CLASS3103 三十三組

しがない個人ホームページ管理人の日記です。

【読書】望み

2017-02-15 21:24:06 | 読書感想文とか読み物レビウー
望み  作:雫井 脩介

ある事件に携わった家族の想いと、
善悪と家族への愛情とをはかったというか、問うた内容でありました

息子が殺人事件に関わっているらしい
そこから、わずか一週間たらずで解決するまでを描いているんだが
その間に、物凄く葛藤というか、揺れ動いていく様が凄くて、
もう本当、実際こんな感じになっちゃうんだろうなと
読んでいる間中、不安にかられまくる物語でありました

話が進むにつれて、殺人の加害者である可能性と、
被害者である可能性というのが浮上してくる、
生きているなら加害者
被害者なら死んでいる
このトレードオフでもないが、二択を迫られていくようになって
子供を信じることと、生きていてほしいということと、
ありとあらゆるものがないまぜになりながら、
昨今問題というか、まぁ、昔からそうであろう
奇異の視線と、無責任な世間の論調と煽り立てるマスコミという構図とで、
何が正しいのか、どこがけしからんかと
それらを切り取っていくわけなんだが、
そういう義憤めいたものも覚えながらも
親心というか、複雑な、こうあってほしいという望みが
なんというか、可哀想で仕方ないという物語なのでありました

個人的には、道義を大切にする考え方
なんていう、世間体のよい方法をとりがちな自分をおいてみると
被害者である可能性のほうばかりに肩入れしてしまい、
加害者である話は、なんとなし耳に入りにくいと
読んでいて思ったわけでありますが、
これもまた、物語のなかで悩んでいる両親と同じ構図でもあったりして
面白い思考実験であると、感心というとかっこいいのでありますが
なんとも、考えさせられたところであります

ともあれ、読み進めて、早く終わってくれと
本を読む楽しさというよりは、事件の解決をただ望みたいという
我ながら、心持が弱いということを
確認できた話だったわけでありまして、
尾を引くことはないが、なかなかヘビーであったと
読み終えてぐったりなのでありました