目指せ!映画批評家

時たまネタバレしながら、メジャーな作品からマイナーな作品まで色んな映画を色んな視点で楽しむ力を育みます★

踊る大捜査線 ザ・FINAL 新たなる希望 ★★★

2012-09-08 23:53:41 | ★★★
川崎109シネマズで鑑賞。

(以下あらすじ)
2012年12月、湾岸署管轄内にて行われている国際環境エネルギーサミットの会場内で誘拐事件が発生する。懸命な捜索が行われるも誘拐された被害者は数時間後に射殺体で発見され、使用された拳銃が警察が押収した物の一つだと発覚する。緊急会議が開かれるが、全ての捜査情報を鳥飼管理官に文書として報告し、所轄には極秘状態という異例の捜査体制が発表される。そんな中、第二の殺人事件発生、そして真下の息子が誘拐される事件が発生する…。(以上wikipediaより)

いやー、私、ちゃんと15年前のテレビシリーズから鑑賞してて、深夜の番外編をのぞくとほぼすべての「踊る」シリーズは観てるので、そういうファンの意見になってしまうことをまずはご了承ください。

正直、映画としては最後の最後で思いっきり破綻するので、正直一本の映画として論じるのはとてもとてもつらいものがあるのですが、もうそういうのもどうでもいいわ、っていうくらいの気持ちでハードルをさげてさげて下げて観に行ったので、それほどショックではありませんでした。前週にやっていたテレビドラマスペシャルでも結構感じたのですが映画2くらいから、踊る大捜査線は完全に「同窓会」ムードが何よりも優先されるドラマになってしまった関係でケレン味のある展開はあまり期待できなくなってしまいました。
でも脚本の穴を1個1個指摘していくとそれはそれでそういう楽しみ方をする人が他にいると思うので私はあくまでファンとして、15年間観て来た感想を。

ネタバレします!!




今回の事件解決までの構図って、結局青島と室井が最後には協力して事件を解決して、お話としてはハッピーエンドに至るのですが、そういう意味では、2とかぶってますし、描かれるべき新しいテーマって特になかったりするんですね。室井は最後には念願の警察の中枢に入り込むことに成功し、青島はそれを現場からやっぱり支える立場になるわけで。奇しくも最後の青島の話が入るシチュエーションって、ドラマ第1話の面接シーンにも通ずる構図でして、そういう意味ではシリーズファンにとってみると、非常に感慨深いところはありました。

映画の展開としては、強いて言うならば、これまでほとんどやってこなかった、内ゲバ的展開があり、「犯人は内部の人たちで、それを隠蔽しようとする組織との戦い」みたいな展開がひとつあるのかな、と。室井がそういう構図に立った時にどう立振舞うかというところも注目していたのですが、答えは現場と協力してあくまで事件解決を優先するという至極真っ当な展開。ただ、鳥飼が逮捕される?展開については正直、あまり深堀しておらず、ちゃんと鳥飼は手錠をかけられて逮捕されるシーンが欲しかったところです。人が死んでるわけですからね。この辺りの、信賞必罰的なドラマのお約束がいつも「踊る」は弱いような気はします。

たとえば、今回の脚本の大きな瑕疵の一つが、署長になった真下の振る舞いです。彼は完全に官僚側の人間になっており、室井が「責任は私が取ります」とかっこよく決めてる間も「青島さんと室井さんがやってくれてる」だの、妻の元にも駆けつけず、妻を呼ぶ訳でもなく(一応エクスキューズは入りますが)、最後、息子を救出に向かおうとするわけでもなく。(ここも、行こうとして、同僚に止められるくらいのシーンを少し入れるだけで十分印象は変わったのですが)そういう彼の一挙手一投足が大変残念で、「交渉人真下正義」で見せた切れ者イメージからも、テレビシリーズ最終回のイメージからもずいぶんかけ離れた展開。そこのところは、なんともやりきれませんでした。そして、シリーズキャラクター化していたはずの鳥飼や小池がああいう末路になるに至って、「FINAL」という副題にも納得がいきました。正直、やはり、今回のお話を経て「真下正義」というキャラには本当に感情移入しにくくなってしまうし。

その他にも細かいシーンは色々あるのですが。。。最大の突っ込みどころはすみれさんの「バスどーん」なんですけど、(一応、和久くんが事前に場所は教えたことにはなっていたけど、突っ込んじゃダメでしょ)これによって、完全にドラマは破綻に近い帰結を迎えるんですね。和久君が説明台詞を入れるところあたりはさすがに「これはやり過ぎたなあ」というのが制作者側にもあったんでしょうけど。

あとね、青島の「すみれさん、辞めないで」の繰り返しについてもやっぱりシリーズを観て来た人間からすると、もう少しすみれさんの身体を気遣いながら、優しく受け止めてあげるような度量の大きさを青島には求めたかったなあ、と感じました。

あと、鳥飼、小池、久世の3人の犯行計画は警察への復讐を企図したものだったようですが、こういう世直しを求めて犯罪、という流れって、「SP 革命篇」でもやったよね、と。こういう似たようなテーマしか、追求できないのはどうなのかなあ、とか。ネタ切れなんじゃない?と。

色んな意味で、やっぱり、こういう終わり方をしてよかったんじゃないかな。


15年間、本当に大好きなドラマでしたし、テレビシリーズからずっと観てます。また、続編が作られることを祈りつつ。。。


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