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「毎日心も体も元気でナチュラル」をモットーに、日々の暮らしのあれこれを、気の向くままに書き綴った日記です

バッハの新たな弾き手、シモーヌ・ディナーシュタイン

2008-08-28 | 映画・本・音楽など
 以前、ラジオNPR(National Public Radio)局の『Morning Edition』(話題の人物をインタビューを通して紹介する番組)で偶然知った、Simone Dinnerstein(シモーヌ・ディナーシュタイン)というピアニスト。彼女の弾くバッハの『ゴールドベルク変奏曲』がとても素晴らしくて、それ以来ずっと彼女のことが気になっていた。
 
 そしたら昨日のWall Street Journalの"Leisure & Arts"欄でまた彼女が取り上げられているのを見つけたので、これは忘れないうちにブログに書き付けておこうと、今日はほんの走り書きメモ程度での更新。

 彼女は4歳のとき自らの希望でピアノを習いはじめ、ジュリアード音楽院に進んだのち3年で中退してロンドンへ留学、Maria Curcio(アルトゥール・シュナーベルの弟子で、内田光子の指導者)のもとで3年学び、それから再びNYへ戻ってジュリアード音楽院を卒業。しかしながら、他の多くのジュリアード卒業生と同様、「テクニックと将来への期待・希望を山ほどもって卒業しても、機会がない」状態に。
 でもそこでへこたれず、彼女は以後数年間、米国全土の数々のリタイアメント・センターや小さなコンサート・ホールでのギグを重ね、それを通じて集めた15000ドルの寄付金・助成金で、バッハの『ゴールドベルク変奏曲』CDを自費出版する。このCDは注目を集め、今年の始め、Telrac Recordsというレーベルから出版される運びに。そのとたん、あれよあれよという間に話題を呼び、クラシック音楽CDとしては異例の売れ行きを示す結果となったのだそう。

 私がラジオを聞いていて彼女のインタビューに瞬時にして惹き付けられたのは、彼女の弾く『ゴールドベルク変奏曲』主題曲のアリアがとても瞑想的で美しかったことがもちろん第一の理由だけど、それ以外にもうひとつ、「全曲1時間にも及ぶこの難曲の録音とソロ・リサイタルというプロジェクトに取りかかったとき、彼女はちょうど妊娠していた」というインタビュアーの言葉が聞こえてきたから。このラジオ番組を耳にしたのは去年の11月で、その頃は私もちょうど妊娠5ヶ月くらいだったから、"I was pregnant then, but in spite of that, or rather, exactly because of that, I thought I wanted to start something really deep, and a major project in my life" という彼女の言葉に、ぴん!と耳が惹き付けられたんだと思う。(うろ覚えなので、これは彼女の言ったとおりの言葉ではないけど、だいたいこんな感じのことを言ってた(…と思う)。)

 彼女は長らくグレン・グールドのファンだったそうで、このゴールドベルク変奏曲もグールドの演奏の影響を多分に受けていると本人が言っているとおり、グールドを思わせるところも確かにそこここで出会う。でもグールドのバッハが、あくまで端正で、一つ一つの音が研ぎ澄まされて透明感があって、軽いんだけれども底流に何か自己を律する厳しさのようなものが漂っているのに対して、彼女の弾くゴールドベルクはもっと温かで、瞑想的で、流れるような感じ。グールドのが青とか白とか、寒色系のイメージなのに対して、彼女のは(太陽の暖かさを思わせる)オレンジとか(瞑想的で深い沈黙を思わせる)赤紫とかの暖色系で、ときに金色がきらきらと混じる感じというのかな。
 
 彼女は今週木曜日(明日だ!)、NYのLe Poisson Rouge(インディー・ロック、フォーク、エレクトロニック、そしてクラシック音楽をプロデュースするクラブ)でコンサートをするそう。選曲は、バッハ、ベートーヴェン、そしてPhilip Lasserの『バッハのコラールを主題とする12の変奏曲』(寡聞にして聞いたことないけど、19世紀のロマン派、フランス印象主義、アメリカの劇場音楽とジャズを自在に取り入れた曲らしい)なんだって。NYに住んでいたら行ってみたいところなんだけどなあ。ブルーミントンにもいつか来ないかな。

 彼女のプロフィールや音楽に興味のある人は、以下のサイトへどうぞ。

『遅咲きのクラシック・ピアニスト、シモーヌ・ディナーシュタイン』(Wall Street Journal、Thursday, August 26, 2008)

NPR classic music archive: simone dinnerstein (NPR, November 5, 2007) (こちらでは彼女の演奏を聴くことができます)

 
 *この記事を、ブルーミントンで私のピアノの先生をしてくれていたNatsukiちゃんに捧げます。
 Natsukiちゃん、日本に帰ってから元気にしてるかな~?

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6 Comments

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久しぶり★ (Wakana)
2008-08-28 20:42:29
美智子さん、お元気ですか?すっかりご無沙汰しています。
産まれたときから大きくみえた拓ちゃん、さらに大きくなっていてびっくりしました赤ちゃんの成長って本当に早いものですね。

このピアニストの演奏は週末にでもゆっくり聴きたいと思います。

私は8月からマーケティングを仕事を始めました。あとは・・・ピアノを買って、9月からのN響の定期会員になりました。ピアノは普通のアップライトなのですがモードを切り替えれば電子ピアノのようにヘッドフォンで音を聴くことができます。仕事に慣れてきたらまた習い始めたいなと思っています。

最近は日本でもベビーマッサージの講習会を見かけますよしばらく前にアロマセラピーの講習会に出たのですが、赤ちゃんにはアーモンドオイルがお勧めって先生が言っていました。アメリカはWELEDA(ヴェレダ、スイス系のオーガニックブランド)をはじめオーガニック系のマッサージオイルや精油が日本の半額ぐらいで購入できるので、色々調べると楽しいと思いますよ

それではまた遊びにきます★
お久しぶり♡ (michiko)
2008-08-29 06:57:39
Wakanaさん、お久しぶり! コメントどうもありがとう♪
マーケティングのお仕事を始めたとのこと、どうもおめでとうございます。それからピアノも買ったとのこと、趣味に仕事にさっそく積極的に取り組んでて、さすがWakanaさん! どちらもがんばってね~。

私はというと、ピアノはNatsukiちゃんが日本に帰国して以来、ずっとお休み状態ですが、またしばらくして子育てのペースが落ち着いたら再開したいなと思っています。(いつになるかわからないけど・・・でもできれば半年以内には!)
ここで紹介したピアニストは、妊娠が分かってすぐにこんなに大きなプロジェクトに取り組んでるところがすごいと思って、そこに感動して紹介したのに、自分はこの有り様・・・。でもまあピアノを職業にしているプロの人とは比べちゃいけないよね。(言い訳)

拓ちゃんはどんどん大きくなってるよ~。でもね、「赤ちゃんの成長は早い」というのはほんとだけど、拓ちゃんの成長ぶりはそれに輪をかけてるかも^^; 公園とかプレイグループとかで会う他の4ヶ月児と比べるとだいたい1.5倍くらいはある感じだから@@;
まさに横綱級・・・(いいことなんだろうけど重い・・・)

マッサージオイルのこと教えてくれてどうもありがとう! さっそく調べてみます。さすがwakana san、詳しいね~。
実は妹も、オーストラリア産のcoral moonというマッサージオイルを病院で勧められて使っているようで、それを聞いて私もいいオイルを探したいなーと思っていたところでした。わかなさんってもしかして私の心が読める?! 
うちの妹は一回マッッサージを受けにいった後、見よう見まねで自己流で毎晩マッサージをしてあげているそうです。(負けた… って別に勝負してるわけじゃないんだけど^^;)

また遊びにきてね~!
Unknown (Wakana)
2008-08-29 12:37:10
美智子さん

本当に不思議ですね。実は私、美智子さんの出産祝いにWELEDAのベビー用のマッサージオイルとマッサージ本もいいかなぁ~なんて考えていたんですよ♪

拓ちゃんは写真でも本当に大きく見えて(とくに美智子さんの隣にいるとき・・・)たくましいなぁなんて思っているのですが、健康第一だし喜ばしい限りですね。

日本では美智子さんや夏紀ちゃんみたいにクラシックについて語り合う友達がいないのでちょっぴり寂しいですがこうしてネット上でいろいろとお話できるのもまた楽しいですね。

そうそう、美智子さんにひとつ聞きたいことがあるのですが。このブログの写真、いつも素敵だなと思うのですがどちらのカメラを使っていますか?そろそろ買い換えたくていろいろ検討しているので、よろしければ教えてください。
カメラ (michiko)
2008-08-30 03:43:03
Wakanaさん、

>実は私、美智子さんの出産祝いにWELEDAのベビー用のマッサージオイルとマッサージ本もいいかなぁ~なんて考えていたんですよ♪

そうだったの~? それはほんとに奇遇!というか、若菜さん、私の心を読めるとしか思えない…?といっても、マッサージに興味が出てきたのは生まれてから2ヶ月ほど経ってからなんだけどね。

>日本では美智子さんや夏紀ちゃんみたいにクラシックについて語り合う友達がいないのでちょっぴり寂しいですが

私も若菜さんと夏紀ちゃんが日本に帰ってから、そしてAyumiさんもドイツに帰ってしまったので、クラシック音楽について友人と語りあったりする機会はあまりなくなってしまいました。そして最近はもっぱら拓ちゃんのために童謡を聞いたり歌ったりする毎日…^^;
あ、でもクラシックも(特にバッハは)拓ちゃんと一緒に聴いたりしていますが。

で、カメラですが、
 私が買ったのはCanonのRebel xsi 450Dという機種です。ブルーミントンのBest Buyで買える機種にかなり限りがあって(デジタル一眼レフはなんとCanonとNikonしか売っていないのよ。。。でもどっちも日本製だってとこがある意味すごいよね)、その限られた選択の中で、初心者でも使いこなしやすい、値段がそこそこ(一番安いのではなく、中間の下くらい)、赤ちゃん~子どもを撮るので、シャッタースピードの速いもの、というのを基準にして選ぶとこれになりました。

 でもデジタル一眼レフなら、キャノンでもニコンでもオリンパスでも(それ以外のブランドでも)、最近の機種でかつ初心者用とうたってあるものを選ぶとほぼ間違いないのではと思います。参考までに、キャノンの製品ラインナップのページのリンクを貼っておきますね。
http://cweb.canon.jp/camera/eosd/lineup.html
Unknown (Wakana)
2008-08-31 13:05:03
みちこさん、

早速ありがとうございます。
やっぱりあのBest Buyならではの品揃えの薄さですね(笑)。でも選択肢が多いとかえって悩んじゃうし、私のような初心者にとってはそのくらいの方がありがたいかもしれないです。

今使っているデジカメ(キャノン)が夜景に弱くて、買い換えるならPanasonicのLumix(デジカメ)かNikonやCanonの一眼レフがいいなぁなんて思っています。
いますぐ必要というわけではないので、ゆっくり考えます★

それにしても美智子さん、写真撮るの上手ですね。構図もとっても素敵です!まだまだ拓ちゃんに手がかかる時期なのに、パンやお料理、ブログや読書、マッサージ、音楽まで楽しんでいるなんてやっぱり美智子さんはすごいです。美智子さんの日記を読んでいると私も幸せで前向きな気持ちになれるんですよ!。

では、また遊びにきま~す。
カメラその2 (michiko)
2008-09-02 00:46:21
Wakanaさん♪

>やっぱりあのBest Buyならではの品揃えの薄さですね(笑)。
だよね(笑)。
でもわかなさんのいうように、たしかにあんまり種類が多いと悩みすぎてかえって決められないこともあるし、これぐらい種類が少なかったから私もけっこう即決して(勢いで)買っちゃったとこもあるかも。

LUMIXは私もインターネットでリサーチしていたときはかなり気になって、候補に入れていたんだけど、Best Buyに行ってみたら置いてなかったので、あっさりというかやむなくというか、候補から外れました(笑)。

LUMIXはコンパクトデジカメでありながら、一眼レフに近い機能がいろいろついていて、一眼レフと類似の写真も撮れるみたいだし、お値段もそこそこだし、何より小さくて軽いのがいいよね!
デジタル一眼レフはとても気に入っていますが、やっぱり値段がどうしても高めになってしまうのと、ボディが大きくてかさばるのと(ハンドバッグにはもちろん入りません)、レンズ交換ができるので(これはいいことでもあるんだけど)、後から用途に合わせたいいレンズなどが欲しくなってしまったりして、結局さらにお金がかかってしまうというところがネックかも。はまるとお金のかかる道楽ですね、一眼レフは…。でももちろん、一眼レフならではの楽しみ(レンズが換えられて、レンズによっていろんな写真が撮れるとか、やっぱりシャッタースピードはコンパクトカメラとは比較にならないほど速いとか)はあるので、結局は自分の予算と目的しだいかなと思いますが。
 
わかなさんも言うとおり、急がずゆっくり考えた方がいいと思いますよ♪

写真のこと、ほめてくれてどうもありがとう! 
それからブログについても、とっても励まされるコメントをどうもありがとう~

実は最近、コメントもあまり残してもらえなくなってしまったし、育児の合間を縫ってブログを書くのもけっこう大変だし、もうブログやめようかな…とまで思っていたくらいのところだったんだけど、わかなさんのコメントでまたやる気が出てきました!(笑)

マイペースだけど、またぼちぼち更新するので、わかなさんも時間のある時にでも、ちょくちょく遊びにきてね~。



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