「虚庵居士のお遊び」

和歌・エッセー・フォート 心のときめきを

「プランターのゴーヤ」

2013-08-02 00:34:00 | 和歌

 ゴーヤの種をプランターに撒き、芽生えた苗を花壇の片隅にも植えた。時期外れの植え付けだったので、些か心配だったが、期待に応えて蔓を延ばして呉れた。

 昨年は近所のご夫人から頂戴したゴーヤの苗に、図らずも立派な苦瓜が生って、ご馳走になった。その経緯は「台風とゴーヤ」とのタイトルでこのブログに掲載したので、ご記憶の方が居られるかもしれない。

 ゴーヤの苗から「苦瓜」が育ったことに感激した虚庵夫妻は、料理した際に、類い稀な形をした種を大切に乾燥保存してあった。机の引き出しからその種を発見したのは、既に初夏になってからだ。
ダメ元でプランターに種を蒔き、祈る思いで毎朝の水やりを続けたら、見事に芽生えて応えて呉れた。

 夏の日除けに活用されるゴーヤだが、これ程にか細く、繊細な蔓植物だとは思いもよらぬことであった。花壇のゴーヤは、周りの紫蘭や花虎の尾の葉陰になって、発育が遅いようだ。それに引き替え、道路端のプランターのゴーヤは、陽を遮るものが無いので、フラワーベルトの
躑躅を忽ち超え、珊瑚樹の生垣に辿り着いた。

 黄色の花は疎らにかなり咲くのだが、ゴーヤの花は圧倒的に雄花が多いのを、毎朝の水やりの際には、恨めしく眺め続けて来た。

 そんな或る日、莟のつけ根にごく小さな塊を見つけて、覗き込んだ。紛れもなく苦瓜に成長する莟だ。

 苦瓜の赤ちゃんが、日を追って成長するのが虚庵夫妻にとっては愉しみだ。まだ幼稚園に入園する前だろうか、身丈は5センチ程に成長した。

 いずれ苦瓜は、逞しく成長するであろう。ズシリとした重さ、ボコボコの身肌。生のまま口に含めば仄かな苦みと歯触りが、何とも言えぬ苦瓜に育ってくれることだろう。

 
 


           取り置きし苦瓜の種は律儀にも

           芽生えてなおも蔓を伸しぬ


           ゴーヤとは斯くもか細く嫋やかな

           蔓をのばすや水やりに応えて


           いと細き蔓は支えを求むるや

           微かな風にも揺れるその手は


           か細くも莟の茎の膨らみに

           やがて実をなす思ひを見しかも


           黄花咲き 花つけたまま膨らみは

           微かに太りぬ明日を夢みて


           紛れ無き苦瓜なるらしイボイボの

           身肌を見届け爺は誇りぬ