NEWS23を見ていたら(もちろん筑紫哲也ではなく小川和久と重村教授が目当てである)北朝鮮のミサイル発射について小泉総理のインタビューが流れた。
ちょっと感じ入ってしまった。
たぶん保守派からは「弱腰だ」「この期に及んでまだ対話を言うのか」と批判されるだろうが、私は「戦争を放棄した」日本の総理大臣として最も適切な発言だと思う。
総理は「国民政府を相手にせず」と宣言した近衛文麿の過ちを繰り返すまいと決意しているようだ。
「対話だけ」あるいは「圧力だけ」のどちらか一つに決めてしまえばよほどスッキリするだろう。
だがそれでは(戦争を否定し攻撃的装備を持たないため)ただでさえ少ない選択肢がさらに減ってしまう。
私は批判と葛藤に耐えて「対話と圧力」路線を続ける小泉総理を支持する。
記者 「これまで総理はずっと対話と圧力という路線でやられてきたと思うんですけど、今後はどのように対応をとっていくおつもりですか」ここで総理がわずかに気色ばんだように見えた。
総理 「そりゃ対話と圧力は必要なんです。対話なしには解決できないんです」
記者 「まだ対話の余地は残っているという…」
総理 「対話が余地ないとはどういうことですか?」(インタビュー動画はこちらで視聴可能)
記者 「…」
総理 「対話の余地は常に残しておかなきゃいけないんです。対話なしに解決できないんです」
ちょっと感じ入ってしまった。
たぶん保守派からは「弱腰だ」「この期に及んでまだ対話を言うのか」と批判されるだろうが、私は「戦争を放棄した」日本の総理大臣として最も適切な発言だと思う。
総理は「国民政府を相手にせず」と宣言した近衛文麿の過ちを繰り返すまいと決意しているようだ。
「対話だけ」あるいは「圧力だけ」のどちらか一つに決めてしまえばよほどスッキリするだろう。
だがそれでは(戦争を否定し攻撃的装備を持たないため)ただでさえ少ない選択肢がさらに減ってしまう。
私は批判と葛藤に耐えて「対話と圧力」路線を続ける小泉総理を支持する。
私も(昨夜のNEWS23は見ていませんが)そう思います。
日本はただでさえ他国と比べて選択肢が少ないのに、これ以上無闇に選択肢を減らすのは自分の手足を縛るようなものでしょう。
選択肢を残した事で今後も難しい選択を迫られる事があるかも知れませんが、政府にはこの路線を貫いて頂きたいものです。
記者は、特別なことを言っている感覚もなくわりと軽い気持ちでなにげなく質問したのではないかと思います。
しかし逆に総理に「対話の余地がないとはどういうことですか?」とあのように厳しく問われて、はっと気づいたのではないでしょうか。あるいはまったく気づかなかったかもしれず、単に「なにを気色ばんでいるんだ」と反発を覚えただけかもしれませんが……。
わたしはあらためてはっと気づかされた口で、
(先制攻撃のできる国ならまたちがうでしょうが)、
対話の余地がないというのは、日本にとってはじつは大変怖い認識であるということに思い至りました。
その後、政治家の某H氏が、ミサイル発射を受けて「全面制裁すべし、そして拉致問題解決まで解除すべきではない」と発言したという記事を読みました。視野の狭い単純な発言で怖いなと思いました(もっとも彼には今やほとんど影響力はないであろうと思われますので、それは幸いであったといえるのかも)。
一日たってブログなどでは様々な意見が出されていますが、かなり強硬に経済制裁を主張する意見が多いように見うけられます。
これは当然のことでしょう。しかしながら、制裁のための制裁のようなことをやっても日本は得るものより失うことが多いように思います。日本の決意を示すために・・というのは言い訳にならないと思います。
ブログ主さんがおっしゃるように、ある意味当然の批判や内面の葛藤に耐えてブレない総理の姿勢は支持すべきものだと思います。昨日の記者会見の様子は少し感動しました。
残念なのは民主党の元気がないことです。と言うより、何かズレてる気がします。
第三の視点を提供してくれることの多い玄倉川さんの記事は
いつも興味深く拝見させていただいています。
経済的に締め上げた上で対話を拒否し、相手の選択肢を
「暴発」一択にする……というのはアメリカの
常套手段であるわけですが(苦笑
日本がその路線を採るのは確かに問題が多すぎるでしょうね。
何かと批判の声も多い小泉首相ですが、こうした
難しい時期の首相としては、やはり得難い人なのだろうと
改めて思いました。
主人公であり、故国ターミナスの政治を一手に握っている宰相、サルヴァー・ハーディンという人物が、武力で脅してくる近隣国に対して、
「抑止するため武力行動を起こすべきだ」と言うほかの政治家性たちに対してこう述べるのです。
「暴力は無能力者の最後の避難所である」
と。
結局、彼、ハーディンは武力を一切用いることなく、綿密な策略とパワーバランスを利用した外交により、その近隣国を黙らせ、故国を救うのです。
古泉首相がその言葉やSFを知っているかどうかは知りません。多分知らないでしょう。ですが、「暴力は『無能力者の』最後の避難所」である以上、そのほかの外交的可能性を考え続ける彼は、やはり傑物だと思います。
個人的理想としては「一歩も引かない姿勢を示しつつ、なおかつ対話の余地は残しておく」で、イージス艦の全砲塔は北朝鮮にぴたりと向けつつも、いつでも話し合うよというのがいいかなと(ダメか)。
「戦争放棄を放棄」しないかぎり、強硬一辺倒は不可能ですよね。
かといって北朝鮮は対話だけで動かせる相手ではないし、本当に困ったことです。
>通りすがりさん
私は8・8郵政解散演説のときよりも小泉さんの「政治家としての覚悟」を感じました。
平沼氏のような野党政治家なら胸がすっとするような強硬論をぶつのもけっこうですが、総理大臣は「空気」に流されてはいけません。
>Dagさん
こういうことを言うと「何を!」とお感じになるかもしれませんが、今の時点では(北朝鮮が全面戦争をしようとしないかぎり)日本人がテポドンに殺される確率は明日交通事故にあう確率よりずっと低いだろうと思います。
とはいえ、半年後の北朝鮮がどうなっているかは誰にもわからないのでとても安心できません。
民主党はいったいどうしたんでしょうか。小沢氏は共産党や社民党(!)よりズレたことを言ってたみたいですけど。
>雪斎さん
小泉さんは本当に辛そうでした。
もし「危機」が続けば続投してほしい、と願う反面それはあまりにも酷じゃないかと思いもします。
>GLOCKさん
よく「パフォーマンス」を批判される小泉総理ですが、北朝鮮問題ではむしろひたすら地道に、派手なことを避けていると感じます。
>sophnutsさん
ファウンデーション!懐かしいです。たしか高校生のころ創元文庫の「銀河帝国」シリーズで読みました。
日本はファウンデーションを目指せばいいのに、と考えたのを思い出します。
>さくらさん
男と女のことは残念ながらよくわかりませんけれどw、危機的状況でヒステリーを起こしては外交にはなりませんね。
小泉さんはヤバくなればなるほど凄みと落ち着きが増すようで、さすが「戦国武将」と感心しました。
>acoyoさん
矛盾や葛藤に耐えるのは辛いですから。対話でも圧力でも「どちらか一つにしろ!」と怒る人が多いのも仕方ありません。
イージス艦が搭載しているのは対空用の127mm砲ですから、射程距離(20~30キロ)に近づく前に北朝鮮の対艦ミサイル(射程100~200キロ)に狙われますw 艦対地ミサイルも持ってませんし。
しかし、これは現行の状況の中で出来る限りという事であって、今後の日本のあり方はまた別個に考える必要があるのではないか、とも考えるものです。
首相はテポドンの発射状況を含め、現状を国民によく説明しなければならないと関係各位に指示を出したようですが、可能であれば小泉首相でも次期首相でも構わないのですが、その辺りのグランドデザインを国民に判りやすい形で示して欲しい、そして今後日本がどのような舵取りをしていこうとしているかを教えて欲しい、とも考えてしまいます。
つい性急になりがちな自分のような人間を含めた人達に教えを垂れて頂きたい、と切に思う瞬間があります。