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「最先端研究助成」よりましな2700億円の使い方があるのでは  追記有り

2009-05-28 21:05:36 | 学問・教育・研究

これは5月27日朝日朝刊の記事である。科学技術研究に大型予算とはご同慶の至りと申し上げたいが、今回ばかりは素直にその気になれない。というのもこの2700億円の出所がいわゆる景気対策のための15兆円の補正予算で一過性のもの、いわば科学技術界への一時定額給付金のようなものであるからだ。日本の科学技術研究基盤をどのように築いていくのか、国家の大計に基づいての予算計上ならともかく、どうも場当たり的なばらまきに終わりそうな予感がする。それでも科学界が潤えばよいではないかとの意見もありそうだが、週刊誌の新聞広告での見出しのようではあるが、「2700億円の最先端研究助成は日本の科学研究基盤を崩壊させる」とまで私は考えてしまうのである。

上の新聞報道では

 政府は09年度補正予算案に、最先端研究向けの研究助成費として過去最大規模の2700億円を盛り込んだ。文部科学省系の独立行政法人、日本学術振興会に創設する基金を通じ、首相が決めた30前後の研究に3~5年かけて配分する。

とある。「政府は09年度補正予算案に、最先端研究向けの研究助成費として過去最大規模の2700億円を盛り込んだ」ことと、「首相が決めた30前後の研究に3~5年かけて配分する」の関係が明確でないので、2700億円を3~5年かけて配分するのかどうかが分からないが、一応今年度で2700億円規模とみることにする。

2700億円がどれほどのものかと言えば、次の科学研究費補助金の伸びのグラフを見れば分かるように、平成19年度の科研費1913億円を遙かに上回っている。これだけのものを一挙にぶちまけようというのだから大津波の襲来である。


この助成金の1件当たりの配分額は、最大30件(平成19年度の科研費の採択件数(新規+継続)56400件のかれこれ1900分の1)とすると90億円となり、私から見ると天文学的数字になる。このような大金を上手に使いこなせる器量のある科学者がはたして日本にいるのだろうか。何事も経験によって学ぶのが常で、お金の使い方も例外ではない。親の莫大な遺産を手にしたとか、事業で大もうけしたのなら自ずと学習の機会もあるだろうが、学者・科学者のなかにそれほどの金満家がいるとは私には思えない(おられたら失礼!)。金を使い慣れない人が大金を手にするとどうなるか。ついつい鷹揚になり無駄遣いを無駄遣いと思わない感覚が発達して金銭感覚が麻痺し、下手すると身を滅ぼしかねない。私がこのような口出しをす所以である。

大金を使いこなす度量が一人ひとりになくても、みんなで使えば怖くない、と群れを作る。いわゆる研究班である。ではどのような人が中心になるのだろう。この新聞記事にも「人工多能性幹細胞(iPS細胞)」と出ているので、京都大学の山中伸弥さんのような方が浮かび上がってくる。すなわちそれぞれの研究分野で自他とも許す第一人者であり、世間にもそれと知られた名だたる方々ばかりであろう。隠れた逸材が下馬評に挙がり抜擢されるような柔軟性は残念ながら日本は持ち合わせていないと思うからである。となると当然このような第一人者は、これまでも比較的潤沢な研究費をあれやこれやの名目で獲得していることであろう。その人たちが屋上屋を重ねるような形でさらに突出した研究費を手に入れることになる。その限られた人々の周辺にお金がだぶつく状況が起きると、必ずや金銭的退廃が生じるだろうというのが私の懸念するところなのである。

このような「一時定額給付金」的科研費の氾濫が、科学研究者の金銭的モラルを大きく揺すり、ひいては科学研究基盤の崩壊をもたらすのではないかと恐れるあまりに、2700億円の別の使途を遅まきながら提案したい。学校耐震化費用に当てるのである。昨年末参議院予算委員会で民主党那谷屋正義議員が、定額給付金に使おうとしている2兆円があれば、学校耐震化の費用となる7000億円から8000億円が十分に賄え、おつりがくる、と主張している。それなら2700億とけちらずに7000億であれ8000億であれ予算に計上して、このさい思い切って学校の耐震化を一挙に推し進めるのである。このようなインフラ整備が、景気対策により直接的な効果を発揮することは疑いなかろう。このほかにも、たとえばポスドク活用策に振り向けるとか、「最先端研究助成」よりましな使途はいくらでも出てくると思う。たとえ一部の研究者であれ、金まみれ状況を作り出すことを許すのは愚の骨頂である。現行の「最先端研究助成」にそっぽを向くぐらいのやせ我慢の精神を現役の方々に期待したいが、酷というものだろうか。

追記(5月29日)
文部科学省による平成21年度補正予算(案)の概要を見つけた。学校耐震化の早期推進、太陽光パネルをはじめとしたエコ改修の拡大に2794億円の予算が計上されており、これで耐震化がかなり大幅に進められそうなので一応安堵した。一方、高度な専門的能力・知識をもつポスドクの産業界での積極的活用を含む成長力強化のための高度人材の活用に17億円が計上されているが、これではいかにも少ない。博士浪人問題を一挙に解消するために、たとえば企業への持参金を考えるとすると、1000億円もいらないのではないかと想像する。もちろんお金だけで片付く問題ではないが、問題解決の突破口になることは疑いなかろう。
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