震災以来更地となっていた一画に私は隠宅を構えたが、その裏は空き地で草花の生い茂るままに任されていた。それが昨年、ふとしたことから話がまとまり、家の敷地を延長する形で土地を買い取ることになって、現在、造成がのんびりと進んでいる。一応周りをフェンスで囲うことになり、そのためには何本かの木を伐採することになったので、赤い実で私の目を楽しませてくれていたクロガネモチもその運命を辿るはずであった。ところが木の具合をよく見ると、このクロガネモチは二本とも苦労もなしにすくすくと育っただけの木ではないのである。逆境をはねのけて逞しく成長した痕跡がくっきりと残っていて、これを切りとってしまうのが可哀相になった。そこで、根付くかどうかわかりませんよ、と植木屋さんに言われながらも移し替えて貰ったのである。

手前のは金網を食い込んで二本の幹が生長しているので、動かすのに幹の周りで金網を切りとらなければならなかった。右側の幹に網目模様が刻み込まれているのがはっきりと見られる。鳥が運んできたのだろうか、その種が発芽して金網を食い込みつつ大きくなったのに違いない。

もう一本の木も根元で柵の木材をくわえ込んだまま二本の幹に分かれている。上の方ではさらに金網をもくわえ込んでいる。

移植に先立ち枝を切り払いほとんど丸坊主になってしまったが、その旺盛な生命力でふたたび花を咲かせ実を結んで欲しいものである。

手前のは金網を食い込んで二本の幹が生長しているので、動かすのに幹の周りで金網を切りとらなければならなかった。右側の幹に網目模様が刻み込まれているのがはっきりと見られる。鳥が運んできたのだろうか、その種が発芽して金網を食い込みつつ大きくなったのに違いない。

もう一本の木も根元で柵の木材をくわえ込んだまま二本の幹に分かれている。上の方ではさらに金網をもくわえ込んでいる。

移植に先立ち枝を切り払いほとんど丸坊主になってしまったが、その旺盛な生命力でふたたび花を咲かせ実を結んで欲しいものである。