すいません、今、SNSで積極的に発信しているのは、自著『夢、死ね! 若者を殺す「自己実現」という嘘』をPRしたいというセコい考えがあるからです。でも、ブログやツイッターを書くにあたっては、手抜きはしません。
先日、学生の就職活動に関し、こんなやり取りをツイッターでしました。
元々、私はこう書きました。
「学生時代は良かった」とか言うヤツは多いが、お前、それ本気かよ。もう一度就活してぇか? あんなクソみたいな嘘つき合い茶番劇なんてしたくねぇし、モテる男しか生きてる価値がねぇ、的雰囲気なんて経験したくねぇよ。おい、学生、就活は人生で最高クラスに下らん行事だぞ。建前だらけだからな
これに対し、こう意見をいただきました。
建前を人に向かって話すことは、私には抵抗があってできません。でも、就職のためにはしないといけないかなとも思いっています。私のような人はどうしたらよいのでしょう、中川先生?
この質問をしてきた方がどういう方かは知りません。でも、悩んでいらっしゃるようにも思われます。そして、就職活動についてはいつか言っておきたいな、という気持ちもありますので、ここで書きますね。昔、テレビブロスで『くたばれ!就職活動』という6ページで4万5000字も書いて「就活、死ね!」「建前ばかり言いやがる企業はうんこ食え!」「学生をいじめるんじゃねぇ!」と主張しました。
そして「これが本当に企業で働く人々が考えていることだ!」と、友人62人に、「我が社で幸せなこと・不幸せなこと」「我が社が欲しい人材・いらない人材」を超本音で書いてもらいました。すると、一切「お客様の笑顔を見るのが幸せ」なんてことは書かれず、「美人が多い」とか「仕事が楽」「給料がいい」みたいなことばかり書くんですよ。あと、欲しい人材についてはソニーの場合は「ソニーが最良の会社だと思わない人」なんて書かれる。
これら、友人が本音で言ってくれた意見の方が、採用HPとかに書かれるキラキラとした建前よりもよっぽど信用ができるわけです。ですから、2003年に作ったこの企画に対しては以下のような評価がされたのですね。
話は変わるが、
先日テレビブロスの特集「くたばれ!就職活動」を読んだ。
以前、私がこの日記の「就職活動を懐疑する」で書こうとしたことの
八割方が、おおかた書かれていた。
これで、とりあえず安心である。
【くたばれ】お前等!テレビブロス買えよ【就活】-2ch
180円の雑誌の6ページの特集だったのですが、当時、学生が色々と感想を述べてくれたり、「下手な就活マニュアル本一冊買うよりもこちらが役に立つ」とか書いてくれたのは本当に嬉しかったです。
で、今回、前述の方が疑問を持っている「建前を人に向かって話すことは、私には抵抗があってできません。でも、就職のためにはしないといけないかなとも思いっています。私のような人はどうしたらよいのでしょう」についてです。
就職活動については、多分、「建前は言わない方がいい」というのが結論だと思っています。というのも、多分、建前で通ることは難しいし(面接官もバカではないので、見抜く)、仮に通ったとしても、思想が合わない会社とは人生が相いれない。あと、所詮会社なんてものは、あなたの人生の全部ではない。
もう一つ、こう考えるべきである。
自分にとって、会社は一つ。だから重要。
↓
でも、会社にとって自分は単なる数千人(数百人・数十人)の駒の一つ。
↓
会社にとって自分なんて替えはいくらでもいる
↓
でも、自分にとってはこの会社が唯一
↓
でも、会社はお前のこと、そこまで思ってないんだぜ
↓
あっ、そっか。じゃあ、すぐに辞めてもいいんだ!
会社が一生をすべて決める、と考えるから、面接段階で建前を言わなくてはいけないのだろうか……といった考えになるのだ。この面接がオレの人生すべてを決める……。なんとかして好かれなくてはいけない……という気持ちが、彼(彼女かもしれないけど)のような発言に結び付くのだ。
それで、オレが強調したいのは、
会社案内とかに書かれている「求める人材」「我が社でのやりがい」は嘘だらけ
ということだ。
人間という生き物は「楽しみたい」「ラクしたい」「モテたい」「たくさんカネ欲しい」「いい女とデートしたい」と考える実に私利私欲にまみれた生き物である。
それなのに、企業が建前上(あくまでも「建前上」だぞ)求める人材は、「滅私奉公」「社会の為に役立つ」「お客様の笑顔が何よりも大事!」「世界を平和にする!」みたいな「個」を潰すくだらなく、うんこ食っておくべきものばかりなのだ。
学生も素直なもんだから、こうした嘘の求人案内に合わせたバカみたいなクソ嘘八百志望動機・自己PRを作っては「私は、社会のために、お客様の笑顔が好きです。バイトをしていた居酒屋で、お客様が笑顔で『御馳走様』と言ってくれた瞬間に幸せを感じ、これをもっと大きなフィールドで達成したいと思い、御社を志望しました」なんて嘘をつくのである。
この「嘘のつきあい」というのが、就職活動の真実である。就活は本当に茶番だらけである。本当に、「悪く思われたくない企業」が本当に求める人材である「ガタガタ言わずに働き、安月給でも文句言わない従順で性格のいいヤツ」を求めているにもかかわらず、学生の側は、建前として紹介された「求められる人材像」に合わせて優秀で無害で聖人君子のような人間を装って面接に臨む。
実にくだらん。くたばれ、就職活動! 死ね!!!!!!! 死ね!
そして、学生のお前らに言いたいのは、これだ。
社会人、たいしたヤツあんまりいねぇよ。馬鹿、案外多いぞ。単に年をくっただけの尊敬にも値しないバカ多いぞ
それでは、ここで私の1996年、日本テレビの1次面接を再現してみよう。このやり取りが、いかに社会人がバカかを示している。日テレは社員AとBがいた。
A:志望動機は?
オレ:コンテンツって売れるんじゃないかと思ってるんです……。
AとB:ハッ?
オレ:えっ?
A:何を言いたいの?
オレ:いや、テレビ局って儲かること重要ですよね。
B:そりゃそうだけど……。
オレ:日テレって歴史が50年くらいあって、これまでに膨大な量のコンテンツがあるわけで、著作権者とか肖像権をクリアすれば、案外濡れ手に粟で儲かるんじゃないかと思ったので……。マーケティングを専攻した私としては、新たに何かを作るのではなく、ちょっとした工夫で収益をあげることが可能なテレビ局で働きたいと思いました。
A:いや、何を言ってるの?
B:全然分からない。
A:番組、作りたくないの?
B:『ブラックバラエティ』みたいなのを作りたいってみんな言ってるよ。
オレ:えっ? 制作希望じゃなくちゃ日テレって受けられないんですか?
A:いや、そうじゃないけど……。
オレ:たとえば、『元気が出るテレビ』とか『電波少年』みたいに、何千万人も観ていた番組をビデオにすれば売れるんじゃないですか? 出演者の許可さえ取れば、一本3000円とかで売れるような気がするのですが……。いや、オレ、儲かることしたいんですよ。
AとB:顔を見合わせる。
A:キミ、面白いね(笑)
B:ウンウン。
オレ:いや、別に僕は面白くありませんが……。
A:この人さぁ、日テレよりも「日本テレビビデオ」向きじゃないの?
B:そうだね。キミさぁ、子会社でビデオとか売ってる日本テレビビデオを受ければ?
オレ:えっ? でも、著作権とか一応握っているのは日テレですよね? なんで子会社なんですか?
A:いや、ウチはビデオとか作らないんで。
B:あと、ウチ、面白い番組作りたい人が欲しいんで。
オレ:ハァ。
A:ありがとうございました。じゃあ、次の方!
就活なんてこんなもんなんです。
ホントにくだらないんです。
でも、人は就職しなくては生活が成り立たない。だから本心を曲げてでも面接官から
好かれようとする
さらには、
高偏差値大学(特に国立)が有利という厳しい現実がある。
だからこそ学生は卑屈になる。
これが本当に可哀想な話だ。
だが、まともな面接官は自分の会社をホメてもらいたいワケではない。前述、日テレの面接官みたいにバカばかりではない。きちんと、
・御社の何がすばらしいか
・御社の何が問題か
・自分はそれをこう解決したい
・歯がゆいんだよぉぉぉ!!!
・ガエタァァァァァイ!!! アッー! ウォッッ、ゴノニホンォォォ、ガエタァァァイ!
とアピールして、言いたいことを言うのがいいと思います。
それと
・自分が好きなこと
・どんな人生を達成したいのか
はきちんと伝えましょう。
我が社の問題を解決してくれそうな人材を会社は求めるので、「この学生、ウチに来たら幸せになれるかな」という「マッチング」の部分も考えてくれます。
よって、「会社が好きそうなことに合わせる」は敢えてしないでいいと思います。「ありのままで」でOKよ。
それで内定を取れなかったら………。
フリーになりましょう。
そこで、実力者のコバンザメになり、成り上がりましょう。
ごめん、救いようのない結論だな。申し訳ない。