約束の地をめざして

I STILL HAVEN'T FOUND WHAT I'M LOOKING FORー めぐりあう人々と出来事とともに

任せたぞ、イチロー。

2009-03-07 17:52:49 | スポーツ・格闘技

この1週間、きのうまで非常に仕事が忙しく、また春からの個人的なスケジュールの準備もあり、たいそう余裕がない生活を過ごしていた。その間ブログに書いてみたいことはたくさんあったのだが、なかなか書くことができなかった。今日やっと少しだけ書くのであるが、僕の場合ブログを含め、何か書く、伝える、表現するということがライフワークである(おお、言いきった)ので、こうしてブログを書くことは単なる趣味以上に非常に意味あることなのである。

ちなみに「なぜ自分は書物を書くのか?」というテーマで、僕の親しい友人がブログで興味深い記事を書いていたので、よかったらご覧になってください。→ 「影の国にわかれをつげて」ーなぜ自分は書物を書くのか?

さて、今日はいよいよWBC(ワールド・ベースボール・クラシック)の天王山第一ラウンド「日本vs韓国」戦である。イチロー選手がTVインタビューで「WBCと言えば3年前はボクシングのことかと思われていたのに、今はもうWBCって言えば(野球の世界大会だって)誰でもわかるようになったでしょ。」と語っていたが、もう今夜は期待度大である。経済はもとより、政界が与党だけでなく、野党第一党まで激震に見舞われている中、スポーツの与えるインパクトの大きさを改めて感じさせられている。

このWBCをここまでの関心に引き上げたのは、もちろん前回の日本が世界一になったからであり、またオリンピックと違い、メジャーリーガーも大々的に参加しているためだと言える。そしてその代表格・立役者はやはり「イチロー」である。前回3年前はチームリーダーとして鳥肌が立つ程の牽引力と活躍を見せた。しかしこの世界のイチローが、今回初戦の中国戦での5タコ(5打数無安打)をはじめとして、今回は打つことに関してはここまで全く本来の実力が発揮されていない。

「イチローさん、世界で一番尊敬してますー!」
とこのあいだ宮崎のグラウンドでファンに叫ばれたイチローは、Vサインでそのファンの声援に応えた。
イチローについて僕が感じるのは、「生ける伝説」であり、そして「変人」という言葉だ。野球にあまり関心がない方は彼についてどう思っているかわからないが、時代によって関心の強弱はあれ、長くプロ野球を見続けている者としては、このような「技術」と「記録」と「記憶(私たちファンへの印象度)」に秀でた選手はどれだけいただろうか。イチローはこのすべての領域で、現役選手でありながらすでに「伝説」である。もっとも僕が印象深く残っているのは、2年くらい前の米オールスターゲームでのランニングホームラン(史上初)だ。あんなことがこんな大舞台でできるのか・・そして彼はMVP・・。こんなシナリオは水島新司氏くらいしか描けないであろう。しかしそれを現実にやってしまうのが「生ける伝説」イチローなのだ。

かつて2試合だけ僕は生でイチローを観たことがある。それは彼が日本で最後にプレーした年の2001年、まだ僕が長野県内で公務員をやっていた頃に、当時オリックスのイチローが西武との試合で長野オリンピックスタジアムに来たときに生で2試合観戦した。そのうち1試合は当時西武の「松坂大輔」が登板したので、本当に貴重な試合を観ることができた。
その2戦の中で、グラウンドでもっとも光っていたのがイチローだった。松坂ではなかった。イチローは打席に立っていないとき、ただライトのポジションにたたずんでいるときも、そこで試合の合間合間にストレッチをやっているときも、特別な光を放っていた。

ただ、これは多くの人が思っていると思うのだが、彼は「変人」だとも思うのだ。まず話し方が不自然。かつて現役の横綱時代の貴乃花も話し方は相当不自然だったが、イチローの場合はそれがずば抜けていて、その不自然さがもはや彼の自然であり、個性となり、ある意味カッコよさともなっている。郷ひろみが郷ひろみであるように(ジャパーン!)、イチローはイチローとなってしまっている。

そして以前NHK「プロフェッショナル仕事の流儀」でオンエアされていた ように、彼はシアトルの自宅にいるときは、昼食はいつも1年中 弓子夫人の作るカレーを食べているそうだ。そういう「イチロー伝説(というより事実か)」は、けっこうあるらしいが。ああそうだ、そう言えば、プロフェッショナルに彼が出たときに、司会の脳科学者・茂木健一郎氏に対して「もういいよ!」と、怒り叫んでいたな。茂木さんに公のテレビでああいうふうに叫んでしまうところが、また「イチロー」なんだろうか。長野での試合のときも、ヒーローインタビューで「最後に長野のファンのみなさんに一言どうぞ」の時に、デーゲームだったこともあるが、彼は

「今日は相撲の千秋楽なので、早く帰って相撲でも見ましょう!」

と観客に呼びかけていた。。。

イチローの個性であり、不自然さは、きっと弓子夫人の前ではもっともっとナチュラル(自然)で、素の彼なんだろう。中田英寿にしろ、貴乃花にしろ、イチローも含め、傑出したアスリートには個性の塊のような変人が時々いるが、イチローの本当の姿は、きっとかつての野球少年のままの笑顔のままの人なんだろう。そういう笑顔は、なかなか公のスポットライトを浴びているときには、出せないのか。それを出させた弓子夫人はたいしたもんだ。。。どこかに弓子夫人もうひとりくらいいませんか。(それは私情だろ!)

イチローは人としては野球ファンには世界で一番尊敬されても、例えば王貞治や、長嶋茂雄のように、野球をよく知らない人にも尊敬されるような人物ではないかもしれない。しかし、彼がひたむきにストイックに「野球」という一つの「芸」に取り組み、そこに自ら喜びを見出し、そしてその卓越した成果をグラウンドであらわすことで私たちに喜びと感動を与える姿は、やっぱり尊敬に値する。それは数年前「たかが野球」と言いきった野球界のドンと言われるようなどっかのお偉いさんと違って、「たかが野球」ではない、数えきれない人々に夢と希望を与え、人生や生活への励ましを与えてくれる素晴らしいプロフェッショナルなのだ。「一芸は道に通ずる」ということわざがあるが、彼はその点で傑出した人物であり、まさに「生ける伝説」だ。そんな彼を目撃しながら、同時代に生きられることを幸福に思う。

そしてたぶん、きっと弓子夫人の前で見せるようなはじけた笑顔を、今回のWBCの最後にも見せてほしいし、そんなナチュラルな彼をこれからもっともっと見てみたい。そしてその喜びを共感したい。
ではいざ韓国戦、イチローさん、世界で一番期待してます!


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