古今輪風@自転車ふぁん

わからない事だらけのレストア&メンテナンス備忘録

SUNTOUR VX-s リアディレイラー

2013-12-02 10:02:50 | レストア&オールドパーツ

SUNTOUR VX-s RD(ストック用)が手に入ったので、メンテナンスしておきます。VXシリーズにはノーマルのショートゲージの他、ミドルゲージの「s」とロングゲージの「GT」がありました。今回メンテナンスするのはミドルゲージのVX-s。

SUNTOUR ROAD VX-s 仕様は以下の通り。
C:28T F:16T R-12T L-26T
※L:LOW最大ギア C:トータルキャパシティー(フロント歯数差+リア歯数差) F:ロー最大ギア使用時のフロント歯数差 R:一般的なリア歯数差

入手したディレイラーは年代相応の錆傷が多々ありますが、曲がりや破損はありません。Vxの後に出てきて、Vxと同じようにマスプロ車に多数採用されていたaRX(Vxの上的扱い?)なんかは小型軽量化の弊害なのか、ゲージが無事で一見大丈夫そうに見えてもフレーム取り付け部分自体が歪んでしまっているパターンが結構ありました。一方でこのVXや基本的に同じ作りの初代CYCLONEなんかは本体がとても堅牢に出来ていて、本体自体の曲がりや歪みは少ない様に思います(個人的見解です)。

本体自体の堅牢性は高いと思うのですが、本体とゲージを繋いでいる部分に入っているスプリングテンション(つるまきバネ)が弱い気がします。「弱い」というのはテンションが低いとい意味では無く、強度の話。この辺はaRXやCYCLONE M-Ⅱで採用されたゼンマイバネ式の方が信頼出来ます(個人的見解です)。

分解しました。一般的にバラすのはここまで。

灯油とディグリーザーでゴシゴシと油汚れを除去。本体やゲージはアルミ製なので磨けば光りますが、今回は磨かず。出番があれば、その時に考えます。

この時代のSUNTOUR製プーリーは共用?でしょうか。多少刻印される文字の大きさや配列は異なりますが、皆同じ仕様で互換性が高そうです。

プーリーは軸の筒を入れ、両サイドにアルミ製の蓋を被せるだけ。軸を基点に外の歯(樹脂の部分)が回転します。ですので、軸と蓋が来る部分は薄くグリスアップして取り付けます。

出来上がり。シンプルな構造です。

プーリーをゲージに取り付けたら、本体とゲージに取り掛かります。今回分解の記事をUPしておこうと思ったのは、スプリングテンション(バネ部品)の取り付け位置が分かりづらかったから。順を追って書いていきます。まず、写真(上)のゲージについているストッパー(赤い矢印の部品)は外しておきます。次に、本体のハイ側調整ボルト(Hと刻印の有る方)を目一杯締め込んでおきます。緩めた状態で作業すると、あとでゲージを動かす際に本体が当たってしまい物理的に動きません(壊れるわけではないのでやってみると気付く) 。

本体側の筒の中を薄くグリスアップします。ここにスプリングテンション(つるまきバネ)が入ります。

VXのスプリングテンション(つるまきバネ)。ノーマルのショートゲージ、VX-s、GTの互換性は分かりませんが、一緒な気がします。もしかしたら初代CYCLONEなんかにも互換性がある可能性がありますが、検証していないので分かりません^^;

グリスアップしたスプリングテンション(つるまきバネ)を本体筒に収めます。スプリングテンション(つるまきバネ)は奥側の端が本体筒の奥にある穴に収まる様に入れます。正しく入れると、逆側の端(内側へ曲げてある突起)が写真(上)の位置に来ます。その後でも先でも良いですが、下側からゲージの軸を差し込みます。 

写真(上)の青い印のところに本体側のストッパー(受け)があり、その下すぐ左にゲージ側ストッパー(ピンの入るネジ穴)が来る様に入れると、スプリングテンション(つるまきバネ)の先端が写真上の位置に来ます。本来スプリングテンション(つるまきバネ)の先端を収める位置は赤い矢印で示した溝です。

正しい位置(ゲージ軸先端の溝)にスプリングテンション(つるまきバネ)の先端を収めるには、本体とゲージを写真(上)ような位置関係にします。この状態を保持しながら、筒の蓋をねじ込んでいくとスプリングテンション(つるまきバネ)の先端が正しい溝にしっかりと収まります。筒の蓋をねじ込む途中でスプリングテンション(つるまきバネ)がずれてしまわない様に慎重に作業します。

最後にゲージをグワッと開いた(引いた)状態にして片手で保持しつつ、ゲージ側のストッパー(ネジ式の小さなピン)を取り付けます。しっかり開いた状態にしないと、当然ながらストッパーの位置がおかしくなってしまいますが、ココは分かりやすいので大丈夫。多少スプリングテンション(つるまきバネ)が収まっている部分の蓋を緩めながら行うとゲージが本体に引っかからずスムーズに開けます。

最後に稼動部分へ好みの潤滑油などを注油、動作確認して作業終了。

完成です。とても柔らかに動く様になりました。保管中に多少なりともスプリングテンション(つるまきバネ)への負荷を与えたくないと言うのであれば、ゲージ側のストッパー(ピン)を外しておくと良いかもしれません。

写真(上)はウチのランドナーについているVX-s RDで、ゲージにSUNTOUR VX-sの刻印があります。

写真(上)は今回メンテナンスしたVX-s RD。ゲージの刻印が多少異なり、VXとは刻まれていません。ディレイラー・ゲージ共に形状は同じに見えますが、息の長いディレイラーだったので年代によって多少仕様が異なるのかもしれません。



5 Comments

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サンツアーの変速機修理 (Biku)
2021-06-20 08:16:51
突然のコメントで失礼いたします。
私ごとですが(私の記憶が正しければ)、1982年に購入したEURASIAを現在修理中です。
機種・問題点は次の通り
FD(Vx): チェーンガイド(外プレート)の断裂
RD(Vx-S): プーリーゲージの歪み

FDは溶接が上手く行かず、切り出した当て板と金属パテで補修。
RDのゲージは、力技で見た目は改善したがプーリーを入れると若干ズレが気になる(諦め)。
技量が無いのにRDを分解したため、チェーンリング最小+リアトップの組み合わせでチェーンを張ると異常に気づく羽目に。
よくよく考え、何かおかしいと再度分解、あれこれ検討していく中で、本記事を読んで助けられました。
RD-Sの組み立ては、細かい手順に従うことで復活することができたのです。ありがとうございました。
Unknown (ken-boon)
2021-06-20 08:36:26
Bikuさん

もう随分前の事で当の私も今やりなさいといわれると相当に考えないとわからないような記述ですが、いつか誰かのお役にたてたのなら良かったです。
ユーラシアの修理、素敵ですね。マスプロツーリングの黄金期は、もう30年前どころか40年前の事になりますね。この記事の、10年近く前と比べてもさすがに部品が少なくなってきましたしご苦労もおありかと思いますが、自分で手を入れた自転車はやっぱり良いですからね。長く乗れると良いですね。
ご丁寧にコメントを頂き、ありがとうございました。
お礼 (Biku)
2021-06-20 09:27:26
早々にお返事ありがとうございました。
前に進めたく、RDの再組み立ての失敗は気持ちが先行してしまったこと。

記事を読み、
・ストッパーを外しておく
・H側のボルトを締め込んでおく
・つるまきバネの収納位置

これらスプリングテンションに関わるポイントを着実に実施することでした。

素晴らしい自転車との向き合い方・そしてサンツアーの記事。
本当にありがとうございました。では。
suntourリアディレイラー (gaspard)
2023-08-28 12:23:37
すみません
お詳しそうなので質問してもよいでしょうか
直付けリアディレイラーにハンガーつ付けるネジの判が通常より小さい8mmくらいのでものというのは存在するのでしょうか
Unknown (ken)
2023-08-30 07:02:44
gaspardさん、おはようございます。古い記事にコメントがあり、びっくりと嬉しいのと。
ただ、申し訳ありません。ご質問については、今の私の知識ではお答え出来ません。申し訳ありません。色々悩みは多いと思いますが、上手く行くことを願っておりますm(__)m

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