ…。」
美童は遊び人だったが、子煩悩だった。よく一生にも電話をかけてくる。
「君が一生を放置するから、…一生が電話で淋しがってたよ。一生は大事な跡取りなんだろ?。どこに行ってたかなんて詮索はしないが、母親としてはどうなのかな?」
口調も表情も柔らかいが、私を責めていた。
美童のいうことはもっともで、私は黙りこんだ。
一生は、私と美童の会話をよそに、美童にうれしそうにまとわりついている。
「ところで、野梨子。今日も君の両親から戻ってくるようにいわれたんだ。」
「そうですの…。」
やっぱり…。
両親が、家にいれましたのね。
私はため息をついた。
両親は出て行った美童のことを責めてはいない。寧ろ戻ってきて欲しいと思ってる。美童は両親にとてもかわいがられていたのだ。白鹿流を手伝わせて、美童をがんじがらめにして行き場を無くしたのは私だった。二度目の結婚の相手が金髪の婿だから駄目なんだと後ろ指をさされないように、美童に負荷をかけすぎた。それで限界が来て出て行った。両親は美童がただうちにいてくれればいいと思っていた。別れるときも、再三、美童を引き留めていた。今日もきっと美童の来訪に喜んだに違いない。一生も喜んでいたから、一生の部屋に泊まるよう促して。
でも、私と美童はもう他人だった。私にはもう魅録がいる…。
もう二度とここにはいらっしゃらないで、と言いたかったが、うれしそうにまとわりつく一生の前では言えなかった。
けれども、こんなことは今回限りにしなければならない。
「美童、…私の部屋で、少し話しませんこと?」
「いいよ。」
美童は頷き、一生を抱きしめた。
「母さまと話してくるよ。一生、先に寝てるんだよ。」
美童は一生の頬に口づけた。一生はくすぐったそうに、そして嬉しそうに笑った。

***

ずっと体がだるかった。嫌な予感はしていた。その予感を現実にしたくなくて、頭の中でそのことを否定し、検査を先延ばししていた。
清四郎と二人きりの生活が幸せだったから。心が通じ合っていることを実感しながら生活しているのが嬉しかった。
でも、あたしは腹痛を訴え倒れてしまった。
3日から一週間ほどの入院と言われる。
「あたし…、堕ろしたほうがいいと思う…。」
清四郎と二人きりの病室であたしは告げた。
清四郎はあたしの手を握ると頭を撫でた。
「答えは今すぐじゃなくともいいですよ。今はゆっくり休みなさい。」
「でも…、たぶん、この子は魅録の子だよ。…真人もお前の子じゃないじゃないか。」
清四郎は優しい笑みを浮かべた。
「僕には聖羅がいる。気にしないで寝なさい。」
あたしの頭をポンポンと叩いて病室を出て行った。
二人も他の男の子供を育てさせられない。
それに…、あたしは魅録の子であるこの子を愛することができるのだろうか。
真人はあたしの命の恩人であたしが恋をした真琴の子だが、この子は成り行きで出来てしまった子だ。
今、愛情なんて、感じない。あたしの中に得体のしれない生命が宿ってるような気さえする。
この子が生まれることで、あたしと清四郎の間に亀裂が入ってしまいそうな気がして怖かった。

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野梨子も悠理も最後のどろどろどろ・・です。

桜咲く頃

2007-04-22 22:29:25 | 二次系
「なんで、こんなところに…。」
清四郎はぼやいていた。
学校帰りに悠理の家に行き、宿題を教える筈だった。
なのに、今は全然違う場所にいる。
はやてに乗って、来てしまった。

そもそも、ここに来る要因となったのは、おやつを食べている最中にテレビをつけていたら、テレビでじゃじゃ麺が出てきたからだった。
『吉祥寺に、ジャージャー麺を食べさせてくれる店がありますよ。』
『やだ!ここのを食べるんだい!』
『新幹線で2時間はかかりますよ・・・』
そこへ、運の悪いことに万作が現れた。
『悠理、何騒いでるだ?』
『じゃじゃ麺が食いたいんだい!』
『じゃじゃ麺…?盛岡か?』
『うん!』
『今からとうちゃん、秋田に行くだよ。おめたちも一緒にいくだか?』
『行く行く。じゃじゃ麺♪』
『盛岡寄ってからだと、新幹線のほうがいいだべか。』
『新幹線ということは、駅弁~♪』
小躍りする二人。そして、じゃじゃ麺、盛岡行きの話はまとまってしまった。
『じゃ、僕は、これで…』
失礼するはずだった。が、万作に首根っこを押さえつけられ、清四郎はあえなく、拉致された。

盛岡で一番有名な店で、じゃじゃ麺とチータンを食べたあと、万作は秋田に向かっていってしまった。
朝一番で用事があったので、のんびり盛岡に滞在しているわけにはいかなかった。
一応、同じホテルに別々の部屋をとってもらった。
部屋で一人、清四郎はソファに腰掛けていた。
(一人でのんびりしましょうかね…。)
宿題の道具もおいてきてしまい、何もすることがない。
(仕方ないですな…。)
その時だった。
ドアをノックする音がした。
ドアを開けると悠理が立っていた。
「清四郎、冷麺と焼肉食う?」
「冷麺と焼肉?今からですか?」
さっき、じゃじゃ麺とチータンを食べて帰ってきたばかりである。
「そだよ。あといつ行くんだよ…。おいしい焼肉やさんがあるみたいなんだ♪」
・・・そんな訳で、またもや清四郎は拉致されてしまった。

清四郎には悠理の誘いを断れない訳があった。
清四郎は悠理のことを好きだった。
そのことに気づいたのは、3週間前、生徒会室でのことだった。
『桜が綺麗だな。』
悠理は生徒会室の窓を開けて、言った。
桜の花びらが、風に吹かれて、ひらひらと舞い込んできた。
『そう?』
美童が悠理を後ろから覆うように立った。顔を寄せて、『ほんとだ、綺麗だね。』と悠理に言う。
美童を振り返りながら、悠理が『だろ。』と笑う。そのまま、キスでもしてしまいそうな雰囲気。
鈍い痛みが、心を貫いた。むくむくと沸く、嫉妬心。。。
(そんなにくっつかなくてもいいでしょう!。美童、離れなさい…!離れるんです!)
心の中で叫ぶ。
『あんたたち、それじゃ恋人同士みたいよ。』
可憐が呆れ顔で突っ込んだ。
(そうですよ、まるでそれじゃ…。)
『美童、もうおやめになれば。…さっきから、清四郎が変な顔をしてますわよ。』
野梨子が清四郎を横目で見て言った。目が笑っている。
『野梨子、僕は変な顔なんて、してませんよ。失礼な!』
『そうでした?私の見間違いかしら。ホホホ。』
野梨子は意地悪そうな笑みを浮かべながら、清四郎を見る。
『とにかく。いちゃつくのなら、他でやってください。』
本当はいちゃついてなんてほしくはなかった。けれども、ここではそういうしかなく…。
『ま…、そうだね。他でいちゃつこうか、悠理。』
『あたしは、いちゃついてなんか…!』
不満そうにいう悠理に、美童はウィンクをし、清四郎ににやりとすると悠理から離れた。
美童はわかっていた。
清四郎が悠理を好きだということを。
だから、わざとみんなの前で、やったのだ。
それに気づいて、清四郎は内心悔しかった。
けれども、これがなければ、悠理のことが好きだということに、清四郎は気づかなかった。


---
じゃじゃ麺ネタ。
ちょっと食べたくなってしまって。
これも・・・中途半端なネタです。

10年目の嵐 17

2007-04-20 00:19:53 | 二次系
魅録が熟睡し始めたのを確認し、名残惜しかったが私は魅録の家を後にした。魅録の肌の余韻を楽しみながらタクシーで帰宅する。今の時間は朝6時を回ったばかりだった。
私は跡取り娘なので、前夫とも美童とも、実家で一緒に暮らしていた。ただし、昔祖父が使っていた離れを改築して、そこに住んでいた。寝るときだけ、そこに行くような感じだった。
今日は久々の朝帰りだった。本来なら両親への言い訳を考えなければならないところだが、父は2ヶ月前から入院しており、母は3日ほど前からロンドンのお弟子さんの結婚式に出るため不在だった。明後日帰宅予定だ。
玄関を開け靴を脱いでいると、離婚した美童との間にもうけた小学1年生の息子、一生(かずま)が起きて駆け寄って来る。
「一生さん、もう起きてたの?」
私は少々驚いた。
美童との間にはもう一人、5歳になる娘、美羽(みう)がいるが離婚の際に美童について行った。美童の前の夫の間には高校生になる二人の娘、萌々子(ももこ)と菜々子(ななこ)がいるが、スウェーデンに留学している。美童の影響だった。
「母さま、お帰りなさい。」
「ただいま。」
「紗枝さんがね、母さまが帰ってくるのを待たなくていいって言ってたんだけど、僕、心配だったから、起きてたの。」
紗枝さんというのはお手伝いさんのことだった。家を出るとき、息子を寝せるように頼んでいった。おそらく、息子を部屋に戻してから、彼女は帰宅したのであろう。そして、息子は帰ってこない私を待ち、一人でおきていた。
考えてみれば、息子を一人残して外泊したのは始めてだった。今までは、仕事で不在のときは母か双子の姉たちが一緒にいた。
「ごめんね。母様のお友達が病気になってしまいましたのよ。それで看病してましたの。一生さんもお腹が痛かったら看病して欲しいでしょ。」
私は一生を抱きしめる。
「うん…。」
納得したのかしないのかわからないような返事をする。
私は靴を脱ぎ、一生を促して、一生の部屋に向かう。
「起きて待っていたのなら、少し眠りましょう。一生さん。」
「うん…、でも今日は母さまと一緒にいたい。」
いつもはこんなことをいわないのに…、相当、寂しかったのだろう。
私は頷き、「母さまは今から着替えるから、お部屋で待っててね。」と言った。
美童と結婚する前、双子を残して清四郎や美童と体を重ねてたときには罪悪感なんて感じてなかったのに、一生に対しては酷く罪悪感を感じていた。

一生と一眠りしたあと、私は父の入院している病院に向かった。菊正宗病院ではない。父の知人のいる大学病院に入院している。足に動脈瘤が見つかり、手術をしたのだった。
今はすっかりよくなり、体力を取り戻すためのリハビリをしている。
私は個室のドアを開ける。
父と話しをしていると、携帯が鳴った。誰かと思い、確認をすると魅録からだった。
私は部屋の外に出て電話を受ける。心音がドキドキと高鳴っていた。
『もしもし、野梨子か…。』
「ええ…。」
何を言われるのかしら…。
『料理、おいしかったよ。』
魅録は照れ臭そうに話す。
「よかったですわ。」
『それで…。また会えないか?』
「ええ。会いたいですわ。」
今すぐにでも会いにいきたい。
『今日は、用事があるんだろ?』
「いえ、特にはありませんのよ。父が入院してるので、今は病室におりますわ。もうすぐ退院できそうですの。」
会えることをアピールする。
『野梨子さえ、都合が悪くなければ、近いうち、飯でも一緒にくわねーか。』
「ええ、喜んで。」
『明日、また電話するよ…。』
「お待ちしてますわ。」
私は電話を切った。魅録に誘われて嬉しくて興奮状態だった。深呼吸をし息を整え、病室に入った。

***

悠理とのことを何とかしなければ、野梨子と電話をしながら思っていた。野梨子と一緒にいる最中に帰ってきたら…。悠理のことをとても邪魔に思えた。
帰って来ない悠理に、俺は電話を掛けた。5回コールしたが、出なかった。
悠理とのことを片付けなければ、野梨子とは会えない。
俺がメールをかこうとすると悠理から、メールを受信した。
添付ファイルがついている。受信する前に本文を読む。
『悪いけど、お前のところには戻らない。荷物は適当に捨てていいよ。』
願ったり、というのはこのことだと思った。
添付ファイルを受信する。
「これは…。」
表示された画像を見て、恥ずかしくなった。野梨子の後ろ姿と俺の恍惚とした表情。
悠理に見られていた。
だから、戻って来なかった…。
野梨子との情事を考えれば、悠理と切れてよかったが、愛してやまなかった女に別の女との情事を見られていたかと思うと複雑な心境だった。


---
そろそろ佳境ですねー。たぶん。

髪に触れ・・・のもと

2007-04-20 00:12:23 | 二次系
桜は既に散りはじめていた。あれほど、毎年執着していた花見も今年は乗り気ではなく、自分からは声を掛けていない。親主催の花見でさえ、豪華な食べ物が出るのに『友達と約束が!』と言って断った。友達と約束なんてなく、一人で海に行ってテトラポッドに座り、ぼーっとさざめく海を眺めていた。
自分の気持ちに気付かなかったら、おそらく花見をしようと今年も言ってただろう。
昨年の花見のときに、偶然、清四郎が野梨子を抱きしめているのを見なければ。
皆が買い出しをしていて、二人だけが場所取りで残っていた。平日で人もまばらな公園。
強い風が吹き、土埃と花びらが舞う。
菓子担当の悠理が戻ると清四郎は野梨子を風から守るように抱きしめていた。
二人は悠理に気付かない。
息を呑み、その様子を見ていた。
3秒間。
逆方向に走りだす。何故かわからないけど涙が溢れてきて、止まらなかった。これじゃ、いけない、と思っていても、止まらなかった。戻ったのはそれから30分後。砂埃が目に入って痛いと喚いたら、あっさり信用されて、泣いてたことは疑われなかった。

「あたし…、こんな場所で何やってるんだろ。」
ひざを抱えて途方に暮れる。
花見から逃げても、何もならないのに。
ただ、あのときの情景が、思い起こされるだけ。
「野梨子と清四郎は、誰がみても、ぴったりじゃないか…」
口に出し、余計に落ち込む。

---
いつものような展開で・・。
というわけで、やめました。

10年目の嵐 16

2007-04-11 19:59:34 | 二次系
悠理に覆い被さるような形で長い口づけを交わしながら、悠理の身体に触れようとしたとき、悠理が僕を拒絶した。
背けた首筋に赤い痕がついていた。
「これは…?」
僕は悠理の赤い痕に触れた。既に男がいると言うことなのか?
心臓をわしつがみされたような気がした。
悠理が顔を背けたまま、話し始める。
「あたし…、この家を出て、行くところが無くてホテルにチェックインしたんだ。そこで魅録に偶然逢って一緒に飲んだんだ。」
相手は魅録…。
昔、魅録は悠理のことを好きだった…。今でも?そして二人は付き合い始めたのか?
魅録に対し憎悪を感じる。
僕の悪感情に気付いたのか、悠理は僕のほうを向いた。
「…魅録とは、その…、勢いでそういうコトになってしまって、それで魅録の家に世話になっていたんだけど。」
やっぱり、そうだったのか。
背筋に冷たいものを感じる。
悠理は弁解するような口調に変わる。
「あたし、あの家にいると息が詰まるから、時々日中散歩してた。そして、偶然、今日、可憐のおばちゃんに会って『幸せか』と聞かれたんだ。その言葉を反芻してるうちに、あたしは魅録といてもちっとも幸せじゃないことに気付いたんだ。」
悠理は僕を見つめ、静かな口調で話し始めた。
「…あたしには、お前と真人と聖羅と一緒にいるのが、何よりも幸せだったと気付いたんだ。お前に野梨子がいようとも、お前が野梨子といることを望んでいると言う言葉をお前の口から言わない限りは、あたしはお前と一緒にいるべきだったんだと、思った。あたしには何よりも大切な家族だったのだから。」
左手で僕の頬に触れる。
「あたしはやっぱり清四郎を愛してる。誰よりも愛してる。」
悠理は僕を見つめたまま、きっぱりとした口調で僕に告げた。
「悠理…。」
「…もう、こんな風に汚れてしまって、そんなことを言う資格はないけど。」
寂しそうに微笑んだ。僕は悠理の髪をくしゃっとしたあと、軽く口づける。
「…僕たちは遠回りをしたけれど、やっと気持ちが通じ合った。野梨子とのこと、魅録とのことがあったが、それは僕たちがいろいろ自分のことを分かるためには必要なプロセスだったんですよ。」
「プロセス…?」
「そう、お互いにお互いがどれだけ必要だったのかとわかるためにね。」
再度軽く悠理に口づける。
「僕も愛しています、悠理。」
僕は悠理に口づけながら、パジャマを脱がしていく。魅録の痕を消していくように、僕はその痕に口づけた。

朝目覚めると隣りに悠理が眠っていた。
安らかな寝顔を見て安堵する。
思わずその頬に口づけたくなったが、起こしてしまったら、この安らかな一時が壊れてしまうような気がしてやめた。
まるで初めて出来た恋人のように僕は悠理を求めた。
一度目が終わったあと、息も絶え絶えに悠理が「野梨子のことも、こんな風に激しく抱いたの?」と聞いてきた。野梨子のことを気にしている。
「抱きませんよ、当時、僕はストレスでEDだったんですから。」我ながら、苦しい言い訳だと思う。
でも単純な悠理は「ふ~ん。」と言い、それ以上は突っ込まなかった。いや、正確には二度目に突入し、うやむやにした。
野梨子とはどんな風に体を交わしたのか、もう覚えていなかった。当時求めてやまなかったのに、今は記憶の片隅にも彼女の感触は残っていない。

悠理を起こさないように起き、服を着ると会社と豊作さんに今日の打ち合わせを欠席するメールをいれた。今日の打ち合わせは僕がいなくとも何とかなる打ち合わせだった。今日一日くらいは、悠理と一緒にいたかった。
朝食の準備をし、悠理の眠っている部屋に向かう。
悠理は僕の気配で目を覚ました。
「おはよ…。」
照れくさそうに悠理は言った。
「おはよう。」
僕は近づいて行き、悠理に口づける。その口づけが段々深くなっていき、僕はベッドの住人となった。朝食を食べたのは、お昼近くだったか。

---
次の10年~のアップは来週以降かなぁ。。。
次は野梨子です。

10年目の嵐 15

2007-04-09 21:39:40 | 二次系
悠理を伴って僕はマンションに入った。悠理は酷く疲れた様子だった。お茶をいれて悠理に出す。
悠理は黙ったまま俯いている。
沈黙が流れる。
「着替えて来ますよ…。それにお風呂を入れてきます。」
「佐々木さんは?」
「僕、一人の家に毎日お手伝いさんは不要ですよ。今は週に二回だけ掃除に来て貰ってます。」
「そう…。」
「じゃ、服を着替えて来ます。」
ニコリと悠理に微笑みかけ、僕は服を着替えに行った。
服を着替えている最中に、お風呂に湯を入れている最中に悠理がいなくなってしまわぬように願いながら。

着替えて戻ってみると悠理はお茶を飲みながらテレビを見ていた。賑やかな娯楽番組だ。今の僕たちの雰囲気とは正反対だ。
僕が部屋に入ってきたのに気付き、悠理は顔を向けた。僕を見て少しニコリとする。
何故かその何気ない素振りにさえホッとする。
僕は悠理の向かい側に座った。
「あと15分もすれば入れると思いますので、先に入って下さい。」
「うん…。」
また沈黙が流れる。何をどう話せばよいのかわからない。
「な…。」
悠理は、僕に呼び掛けると持っていた湯飲み茶碗をテーブルに置いた。
「野梨子は…。」
聞きにくそうに、僕に尋ねた。
野梨子と僕が何かあると、やっぱり思っていたんだ…。
「僕と野梨子は何もないですよ。野梨子からアクションがありましたが、僕が愛しているのは悠理だと、伝えましたから。」
静かな口調でさらっと僕は悠理に伝えた。悠理は顔を真っ赤にする。
悠理の様子を見て、伝わったようで、ホッとする。
こんな風に告白したことはないので、平静を装っている自分自身が不思議だった。心臓は激しく波打っているのに。
「風呂、入ってくる…!」
激しく波打ってるのは、悠理も同じようだった。顔を赤くしながら、立ち上がる。
「お前のパジャマは、脱衣所にあります。」
「捨ててなかったの…?。」
意外そうな顔で僕を見る。
「真人の選んだものでしたから。」
「そう…。」
悠理はしんみりした顔をして、風呂場に向かっていった。

悠理が風呂からあがり、僕も入った。この瞬間にいなくなってしまわぬように、と考えるとなかなかゆっくり浸かっていられなかった。
急いで風呂から出ると、悠理の元に行く。
悠理はソファにもたれてうたた寝をしていた。
「悠理…。」
声を掛けるが疲れているのか起きる様子はなかった。
あの時と同じように悠理を抱え、僕はベッドに運んだ。悠理の部屋はまだあったが、僕の部屋に運ぶ。
ベッドの上に静かに乗せる。僕は悠理に軽く口づけた。
「ん…。」
悠理が目を覚ます。慌てて身体を離す。これでは、白雪姫だ。内心苦笑する。
「あれっ、あたし…。」
上半身を起こす。
「声を掛けても起きなかったので連れてきましたよ。」
「ここ…、清四郎の部屋じゃないか。」
「ええ…。悠理の部屋はまだあるんですけど、掃除してなかったものでね。」
あの日のまま、今もある。未練がましくも、片付けられなかった。
「僕は、居間のソファで寝ますから、ここで悠理は寝て下さい。」
僕は悠理の頭をポンポンと叩いた。ニコリと微笑もうとすると、悠理と視線が合った。縋るような瞳で僕を見つめる。
僕は悠理の頬に手を添えて引き寄せると口づけた。軽い口づけが徐々に深くなっていった…。

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ブログのほうはついアップするのが簡単で・・・。

10年目の嵐14

2007-04-03 23:32:25 | 二次系
少し寒くて目を覚ました。隣にいる悠理を抱き寄せ、布団を掛ける。
いつの間にか眠ってしまったらしい。起きたばかりなのに頭がフラフラする…。
俺はタバコを探し始め、やっと異変に気付いた。
寝ている場所は寝室ではなくリビングだった。テーブルが避けてあり、絨毯の上に布団が敷いてある。そして、悠理だと思っていた隣の女は…。布団をまくりあげ顔を見る。
野梨子!!
いったい、どうしてこうなったのか、思い出せない…。しかも、悠理は…?
俺は、悠理を探して起き上がろうして、野梨子を引き離そうと体に手を掛けた。
「起きてましたの?」
そういって野梨子の目がパチリと開いた。
「ああ…。」
野梨子のまっすぐに俺を見る瞳にうろたえた。
にやりと野梨子は微笑むと、俺を見つめながら、ゆっくりと布団の中に潜り込む。そして俺のモノをくわえた。
「止めろ!野梨子!!」
俺はやめさせようと抵抗する。
なんでこんなことを…!
慎ましくしとやかなはずの野梨子に犯されてしまい、俺はかなり動転していた。
野梨子がこんなことをするはずがない…。
頭では野梨子の様子に否定し抵抗しつつも、野梨子の巧みな舌使いにだんだん抵抗しきれなくなった。
野梨子が俺の上に乗り、腰を動かし始める。快感が脳天を貫く。
俺は野梨子の動きに合わせて喘いでいた。この時には既に悠理のことは頭から抜けていた。この後、朝が来るまで身体を交わしていた。
昼ごろ目を覚ますと野梨子は既にいなかった。俺は悠理ではなく、野梨子を探していた。野梨子の肌の感触を身体が求めていた。
ダイニングの方に向かうと食事が用意されていた。
シャワーを浴び、食事を食べる。
おいしい。
頭はまだぼうっとしている。
野梨子の体内で締め付けられる感触を思い出すと屹立してくる…。
俺は熱に浮かされたようだった。
俺が愛しているのは悠理のはずなのに、俺にされるがままの悠理より、俺を犯した野梨子に惹かれていた。野梨子のことを思い出しながら自然と手は股間に伸びていた。

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魅録、犯されて、毒されました。

もともとのストーリー

朝起きたら全裸の魅録の隣に野梨子が全裸で寝ていて、「俺は一体…」と魅録が言ったら、「私のことを昨日の夜…。」とか野梨子が言い、よよよと泣いて家に帰る。その後、悠理がいないことに気づいた魅録は血眼?になって、探す。清四郎の家にいることに気づき、悠理は自分の彼女だと喚き、その証拠にキスマークが…、と言う。清四郎が悠理を見つめると悠理はいたたまれなくなって、清四郎の家を飛び出す。

ちなみに清四郎がゴーカンのときもやっぱり魅録が現れるというストーリーで。。。


という話だったはずなんですけど。。。
なんか、書いてるうちに、私まで毒されました。
でも、魅録編、これ以上書くのはつらーいので(笑)