二胡工房 光舜堂

二胡を愛する全ての人へ

記録として、革胡の修理

2014-09-13 10:16:26 | ■工房便り 総合 
これは革胡と言います。

チェロと同じ音域の蛇皮で出来た4弦の楽器です。

二胡と同じく振動板を蛇皮にして、胴は、これはインド紫檀で作られています。

胴の材料は、今まで診た8台の革胡では半分くらいがインド紫檀でしたが、ほとんどは花梨で作られていました。

インド紫檀は今ではもう殆ど中国には残っていない材料でしょう。

5,6年前は、インドっからの密輸と言うのも有ったようですが、

最近は相当取り締まりも厳しくなって、中国には入っていないようで、

この木で作った二胡は、中国本土でも、天然の良い物は、300万円もする落ちわれているくらいな木です。

ちょと残念ではありますが、この革胡のインド紫檀は、植林物です。

それにしても、同じインド紫檀ですから、二胡にすれば100万円以上します。

最近では、この形の革胡と言うのは作られておらず、むしろ三味線の様な四角な形の物が増えて来ています。

言ってみれば馬頭琴等に近い形になっています。

しかし、日本ではまだ、革胡と言えば、この丸い形のものが殆どのようです。

殆どが関西にあり、東京ではまだ見たことがありません。

たぶん日本には、10数台あるくらいでしょう。



駒はこのように胴に刺さっています。



駒の下部は、胴の丁度中心を裏から振動させるために、革に張りつけた竹で出来た突起に接続されています。



今回の破損部分です。

駒がこの真ん中の開口部を通過するために、木の両端がかなり薄く作られています。

この楽器の弦は、チェロ用の弦ですから、訳20キロくらいの荷重が常時棹にかかります。

以前一度破損を直したのですが、本体まで手を付けるわけにもいかず、元の部材の厚みで修理してありました。

今回は、お客さまのゼノカルテットの重松涼子さんにお断りしまして、本体までも加工許可をもらい、

私が死んでも残るくらいには頑丈に作り直すつもりですが、問題は、頑丈に作ったおかげで楽器としては鳴らなくなる怖さがあります。

楽器の修理は、単なる木工や金属加工ではありません。

音の修理でもありますから。

この破損部分はパドウクで作られています。

強度としては、この破損の両サイドをこの厚み(現状7ミリ)で支えるほどは強くありません。

ですので今回は材料を強くて粘りのある、チンチャンにしようと考えました。

強くて粘りのある材料と言うのは、フェルナンブーコですが、とても材料費だけで、たぶん20万円を超えてしまいます。(この部材の量だけは買えずもっと大きなものになっていますから)

そこでいろいろ試してみて、フェルナンブーコに匹敵するくらいな粘りのあるチンチャンを使う事にしました。

ただパドークより相当硬くなおかつ、この部材の大きさを使っても1,5倍位の重さになりますので、音的に少し伸びを欠くのではないかと考えていまして、

それは後ほど加工の所で最終的に処理しようと考えています。

今後色々珍しい楽器などの修理の際は、後々の事を考えて、記録に残そうと思っています。

私の後を継ごうというような酔狂な人は今はいませんので。


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4 Comments

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Unknown (ぷれ♪)
2014-09-13 14:59:22
店主さまの強靭&素晴らしいご活躍に
遠く九州の地より、すごいなぁ~と感心しています。
ここのブログをのぞいていると、
日本の二胡界の様相を垣間見ることができて
すごく楽しいです~☆

「革胡」は地元の中国音楽団にあるのですが
そこで当たり前のように使われているので
そんなに珍しいものだとは思っていませんでした。
日本に十数台?とはなかなかのレアものなんですね。
今度、楽団の方をおみかけしたときに、
教えてあげよっと♪と思います(^_^)
ぷれさん (nisino)
2014-09-13 17:21:27
東京では見たこと無いですね。
中胡とまりですかね、それも鳴尾幻樂団のように10台以上というような数はあまり見かけません。
弦楽団が少ないからかもしれません。
低音欲しいですね、通奏低音
今年の後半はなんだか九州づいて、たぶん11月の終わりには九州行きます、予定ではありますが。
Unknown (ぷれ)
2014-09-14 20:34:26
おおー九州入りされるのですか?
やはり、福岡あたりなのでしょうか・・・
美人秘書のほぉさんも見えるのかなあ~(^_^)
九州は (nisino)
2014-09-16 09:04:24
長崎です・
里地気君のライヴの有るのと、お墓参りに行きます。
あにがお墓守っています、(お寺の住職ですから大僧正!!)私なんかより変わり者です

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