玄倉川の岸辺

悪行に報いがあるとは限りませんが、愚行の報いから逃れるのは難しいようです

「見巧者」に程遠いマスコミ

2006年11月08日 | 政治・外交
いつものことだがマスコミの「~とみられる」報道は思い込みばかりでまったく当てにならない。

小泉前首相:復党に反発する新人議員にクギ-今日の話題:MSN毎日インタラクティブ
 小泉純一郎前首相は7日、自民党「日本夢づくり道場」のあいさつで、昨年初当選した衆院議員61人に対して「政治家は使い捨てにされることを覚悟しなければならない。甘えちゃだめだ」と述べた。自民党執行部が進める郵政造反組の復党を容認し、復党に反発する新人議員に党内を混乱させないようクギを刺した発言とみられる。

 小泉氏は「参院選に負けるぞ」と語るなど、早期復党に異論を唱えていただけに新人議員は衝撃を受けた様子。杉村太蔵衆院議員は記者団に「使い捨てされないように頑張る」と語った。【米村耕一】

毎日新聞 2006年11月7日 19時28分 (最終更新時間 11月7日 23時17分)

NHKニュースウォッチ9やFNNニュースJAPANでも「小泉前総理が『造反組』の早期復党容認の意向を示した」と伝えていたが、私は「あれ、小泉さんがそんなこと言うかな、おかしいぞ」と不審に思った。
こういうとき頼りになるのは「書き起こしの名人」さくらさんだ。

さくらの永田町通信: 敵あまたなりとも
<小泉純一郎前総理あいさつ@「日本夢づくり道場」>

夢といえばね、誰でも夢持ってる。みんな違う夢でいい。人間それぞれ持ち味が違うんだから。私はよく歌舞伎を見に行くんですけども、歌舞伎のいい役者ってのは、さまざまな持ち味があって、名優がたくさんいます。私がいちっばん気を付けているのは、実際その名役者が動作している、踊ったり、セリフを言っているところではない。じっとしているとき。それぞれの役があって、セリフがあって、誰かが動作する。そのときに、いい役者ってのはその雰囲気に合わせて、緊張しているときには黙っていても緊張感が漂っているんですよ。雰囲気が漂っている。おもしろい場面には、くすっとして?おもしろい雰囲気が出てる、何にも言わなくとも。ところが、いい役者でない役者は、自分がセリフがない、自分の役、動作が終わると、ポカーンとしている。それが雰囲気に出ちゃう。ここが、いい役者とそうでない役者の違いなんです。黙っているからといって、見てる人は見てる。皆さんみたいに、演説しているときだけ、自分が質問しているときだけ、選挙民と握手しているときだけ、酒飲むときだけ、お酌しているときだけが政治活動じゃないんですよ。日頃の行動、選挙民は言葉よりも感ずるんですよ。この人は何をしてくれるか、信じることができるか、期待できる、こう雰囲気を出すというのは日頃の行動ですね。よく学び、よく遊べという言葉がある。机の上の勉強だけが学びじゃないんですよ。遊ぶということも必要なんです。だから、これからは、そういう、皆さん努力、どういう政治家になるか楽しみなんですよ。

 ただ、政治家っていうのは、常に使い捨てされるということを覚悟しなければいけない。使い捨てにされるっていうことを嫌がっちゃいけない。総理大臣だって使い捨てにされる。国会議員だって、一回一回選挙ごとに使い捨てにされるということを覚悟しなきゃいけない。当たり前なんです。甘えちゃだめです。だからこのとき使ってもらった、選んでもらったということに喜びを感じながら、そのたび全力を尽くす。さらに使おうと有権者が思ったら、また使ってもらえばいい。使い捨てされるなんてイヤだなんて言った人は、国会議員にならない方がいい。常に使い捨てされて当たり前だと思って、日頃向上心を持って頑張っていただきたい。そして夢。夢は実りがたいんですね。ジャマする人たくさんいる。敵はあまたなり。しかし、勇みて行かん。こういう気持ちを持って、夢を持ちながら、志を持って頑張っていただきたい。


小泉さんの言っているのは「選挙民は政治家の日頃の行動を見ている」「政治家は落選(使い捨て)を恐れず夢に向かって進む志を持て」ということだ。彼の目はまっすぐ有権者に向けられており、決して「党執行部を恐れよ、逆らうな」とは言ってない。
それなのにマスコミが何故「自民党執行部が進める郵政造反組の復党を容認し、復党に反発する新人議員に党内を混乱させないようクギを刺した発言」と曲解するのか判らない。
もし素でそう思ったのなら政治部記者がいかに小泉という男を理解してないかの証だし、わざと捻じ曲げたのならその姑息さに呆れる。