録画人間の末路 -

人は記録をしながらじゃないと生きていけない

継続して書くには制限こそ求められる

2010-08-03 10:34:35 | Weblog
先日のGIGAZINEの記事はいろいろと物議を醸し出してくれているようです。

【求人募集】GIGAZINEのために働いてくれる記者・編集を募集します

確かに、最近のGIGAZINEは、ネットで拾ったおもしろニュースだとか、メーカーの新製品の紹介だとかその程度のものが多く、昔ほど「ここならでは」という記事は少なくなっていたような気がします。わたしとしては、2年前の"地デジの利便性を損ない、普及を妨げる原因となっている謎の私企業「B-CAS社」に行ってきました"や、"地デジで有名な「B-CAS」の財務状況が明らかになったので税理士に鑑定してもらいました"の二つの記事が印象深いところです。これらの最後に「多くのタレコミがあり、中にはかなり信憑性の高いものも含まれていたので現在、裏を取っている最中です。はっきり言って想像を絶するぐらいむちゃくちゃな実態が見えてきました」という一文があったので、続報はどうなるのか、とても楽しみにしていたのにその後音沙汰は全くなく、がっかりさせられています。GIGAZINE自体も、最近はわたしは読んでいませんでした。ただ、例え取材力の低下が明らかでもアクセス数や広告収入が減っていなければ、ここまで公にすることもないはずですから、やはり危機感を覚える程度の減少はあったのでしょう。
もちろん常に会社運営の在り方に疑問を持ち、よりよい方向へ導こう、そのために優秀な人材が欲しいと考えるのは、いいことです。ただ、今回の募集で求めているのが「プロフェッショナル的な考え方をする人」。"~的な"という曖昧表現をしてはいますが、ようはプロフェッショナルが欲しいということでしょう。ですが、GIGAZINE自体がプロフェッショナルが書くような体制になっているのでしょうか? また、担当者は記事内で自らを「編集長」と称していますが、その名にふさわしい管理をサイト内の記事に対して行っているのでしょうか?

話はボンと飛びまして、有識者のブログ記事を集めたサイト、「BLOGOS」に提供されたアゴラの記事をちょっと見てください。

アップルについての投稿を募集します


意見、投稿の募集は、全く問題有りません。いくらたくさんの有識者が寄稿しても、メンバーが固定では目新しい意見は集まりませんからね。かく言うわたしも、アップル自体はともかくそれをとりまく周辺に関しては一言言いたいところもありましたので、実は一つ書いてみようか、と思ったんです。専門家じゃなくても論点が明確ならいい、という話だったので。
「自前のブログでやりゃいいじゃん」と思われるでしょうが、自前ブログではどうしても気をつけなければならないことがあります。それが"炎上"です。わたしは2年前の一件いらい、炎上に関しては人一倍気をつけて記事を書いています。ああ見えて、普段の批判記事などは内容を控えめに他者からの同意が得られやすい部分に絞ったりネット上の意見を考慮に入れたフォローを入れたりしながら書いているんです。言わば八分のことしか書いていないんですよ。その点、ああいう場所への投稿ならば、そういうことを一切気にせずに歯に衣着せぬ書き方が出来ます。批判に対する批判が集中したとしても、責任を取るのは向こうさんですし、マズイとあっちで判断したのならば没にするのも編集して表現を控えめにしたりカットするのも自由。例え投稿が本名必須だったとしても、わたしが自分で自前ブログに「あれはわたしが投稿したものです」とでも書かない限り、誰も結びつけて考える人は出ず、ブログ側の平穏は保たれます。ですから、ああいう形で投稿文を募集してくれる企画って、結構ありがたいですし、そういう専用サイトがあって欲しいとすら思います。でも、大型掲示板型サイトでしかなかったりとか、選別が検閲となってしまうとか、実績のあるところはほとんどないのが実態ですけどね。
と、一時はかなり前向きに投稿を考えていたのですが、すぐに書く気がなくなってしまいました。あの記事、読んで頂ければ分かりますけど、"締め切りがない"んです。考えは頭の中にあるので、例えば「明日までに」って締め切りが決まっていれば、すぐに書けます。ところが、ただ「募集しています」しか書いていないと、その気合いが乗らないんですよね。学生さんの夏休みの宿題の進行が、後半にならないとなかなか本調子になってこない(笑)ように、いついつまでに書く、って決めていないと、書き始められないものなんです。ましてわたしは専門家ではないので、ダラダラしていると最後には「こんな考えでいいんだろうか、向こうさんの考えているものと全く違うのではないだろうか」というマイナス思考がそのうち書かない言い訳になってしまいまして、結局書く気がなくなりました。投稿募集記事がアップされてからまだ2日も立ってないんですけどね。
書く、という事をするには、結構制約が欲しいものなんです。例えばわたしがこのブログの記事を書くにあたり、必ず「前記事の3日後までに書く、締め切りは常に3日以内、早ければそれでよし」と締め切りを決めています。だから継続出来るんです、わたしの場合。ちなみに頭の中で考えている記事の1/3くらいは自分で没にしています。
素人のわたしとはいろいろ違うでしょうが、プロのライターさんも、大筋では変わらないでしょう。「とにかく、何を書いても結構ですので面白いものを書いてください。中身はお任せします」 こんな恐ろしい依頼を受けるライターさんが世の中どれだけいるでしょうか。書き手が編集者と打ち合わせをするのは、書き手が書くべきもの、書いてもいいものを導いていくためのものです。話し合いをすることによって書く範囲を狭め、中身を決めていくものだと思っています。雑誌の場合、他記事との兼ね合いや、特集の傾向なども書く記事を絞っていく上で重要でしょう。
話をグアッと戻します。GIGAZINEは、ネットの縮図そのまま、カオスな記事の羅列でやっている印象を受けます。面白そうな記事ならばなんでもいい、というのがあそこの考え方のように見えます。そこにプロフェッショナルの居場所はあるのでしょうか? まして、あそこはどちらかというと雑誌よりも新聞に近い、記事を書く人間がトップの直下に居る仕組みです。何を書くか誰にも相談せずにホイホイと書けるものではありません。
「誰にも相談せずに、常にトップや読者の期待以上のものを仕上げてくるのが真のプロ」という考えもあるかも知れません。でも、それはほとんど無から有を生み出すに等しい業、わたしに言わせればプロの仕事ではなく、天才の偉業です。そんな人間は一握りしか存在しません。ですが、誰かと相談しながら煮詰めていって、結果天才にも劣らぬものを仕上げてくる。そういう人ならば世の中たくさんいます。
GIGAZINEが目指しているのは、そういう全体を見通した記事の構成が出来る人間なのでしょうか? 今までは違ったのでしょうが、今後はそういうニュースサイトを目指しているのかも知れません。が、それにはトップにもプロフェッショナルを使いこなす能力が必要になります。見極められる必要があるのは人材の側ではなく、GIGAZINEというサイトの今後の運営方針と、トップの力量であるように思えてなりません。


おまけ:
上の記事とはなんの関係もない話ですが、ITmediaの「古田雄介のアキバPickUp!:「USB 3.0とSATA 3.0が第2形態に入ったようです」」の2ページ目がひどい。知っている人が書いたとはとても思えない中身になっています。

(引用)
 AV関連では、デジタル3波チューナーを2基搭載する、ピクセラの「PIX-DT230-PEO」が注目を集めていた。価格は2万5000円以下。PCI Express x1カードで、ハードウェアAVCトランスコードに対応しているのが特徴だ。地デジのみのハードウェアAVCカードは、6月にアイ・オー・データ機器から「GV-MVP/XSW」と「GV-MVP/XS」が登場しているが、デジタル3波対応モデルは初めてとなる。

 フェイス秋葉原本店は「キャプチャカードのヘビーユーザーにはBSデジタルをよく見る方が多いので、このカードは歓迎されるでしょう。あまり劣化させずに大幅なデータ容量の削減が狙えるので、シーズンを通して録画したい番組がある人にオススメです。意外だったのは、mini B-CASカードではなく、B-CASカードを採用していることですが、まあ、抜き差しは滅多にしないものなので、気にする人はいないでしょう」と話していた。
(ここまで)

むちゃくちゃなのがおわかりいただけるでしょうか? まず第一にアイオーデータの「GV-MVP/XSW」、「GV-MVP/XS」。ともにPIX-DT230-PEOと同じく3波対応モデルです。アイオーの2製品の違いは3波チューナーをシングルで持っているか、ダブルで持っているかだけでありまして、後は同等です。ピクセラの新製品は完全にアイオーの後追いになってしまったもので、初という新機能はありません(ただ、"AVC録画したものをDVDにAVCRECで録画できる"、というソフト的対応に関しては初です)。
また、デジタル3波対応モデルにmini B-CASカードが使われることがないのはみなさまご存じの通り。あれは通称青CASカードと呼ばれる地上デジタル専用カードと同じに扱われるもので、BS/CS対応機には発行されません。厳密に言えばBS/CS対応機でも無料放送の視聴は出来るようですが、有料放送の登録は出来ないこともあり、間違ってもB-CAS審査で3波機に青CASやmini B-CASカードが通ることはありません。それを「意外だったのは」と書くのはよほどB-CAS関連に詳しくない人の談か、突っ込み待ちでわざと適当なことを書いたとしか思えません。ちょっと酷いぞ、これは。

追記:お詫びを加えた上ですでに訂正されています。
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8 コメント

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Unknown (脳内HD)
2010-08-03 16:30:13
もう少し言うと
>キャプチャカードのヘビーユーザーにはBSデジタルをよく見る方が多いので、このカードは歓迎されるでしょう。

自分もそうなんですが、そもそも合法キャプチャカードはヘビーユーザー受けはしないと思うんですよ。あまり歓迎はされないと思うんだけどなあ。どうせB-CASの制限受けるんですから。
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おまけの記事の人 (pc4beginner)
2010-08-03 17:16:07
一応、デジタル系のプロのライターさんみたいです。

http://ysk-furuta.seesaa.net/

※ついったーのURLはNGなんだ。

店員さんの言葉を鵜呑みにして書いたのだと思うのですが、訂正記事入れるかなぁ。この記事見てくれると良いけど。
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3波対応キャプチャーカード (makita)
2010-08-03 19:21:43
私先日大阪市内に出かけたのでアイオーデータとピクセラがAVCエンコーダー2基搭載の3波対応チューナーを見て来ました。
私の脳内ではこれらでいったんHDDに録画してBDAV形式でBD-REディスクに書き出してからAnyDVD HDを利用してHDDにバックアップしようかと思ったんですが
アイオーのは視聴ソフトがAero未対応でオーバーレイにて画面表示するため起動するとAeroが使えなくなるダメ仕様なのとB-CASカードが本体内部に内臓となって容易に取り出せなくなると言うことで却下。
ピクセラはAeroに対応していてB-CASカードもなんとか本体外部から抜き出せるもののAVCエンコーダーのビットレートに不満があるので却下になりました。

なので結局前から買い換えようと思ってたBlu-rayドライブを物色しパイオニアのBlu-rayドライブBDR-S05Jを買って帰りました。
今までパナソニックのLF-MB121を使っていたのでBD-Rディスクへの最大12倍速という記録速度と最大8倍速という読込速度に圧倒されて大変満足しております。
おかげでPT2で録画したBShiのスターウォーズ関連番組全てをBD-Rディスクへと短時間で保存することができました。
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ご指摘ありがとうございます (古田雄介)
2010-08-03 21:43:22
 記事のミスをご指摘いただき、ありがとうございます。誤った情報を伝えてしまい、申し訳ありません。

 原稿執筆時にしっかり確認すべきでしたが、情けないことにミスだらけの状態で見過ごしてしまいました(わざとじゃなく)。以後、気をつけます。

 今後も気になる点、つっこみ所等あれば、ガンガンご指摘くださいね。
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Unknown (krmmk3)
2010-08-03 23:05:35
あー、ご本人に読まれると知っていれば、偉そうにライター論語った記事に追記するんじゃなかった~!

>脳内HDさん
見方によりますね。PT2は自由ですが生TSしか録画できませんから、HDDを圧迫します。PIX-DT230-PEOは規制下とはいえAVCで直接録画できることで、同じHDD量でも数倍の番組を録画できます。見て捨てる使い方がメインだけどたくさん見たい、そういうタイプのマニアならピクセラやアイオーを選ぶ可能性はあるわけです。

>pc4beginnerさん
Pickupは連載記事ですし、他サイトではインタビュー記事なども書いていらっしゃいますので、プロのライターさんなのは知っていました。

>makitaさん
アイオーはなぜか伝統的にAEROがダメですね。AERO対応でかつAVC録画可、という選択肢ならピクセラと言うところですが。
でも、やっぱりPT2が一番楽ですね。

>古田雄介さん
そもそもミスの指摘というならば、直接言わないとダメなところをわざわざおいで頂いてすみません。自分の専門分野だと、突っ込まずにはいられなかったんです。
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Unknown (nekomantle)
2010-08-04 12:53:13
PIX-DT230-PEOの初はAVCHD録画ではなく、AVCREC対応です。DVDへのHD書き出し可能です。
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Unknown (nekomantle)
2010-08-04 13:12:34
すいません訂正。
誤)AVCHD録画
正)AVC録画
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Unknown (krmmk3)
2010-08-04 23:09:58
>nekomantleさん
DVDに書けるかどうか、というのは本来ソフト側の対応だけの話なので、録画して作るファイルそのものはどちらもAVCであることに代わりは無いのですが・・・。ただ、気になるようですので注釈として加えておきます。
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