暮らし研究家『暮らし家』の古民家・田舎生活

豊かな暮らしってなんだろう。モノではない「何か」。残し、守り、伝えたいモノや事柄を岡山県西粟倉村から発信します。

らんま2/22

2016年02月22日 | 天徳寺
以前購入していた欄間。記事はこちら→http://blog.goo.ne.jp/kokohore-wanwan189_1976/e/bb54b525d82dd88be7910c71da602977

これをあそこに飾りたい!となんとなーくのイメージを拙い言葉だけで伝え、旦那に丸投げの私。
数日悩んでいた旦那、師匠に相談し、とりかかってくれました。


天徳寺のおかって。

写真ではちょっとわかりにくいのですが、台所とカウンターの上に見せ梁があります。

そのままの木の形を利用した梁。
これもとっても趣があるのですが、このアールが今回はちょっとやっかいだったようです。




ここに下部がまっすぐになるようにアールにあわせた木を切って打ちつけ
上の欄間をはめ込んでくれました。


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おかって側から。


カウンター側から。
達成感の旦那と師匠(笑)。






蛍光灯の光で欄間の組み子紋様を浮かび上がらせるように障子を貼るのはOKAMIの仕事。




イメージどおりで興奮してしまいました。
ここに欄間を飾りたいと何故思ったのか・・・。
そしてこんなステキな欄間に出会えて・・・その瞬間だけ神が降りてきたとしか思えない。
それくらい、この場所にしっくりと、でも堂々と存在しています。


天徳寺、自画自賛で大変恐縮ですが見ていただきたい場所がたくさん。
そしてまたひとつ、増えました。





全体的にはこんな雰囲気。
蛍光灯の光が直接目に入らないので、カウンターにお座りいただく方もさらに快適になったのではないかと思います。

ドヤ顔、天徳寺。

2016年01月20日 | 天徳寺
先日台湾からのお客様が来てくださいました。

※奥様が日本の方で、旦那様も日本語が流暢で、大変助かりました…






急に流れ込んできた寒波で、それまでの暖冬が嘘のような雪に見舞われ
沖縄よりも南にある台湾の方にはさぞつらい気候…

ましてや日本の古民家。暖かくするにも限界があるしなぁ…
と思っていましたが、雪のある風情も楽しんでくださり、囲炉裏端、というシチュエーションも楽しんでいただけたようでホッとしました。





私たちはこのような古民家や日本の文化を守りたい、と常に思っているのですが
海外の方のほうが、その価値をダイレクトに感じてくださるのかもしれませんね。
日本人はあたりまえになりすぎていて、近すぎて見えなくなっている部分も多いのかも。
日本人の奥様は、この風情を台湾から来る友人に味わってほしい、というお気持ちで来て下さいましたが
そのお手伝いができたこと、大変嬉しく思いました。
日本の思い出に天徳寺を選んでくださり、本当にありがとうございました。




特に台湾は大変な親日国。
先の震災ではどの国よりも親身になって日本を応援してくれた国のひとつです。
すべての日本人に成り代わり、御礼申し上げました。







天徳寺もなんだか誇らしそうに…見えませんか?
お帰りになる時間には雪もずいぶん溶け、あたたかな日差しも出てきていました。

土間と居間との間には。

2016年01月13日 | 天徳寺
西粟倉村の位置関係をおさらいしてみましょう。


こうやってみてみると、中国地方の危機感!
私の出身地も「うどん県」として市民権を得ていますが、中国地方も追いつけ追い越せです。
とりあえず叫んだり、自虐的だったり、しまいには県名変わってますやん…。

その点、兵庫県のHPを見てみましたが、兵庫県マスコット「はばたん」が華麗に舞っているだけでした。




閑話休題。

西粟倉村は県北と呼ばれる岡山県の北部の中でもさらに北。
例年なら雪が積もっている頃。

これは昨年の1月。30センチは積もっていますね。




しかし今年は降りませんねー。
今日なんか菜の花いただきましたよ。

シンプルに辛し和え。
おいしかったけど変な気候ですね…。
この調子だといつかドカッと降りそうで逆に怖いですが…。





それでも寒いことは寒い!!
特に日本家屋の天徳寺は通気性抜群です。

なので、年末に土間と居間の間に建具を入れてもらいました。

建具やさんが持っておられた古建具。
間のガラスのところから居間の囲炉裏の火がチラチラ見えてとても雰囲気が良いです。
この古建具も天徳寺で息を吹き返してくれました。
本丸さん、ありがとうございました!!

障子ってご存知の通り和紙なんですけど、保温性すっごく高いです!
あるのと無いのとでは寒さが全く違う。
ただの紙なのにスグレモノだなぁ…。

結。

2016年01月12日 | 天徳寺
家人しかいないときは、囲炉裏では生木を燃やします。


煙たいです。
煙もうもうです。
この部屋の火災報知機は熱感知式です。
煙探知だと大変です。サイレン鳴りっぱなしになりかねません。
しばらくすると、屋根のほうに煙が抜けていくようになるのですが
空気が温まらないと上昇気流にならないからでしょうか。
朝イチは、煙が充満します。



でも、この煙が茅葺の屋根には重要。
煙で屋根を燻します。


屋根を燻すことで茅に住む虫に退散いただきます。


虫が居座ってしまいますと
その虫を狙って鳥さんがやってきます。

※イメージ図
そして茅をつつきます。
すると茅に穴が開き、そこに雨が降ると水が溜まって茅が傷みます。

鳥を来させない→虫を居つかせない→煙で屋根を燻す(天然のバ○サンみたいなものです。)






茅葺屋根は消耗品です。
昔は屋根裏に各家庭が冬前に刈った茅を保存して葺き替えが必要になった家に拠出していました。
茅だけでなく人手もです。
これをと呼んでいました。
茅葺の家がほぼ無くなった今は結の制度もなくなり、茅も高価なものとなり、葺き替えができる人も少なくなってきました。





だけど…だからこそ守りたい。

この建物を、この技術を、この風景を。


天徳寺を宿泊できる場所にしたり、カフェとしてくつろげる場所とすることは現代の新しいの形だと思っています。






そして、私たちは少しでも長持ちさせるために今日も屋根を燻します。

伝統を継承するということ。

2015年12月02日 | 天徳寺

昔、武家屋敷に使われていた欄間。
枠は比較的最近に仕立て直されたようですが、組子の部分はおそらく江戸時代のものであろう、ということでした。



組子とは…
簡単にいうと釘を使わずに木を組み付ける技術のことです。

巧緻なパーツを作り、ひとつひとつを組んでいきます。
なんと飛鳥時代から続く伝統ですが、主に障子や欄間に使われることが多い組子。
現代の和室離れから若い伝承者が激減していると言われています。






今回の天徳寺の改修にはいろんな「○○屋さん」に活躍していただきました。

板金屋さん
左官屋さんhttp://blog.goo.ne.jp/kokohore-wanwan189_1976/e/6623c4aad6c6728a2c873bcc3e530af3
建具屋さんhttp://blog.goo.ne.jp/kokohore-wanwan189_1976/e/157ba5e8efcea58a96426c3d9b6502c4
etc…


高い技術を持たれている方たちに色々と助けていただきました。
でも、こういう方たちも、発揮できる場がないと腕も磨けませんし、後進も育たない。
日本の誇るべき技術。
私たちができることは本当に本当に小さなことかもしれないけれど、蟻の思いも天に届く、ハズ。







この組子欄間も、解体された家から救い出されたもの。
古いものでありながら何ともモダンで、技術力の高いこと。


実は天徳寺には欄間は無いので、ちょっと違う用途に使って生まれ変わらせようと画策中です。