身分
このエントリイでは、ちょっと脱線します。
「龍馬伝」に、ずっと通底音として流れているのが、身分という問題です。身分制度という壁を幾度となくドラマは私たちに見せるのです。
それも、有意な若者が、自らの力を世に問おうとする時、門前払いのように立ちはだかるのが、 身分 なのです。
前回の35回で、龍馬が薩長連合の密約を結ばせるために京都へときたとき、新撰組がその動きをとらえて動こうとします。そのとき、京都の会津の見回り組――新撰組の上部機関――が、新撰組に対し、あからさまに侮蔑し、下に直れ、と平身低頭を近藤勇(上写真)に要求するシーンがありました。あの新撰組とて、たんに多摩の百姓あがりなのです。その幕府での位置づけは。
「公務員になりたいよー」
と有意な若者が一生懸命働いている。
しかし、お前はしょせん非正規だからな、と派遣労働を侮蔑するような、身分が違うんだ、とばかりの侮蔑したそのまなざしに、近藤が、怒りを抑えて平身低頭する姿はなんとも痛ましい。
原田泰造扮する近藤は、私の知る泰造とは思えないくらいのまったく違うキャラをみせてくれています。
山内容堂
龍馬は、土佐藩、いまの高知県の出身です。
土佐藩は山内家が藩主を務めている藩で、龍馬の時代の藩主は山内容堂(上左、写真)です。近藤正臣(上右、写真)が好演しておりますが、じつは、この土佐藩は、もともとは長宗我部家が支配していました。ところが、長宗我部家は、天下分け目の関ヶ原の決戦で、西軍つまり豊臣方につき、敗北したのです。そして、徳川家に征服されたのでした。山内一豊という名前をきいたことがあるでしょうか。その山内家が土佐を支配し、領主となったのでした。
これくらい、身分の発生を明らかに示すものはないと思いますね。そうです。身分は
征服
という行為がなされて発生するのです。
以来、山内家の家臣は上士として、長宗我部家の家臣の上に乗っかり君臨してきたのでした。
映画「少年時代」にみる征服
映画「少年時代」は、井上陽水の同名の曲で知られています。今は、映画より曲の方がメジャーになった感がありますが、この映画なかなか面白いのです。
この映画は、太平洋戦争中の富山を舞台に展開します。疎開で東京から来た小学校5年生の主人公が、いきなり、田舎のガキ大将によって、征服されるのです。
はじめは、友だちとして接してくれていたガキ大将がある日、牙を向くのです。言葉遣いが変わり、征服者としての素顔を露わにするのです。
さて、子どもの世界の征服ってなんだかわかりますか?
そうです。
泣く
ってことですよ。そうなのです。泣かされたのです。
「やーい、東京が泣きだしたぞ!」
こうして征服は完了します。以来、身分が、それも厳然とした身分が発生します。このドラマのおもしろいのは、それで終わらないのです。そのガキ大将が、さらに 革命=クーデター に合うのです。このシーンは圧巻です。ぜひ、ご覧になられるといいと思います。いじめにも、制服という行為がかならず、契機として入っているはずです。いじめとは、あきらかに身分制なのです。
・龍馬伝 1 坂本龍馬像
・龍馬伝 2 身分制度という絶望
・龍馬伝 4 昭和と平成の竜馬/龍馬像
・龍馬伝 5 尊王攘夷
・龍馬伝 6 脱藩という場所
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