日々是好日

身辺雑記です。今昔あれこれ思い出の記も。ご用とお急ぎでない方はどうぞ・・・。

藍川由美さんの歌う原曲「君が代」の素晴らしさ

2006-08-13 17:36:15 | 音楽・美術

私の敬愛する藍川由美さんは私の日本語の歌の先生である(と勝手に決めている)。日頃から、日本人はちゃんとした発音で日本語の歌を歌いましょう、と力説されているが、自らも実践しておられる。その藍川さんが最近【「日本のうた」歌唱法】なるCD(小冊子付き)を出されている。先日、久しぶりに立ち寄った梅田JEUGIAで見付けて、即買い求めた。これを教材に勉強するのが楽しみであるが、このCDに納められている国歌「君が代」を聴いて深い感銘を受けた。「君が代」が歌い方でがらりと表情のみならず、その性格まで変えてしまうのである。

新年の宮中歌会始で和歌が朗詠されるが、昔は何百種類もあった『ふし』が、今では「甲調」「乙調」「上甲調」の三種類になってしまったとのこと、『ふし』を覚えて好きな和歌を朗詠するのも楽しそうである。その「甲調」による「君が代」の朗詠でまず始まる。

次に明治13年10月に作曲された「君が代」の原曲を藍川さんが歌っている。雅楽の伝統に基づいて作曲されたもので、雅楽伴奏の一部をピアノで弾きながら歌っている。テンポが極めてゆっくりしているのがいい。言霊に導かれて天の高みの上る心地がする。これだけゆっくり歌うと、否応なしに発音が明晰にならざるをえない。その言葉が心に浸透していくのである。

「君が代は 千代に八千代に」をこの調子で歌うと、『君が代』が、新明解に①(雅)あなたの一生(生涯)。〔狭義では、わが主君の御代を指す〕と出てくるように、あなたの一生が千代に八千代に、と素直に心に入ってくる。この相手に対する言祝ぎが、そのまま自分に戻ってきて、生きているもの同士の連帯感を歌を介して確かめ合うことになる。

私は藍川さんにワールドサッカーのような大舞台で、この原曲「君が代」を是非歌って欲しいと思う。大会場の観衆全員が粛然となることは間違いない。そうして確かめ合った全員の連帯感が試合を勝利に導くことだろう。

私はこの原曲「君が代」を正式な日本の国歌と定めるのがいいと思う。公の場で演奏されるのももちろんこの曲で、できるかぎり歌を唱和する。これほどゆっくりしたテンポで演奏、もしくは歌われる国歌は他にないのではなかろうか。藍川さんは♪x2=44ぐらいのテンポで歌っている。血を見ずには収まらないように煽り立てる調子の、ガチャガチャしたどこかの国歌などとは対照的な悠長さである。私はこの原曲「君が代」こそ、自然を前にして敬虔になり、お互いの長寿を言祝ぎ平安を希求する、日本人の心をあらわすのにピッタリの曲であると思う。

この原曲「君が代」のあと、現行の「君が代」を聴いてみるといい。あくまでも比較の上であるが、私には『品格』が感じられなかった。そしてなんと、この曲に合わせて

 ♪ぽっ ぽっ ぽ、
  鳩ぽっぽ、
  豆がほしいか、
  そらやるぞ・・・

と文部省唱歌が私の口をついて出て来たのである。

藍川さんの歌う原曲「君が代」はほんとうに素晴らしいと思う。21世紀の日本の国歌として定着させたいものである。

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