二胡工房 光舜堂

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擦弦楽器を鳴らすのは。

2023-10-25 08:46:37 | 二胡の救急箱に書かなかったこと
以前、擦弦楽器の弓の毛が何故馬の尻尾の毛なのか?他の糸類ではできないのかと考えていたところ、以前はナイロンなどで試してみたころがあるそうです。
また、モンゴルの馬頭琴奏者の方に聞いたのですが、馬頭琴の弦は馬の尻尾の毛です。
ところが、馬の尻尾の毛は湿度に弱く、湿気のある日本などに持ってくると切れることが多くなってしまった、そこで、ナイロンの弦を使ってみたそうです。
撥弦楽器のように弾くのならこのナイロンでも問題はないそうですが、擦弦楽器ではいくら松脂をたっぷりと塗ったとしても大変鳴りにくかったそうです。
大体松脂が良くは付きません。
ギターなどではナイロン弦がありますね。それなりに良い音がするそうです。
擦弦楽器の場合はナイロン自体が松脂そして馬毛の強さに負けてしまいます。
その上ナイロンでは弦にしたとしても引っかかる部分が無いのですね。
ナイロンはそれほど強い繊維にはなりにくいですから、もしできるとしたら、ポリカーボネイトや防弾チョッキに使われるケプラー繊維などのように強い繊維ならできるかもしれません。
しかし馬毛のようにキューティクルがあるわけではないので松脂がうまく乗らないのですね。
それこそ強いケプラー繊維などで、何らかの形でキューティクルのような状態を作るしかないのではないでしょうか。
いつの日にか繊維メーカーさんが開発するのかもしれません。
世界に数千万人いる擦弦楽器の奏者が一年に一回毛を張り替えるとすれば、繊維メーカーも採算という点で考えられるかもしれません。しかし、5千万人が5グラム一年で廃棄すると25万キログラムのプアラスティックのごみが出るのですね。そんなことを考えていたらやはり馬毛が良いようです。
結局、擦弦楽器を鳴らすのは松脂なのです。
その松脂が綺麗に乗るのが現在では馬毛なのでしょう。
工房光舜堂西野和宏&ほぉ・ネオ

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