"Live Forever"
2002年イギリス
監督)ジョン・ダウアー
満足度)★★★★ (満点は★5つです)
BSにて
1990年中頃にイギリスで盛り上がった”ブリット・ポップ”ムーブメント。その時代の狂騒を、当事者であるギャラガー兄弟(オアシス)、デーモン・アルバーン(ブラー)、ジャービス・コッカー(パルプ)、3D(マッシブ・アタック)、ルイーズ・ウェナー(スリーパー)らが語るロック・ドキュメンタリー。
ブリット・ポップが盛り上がったこの時代って、感覚的にそんなに前だとは思っていなかったのですが、もう振り返るような映画が出来てしまうんですね。
と言うようなことを思いながら観始めたのですが、引き込まれました。
何が興味深いかというと、このムーブメントが、保守党から労働党への政権移譲、それに伴うイギリス社会の漠然とした開放感と呼応していた、というこの映画のテーマです。
保守党長期政権下に効率化の元進められた、乱暴に言ってしまえば「アメリカ化」政策、膨らんだ失業率等に倦んだ国民がついに労働党に政権を渡す決断を下す。それが1997年。
この下地にあったのが、「イギリスらしさ」の復活への潜在的な渇望であり、その表象化の一つがブリット・ポップだった、というのがこの映画の論旨です。
確かに当時(というか今も現役の方が多いですが)のバンド、イギリスの匂いがプンプンしましたよね。スタジアム・ロック版ビートルズなオアシス、キンクスのような捻くれたユーモアを感じさせるブラー、さらに病的に捻くれたパルプ、デビッド・ボウイ系の美意識をプンプンさせていたスエードなどなど。。。
そんなバンドの方々がインタビューに答えているのですが、みなさん「らしい」ですね。
「俺達を目指せ!」と決め決めのポーズでのたまわるリアム・ギャラガー。
ウクレレ片手に、「ブレアは自分の子供を公立校に入れるべきだって言ったら、口止めされちゃたよ」と皮肉な笑いを浮かべるデーモン・アルバーン(太ったね、しかし)。
神経質そうにベッドのゴミを拾っては捨てながらインタビューに答えるジャービス・コッカー(この人はもうちょっと太ったほうがよいです)。
個人的にうれしかったのは、スリーパーのルイーズさんが結構出てたことですね。好きだったんです、スリーパー。というかルイーズさんの声。「トレスポ」でのレントンとダイアンが出会うシーンで流れた"Atomic"とか鳥肌でしたよね。
インタビュー観てると、この人、何というか、まじめそうな方です。
ブリット・ポップの学級委員長さんですね。
その後、政権を取ったブレアの労働党は、「ニュー・レイバー」のスローガンのもと労働組合頼みの体制から方向転換し、保守党の政策を基本的には継承してゆきます。それとブリット・ポップ・ムーブメントの終焉が関係あるのかどうかは分かりませんが。。。
"Cinderella Man"
監督)ロン・ハワード
出演)ラッセル・クロウ レニー・ゼルウィガー ポール・ジアマッティ
満足度)★★★★ (満点は★5つです)
ワーナー・マイカル・シネマズ市川妙典にて
大恐慌下の1930年代アメリカ。かつてはチャンピオンを狙うところまで上り詰めたボクサー、ジム・ブラドック(ラッセル・クロウ)だが、怪我等の不運も重なり今や日雇い労働をしながら食うや食わずの生活を強いられている。そんな「あの人は今」になってしまった彼に、ついにボクサーとして復活のチャンスが巡ってきた。ジムは愛する妻(レニー・ゼルウィガー)と3人の子供たちのために、再びリングに上がる。実在のボクサー、ジム・ブラドックの伝記映画。
あらすじを書いてみると、くっさーいボクシング映画に見えますね。
実際くっさーくはあるんですよ。だけど、演出、演技が一体となって、そのくささに説得力を与えています。
単純に感動します。
もう、僕は映画の半分くらいは涙腺ゆるんだ状態で観賞していました。
何といってもジム・ブラドックを演じたラッセル・クロウ。劇中で生活がドツボに嵌って行けば行くほど、凄みがましてゆくんです。白眉は、古巣のボクシング協会に行って物乞いするシーン。映画だとは分かっていても、すごく緊張しました。
続いてレニー・ゼルウィガー。
もう旦那は日雇い労働してて生活苦しいんですよ。
だけど、一方では危険なリングにも上がって欲しくないんですよ。
この機微を微妙に演じています。いいなあ。
もう全部挙げます。
セコンド兼マネージャー、ジョーを演じたポール・ジアマッティ。風采上がらないけど、男です。奥さんもしっかりした人だ。
港湾労働の同僚マイク、
ジムがどん底でも父親を尊敬してやまない子供たち。。。
そして、迫真のボクシング・シーン。映画でスポーツ・シーンを観ていてはじめて手に汗を握りました。これは映画館でないと。
いささか現実を美化している気配はあるのですが、騙されてもいいや、という勢いがある映画です。ということで★★★★。
"The Ladykillers"
2004年アメリカ
監督)イーサン・コーエン ジョエル・コーエン
出演)トム・ハンクス アーマ・P・ホール
満足度)★★★☆ (満点は★5つです)
BSにて
舞台はアメリカ南部ミシシッピ川の河口の近くの田舎町。老未亡人のマーヴァ(アーマ・P・ホール)は、大学教授を名乗る男ドー(トム・ハンクス)を下宿させる。実は、彼は近くに浮かぶカジノ・ボートを狙う強盗だった。ドーは4人の強盗仲間と共に着々と計画を進めるが。。。
1955年のイギリス映画「マダムと泥棒」のリメイク。
コーエン兄弟らしい気の利いた犯罪コメディなのですが、アメリカ南部の片田舎が舞台ということで、かなりユルめの出来になっています。このユルさが合うかどうかが、この映画の好き嫌いを分けるところでしょう。
コーエン兄弟の神経症的なコメディーを期待しているとちょっと肩透かしですね。 僕はこのユルさ、結構好きです。
ミシシッピ川をゆったりと走るゴミ運搬船。
だだっ広い街道沿いにポツンと建つ保安官事務所。
中には、隣人が大音量でかけている「ヒッピホップ」について苦情を申し立てる太った黒人の老婦人マーヴァ。
僕はこの時点でこの映画に引き込まれました。あとはこのユルさに身を任せるだけでした。
トム・ハンクスも田舎紳士みたいな強盗をチャーミングに演じています。僕は、「グリーン・マイル」のようなシリアスな映画よりも、こういう映画での力の抜けた、だけど器用なところも見せるトム・ハンクスの方が好きです。
そしてこの緩さを彩る音楽、今回はゴスペルです。音楽を監修したTボーン・バーネット、また良い仕事してますね!
サントラ買わなきゃ。
"Chocolat"
2000年アメリカ
監督)ラッセ・ハルストレム
出演)ジュリエット・ビノシュ アルフレッド・モリーナ ジョニー・デップ
ジュディー・デンチ レナ・オリン
満足度)★★★☆ (満点は★5つです)
BSにて
1959年、舞台はフランスの寒村。村人たちは村長レイナード伯爵(アルフレッド・モリーナ)の元、厳格なカソリックの教えに基づいた慎ましい生活を送っていた。ある北風の強い冬の日、そんな村によそ者の母娘が現れチョコレート・ショップを開く。店主である未婚の母親ヴィアンヌ(ジュリエット・ビノシュ)は、自分の作るチョコレートで人々を幸福に導く不思議な力を持っていた。しかし、その旧弊に縛られないヴィアンヌの生き方は伯爵の反感を買う。ヴィアンヌは、やはり流れ者であるジプシーのルー(ジョニー・デップ)と親交を深めるが、それがやがて悲劇を産む。
ジョニー・デップの出てくるチョコレート映画ですが、趣は「チャーリーとチョコレート工場」とは違います(当たり前ですが)。
ラッセ・ハルストレムらしい、じわじわっと感動が来る落ち着いた映画です。
どちらかと言うと、貧相な村を舞台とした暗い映画と言えなくもないのですが、後味は悪くありません。というのは、基本的にこの映画に出てくる人物の中に、本当の悪人が出てこないからだと思われます。伯爵にしろ、悲劇を生む直接の原因となった酔っ払い暴力亭主(ピーター・ストーメア)にしろ、決して極悪人ではない。
そして、ヴィアンヌとチョコレートが村にもたらしたちょっとした幸福感が何とも言えず素晴らしい。
チョコレートを食べた瞬間の村人達のうれしそうな顔。
それを見て幸福そうな微笑を浮かべるヴィアンヌの佇まい。
観ているこちらも確実にチョコレートを食べたくなります。
それも手の掛かった高いやつ。
僕は特に店の家主の偏屈ばあさんを演じたジュディ・デンチがホット・チョコレートを飲んだ後に見せる笑顔が何とも好きです。
ジョニー・デップは重要な役柄ではあるのですが、そんなには出ていないです。だけど、いいですね、あのジプシー・ギター。あれ、本人が弾いてるのかな?
映画館で観たら★★★★だったかも。
秋です。
秋はソフト・ロックの季節です。
ということで、パイザノ&ラフの"The Drifter"です。
ジョン・パイザノさんのギターがポロンポロンと始まり、
そこに絡むウィリー・ラフさんの気だるげなスキャット
「ぱぱっぱっぱ、ぱぱぱっぴぱ、ぱっぱ、ぱぱぱぱぱぱっぱ。。。」。
いや、字面を見てても分からないとは思うのですが、もの哀しげなんですよ。
ラフさんのフレンチ・ホルンがさらにその寂しさを盛り上げます。
元々はRoger Nichols & the Small Circle of Friendsのシングルで、ソフト・ロックを代表する名曲の一つです。そんなロジャニコのバージョンも良いけど、これも良いですね。
原曲の持つ甘酸っぱさをきちんと掬い取っています。
特にクライマックスのチルドレン・ボーカルによるサビの部分。
沈む夕陽に向かって走ってゆくんだ
僕はちっぽけな人間だけど
自分の中の放浪者に身を委ねるんだ
そう、僕の中には放浪者がいる
こうゆう大人な衝動を子供のコーラスに歌わせるからまたグッと来るんですね。
そして、車の走り去る音がSEで入り、パイザノさんとラフさんは夕陽の向こうに走り去ってゆきます。
完璧。
ジョン・パイザノ(ギター、ベース、パーカッション、ピアノ)は元ティファナ・ブラス、ウィリー・ラフ(フレンチ・ホルン、ベース、ボーカル他)はジャズ畑の方です。
その二人がハーブ・アルパートのプロデュースの元、A&Mから出したデュオ・アルバム「Under the Blanket」からの一曲です。
このアルバム、全曲良いです。ボーっとしたいときに最適な「木漏れ日」系の名盤です。
"The Drifter"
from the album 「Under the Blanket」
1970 by Pisano & Ruff
written by Nichols-Williams
"The Hitchhiker's Guide to the Galaxy"
2005年アメリカ
監督)ガース・ジェニングス
出演)マーティン・フリーマン モス・デフ サム・ロックウェル
ズーイー・デシャネル
満足度)★★ (満点は★5つです)
ヴァージン・シネマズ六本木にて
平凡な英国青年アーサー(マーティン・フリーマン)。彼は、実は宇宙人である友人フォード(モス・デフ)の助けで、「銀河バイパス」建設のために破壊された地球を脱出、銀河ヒッチハイクの旅に出る。旅の途上で出会う奇妙な仲間達や宇宙人達に翻弄されながら、彼が知ることになった真実とは。。。
原作は、英米でカルト的な人気を誇るダグラス・アダムス作のSF哲学コメディー小説。ホーキング博士も大好きだそうです。
何故かつまらない映画になってしまいました。
ひとつひとつの素材は凄く面白いんですよ。
- 典型的な、どちらかと言うと皮肉屋のイギリス青年。紅茶を飲むと落ち着く。
- 銀河バイパスの建設予定地にあたってしまった為に破壊される地球。
- 職務から逃げ出して逃亡を続ける銀河系大統領ゼイフォード(サム・ロックウェル)。
- あまりにも人間に近い人口知能を持ってしまった為に常に鬱状態、愚痴ばかりこぼしているロボット、マービン(声:アラン・リックマン)。
- 書類にハンコを押さないと何もできない超官僚主義宇宙人ヴォゴン人。
- 「生命、宇宙その他全て」について750万年考えた末に素っ頓狂な答えを出すスーパー・コンピュータ、ディープ・ソート(声:ヘレン・ミレン)。
- 広大な惑星建設工場。 etc etc...
このような魅力的な素材を使いながら、「人類はどこから来てどこに行くのか」という問い掛けにも答えてしまおう、という贅沢な映画なのですが、いや、面白くないんです。原作を読んでいないのですが、この映画、もしかしたら原作のダイジェスト版みたいになってしまってるのかな?という気がします。話の進み方が唐突な箇所が多いような。。。
主人公アーサーを演じたマーティン・フリーマンは良いです。彼は「ラブ・アクチュアリー」でシャイなスタンドイン俳優を演じてた俳優さんですね。あの映画でも滲み出ていた「良い人」っぷりが今回も観られます。
この人の顔って「あ、イギリス人だ!」って見てすぐわかる気がするのですが何故だろう?
この映画、好き嫌いがはっきり分かれそうな気がします。
原作に続いてカルト映画になってゆきそうな気も。
だけど僕は★★。
待ちに待ったiTMSが日本でも始まったときはすごく嬉しかったですね。それまでMoraのサイトとか物欲しげに覗いていたのですが、待ってよかった。早くSonyとかWernerも参加してほしいものです。
で、僕がそのiTMSで購入した栄えある第一曲目が、このABCの"When Smokey Sings"でした。
僕は、1980年代はシングルの時代だったと思っています。もう、夢のようなキラキラしたポップ・ソングがチャートの中にゴロゴロしていました。今聴くとショボイのも多いですが。。。
1987年にビルボードで5位にまで上がったこの曲、今回久しぶりに聴いたのですが、2005年の今でもキラキラしたポップ・ソングのままでした。ショボくなってなかった。良かった。
スモーキーが歌う時 それはバイオリンの響き
スモーキーが歌う時 僕は全てを忘れられる
彼女が自分の荷物を詰める時
彼女が羽を伸ばしてどこかに去ろうとしている時
玄関のドアはバタンと乱暴に閉まる
だけど裏口ではベルがなる
そしてスモーキーが歌いだすんだ
要は、彼女が出て行って淋しくなってもスモーキー・ロビンソンの歌を聴いていると慰められるんだ、という曲です。そんなビター・スウィートな内容が、"Tears of Clown"や"Goin' to a Go-Go"のようなモータウン調の曲に乗って歌われる、というお洒落な一品です。
僕は、モータウンが好きで、中でもスモーキー・ロビンソンの上品な曲達(Tracks of My Tears、Ooo Baby Baby、I Second That Emotion。。。良いですね!)がとりわけ大好きです。
あのファルセット、たまらないです、切なくて。
そんなスモーキー・ロビンソンを讃えるこの曲、いや、良くないはずがありません。
じゃあ、ABCというバンドは好きなのか?と聞かれると、そうでもない。むしろ嫌いなほうなんですが。。。ボーカルのマーティン・フライのなよっとした声がちょっと。音も1980年代のいかにもなエレ・ポップですしね。
"When Smokey Sings"は、そんな彼らが作った奇跡の一曲だと僕は思っています。
ああ、スモーキー・ロビンソンが聴きたくなってきた。。。
"When Smokey Sings"
from the album 「Alphabet City」
1987 by ABC
written by Fry/White
"Charlie and the Chocolate Factory"
2005年アメリカ
監督)ティム・バートン
出演)ジョニー・デップ フレディ・ハイモア
満足度)★★★★☆ (満点は★5つです)
ワーナー・マイカル・シネマズ市川妙典にて
貧しくも暖かい家族に囲まれて幸せに暮らす少年チャーリー(フレディ・ハイモア)は、ウォンカ社のチョコレートが大好物。ウォンカの工場への招待券”ゴールデン・チケット”を手に入れた彼は、他の4人の少年少女と共に何十年も人が出入りしたことの無いその工場に赴くが、そこはとても奇妙な世界だった。。。
原作は「南から来た男」などの風変わりな短編小説でも知られるロアルド・ダールの児童小説。
基本的に児童向けの小説が原作ですから、教訓的にも観られるはずなんです。「欲張ってはいけません」「わがままばかり言ってはいけません」「知ったかぶりはいけません」そして「やっぱり家族を大切にしましょう」とか。
だけど、その舞台が「ロッキー・ホラー・ショー」的な、奇妙な人達による奇妙な世界なんです。もう教訓なんてどうでも良くなってきます。本当に。
全編に渡って歌に踊りに大活躍のウンパ・ルンパ族、ナッツ選別専用リス、ピンクの羊、チョコの川など、もうティム・バートンが好き放題に作り上げた、可愛くもグロテスクな造形達にとにかく目が釘付けになりっ放しの2時間です。
自分のや他人の映画へのパロディーも結構入っていて、バートンさん、これ作るのとても楽しかったんだと思います。それが伝わってきます。そして観ているこちらも楽しくなってきます。
あと、やっぱり、チョコ作りの天才ウォンカさんを演じたカメレオン俳優ジョニー・デップ!もう文句のつけようがが無い演技です。エキセントリックな性格なんだけどちょっと悲しげ、という役柄をうまーく演じております。僕はこのジョニー・デップの「ちょっと悲しげ」感がすごく好きです。
チャーリーも良いし、おじいちゃんも良いし、いや、どこを切っても良いですね、この映画は。
「スリーピー・ホロウ」以降ちょっと普通になってきて興味が薄れかけてたんですが、やっぱりティム・バートン良いですね。戻ってきてくれたって感じですね。
これ多分DVD出たら買います。ということで★★★★☆。
"Give me an F!"
えーふ!!
"Give me a U!"
ゆー!!
"Give me a C!"
しー!!
"Give me a K!"
けー!!
"What's that spell!!"
ふぁーーっく!!!
"What's that spell!!!"
ふぁーーーっく!!!!
"What's...."
映画「ウッドストック」で中で、どのシーンが好きですか?
The Whoの"Summertime Blues"?
イッちゃったJohn Sebastianのやけにピースフルな"Younger Generataion"?
Santanaの熱く盛り上がる"Soul Sacrifice"?
それともJimi Hendrixの"Star Spangled Banner"?
僕は、冒頭の所謂"Fuck Cheer"ではじまる、Country Joe McDonaldがギター片手にソロで歌った"I-Feel-Like-I'm-Fixin'-To-Die Rag"が何といってもとにかく大好きです。
1、2、3、俺達は何の為に戦っているんだろう?
そんなこと聞くなよ 俺はどうでもいいんだ
ベトナムはもうすぐそこに
5、6、7、天国の扉を開けろよ
もう考えてる時間は無いぜ
ほら、みんな死ぬんだから
曲はベトナム反戦歌で、まあウッドストックですから偉い盛り上がる訳です。カントリー・ジョーに煽られて、最後はみんな立ち上がって30万人で大合唱です(映画ではここで観ている人も歌えるように歌詞がテロップで出てくる)。
もうですね、これ、目頭が熱くなってくるんです。
僕はアメリカ人でもないし、1969年に学生だったわけでもない。
ベトナム戦争なんて全然身近なものじゃない。
だけど、感動出来るんです。
こういうとき、音楽って素晴らしいな、と僕は思います。
"I-Feel-Like-I'm-Fixin'-To-Die Rag"
from the album 「I-Feel-Like-I'm-Fixin'-To-Die」
1967 by Country Joe and the Fish
written by Joe McDonald
"Bewitched"
2005年アメリカ
監督)ノーラ・エフロン
出演)ニコール・キッドマン ウィル・フェレル
満足度)★★ (満点は★5つです)
シネプレックス幕張にて
普通の人間と普通の恋愛をしたくて人間界にやってきた魔女イザベル(二コール・キッドマン)。落ち目の映画俳優ジャック(ウィル・フェレル)に見初められ往年のTV番組「奥様は魔女」のリメイクで主人公サマンサ役に抜擢される。
前半は良いんですよ。
二コール・キッドマンが魔法を使い倒し、ウィル・フェレルがSNL仕込みのアホ演技を見せまくる前半は快調なんですよ。
後半に入り、イザベルとジャックの恋愛に話の比重が移ってくると、ちょっと冗長になってきます。二コール・キッドマンは余裕綽々なんですが、ウィル・フェレルはシリアス演技、合わないです。全然良さが出てない。ジャック役にはジム・キャリーも考えられていたようですが、その方が良かったのでは?
TV版「奥様は魔女」をうまく、おしゃれに翻案しているだけに、ちょっと残念でした。 まあ気合を入れて観る類の映画では無いので、これで良いんでしょうが。
マイケル・ケイン、シャーリー・マクレーンの両ベテランが脇を固めていますが、余裕の演技です。まあ、これはF1のフリー走行を見ているようなものですね。
思いつきなんですけど、本ブログのタイトルを変えてしまいました。
ブログを初めて1週間、そもそも自分でもしっくり来ない旧タイトルをずっと変えたかったのです。TBさせて頂いた先とかにもしかしたらご迷惑をお掛けすることになるのかもしれませんが、ご勘弁ください。
新タイトルは、キンクスの1972年の名曲"Celluloid Heroes"から頂いてしまいました。
とにかく名曲なんです。
ハリウッド大通りを歩いたら、スターみんなに会えるよ
覚えている名前もあれば、聞いたこともないようなやつもいる
有名になる為に頑張り、苦労し、あがいた人達
成功した人達、そしてただ空しく消えていった人達
この曲の中で、レイ・デイヴィスは"Walk of Fame"に刻まれたかつての銀幕のスター達を懐かしみ、愛おしそうに歌い上げます。グレタ・ガルボ、ルドルフ・ヴァレンティノ、ベラ・ルゴシ、ミッキー・ルーニーそしてマリリン・モンロー。。。
僕の人生もハリウッド映画みたいだったらいいのにな
セルロイドの中の英雄と悪漢のファンタジー
セルロイド・ヒーローは何の痛みも感じない
セルロイド・ヒーローは死ぬことだって無いんだ
いいですね。ぐっと来ますね。皮肉屋のレイ・デイヴィス、実はロマンチストでもあるんですね。
ということで今日からブログ・タイトルは「セルロイドの英雄」です。
"Celluloid Heroes"
from the album 「Everybody's in Show-Biz」
1972 by The Kinks
written by Raymond Douglas Davies
2004年ドイツ
監督)オリヴァー・ヒルシュビーゲル
出演)ブルーノ・ガンツ アレクサンドラ・マリア・ララ
満足度)★★★★ (満点は★5つです)
シネマ・ライズにて
-----あらすじ-----
第2次大戦末期。西進してきたソ連軍の猛攻に会い、ドイツ第三帝国の崩壊は目前に迫っている。総統ヒトラー(ブルーノ・ガンツ)とその側近達は首都ベルリン市内の総統用防空壕にこもり最後の抵抗を試みるが、ソ連がベルリンに迫るにつれ結束は崩壊、防空壕内は混乱に陥ってゆく。
-----感想-----
私人としてのヒトラーとはどのような人物だったのか?
アンケートで世界10大悪人を尋ねたとしたら間違いなくトップ5に入ってくると思われるアドルフ・ヒトラー。この人物の歴史的評価は悪人の一つの典型としてほぼ定まっていると思われます。
この映画は、観客が皆ヒトラーが行ってきた悪事を知識として当然持っている、ということを前提に作られています。汎アーリア主義の元苛烈に行われた「民族浄化」等について、この映画では全く言及されません。それは製作者がこの事実を無視、美化している訳ではなく、観客が認識していることを期待しているからだと思います。その上で、私人ヒトラーとはどのような人間だったのか、を丁寧に掘り下げてゆきます。
結果として、私人ヒトラーは弁舌巧みで押し出しが強く少々エキセントリックな、だけどまあ普通の範疇に入る人物であることが浮き彫りになります。そう、私人ヒトラーは普通の人物です。決して、その公人としての悪行に見合うドラマチックな人物ではありません。ここが恐ろしいところです。たまたま歴史的な運(幸運といって良いのかわかりませんが)によって、たまたま総統にまで登り詰めてしまったどこにでもいる人間。それがヒトラーであることに観客は思い至ります。もしかして、周りの人に思いを馳せて「ああ、あの人に似てるな」とさえ考えるかもしれません。
色んなことを考えさせる重たい映画ですが、戦争をめぐる群集劇としてもよく練れています。ブルーノ・ガンツはもうヒトラーにしか見えなくて、名演なのかどうか良くわかりません。。。
1985年イギリス/アメリカ
監督)テリー・ギリアム
出演)ジョナサン・プライス キム・グリースト ロバート・デ・ニーロ
満足度)★★★★ (満点は★5つです)
DVDにて
-----あらすじ-----
巨大な官僚組織のもと、徹底した情報統制化にある近未来都市「ブラジル」。情報管理課で働くサム・ロウリー(ジョナサン・プライス)は、ある労働者の誤認逮捕に巻き込まれ運命を大きく狂わせて行く。オーウェルの「1984」を思わせるディストピア映画。実際に監督のテリー・ギリアムは当初タイトルを「1984 1/2」にするつもりでいた。
-----感想-----
ビールが飲みたくなる
最初は快調に、幾分ユーモラスにこの奇妙な官僚社会が紹介されてゆきます。上司が部屋に戻った途端一斉にサボりだす官僚達、書類の不備を指摘され発作を起こす書類恐怖症の配管工、顔の皮膚を無理矢理伸ばして皺を取る整形医。。。未来都市「ブラジル」の住人はみな変人です。
サムが本格的に事件に巻き込まれてゆく中盤以降は段々暗ーくなってゆきます。
奇妙な登場人物達、レトロ・モダンな(というかレトロな)未来の道具達がギッチリ詰まっていて、観ていてワクワクします。人物もモノ達も造形がイチイチ変に凝っています。センスの塊です。
決して明るい映画では無いのですが、この奇妙な調度類、そして幻想的な映像に気持ちよく振り回されて後味は決して悪くないです。最後に優雅に流れる主題歌「ブラジル」のせいかもしれませんが、この後味は"We'll Meet Again"で綺麗に締めた「博士の異常な愛情」に似ているかも。
というか、この映画、全体の肌触りが「博士の異常な愛情」とダブりますね。何かに似ていると思ったのですが、やっと腑に落ちた。
1973年イタリア
監督)ディーノ・リージ
出演)ジャンカルロ・ジャンニーニ ラウラ・アントネッリ
音楽)アルマンド・トロヴァヨーリ
満足度)★★★☆ (満点は★5つです)
シアター・イメージフォーラムにて
-----あらすじ-----
全9話からなるイタリアン・セックス・コメディーのオムニバス映画。
原題Sesso Mattoはイタリア語で色情狂という意味だそうです。
第1話 「奥様8時です」 逞しい使用人に目をつけた有閑マダムは。。。
第2話 「二人と掘っ立て小屋」 いつも喧嘩ばかりしている貧しい夫婦。しかし夜は。。。
第3話 「決して遅すぎはしない」 美しい妻を持つ男。しかし彼は70歳以上の女性しか愛せない。。。。
もう良いですよね。こんな感じの、かなりくだらない話が9個入っています。エロ度は題名から想像するほど高くはありません。
-----感想-----
セソマーセソマーセソマトマト、セソマーセソマーセソマーットォ、アハーン♪
サントラ人気だけが先行し、肝腎の映画はずーっと未公開だったセッソ・マット、ついに公開!というかこの映画、やってなかったんですね。主題歌が渋谷系アンセムとして盛り上がった10年位前(?)に公開したのかと思っていました。
期待しないで観に行ったのですが、意外に良かったです、これ。テンポがよく、飽きずに楽しく観られます。
但し、ジャンニーニのイタリアンなこってり過剰演技が全9話、2時間続くのでお腹一杯にはなります。本当に物理的に満腹になります。僕はこの映画を観た後、夜遅くだったにも関わらず30分位ご飯を食べる気になりませんでした。
ラウラ・アントネッリは着せ替え人形状態で、セクシー黒下着やら白尼僧服(前掛けを取ったらおっぱいが見えそうになる)を着たりして、大活躍です。楽しそうに演技しています。きれいです。スタイルいいです。 おしゃれです。
この後、ジャンニーニとアントネッリは「イノセント」に出るわけですね。しかし偉い違いだな。。。