goo blog サービス終了のお知らせ 

日々是好日

身辺雑記です。今昔あれこれ思い出の記も。ご用とお急ぎでない方はどうぞ・・・。

ぐるっぽユーモア風オペレッタ「チャルダッシュの女王」あれこれ

2010-12-27 18:18:12 | 音楽・美術
今年のぐるっぽユーモア風オペレッタ「チャルダッシュの女王」の公演が年の瀬も押し迫った昨26日に兵庫県立芸術文化センター阪急中ホールで催された。午後2時に始まり第一幕と二幕の間に15分の休憩を挟んで終わったのが4時半前、あー楽しかったというのが私の第一声であった。これで今年も終わりである。

現役時代、ブダペストで開かれた学会の余興でチャルダッシュの歌と踊りを観たのが何時のことだったか、そのときにカールマン(Emmerich Kalman)の名前を覚え、いくつかのオペレッタを作曲していることを知った。そのうちの一つ、「チャルダッシュの女王」を始めて観たのは10年ほど前で、ハンガリー国立ブダペスト・オペレッタ劇場が大阪フェスティバルホールで「メリー・ウィドウ」と「チャルダッシュの女王」の連続公演をしたときである。連日妻と通い「チャルダッシュの女王」では大団円のエネルギッシュな歌と踊りに酔った観客が大いに囃したてるものだからアンコールに次ぐアンコールで、妻までが「ブラボー」とか大声を上げるのでびっくりした思い出がある。「チャルダッシュの女王」には親しみやすいメロディーがふんだんにあるので身近に感じているものだから、ぐるっぽユーモアでやらないかなと口にしていたら、いつの間にか実現することになったので今回の公演を心待ちにしていた。

チャルダッシュとはいわばジプシー音楽で流れに緩急の激しいのが特徴、それに踊りが加わる。「ぐるっぽユーモア」がそれにどのように立ち向かうかが私の個人的な興味であったが、プロはだしを期待するのは厚かましすぎるというものであった。これからは観劇された方を前提とするが、プロでも踊りが苦手だからと、酒に酔っぱらっては座り込む演技に変えてもらった歌姫シルヴァもいるということだから、出演の皆さん、無理に足を振り上げたりせずに無事に舞台をつとめられたことはご同慶の至りである。そういう目で観たせいか、第一幕は大人しい出出しで女性のスカートの赤い色とブラウスの胸を飾るハンガリー刺繍?がエキゾチックな雰囲気を醸し出すのには効果的だったが、全体の動きがかなり平板的であった。その中にあって目立ったのが小柄な女性の小気味の良い活発な演技で、今はこういう状況なんですよという説明役の働きをしているように感じた。これが一人だからよかったので、もし出演者の半分はよく動くが残りは控えめとなっては、舞台がバラバラになって仕舞ったことだろう。

第二幕になると公爵家大広間の舞台装置にかわり、それだけで立体感がはっきりとした。それに二十名の出演者全員が舞台に揃う場面が多く、合唱がなかなか力強く華やかで盛り上がってきた。二重唱もそれぞれよかったが、公爵と公爵夫人の二重唱「初めて貴方と」が私の心に温かくしみわたった。役柄として歌っている二重唱に、二人の実生活の長い生活体験が結晶しているように感じたからである。ほんとうにいいなぁと思っていたら、妻も同じように感じていたようである。同じことが出演者全員についても言えるのであって、こういう舞台の味わい方に観客を優しく誘うのがぐるっぽユーモアならではの持ち味で、プロには絶対真似の出来ない利点でもあると言えよう。だからこそ今回の超満員となる観客を引き寄せたのだろう。そして出演者一人ひとりにスポットライトを当てるべく、換骨奪胎自在の岡崎脚本・演出のウラを探るのも楽しかった。でも原作のEdwin Ronaldをなぜエドウィン・ピーターにしたのかが分からなかったし、さらには(私の勘違いでなければ)大きく戸惑ったことがあった。

第二幕でスタージが「違った世界に」を歌い始めたときに、あれっ、これはピーター(ことロナルド)の歌ではないかと思った。というのもドミンゴがイザック・パールマンのヴァイオリン伴奏で歌っているこの曲、原題「Weisst du es noch?」を私はよく聴いていたからである。元来はピーターが歌い、シルヴァとの二重唱が続いて終わりの方でシルヴァが一人で歌うことになっている。それなのにシルヴァならぬスタージが始めから一人で歌ったから驚いたのであるが、これも岡崎マジックなのだろう、スタージの見せ場が立派に生きていた。そして第三幕、「Program note」で物語のあらすじが解説されていたが、そこには隠されていた「瞼の母」物語が急浮上して大団円。ちょっとくどいなと思ったが、カーテンコールに拍手を送っている間は忘れていた。

ところで舞台展開が丁寧に説明されていたのでそのついでに、各場面で演じられる音楽のタイトルを原語で表記できないものだろうか。出来たら次の機会からお願いしたいものである。今や有難いことに原題さえ分かればYouTubeで検索してほとんどの曲に辿り着けるご時世だからである。ぐるっぽユーモアの公演が終わったら、西北のあたりにはYouTubeで耳を肥やし、公演に出てきた歌を思い思いに口ずさみながら行き交う人が増えてきたなんて、想像するだけでも楽しいではないか。私はさっそく「Weisst du es noch?」を口にしながら劇場を後にした。


最新の画像もっと見る