CLASS3103 三十三組

しがない個人ホームページ管理人の日記です。

【読書】名匠と名品の陶芸史

2017-07-18 21:30:28 | 読書感想文とか読み物レビウー
名匠と名品の陶芸史  著:黒田 草臣

珍しく興味のある分野をちゃんと勉強するかのように、
その筋の本を、もちもち読んでいる昨今であります
これもまた、そのひとつでありまして
個人的に大好きな陶磁器に関する部分の
近現代にスポットをあてた非常に面白い一冊でありました

荒川豊蔵から、北大路魯山人まで、
ほぼ同時代の陶芸家たちの紹介が主の内容でありまして
明治、大正、昭和の初めにいたる日本陶芸の動きというか、
その歩みがわかるようで、大変楽しい読書となったのであります

話には少しずつ知っていたわけで、
永仁の壷事件に関わる数人も、当然のように紹介されているわけでありますが、
そのそれぞれが、どういう人であったか、どのような陶芸家であったかと
そのあたりの補完というか、勉強ができてよかったのでありました
読んでみるほどに、やっぱり、加藤唐九郎という人は
よくわからんなと思わされたのであります
紳士として記憶されている、半泥子が袂をわかったそうなので、
人間的には、どうにもという感じだったのかもやもと
考えさせられたのでありました

とはいえ、この美濃に関するところは、結構な闇でもないが
何かある様子でもありまして、加藤土師萌さんなんかも描かれていて
この謎に軽く触れられていたのも興味深いところでありました
物凄く気になるというか、あのあたりの加藤さんは
やっぱり全部繋がっているというか、なんかあるんじゃねぇかなと
思ったりしてしまうのであります

あとは、恥ずかしながら勉強不足で知らなかった人も
ひとつ、ふたつとエピソードとともに覚えることもできまして、
特に、石黒宗麿さんという方が破格の凄さであったと
興味がわいた次第であります
木の葉天目をついに復活させたという人なんだそうだが、
それでいて孤高、官や大きな流れを忌み嫌って
民藝運動だとかとも戦ったりしてて、この反骨っぷりは
目をみはるようだなと思わされたり

それはそれとしながら、民藝派と呼んでいいのか、
よく一緒にされそうな人たちも、実は細かいところで
主張が違ったり、あれこれ分かれたりしてたんだと
そういう歴史も理解できて、非常に面白かったのでありました
これらのパラダイムというか、大きなうねりみたいなのが
日本の近現代陶芸史に繋がっている何かだと思うと
心がわくわくするのであります

そして何よりも、半泥子のその生き様というか
陶芸家としての凄さについて、さらっと書き連ねつつ
そうではない、実業家としての凄さも説明されていて
尊敬の念をさらに深めたとか、そういうことも起きたりして
個人的には、大変勉強になった一冊なのでありましたとさ

ただ、読み終わって、今は覚えているんだが
正直、この貴重な情報を半年もたたないうちに
失ってしまいそうだなと、自分のもの覚えの悪さを呪いつつ
わかりやすい本の弱点だと思ったりもして
読みやすいばかりに、覚えておられないと嘆いたりの
メモを置いておくのでありました
何冊か読まないと駄目だなぁ