lainのなりゆき雑記帳

映画を楽しむための映画の感想。アニメの感想。日々雑感。愚痴も有り。小説も有り。

今年観た映画

2007年12月31日 01時26分32秒 | 映画
今年は近所にTSUTAYAが出来たので映画結構観ました。今まではTVで面白うそうなのが放送される時に見ていたのですが、やはりCMもカットもないDVDでの鑑賞は映画に集中できるので良いです。そんな訳で今年私が観た映画で印象に残ったものについて少し書きたいと思います。

■一番印象に残った映画(あくまで私が今年観た映画ってことで、公開年とかは関係ないです)
・サスペンス
バタフライ・エフェクト」これに尽きます。脚本とアイディアの勝利というか。とにかく切ないんですよね。切ないオチではあるんだけど爽やかでもあって、見終わってしばらくは余韻が抜けなかったです。

・感動ドラマ
ショーシャンクの空に」「サイダーハウス・ルール」の2本です。どちらも味わい深い映画で見応えも十分。ショーシャンクはドラマチックな展開と重圧な人間ドラマとしての両面で楽しませてくれました。サイダーはとにかく静かに心に染みます。ジワジワと染みこむような映画です。

・SF
トゥモロー・ワールド」とにかくリアルな臨場感にやられました。安直な言葉だけのテーマを掲げた映画でない所も良かったです。

・ホラー
エミリー・ローズ」がとにかく印象的でした。オカルトと法廷劇の見事な融合とでも言うんでしょうか。オカルトのみで押し切るのではなく、法廷劇を通してそれぞれの立場の人々の内面を描いたドラマとしての見応えもあり、凄く楽しめました。

・アニメ
映画としての出来は断然「鉄コン筋クリート」なんだけど、個人的にはざっくりと心に刺さるような切なさがとにかく印象的だった「ほしのこえ」かなぁ…。

・衝撃的?
マルホランド・ドライブ」は、十分衝撃的でした。内容がと言うことではなく(ある意味衝撃的だったけど)、こういう映画もありなんだぁ、と言う驚きと、自分がこれを観て心を揺さぶられた事がなんだか衝撃的な体験でした。

・好きなんだからしょうがないじゃんw
フォーガットン」は個人的に凄く気に入っています。今まで観た中でこれほどまでに絶望的な状況と雰囲気を、ここまで醸し出している映画観たことないと思います。そう言う点で貴重な体験をさせて貰ったので気に入っています。

・監督
M.ナイト・シャマラン監督の映画は個性的で、好きな監督さんです。とにかくドラマ面での人間描写も絶対手を抜かないので、その辺は信頼して観れる監督さんです。お気に入りは「ヴィレッジ」かなぁ、でもまだ未見の映画も何本かあるので、来年はその辺を少しずつ楽しみながら観ようかな、と思っています。

・変な映画
イベント・ホライゾン」がなんだか好きなんですよ。正しいB級SFと言うか(笑)実は借りてる間、何度も見直してしまいました。こういうのは何回観ても飽きないです。多分一般的な人に言わせたら変な映画だと思います。でも好きなのですw

良いお年をお迎え下さい。私は来年は良い年にしたいです^^;

ファイナル・デスティネーション

2007年12月30日 01時48分57秒 | 映画
フランスへの修学旅行へ向かう為飛行機に乗り込んだアレックス。彼は座席に座った瞬間、飛び立った飛行機が爆発し、自分が死ぬ夢を見る。リアルな夢に混乱したアレックスは飛行機を降りようとするが、他の生徒ともみ合いになり、教師を含めた7人が機外に連れ出され飛行機は彼らを残して離陸してしまう。しかしまるでアレックスの夢の再現のように、飛行機は離陸直後に爆発し墜落してしまうのだった。

ジェームズ・ウォン初監督?作品ですか…。それにしては内容濃いですね~。すっかり集中して観てしまいました。大抵どんな映画でも必ず「素の自分」に返る瞬間があるんですが。例えば、トイレに行きたくなったり。のど乾いて飲み物に手を伸ばしたり。この映画、見始めたらすっかりハマってしまって、気がついたらエンディングですよw 良い感じです。

内容は完全なスリラーもの?だと思います。ただし敵はジェイソンでもフレディでもありません「運命」あるいは「死に神」と言ったら良いんでしょうか。目に見えない「神の手」のような者が相手です。本来飛行機事故で死ぬはずだった7人。死に神は一度死の烙印を押した彼らを執拗に追いかけ回し、確実に葬っていきます。

この手のスリラーだとお約束として死ぬ人に結構分かりやすい「死亡フラグ」が立ちます(一人で危ない場所に出かけるとか、大事なものを忘れて一人で来た道をもどるとか…)が、この映画では最初から7人全員に死亡フラグが立っているので、いったい誰が生き残るのか、それとも全員死んでしまうのか全く分かりません。次に犠牲になる人間が誰なのか、その辺はスリラーのお約束的な表現の部分もありますが、こっちがふっと力を抜いた瞬間にドカーンと来たりするので、凄くドキドキしちゃいました。この辺が心憎い!ニクすぎるw

こういう押しと引きの力加減はなんか絶妙ですね。緩急自在というか。だから集中して見れるんでしょうね。とにかく無駄なシーンが無くて、全体の構成の良さが光ります。特典映像に、テスト試写で不評で没になったエンディングなんかも収録されいるので、見比べてみるのも面白いです。確かに没版のエンディングは広がりがあってキレイな終わり方ですが、そこまでと流れが変わってしまうので、ストレートなものを好むアメリカ人に不評なのは何となくうなずける気がします…。

低予算、大物俳優もいませんが、スリラーとしては一級品の内容だと思います。お約束が安っぽくなってしまわない所も良いです。手が込んでいて細かい所も丁寧に工夫して作られているので、思う存分叫んで頂けるのでは、と思います(笑)

ラーメンズ「TEXT」

2007年12月29日 04時13分26秒 | ドラマ、アニメ
深夜NHKで放送されいたので録画しようと思ったらビデオぶっ壊れました(泣) しかたなくリアルタイムで試聴することに(汗)眠い(笑)

ラーメンズご存じですか? 小林賢太郎と片桐仁の二人組のお笑いのコンビですが、TVとかに出まくってる安っぽい吉本系芸人さんとかとは全くちがっています。まず、TVのバラエティとかには全くでません。舞台中心で、その舞台でも独特のちょっとひねりのある知的?なネタなんかをやったりします。ネタも全て小林賢太郎が書いていて、舞台はもの凄くシンプルな入り口の付いた壁と、椅子なんかにもなる四角い箱だけです。衣装もシンプル、基本は裸足です。これが彼らの基本的なスタイルですが、舞台装置がシンプルな分、観客の方に想像力が要求されます。でも結構好きです。会社の同僚にベストのDVDを貸してもらったのが切欠でしたが、すっかりはまってしまいました。

ただね、私もまだ完全に鬱が全快しているわけではないので、TVとか見れるものと見れないものがあって、見れないものは全然頭に入らないし、気分が悪くなってきてしまうので、とりあえず録画しておいて気が向いたらじっくり…、と思っていたんですが。

なんか前半の言葉遊びの複雑なギミックのある掛け合いの部分は全く頭に入らずちょっと辛かったです。でも、嬉しいことに「タカシと父さん」系(片桐仁の勢いネタ)の馬とジョッキーのエピソードは笑えました。こういう単純なのがいいですねw あと物語っぽいのも見やすかったかな。最後はなんか寂しいような悲しいような、演劇的なエンディング。小林賢太郎はこういうのすきなんでしょうね。嫌いじゃないですけど。

私の熱心な布教活動の成果もあって、今では私の周りみんながラーメンズ大好きになってくれて本当に嬉しいです。飲み行くと必ずラーメンズのネタがでますし(笑) YouTubeでも簡単に検索すると昔TVでやっていたネタとかは見れるので興味があったら是非どうぞ。ホントはDVD借りて細切れで無い奴を見て欲しいんですが、悲しいかな、TSUTAYAとかにはラーメンズ置いてないんですよね。TVにでない、と言うのはこの世界では存在しないって事なんでしょうか? ちょっと寂しいです。

地道に舞台中心に自分たちの世界を追求している人たちなので、今時の芸人さんにしては珍しい、と言えるのかも知れませんが。一度はまると結構病みつきになりますよ。

今日は映画鑑賞はお休みです(笑)

トゥモロー・ワールド

2007年12月28日 03時06分28秒 | 映画
2027年全世界的な出生率は0%。もう何年も子供が生まれない世界。世界各地では紛争が起き、辛うじて英国だけが国境を封鎖し、移民を排除することで秩序を保っていた。そんな英国のエネルギー省につとめるセオは、ある日反政府組織に拉致される。彼を拉致したのはかつての妻であり、組織のリーダーでもあるジュリアンだった。

ジュリアンは不法移民の少女を「ヒューマン・プロジェクト」と呼ばれる不妊の問題について研究している組織に届ける為、通行証を工面してくれないかとセオに頼みます。セオは政府の高官とも親しい間柄にあり、難なく通行証を入手しますが、同伴が条件であるため、セオも少女に同行することに。そして「ヒューマン・プロジェクト」の船「トゥモロー号」にコンタクトするため、指定された海岸に向かいます。

この辺りまではなんか情勢が不安定で治安が悪化しているとは言え命の危険は無く、私もお菓子をつまみながら気楽にみていたのですが…。一行を乗せた車が検問所を目前にして暴徒に襲われる場面で、事態は一変します。一体この少女にどんな秘密があるのか。そして反政府組織の目的は何なのか。セオを取り巻く情勢は急変し、一気に物語りも緊迫したムードに。

とにかく徹底したリアリズムの追求が目をひきます。まるで目の前でその事実を目撃させられているような臨場感。ハリウッド的お約束はこの映画の中では通用しません。容赦の無いバイオレンスシーンに、驚いている暇も無いほど、物語は急激に加速して観ている者を否応なく巻き込んでいきます。

そう、観客はいつの間にか映画の画面の中に立たされています。終盤難民の収容所(町がそのまま収容施設になっている)で、連れ去られた少女をセオが追いかけるシーンは、驚異的な長回しのワンカットで構成されています。臨場感というより、私はカメラを担がされてセオを追いかけ、彼と共に銃火の飛び交う戦場を走り抜けていました。流れ弾がカメラをかすめ、住民の体を貫き、レンズにその血糊が飛び散りますが、カメラはそのままの状態でセオを追い続けます。少女の連れ込まれたビルに入り、階段を上って少女を見つけるまで、一体何分なんでしょう。長いです。しかも緻密に計算された演出といい。手法といい、実際のビジュアルとしての強烈な緊張感といい、効果満点で、明らかにこれは未知の映像体験です。途中英国陸軍の戦車砲弾が建物を貫くわ、武装組織も小型ロケット砲で応戦するわで、もう混迷もきわまった中を、観客は主人公のセオと共に少女を捜して歩き回ります。いつ自分に流れ弾が当たるかと、本当に恐怖感を覚えました。まるで紛争地域に派遣されたカメラマンにでもなった気分です。

ありがちな無機質な未来像は登場しません。ハイテク機器もなし。生活も現在とほぼ同じです。たださりげなく車のフロントガラスに情報末端が仕込んであったり、「在りそうな近未来像」を追求しているのが本作の特徴です。なので、スマートな未来SF映画を期待してみると裏切られます。後半は完全にドキュメンタリータッチの戦場映画です。この映画は妥協の無いリアリティの追求の「賜物」と言ってもいいかもしれません。ただそうした映像に溺れる事なく、セオという主人公からカメラは決してぶれません。がっちりと観客を掴んで離さない説得力がこの映画には確かにあります。

そして、少女を助け出したセオと少女を目の当たりにして、呆然と銃を降ろす兵士達の姿が描かれる場面では、もう涙が止まりませんでした。確かに、人間の根底に宗教や人種を越えた一つの感情がここには在ります。それをとにかく体験して欲しいと思います。言葉でなく、思わず十字を切る兵士の姿に、この映画の核心があります。

ちょっと長くなってしまいました。でも明らかにこれはすばらしい映画だと思います。まだまだ書きたい事はあります。例えばマイケル・ケインの登場するシーンでのバカバカしいジョークとか、キングクリムゾンを始めとするUKロックがBGMに使われていることとか…。決してお気楽な映画ではありませんし、観るのにはそれなりに覚悟がいりますが、もしお時間があれば是非鑑賞していただきたい映画です。力一杯お勧めします。

ドニー・ダーコ

2007年12月27日 02時49分45秒 | 映画
ドニーは精神を患っていて夢遊病癖が在るために、深夜自宅に飛行機のエンジンが落下するという事故を奇跡的に免れる。そんなドニーの前に着ぐるみ風の不気味なウサギが現れ、後28日と6時間42分12秒で世界は終わると告げる。

なぜか、やっかいな映画ばかり選んで見てしまいます(笑) 基本的に好きなんでしょう、こういうの。いろいろレビューを見ると結構好意的な意見が多いのに驚かされます。これだけ難解な映画にも関わらずですよ。

ただ問題は、私がこの主人公に感情移入出来ない、と言うこの一点に尽きます。

登場する大人達がシニカルに描かれています。でもドニーが大人達をやりこめるシーンは、度が過ぎている感じがして退いてしまいました。確かに大人達が自分たちの考えを、ドニー達若者に押しつけてくる妄信ぶりといったら見ていて鳥肌が立つ程です。でも、むしろそうした大人達を、この映画を観ていて私は哀れだと思います。何かにすがらなければ生きられない、何処にでもいる鬱陶しくて、無神経な大人達です。だからといって「悪」では無いはずです。そう言う点で、見ていてとても辛かったです。

ドニーもやり方こそ違えど、ナイフを振り回して息巻いているチンピラまがいの生徒達と、大差ないと私の目には映ったのです。

この映画を観ていて、大人と子供の断絶を強く意識させられました。ドニー一家を描いたシーンが、何故か「ごっこ」に見えてしまって…。感情移入出来ないんです。演技がどうとかでは無くて、家族として実感出来なかったんです。これは私に問題があるんでしょうか? いや、それどころかドニーはクラスメイト達とも断絶しているように私には思えました。もの凄く孤独で、ひとりぼっち。でも彼が向かい合っているのは現実ではない、ウサギのいる「あちら側」の世界なのです。

そして、彼を断絶から救う筈だった恋人のグレッチェンは死に、その恋人を救う為に、自らの死(世界の終わり)を選ぶ。これは美談?ファンタジー?、それとも運命と言う名の超常現象でしょうか?

あるいはドニーの見ていたウサギのいる世界は実在したのかも知れません。でも、ドニー=脚本=監督が、ウサギと向かい合っていて現実と断絶していると言う感じを強く受けてしまって、虚しさばかりが胸にこみ上げてきます。根拠はありません。ただ、映画自体の持っている方向性が、どうしてもダークな方向に流れていくので、最終的にあのラストに、違和感を感じてしまったのかもしれないですが。ドニーの最期の満足げな笑顔の寝顔は、在る意味グレッチェンを救った満足感から来るものなのかも知れません。しかし、私にはやっと孤独から開放され安らぎを得られる事からくる笑顔に見えて仕方ありませんでした。

私はドニーには感情移入できませんでした。それがたぶん全てです。

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追記

この映画の中で感じる違和感てなんだろう、とずっと考えていました。一番気になったのは人と人の繋がりの描かれ方です。なんだか登場する人々全てがコミュニケーション不全を起こしていて、利害や損得や欲望がクローズアップされている点。あるいはドニーの父の存在の希薄さや、ドニーが母をまるで当てにしていなかったり、グレッチェンの家庭も壊れている点。大人と子供達の溝は深いように思いました。それは人間は「孤独に一人で死んでいく」ものなんだと言う、監督自身の言葉なのかも知れません。でも、それだけでは無くて、やはり血の通った暖かみのある人間の関係だって存在するはずで、その点でこの映画はあまりにも冷徹であり、主人公ですら徹底的に突き放されていて、ドニーは主人公というよりは狂言回しです。じゃあ主人公は誰なのか? 監督はそれは映画を観ているあなたですよ、と言いたいのかも知れません。でももしそうであるなら無責任な話だと思います。
結局最後までドニーは狂言回しで自分の世界を踏み出る事はなく、自己満足とも言える死を迎える物語。自己完結していて完全に閉じている世界。それがこの映画の根底にあるねじれた暗さの一つではないのかと思いました。そしてそれを否とするか良しとするかは人それぞれでしょうが、私は不快感の方が大きかったとしか言いようがないです。

ユージュアル・サスペクツ

2007年12月26日 01時19分36秒 | 映画
窃盗容疑で偶然同じ拘置所に居合わせた5人の容疑者。そのうちの一人マクマナスは、いい話があると4人に持ちかける。意気投合した5人は釈放後、計画通りに順調に金を手にするが、次第に計画が狂い始める。そこには姿無き大物ギャング、ソゼと呼ばれる男の影が…。追い詰められた5人はソゼの命令通り麻薬の取引現場を襲撃するが…。

真犯人は誰なのか。みんな怪しい(笑)観客にしっぽを捕まれるような犯人ではないのです。狡猾で、冷徹、頭脳明晰。脚本凄く良くできてます。最後の最後まで凄く楽しめました。難解な内容でもないですし。時に時間軸を前後して、語り部役のキント(ケヴィン・スペイシー)の供述、と言う形で物語りは進んでいきます。

何気なく拘置所で出会った5人ですが、ワルが5人もそろえばよからぬ相談に…。初めは人殺し無しでうまく金をせしめる事に成功するのですが、うまい話には何とやらで、ずるずると泥沼にはまってしまいます。中盤、まるで悪魔のように恐れられているソゼの存在がクローズアップされてくる辺りから、もう目が離せないです。巧みに張られた伏線が交錯し、現れては消え、消えては現れるソゼの正体にイヤでも振り回されます。この辺の作りは凄く良くできていて。もう、とにかく見てくださいとしか言いようのない鮮やかさです。

ソゼの正体、それ以前に実在するのか? そして彼の目的は何なのか? 5人を待ち受けていたモノは罠なのか運命なのか、それ自体がフェイクなのか…。虚々実々入り乱れ、誰が真実を語っているのか、最後まで全く分かりません。CGも特撮も派手な効果音も何もありません。それでもここまで面白い映画は作れるんだよ、と言う見本のような映画? だと思いました。

難点が在るとすれば、登場人物が多く序盤で一気に出てくる為戸惑うことぐらいでしょうか。しかも有名な役者ほ殆どいなくてみんな個性的な人たちばかり…。はじめは「名前覚えられね~」と思うかもしれません。でもご安心を、例えば「パパイア鈴木、ジーコ、ビーバップ、小林くん、etc...」脳内ニックネームを付けて管理すれば、ばっちりです。だって、それぐらい個性の強い人ばっかりなんだもん…w

見終わって、きっと何度もチャプターで前のシーンが見直したくなるような映画です。もういっそ全編見直した方が早いような…。ラストは、何故か一種の爽快感が感じられるほど。「お見事」としか言いようがありません。

派手なシーンで誤魔化すんじゃなくて、きっちり中身の詰まった映画が観たいよ~と言う方にお勧め。犯罪サスペンスとしては出色の出来ではないかと思います。

リーピング

2007年12月24日 01時48分15秒 | 映画
キャサリンは「奇跡」と言われる現象の科学的調査が専門の大学教授だ。ある時ヘイブンと言う南部の町からやってきた男に、町で起こっている現象を調査して欲しいと依頼される。一人の少女が兄を殺した事が切欠で町の川が赤く染まり、町の人々は少女が災いをもたらすと信じ込み、少女を殺そうとしていると言うのだ。

旧約聖書の「十の災い」に題材を得たオカルト映画です。信心深いアメリカ人にはこういう話、受けるんでしょうか。好きそうですよね(笑) ご想像の通り、神の啓示、天使、サタン、エトセトラ、エトセトラ、こういった映画には欠かせないキーワード出まくりです。ただ、あまりにも大安売りで真実みに欠けるのが難点かも…。

完全に力押しです。特撮、CGを駆使して、神の啓示や災いを視覚的にどう見せるかにかなり苦心している様子が窺えます。ただ、ゴシカもそうですが、制作側の思惑が前面に出てしまって監督の個性が見えにくいです。まだ映画の監督歴は短いようなので、これからの人なのかな? いろいろチャレンジはしていますが、結果にうまく結び付いていない印象です。ただ前半ちょっともたつくものの、後半の「イナゴ」辺りからの映像は圧巻。

脚本も煮詰まってない感じがしました。キャサリンは数年前に娘と夫をアフリカで喪っている、と言う設定ですが、その辺の背景をキャサリンへの感情移入の切欠としてうまく活かせていないです。設定としてもちょっと苦しいんですが、ヒラリー・スワンクがそれを帳消しにしています。脚本家…、主演女優に救われてどうすんだ!、って感じです(笑) またオカルト映画としても、エクソシスト、オーメンなど、古典とも言えるオカルト映画に触れた世代としてはもう一工夫して欲しかったな、と思います。

バイオハザード、トゥームレイダーなど、ゲーム原作の映画みたいな印象。ビジュアル重視と言う点で、ロールプレイングゲームっぽいと言えるかも。映画全体から短時間で簡単に作られたような(実際は違うかもしれませんが)軽さが見えてしまって、ちょっと苦しいです。特殊効果もちょっとムラがあったり、カメラワークがこなれてなくて、画面に集中出来ないのも辛かったかも。少し煩雑な印象をうけました。ああ、でも特典映像は必見。「十の災い」の科学的検証のドキュメンタリーみたいで楽しめました。

主演のヒラリー・スワンクは嫌いではないです。この人にはもっといろんな役に挑戦してほしいなと思います。キャサリンの助手して登場するベン役、イドリス・エルバと言う役者さんは愛嬌のある風貌で、何とも言えない味がありますね。

「ゴシカ」「リーピング」と二本ダーク・キャッスルレーベル作品見ましたが、もう少し丁寧に作って欲しいな、とは個人的な印象。ホラーレーベルとしての面目躍如とはまだいかないですね。派手な特殊効果バンバンのオカルト風味ご所望の方にお勧め。ただし前半はちょっと我慢我慢。

マルホランド・ドライブ(2)

2007年12月23日 01時39分17秒 | 映画
どうしても気になって、ニコ動で解説付き(?)で見直してしまいました。(反則技)

まるでバラバラだった断片に込められた意味がほんの少し分かりました。デイヴィッド・リンチと言う監督さんは、凄いですね。凄すぎます。確かに、誰にでも観れる映画では無いと思うけれど、一度味を知ってしまうとちょっとヤバイタイプの監督さんですね。時間があればレンタルのディスクを返却前にもう一度見たくなってしまいました。(ぐわぁ~嘘、嘘、もう返却しちゃったってばぁ、私ったら何を言ってるんだ! 思考停止してます、あうぅぅ)

バラバラのピースを、ただ絵柄だけ見て並べるんじゃないんですね。二種類の絵のピースが混じってるですね。それも微妙にピースの形とかが似ていたりで、普通に一枚の絵にくみ上げようとすると、絶対に完成しない。二種類のピースをキチンと分けて、それぞれで絵を完成させて、そして片方を裏返して2枚の絵を重ねると…。見えました、凄いです(笑)

でもこの映画が成立するには、キチンと演じ分けの出来る役者さんが居ないと無理だな、とも思います。その点、ナオミ・ワッツ見事に演じきってると言っていいのではないでしょうか。どうして、この難解な物語に引きつけられるのか、それが漸く理解出来てきた気がします。予感が、目の前に一枚の絵になって現れた瞬間、と言って良いかもしれません。

ヤバイなぁ、なんかデイヴィッド・リンチ惚れちゃいそうですよ^^; でも気に入った作品はやっぱりレンタルでなく手元に置いて何度も見直したいタイプの作品を作る監督さんですよね。

未見の方はニコ動とかで解説付きのモノは見ずに、予備知識なしでまずDVDとかで見る事をお勧めします。その方が絶対楽しめますよ、この映画。あぁ~、もう、参りました。鱗落ちすぎ。

外にでるのが大変です

2007年12月22日 02時31分36秒 | 日々雑感
今回は映画の話題ではありません。
鬱病近況。今日(もう昨日ですが)職安にいって説明会に出席しないといけなかったんですが、昨日結構調子がよくて、自転車で遠くまで買い物に行ったのが祟ったのか、朝から全く動けない。説明会は1時からなので11時ぐらいに起きて軽く食事して出れば余裕で間に合うんですが、昼近くになっても体が重くてどうにも動けなくて、熱をはかったら案の定37度近く熱がありました。とりあえず解熱剤飲んで(医者にはあんまり飲むなと言われてるんですが)少し様子をみて、と思っていたらそのまま爆睡してしまい、目が覚めるともう2時を過ぎていました。

ぐお~、まずい、失業保険の手続きもどうとか言われていた気がしたので、急いでショウガ湯を飲んで家を出ましたが、職安に着いたときには既に説明会は終わっていて、しかも失業保険の支払いとかはもう日にちが確定しているので手続き必要ないと言われ、ガックリ…。とりあえず日程を変更してもらって帰って来ましたが、よく考えたら電話で済むじゃん…、と思ってまた落ち込み。職安の担当の人もニヤニヤしていてどうもアホな奴だと思われたっぽいです(汗)

とりあえず悔しかったので、近所のスーバーで安売りのお菓子を大量に買い込んで帰ってくる。でも、無理して出たので、食欲もなくて結局あんまり食べれなくて、今日は一体何の日だったんだ。疲れた。っていうか職安遠いんだよ! とりあえず23区それぞれに23個作ってください。毎回1時間近くかけて出かける意味が良く分かりません。

ゴシカ

2007年12月21日 00時35分10秒 | 映画
精神科医として女子刑務所精神科病棟で働くミランダ。彼女は土砂降りの雨の中を車で帰宅途中、突然道路に現れた少女を避けて路傍の藪に突っ込んでしまう。たいしたケガは無かったものの、道路に呆然と立ちつくす少女に触れた瞬間、彼女は気を失ってしまう。そして目覚めた彼女が目にしたものは、精神病患者として自分の職場の特別房に収監された自分の姿だった。

もう目が覚めるといきなり旦那(この病院の所長です)殺しの犯人ですよ。でも、ミランダ自身には全く記憶が無い。今までの同僚からは患者扱いされるし、ヤバイ人扱いされるしで果てしなく惨めな状況に。ミランダは理性的で優秀な精神科医であるが故に、患者の妄言を決して信じる事はありませんでした。しかし立場が逆転して、確かに自分が見た筈の少女の話をしても、同僚の医師達は取り合ってもくれない切なさ。それどころか「完全にイカレちゃったのね」と言う哀れみの視線で見られてしまう。なんとも屈辱的な状況です。

やがて、病院内で不可解な現象が起き始めますが、それはミランダ自身の病んだ心が見せているものなのか、本当に超常現象が起こっているのか、序盤でのヒントはありません。とにかくここがこの映画の「キモ」な訳で、思わせぶりな種明かしは一切ないので、思う存分振り回して貰えます(笑) ミランダの妄想なのか、それとも現実を越えた存在がいるのか、それが明らかになるのは終盤です。

全体として、この状況設定だけで突っ走ってしまっている感じは否めないですが、それでも押さえる所はキチンと押さえていますので、サスペンスとして楽しめます。ただ、これはホラー映画では無いですね。多分。ミランダの妄想 or 現実?の方にストーリーの焦点が完全に絞られているので、ホラーとしての要素は必要最低限に留まっている感じがします。なのでホラー&スリラーの要素を期待していると裏切られます。グロシーンもありません。

脚本上致命的な欠陥が一つだけありますが、サスペンスとしての出来映えは上々で、最後まで楽しませて貰いました。あとハル・ベリーの演技がちょっと一本調子でメリハリなかったかもです。と言うより「怖い映画」として成立させるにはあまりにもシャープさに欠け、その穴をハル・ベリー一人に埋めさせようったって、そりゃ無理ってもんです。更にそれとは違う意味でキャスティングはもう少し工夫して欲しかったです。全体的に押しが弱い感じ。

アイディアは良かったけど、それを個性的な物語に仕立てる所まで行かなかったような。見終わってみると何だか「どっかで見たことあるよな」な、ストーリーに落ち着いてしまっている事にハタと気づいてしまったりして(汗) でも平均点はクリアしてますので、ホラー風味のサスペンスが見たくなったら悪くないかもです。後を引かないので日曜の夜とかでも余裕ですよ~。