CLASS3103 三十三組

しがない個人ホームページ管理人の日記です。

【読書】女のいない男たち

2017-11-01 21:52:37 | 読書感想文とか読み物レビウー
女のいない男たち  作:村上 春樹

短編集であります
不思議なニュアンスの短編で、寝取られテーマのようなものと
SFテーマのようなものがそれぞれ、編まれているものでありました
なんと形容したらいいのか、とらえどころがないのだけども
似たような話だったと思えたりもするけど、
振り返ると、どこが似ていたのかと思うような
シチュエーションや、登場人物や、背景風景もまるで違うのに
なんか似ていると一瞬、心奪われるような物語でありました

自分の妻がほかの男とどうした、
そういうお話が比較的多かったのでありますが、
それによって何があるでもなく、淡々とそういう事実があってと
記されているままに、怒りだとか、悲しみだとかもないままに
受け入れているような情景が描かれて、
その実、傷ついていたのか、あるいは混乱していたのかと
なんともいえない男の情けないところや、
不可思議なところが描かれているのであります

続きがいやに気になる話もあるんだが、
短編らしくというか、ああ、これは最後まで語られずに終わるなと
予感させながら、裏切ることなくもやもやして終了すると
そういう話まであって、これについては、そもそも
完結するということに意味がないともいえる短編なので
これである種の完成だとも承知しているわけなんだが
なかなか、やきもきでもないけども、
期待させられて、それを裏切られるということをまた
期待するような内容だったのでありました
面白かったんだが、すっきりはしないのでありますね

あとは、ちょっと文学的にすぎるのか
あるいは、そういう問題ではないのかわかりませんけども
表題作に関しては、ちょっと散文といえばいいのか、
どう捉えていいのかわからない文章で、
意味は通っているけども、描かれているものがなんなのか
これは、文字通り、女のいない男の一人ながらも
さっぱり理解できないと感じた次第
まぁ、その時点で、ここで定義された「女のいない男」という
いわく可哀想なそれとは違うということかしらと
思ったりもするんだが、
どう楽しんでいいのかわからない文章でありました

と、感想文も、どうにもとっちらかって
どこか、蓮っ葉な感じに仕上げているわけでありますが
村上春樹のテンションというか、イメージをふんだんに楽しめた
そういう短編だったように思うのでありました
怪談みたいな話まであって、趣向に富んでいたと思うのである