コニタス

書き留めておくほど重くはないけれど、忘れてしまうと悔いが残るような日々の想い。
気分の流れが見えるかな。

運命の歯車  小島行 後編

2009-05-13 20:49:00 | 
さて、小島の皆さん、お待たせしました。
皆さんここをお気に入りに追加して下さっているそうで、機嫌のよいコニタです。


5/4の小島訪問は思いがけない収穫がありました。
本当にありがとうございます。

それで、私は、5/12にもう一度、今度は龍津寺限定で訪問。
同行者はなぜか、静岡の老舗時計屋さん安心堂の金子さん。
知る人ぞ知る、時計博士です。




という話の前に……、ここで時計は5月4日に戻ります。
小島探訪の続きです。前篇中篇を先にどうぞ。

……
……
読みました?

はい、では続きを始めます。

渡辺会長の車で我々は龍津寺に移動。

御住職のお出迎えで墓所を見学。
ここには領主、滝脇松平家とその家臣達の多くが眠っています。
いやぁ、マムシは出る、大きなスズメバチは出る、ムカデは出る。
大変なところです。

私としては、黄表紙の祖、恋川春町こと倉橋寿平のお墓(実際には東京に納められているようですが)にお参りできただけで結構感激。墓誌に「寛政元年七月七日」とあり、其の次、同じ年の九月九日にももう一人男性が亡くなっています。この人は父親。二人ともに自殺説がありますが定かではありません。この辺、諸田玲子さんが『其の一日』で取り上げています。大学三年生の頃は、卒論、この辺でやりたかったんだよなぁ……、と、ちょっと感慨。

そして、本堂へ。
御本尊やら位牌堂やら、閻魔様やら、白隠禅師関係の品々やら、様々拝見の後、我々が見た物は?!


というわけで、12日、再訪。


あ、そうそう。
この5月4日は結局、お寺近くの7-11でパンを買っているうちに、15分近く遅れていたバスに行かれて凹んでいたら次のバスは案外正確に来たので興津駅までバス。
私はそのまま帰宅したのでした。

あとで伺ったところでは、渡辺会長さんも昼食抜きだったとか! わはは。
でもホントに愉しい一日でした。
改めて感謝!




いや~、引っ張りましたね。
やっと本題。

新発見でもなんでもないのでもったいつけることでもないんですが、ここには須弥山器があるのです。

これ  です!!



……って、何??
と言う方に、付け焼き刃解説!

ここでは“須弥山器”となっていますが、一般には地球儀・渾天儀等と同様“須弥山儀”と書きます(なので、検索する時は須弥山儀)。
名称がどうやって確定されたのか判然としませんが、1966年、当時の清水市に文化財指定された時、既に「須弥山器」だったようです。
これは明治十年に静岡の宝台院から送られた物であることが当時の御住職の日記で判るのですが、そこには“須弥山運轉器”“須弥山儀”と、二通りで書かれています。

そもそもどんな物なのか、と言うのを知るために、同じような物を所持している所などの情報をリンク。

龍谷大学所属、田中久重の須弥山儀
同、龍谷大学大宮図書館電子展示 須弥山儀
江戸時代の須弥山儀所蔵場所一覧富山市科学博物館:富山市天文台作成)

だいたいお解りいただけたでしょうか。
仏教的宇宙観を示す須弥山を和時計の技術を使って示した動くディスプレイですね。
で、世界中探しても20くらいしか存在しないらしいです。
しかも、伝えるところによれば、田中久重(東芝の創始者・からくり儀右衛門)よりずっと早い! 
そして、形状もかなり違います。
ギアが露出しているのは或る意味野暮ですが、そこがかなりかっこいい!


市の文化財に指定されていますから勝手に触れないんですが、嘗て解体調査もされたことがあるそうで、その時の写真やメモも残っています。


*最後の二枚は調査時の写真から転載。

それらと、外側からの観察で判るのは、これがゼンマイ仕掛けではなく、重錘式で、やっぱり一つの動力で太陽と月の運行を見せるらしい、ということ。
太陽と月を乗せたレール状の二つの輪がフラフープのように中心をずらしながら別の速度で回転するというわけです。
どのくらいの速度なのか、どの程度持続するのか全く判りませんが、ホント、ワクワク物です。

*素人見立てです。なんか、ゼンマイ式のような気がしてきた(5/16補足)。




龍津寺には、同じ時に宝台院から関連する掛け軸も送られています。 (同寺御所蔵写真から転載)

これって、日本の時計史に残るとんでもないお宝!
というか、実は、江戸から明治に至る世界観の更新という、ものすごく大きな歴史のうねりの生き証人なのですね。



と、ここからはまた話が変わりそうなので、続きはまた別の機会に(って、多分直ぐ書くと思うけど……)。


なにはともあれ、御住職様はじめ龍津寺の皆さん、渡辺さん、金子さん、本当にありがとうございました。
ホントに、何かの御縁ですねぇ。
盛り上がりましたねぇ!

そして、お寺で収穫されたばかりの新茶を何杯も戴いてしまいました。
本当に美味しゅうございました。
寿命が延びます。



引き続き、よろしくお願いします!



*そうそう大事な補足。
ここをご覧になって小島や龍津寺さんを訪問される、という方はそんなにいないだろうとは思いますが、“観光地”“観光施設”ではありません。
それぞれに、節度を守り、ちゃんと連絡の上、許可を得て訪問してください。

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9 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
明日から (グラボソ)
2009-05-13 21:11:20
富山出張なんですが、この富山科学博物館、とくに何も所蔵はしていないんですよね?
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そうですね。 (コニタ)
2009-05-13 21:23:55
多分、そうなんですよねぇ。
天文の歴史の研究として触れてるようです。
http://www.tsm.toyama.toyama.jp/curators/aroom/edo/index.htm

しかし富山なら
富山県・立山博物館に、柴崎芳太郎が見つけた錫杖頭が!!
http://www5a.biglobe.ne.jp/~kaempfer/mapsuv200/shiseki/chubu/ch18.htm
返信する
日曜あたり (グラボソ)
2009-05-13 21:28:43
明日は昼、ヒアリング、あさっては終日調査、明々後日は昼、ヒアリングとなっていまして、行くとすれば、日曜ですが...

難しいか...
返信する
ありがとうございました。 (龍津寺)
2009-05-14 15:09:30
先日は皆さまおいでくださり、ありがとうございました。研究者の皆さんのお話も金子さんのお話も本当に楽しかったです。

文化財を守る会の渡邊さんは本当にありがたい方で、先日も突然現れたお城マニアの学生一名を、同じように案内して下さいました。郷土愛ってこういうこと。本当に頭の下がる思いで、私たちも一生懸命ついて行ってます。

補足もありがとうございます。
補足の補足となりますが、陣屋もお寺ももちろん散策は自由なのですが、石垣もお墓も庭も境内も、何代にもわたる先達が残してくれたもので、今度は私たちが次世代につないでいかなければならない大事な預かりものだということ。
御一報いただければ時間が許す限り御案内できますし、普段見られないものも見られますし、新茶の一服もお出しできると思いますので、どなたにもぜひお寄りいただきたいと思います。ちなみに、午前中に来られる場合は、ぜひお弁当持参をお勧めします(笑)。

須弥山儀のお話は、今後の展開が楽しみです。
よろしくお願いいたします。


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感謝! (こにた)
2009-05-14 16:27:43
いやいやいや。
御本人様直々で、ありがとうございます!

ホントにいろいろワクワクしますね。
また近いうちうかがおうと思っています!
返信する
預かり物 (こにた)
2009-05-14 17:39:03
あらためて。

私も市民向けの講座や授業で同じ事を言います。

たまに、江戸時代の資料などをお持ちくださる方が「私のだから良いですよ」と、善意で仰るのですが、そういう時も、「これはなたが生まれるよりも二百年も前にこの世に現れ、大事にすれば、このあとも何百年も残る物で、今、あなたはそれを預かっているだけなのだから、自分の物だと言ってぞんざいにしないでください」というような。

生意気なんですが、やっぱりそういう気持ちがないと、と。

戴いたコメントのついでに我田引水をさせて頂きました。
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Unknown (ma-tango)
2010-08-17 19:06:48
昨日はどうもありがとうございました。好き勝手なことしゃべらせていただき、とても楽しい会でした。
龍津寺、母親に聞くと、なぜか「りゅうつうじ」と発音するんですが、8月15の前後は毎年、小島に行って興津川で泳いで、お墓参りしては、ここの閻魔堂で怖い思いをしてました。母親の実家は陣屋から小川をはさんだすぐ下にあったので、石垣があったのを覚えています。
恋川春町もファンだったんですが、江戸で死んでいるので、あそこに墓があるとは思ってもみなかった。しかし毎年すぐそばで墓参りしてたのかあ。
というわけで、因縁力はどこでどうやってつながるか分らないという、しょうもない感想でした。しかしこれは楽しみな。研究については乞連絡。
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有難うございます! (こにた)
2010-08-20 08:26:11
ma-tangoさん。
恐ろしいほどの因縁力ですね。

最初から私の手に負えるものではないのは判っていましたので、うまく繋がってくれてホッとしています。
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コメント削除 (小二田)
2011-07-28 17:40:17
新しいコメントが付きましたが、“ブランドコピー時計”やさんの広告でしたので削除しました。
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