CLASS3103 三十三組

しがない個人ホームページ管理人の日記です。

【読書】ダブルマリッジ

2017-12-07 22:24:43 | 読書感想文とか読み物レビウー
ダブルマリッジ  作:橘玲

なんだかんだ追っかけてしまう、橘玲氏の小説であります
今回は、重婚というテーマで、日本の法制度の隙間を狙った
東南アジア諸国との関係というか、物語においては
フィリピンと日本の関係でもあるといったところで
ある種、闇めいた部分を描いているようで非常に面白かったのでありました

知らないうちに戸籍が乗っ取られていた
いや、書き換えられていたという衝撃の展開から
過去の負債を購っていくかのような話になるのでありますが、
そのかしこで、世間知らずのお嬢様がそういった世界に
身一つで乗り込んでいく、ある種の冒険も加えられたりとかして
小説として非常に読み応えありつつ、
かつ、フィリピンという国についての知識や、
世界の成り立ちについての警鐘までも得られるような
ステキな小説でありました
まぁ、あまり日のあたらない話ではあるけども、
日本人が、相当にフィリピンで悪さをしたというところの
ツケが廻っているということを描いているようにも思えて
そればかりではないだろうが、
そういうことが無視できないレベルで存在することも理解できる
そういう、リアルよりの話で面白く読めたのでありました

物語としては、正直解決も、爽快さもない内容だったのでありますが
そういったことは置いておきつつ、今まさに
生きている法制度の中で、ここまで矛盾といってもいいのか
あらゆることを、先送りにした出来事がまかり通っているのかということを
ありあり描いていて、とても興味深いのでありました
なかなかどうして、世間の闇という
わかりやすい言葉で語りたくなるようなことが山ほどあるのを
戸籍という、一種独特の制度にかこつけて書いてしまうのが
この小説の魅力だよなと感心しきりだったのであります

現状、重婚という事態に陥っている
その頃悪さをした人たちが、どれほど居るのか
あるいは、どれほど身に覚えがあるのかわかりませんが
なかなか、考えさせられるところだなと
しみじみ思い知ったのであります

ありていながらも、こういった事件というか事態を起こすのは
決まったように、大手の海外出向者であるのは
当たり前でもあるし、不思議でもあるなと
つくづく思い知らされるのでありました
自分では発生しえないことなんだけど
こういうのが当たり前の世界で生きている人もいるのだなと
思い知るのであります