玄倉川の岸辺

悪行に報いがあるとは限りませんが、愚行の報いから逃れるのは難しいようです

アクセス数を年収に例えると

2007年05月10日 | ネット・ブログ論
「1日のユニークアクセスが、平均すれば百数十」で「有名じゃない」はともかく「過疎っている」というのは年収500万の人が「貧乏でどうしようもない」と嘆いているようでなんだか変だ。


人力検索はてな : 1日のユニークアクセスが、平均すれば百数十以下のはてなダイアリー(正に自分とこw)――要するに有名じゃない/過疎っている――の中の人にうかがいます。


何気なくアクセス数の多寡を年収に例えてしまったが、実はちょっと問題がある。
年収とか身長とか寿命とかの数字はおよそ正規分布(釣鐘状のグラフ)になるが、ブログ(ウェブサイト)の被リンクやアクセス数分布は「べき乗則」らしい。

 ウェブマーケティング用語集 | べき乗則
べき乗則とは、「Power Law」の和訳で、「小さな度数をもつたくさんの事象」と「大きな度数をもつ少数の事象」が共存している数の関係のことです。

インターネット上のサイトに例えると、被リンクの数が2、3程度のページは無数にありますが、100以上、1000以上と被リンクの数が多くなるに従って、そのようなページの出現頻度が極端に減少していくということです。

いくつかの調査を見ると、ブログのアクセス数が一日あたり50人を超えれば立派なものだし、100以上なら大成功と言っておかしくないことがわかる。

 ブログ認知率は100%に近い、開設経験は4割弱~インフォプラント調査
 ブログを開設しているユーザーに尋ねたブログ来訪者状況では、1日の平均アクセス数は「5件未満」が36.2%で最も多かった。「5件~10件未満」18.3%、「10件~20件未満」15.3%も合わせると、アクセス数は1日20件以下のユーザーが約7割を占めた。

 Japan.internet.com デイリーリサーチ - Blog 定期リサーチ(26):2006年7月21日――1日の訪問者数、50人に超えられない壁?
インターネットコムと goo リサーチが行った調査によると、1日あたりの訪問者数50人以下の Blog が7割以上を占めることがわかった。ただ、これが「50人-100人未満」になると8.10%、「100人-300人未満」では3.04%だ。1日50人以上という数字が一つの壁となっているのだろうか。
 (中略)
作成している Blog の1日あたりの訪問者数を聞いたところ、「10人-50人未満」が23.04%、「1人-5人未満」が22.28%、「5人-10人未満」が16.71%、「ほぼ0人」が14.43%だった。訪問者数50人以下の Blog が7割以上を占める。

ただ、これが「50人-100人未満」になると8.10%、「100人-300人未満」では3.04%、「300人-1,000人」、「1,000人-3,000人未満」などに至ってはそれぞれ0.76%だ。1日50人以上という数字を境に途端に少なくなる。

人力検索はてな : 個人でブログをしていて、自分のブログのアクセス数を把握している方に質問です。1日のページビュー(ユニークで)は、平均どのくらいですか。


特に根拠なく「平均訪問者100人≒年収500万」と思っていたが、本当はもっと数少ない成功例のようだ。
正規分布とべき乗則の違いを無視してもう一度年収に例えてみる。
上位5%なら世帯別年収にすると1500万ほどになる。人もうらやむ富裕層と言っていい。もし自分にそれだけの収入があれば、欲しいけど買えずに我慢してるものをすべて、ごく気軽に買えるだろう。
平均アクセス人数100以上で貧乏(過疎)を自称するのは謙遜しすぎてむしろ嫌味というものだ。


…と、ここまではアクセス数を年収に例えてきたが、そういう発想自体くだらなくて無意味な話ではある。
稼いだお金はいろいろ有意義な使い方ができる現実の資産だが、アクセス数はただの自己満足あるいは虚栄でしかない。
「金を稼ぐためにやりたくない仕事をやる」のは意味があるけれど、「アクセス数を稼ぐため一般受けを狙って書きたくもない記事を書く」のはまったく無駄なことだ。文章の技があるプロならともかく、素人が情熱なしに書いてもどうせ無個性で退屈な記事にしかならない。
アクセス数が増えようが減ろうが、記事が絶賛されようがコテンパンに批判されようが、自分の書きたいことを思い切り書かなくてなにがブログか!
あさましくアクセス稼ぎを狙うブログどもは甘ったるい腐臭を放っている。読者に媚びるブロガーに永遠の呪いあれ!


ずいぶんえらそうなことを書いてしまったが、「そういうお前はどうなんだ」と訊かれたら「ブログの内容に自信はないが、アクセス数に一喜一憂してないことは間違いない」と答えられる。
実際のところ、ここ半年ほど(もしかしたら一年近く?よく覚えてない)自分のブログのアクセス数をチェックしていない。gooブログの編集画面はおせっかいにも最初のページの右上に「あなたのブログのアクセス状況」という欄があっていやでも目に入るのだが、わざと目をそむけて見ないようにしている。
ここまでやると自分でも「気にしないために必死だな」と思わないこともない。まるで自分の体重を気にしながら(気にしているからこそ)体重計に乗るのを恐れるデブのようだ。結局は人格が未熟なのである。覚悟ができてない。見ると絶対に気にしてしまう(だろう)自分の弱さが情けない。

参考リンク
 はてなブックマーク - タグ アクセス数
   
 Tomo’s HotLine: 私がアクセス数よりもはてブのブックマーク数を気にする理由
   自分もこちらでブックマーク数だけはチェックする(ブクマコメントは見ないけど)。

 シロクマの屑籠(汎適所属) - 自己実現の為にアクセス厨になった人は、無間地獄でのたうち回る
実益ではなく自己実現やアイデンティティ確保の手段としてアクセス数に拘るのは、喉の渇きを癒すために海水を飲み続けるような、不健康で苦しい営みのように思えてならない。悪いことは言わないから、アクセス数以外の何かを求めるなり、アクセス数に実益が連動するようなカラクリを組み込むなり、とにかく自己実現とアイデンティティの追求だけに固執するのはやめなさいな、と言ってみたい。


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4 コメント

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有名なりな苦労もあるのですね (安部奈亮)
2007-05-12 18:39:05
 私の場合、アクセス解析は毎日のように見ていますが、書く内容は左右されません、平均で30人。多くても一日50人までしかいかないブログですから。

 大体現実世界の顔見知り10人、ネット上の知り合い10人、名前は分からないけれども、どうやら定期的に読んでくれているらしい方が10人くらいと考えています。

 一回だけ100人を超えたことがあって、その時にはさすがにビビリました。常時100を超えると、確かに自分の手に負えなくなってしまいそうな怖さがありますよね。

 私のブログで良く引っかかる検索ワードが「女体の神秘」(笑)これは、戦後の皇族の男女比を調べたもので、「女ばかり連続十三人だけれど、これでやっと純皇族の男女比が等しくなりました」四十年かけて男女比をそろえたお妃達は凄い、さらに「男児を産ませるためには、赤坂をオールドミスで埋め尽くせ!」というたわけた書き込みです。
http://seisai-kan.cocolog-nifty.com/blog/2006/10/post_16cc.html
 何を期待してきたのかな~とアクセス解析を見ながら意地悪にもほくそ笑んでいます。
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どうも (マ儿コ)
2007-05-13 13:04:10
kmizusawaさんとこのメタブクマでdisっちゃったけど、ブログ読んでみたら面白くてリスペクトですよ!よろしくね
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ブログの初心者 (ウオン・スンヒ)
2008-07-19 19:49:28
 こんにちは、私も最近、「アメリカ銃事件報告の書」というブログを立ち上げましたが、1日のアクセス数が、最悪のときは0で、最高でも20くらいしか行きません。
 10の壁はともかくとてしも、50の壁を越えるのは、なかなか難しいものです。
 また、1日のアクセス数が500を超えるブログって凄いですね。
 彼らの殆んどが、1日1回以上更新しているのですから。
 私はまだ、一ヶ月に5、6回以上の更新は難しいです。
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がんばらなくていいです (玄倉川)
2008-07-20 01:54:24
>ウオン・スンヒさん

こんにちは。
「ブログの更新がんばってください」と書こうとしましたが、「アメリカ銃事件報告の書」を見て気が変わりました。
ウオン・スンヒさんはブログを書くエネルギーを他のことを使ったほうがいいと思います。ハイキングとかサイクリングとかサッカー観戦とかお勧めです。
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