親が介護の必要な世代になって初めて「介護問題」に関心を持つようになったという親不孝の私ですが、「買い物」の問題、難しいですね。
以前、私の実家近くにはトヨタ生協があったのですが、潰れてしまい今は「車で10分」のスーパーに買い物に出ているようです。しかし、母が骨折をして車の運転ができなくなり即「買い物難民化」してしまいました。
ずっと昔には移動スーパー(中が小さなスーパーになっているバス?で近所まで来て生鮮食品などを売ってくれるヤツ)も来ていたのですが、今では年寄りが歩いて行ける距離にはコンビニしかありません。「コンビニでも宅配してくれるのがある」らしいですが、携帯やパソコンを使えない年寄りには「ネットスーパー」は無縁の世界です。(案外ipadなら年寄りも使えるだろうか?)
一方では、厳しい価格競争に晒され大規模スーパーしか生き残れなくなっているような流通業界において、こうした「弱者のための効率の余り良くない=儲からない商売」の担い手が現れないのはやむを得ないと思いますから、結局「買い物難民」はまだまだ漂流を続けなければならないのでしょう。
買い物難民600万人 支援本格化
国の補助事業スタート
(2011年1月11日(火)読売新聞朝刊12面)
インターネットで注文を受け宅配する「ネットスーパー」も買い物難民の支援策として注目されている。生協も参入し、高齢者らの利便性を高めている(さいたま市のさいたまコープ武蔵浦和店で)
高齢者らが日々の買い物に困る「買い物難民」。経済産業省は今月から、買い物支援の取り組みを後押しする補助事業を始めるが、200件近い応募があり、関心の高さを示している。
先進的な事例を盛り込んだマニュアルも公表され、各地で買い物難民対策が本格化しそうだ。
全国で600万人いるとされる買い物難民の支援は、民間業者や自治体がバラバラに取り組むだけでは予算や継続性に限界がある。そこで国は、民間と自治体、民間同士などの新規の買い物支援事業に対し、費用の3分の2(100万~1億円)の補助を行うことになった。
同省が昨年末に全国10か所で開いた説明会には、約1500人が詰めかけ、各地の商店街や、コンビニ、スーパーなどの流通業者などから約180件の応募があった。全体の予算は約3億円で、近く、審査の結果、補助の対象となる事業や配分が発表される。
茨城県のある町では、宅配会社の協力を得て、第3セクターが経営する物販店の食品などを配達する計画を進めている。「車を運転できず、買い物に苦労するお年寄りが多いため、支援を検討していたが、500万円近くかかる費用の確保に悩んでいた。補助事業の対象となるといいが」と担当者は話す。
一方、大手小売業の担当者は、「社会的な課題になっている買い物難民の問題に取り組むきっかけにしたい。将来的には新たなビジネスチャンスにもなれば」と応募の理由を話す。
さらに、同省では、幅広く地域での買い物支援を促す方策として、全国で実践される20の先進事例や支援のポイントなどを紹介する事例集「買い物弱者応援マニュアル」を作成した。昨年末から、同省のホームページで公開している。
買い物難民を支援する方法を〈1〉身近な場所に店舗を作る〈2〉自宅に商品を届ける〈3〉自宅と店舗を結ぶ送迎手段の確保――に分類し、具体的な事例を紹介。また、効率よく継続的に買い物支援を行うポイントもまとめた=別表=。各方面の意見を聞いた上で、3月にマニュアルの改訂版を出す予定。
また、各地の実践事例を紹介するセミナーも今月から来月にかけ、東京、仙台、福岡で開催。各地での取り組み拡大の呼び水にしたい考えだ。
買い物支援の工夫の例
(経産省のマニュアルより)
▽店舗まで徒歩で買い物できる半径500メートルの円を描き、空白地区で移動販売を実施
▽大都市中心部などの買い物が不便な地域では、小さな店舗で家賃を抑え、小分けした生鮮品をそろえて休日や夜間も営業
▽団地の共用部分や空き店舗を利用し、住民組織などが食料品などを販売
▽店舗への送迎バスを、病院や役所に行くときも利用できるよう開放
▽高齢者の生活支援や見守りなど他の行政施策を買い物支援にも活用する
(2011年1月11日 読売新聞)