元祖・東京きっぷる堂 (gooブログ版)

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さすらい少女2004夏 6

2021-08-02 06:09:50 | 夢洪水(散文・詩・等)
さすらい少女 2004

-6-


 てこてこ、てこてこ、歩き始めると、ふぅわぁ~とにかく暑い!暑すぎる!缶ジュースはないかぁー!もぉ~すぐに汗ダクダクぅ~。と、まてよ、この看板、あらま、「山の辺の道」ってちゃんと書いてあるよ、何だ、やっぱ、これなのか、想像より遥かにちっちゃい道じゃん、これじゃ観光客来ないぞー!いっくら宣伝しても来ないわよーーーー!でも、この道のせいじゃないわよね、観光で儲けようとするからよねー、やーね。

 って私の知ったこっちゃないわいな。でも、こんだけ、あっちこっちで看板たてて宣伝してるんだから、もっと広く歩きやすい道路なのかと思ってたけど、こりゃ変な道だ。神の道ってやつだ。下手にいじるとバチが当たるって?そーいうことなのかなぁ。って、そんでもタッタカ歩いて行くにつれて、整備のあとが伺えるわねぇ。見うけられましたわ。あはは。チュートハンパァーーーーーーー!!

 もーお!石を埋め込んだり、コンクリートだったり、土、砂利、だよ。でも、しばらく歩いてて気づいたんだけど、ここってさ、なんちゅーか超常現象地帯?何か感じるのよね。なんだろー?殆ど人なんて通ってないし、この変な道に何かの力が宿ってんだか何だか、シュールっつうか、こりゃ人間がフツーに生きてて感じるものと絶対に違うよ。何だか私は白く光った異世界へ続く道をゼリーの中を掻き分けて歩いてるような気分で、白い光の粉みたいなものが私の身体の中に入ってくるみたいで、いや、確かに入ってくるんだよ、私、頭へんになったけ?相変らず太陽は頭の上でカンカンに照ってて、ジリジリすんだけど、私自身はゼリー状の空気の中を水かきして進んでいるような感じで懐かしいような、いんや、太古に人間の持ってたパワーが私の身体の中に降り注いで来るみたいで、なんとも、チョー非現実的。

 そんなこんなで何だか、ちっともこの道を進んで無いような気がしてたんだけど、なんだ、ずいぶん歩いてきちゃったみたいだな、って思ってひょいって見上げると、おおー!峠のような古墳があって、その頂上らしき場所に休憩所が見えるよ。ごくり。ええーい!こんなゼリーの太古の神様の空気だか何だか得体のしれない変な感じからチョーダッシュだ!

 ってズンズンズンって、古墳を一気に駆けあがると、着いたよ休憩所。ちゃんとした、お店だよ。ガラガラガラってガラス戸開けて入ってみると、うぅぅぅ目の前に『イチゴジュース、100円』ってのがあるよ。あっと、手が出た、勝手に出たよ。ゴクゴクゴク、ごっくん。マズーーーーーー!!って、えへへ、これ、喉がチョー乾いてない時に飲んだら、さぞかーし!まずかろうってことね。だからチョー乾いてたから、本当は、ウメぇーーーーーーー!!なのよ!そんなジュースでした、一気に飲み終わって、ガラス棚の上に100円をちゃんと置くと、奥の襖が開いて、お婆ちゃんが出てきて、金歯を覗かせて、あららら、又、ニカッだ!ニカッ攻撃だ!物凄く親切そうにニカッて笑うもんだから、もーう私は凝りもせずにチョーうれしくなっちゃってお婆さんに抱きつきたくなっちゃったよ。でへへ。

「おいで、こっちに眺めのいい建物があるよ」

 って、またまた金歯をニカッてさせてお婆さんが言うんで、

「はい!行きます!行きます!連れてってください!」

 って大声で言っちゃったぁ。私は何て綺麗な目をしたお婆ちゃんだろうって感動しながら、その眺めのいい建物の中にお婆ちゃんは私をニコニコ優しく笑いながら連れてってくれた。

「ここはねぇ、古墳の天辺で神様の家なんだよ。ほぉら形が亀みたい。亀さま、神様、わはははははー」

 だってさ、私、お婆さんが、あんまり可愛く笑うもんで、そのくだらないダジャレに付き合って良いものかなんて悩む隙もなく、

「えへへへへへへーーーーーー!!あははははははーーーー!」って大笑いしちゃったよ。なんだ、そりゃ?

 ここで休んでいくと御利益がありますよとか何とか言って、お婆さんは、ゆっくり帰って行って私が1人残されたよ。へぇ~、よくよく見ると奇怪奇怪キキカイカイかもねー。こうして石のようなものに座ってる私だけど、この建物自体が亀だ。亀石ってやつか?何だか日本オカルト全集に出てたようなやつだ。本当にあったよ。

 私は、その亀石の建物の天辺に、今、こうして座ってるわけだけどさ、いいのかなぁー。こーいうのって巫女とか神降ろしとか何か、そーいうシャーマンだとか特殊な世界の人の座るとこなんじゃないかねぇ。何てチラリと思ったけど、喉は潤い、空はピカピカに晴れてて、気分スッキリで、見下ろすと、ほぉぉぉ~ぉなんちゅー眺めの良さかねぇ、絶景かなぁ、これが大和の景色ってやつだー!

 あーーーいーーい気持ちーって両腕を思いっきり広げて空気を吸い込むと、私ね、ね、信じてね、フワって浮かんだの。そしてね、そして、え?っと思って周りを見ると金色の光りに包まれてんのよ、そんでそんで、何?って上を見ると、空の物凄いチョー上空から金色の筒みたいな光の束が私に向かって降りていて、よーするに私は、その光の中にいるの。それからバッバッってフラッシュして視界が真っ白になってね、私、私、身体がクルクル回ってるような感覚になって、一瞬シュって真っ暗になったかと思うと、何事もなかったように、さっきの亀石の天辺で、これまた呑気な顔をして鎮座ましましてるんだなぁー私。

 今のは何だったんだろう?幻覚?つ・ついに旅の疲れとテクノストレスで、あたしゃおかしくなっちゃったのーーー?って言うか、全然、逆だ、こりゃ、何だか生まれ変わったような、私の身体の肉と骨が全部、細胞がぜーんぶ、強力にパワーアップされて本当に再生っつうか、ハイパー・ブースト装着完了!エネルギー完全充填!ダイヤモンドの神経を持つ女!って感じ?この漲る元気は何?

 うがーーーー!これがさすらいの一人旅の力なのー?キャプテン、凄すぎない?こりゃ私の肉と骨の芯から神経細胞隅々まで本物の生命力で満ち溢れ、自然児として生まれ変わったっていうか、野生児って、げ、い・いやだ、そこまで行くと嫌だ。私は、これでも都会の洗練された乙女でございますのよ、おほほほ。なんて言っても、このミナギルるパワーは否定できないのだーーー!よっしゃーーー!私は、すっくと立ちあがり、黄金の光の帯の中でピカピカ青空の金色の光発射点に向かって、いっちにぃさん、

「だぁっぁぁっぁぁあーーーーー!」

 って猪木になったのでした。





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