―ほしいものはにんげんのし―

愛の詩

2014-11-16 | うた

人間の世界は限界です。

無から有を生み出すのは簡単です。

有を修復するのは難しいです。

折れた骨は元には戻りません。

縮んだ肺は満足に膨らみません。

首の下のあたりが時々跳ね上がります。

口から何かが出てきそうなくらい、バクンと跳ね上がります。

老人はなかなか死にません。

若者はどんどん死んでいっています。

老人はなかなか死にません。

私よりも遥かに元気でした。

死んでほしいのですが、老人は元気です。

老人に殺されそうです。今日はそうでした。

老人に死んでほしいです。

せめて老人には死んでほしいです。

見る目を潰して声帯をかき切ります。

若者よりたちが悪いのは老人です。

一切を聴こうとしません。しゃべる口は閉じません。

常識は若者よりありません。

もう十分聡いと思っているので、何も学ぼうとしません。

できればあの老人にはすぐに死んでほしいです。

生きている音は騒音です。自分のやかましい声は聴こえません。

もう老人はいりません。

苦しいです。まわりには何もいりません。

あの老人はまだ生きています。

何もいらないのです。

痛みはもういらない。

頭を針で刺されるのは勘弁だ。

穏やかな死を迎えるには残酷な死を与えねば。