「虚庵居士のお遊び」

和歌・エッセー・フォート 心のときめきを

「君子蘭」

2008-05-07 23:44:26 | 和歌
 
 君子蘭が咲いて、かれこれ半月ほども経たであろうか。

 この花が咲くと、「うつろ庵」の門被り松を毎年丁寧に剪定して呉れた、植木職人の定吉爺が偲ばれる。松の手入れを終えた年末に、定さんが君子蘭の鉢を抱えて来て呉れたのは、もう何年昔のことであろうか。定さんは逝ったが、「うつろ庵」に残された君子蘭の鉢は何時の間にか数が増えて、定吉爺の笑い声が聞こえる心地がする。





              定さんの面影写すにあらねども
          
           爺の声する君子蘭かな




 駐車場の植え込みに君子蘭の鉢を並べたので、車に乗り降りする都度、目配せする君子蘭だ。控えめな色合いの黄丹の花が、「気を付けてナ」「お帰り」と声を掛けてくれる風情だ。





              安らけく咲きにし花の色合いに

           クラウン降り立ち 一言「ただいま」