卒研テーマの決まり方

各研究室ごとに、有機化学、無機化学、高分子、物理化学、分析化学、生体関連化学などに分かれています。したがって、研究室を選んだ段階で、化学のどの分野を研究するかが決まります。

さて、配属された研究室によって、研究内容の決め方は違います。ひとつの研究室に、教授・助教授・助手がいるとすると、教授が中心に研究内容を決める場合と、各教官がそれぞれ独自に研究内容を決める場合、があります。

うちの研究室の場合は、後者で、各教官が独自に研究テーマを決めます。
4年生が10人いれば、10個の卒研テーマを用意します。各教官が3~4のテーマを用意します。

それぞれのテーマは、世界初、世界最高を目指したものでなければいけません。
予算、使用できる機器などを考慮しながら、各教官が、知恵を絞って、卒研テーマをきめます。

さて、4月になると、4年生を集めて、各卒研テーマの説明会があります。学生は第一希望から第三希望までを書いて提出します。どの学生も、第三希望までのテーマになるように、教官が相談し、決定します。

テーマが決まると、自動的にその学生の実験台が決まります。その卒研テーマに近い研究を行っている先輩学生の実験台のそばになります。4年生が、先輩のサポートを受けやすいように配慮しています。

卒研テーマは、どれを選んでも楽なものはありません。たいていは苦戦します。でも、苦労した方が、身に付くものも多いです。
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工学部化学系は就職有利!?

東京証券取引所の上場会社のうちで、化学系企業と思われるものを上げると、
化学152社、パルプ紙18社、石油石炭製品14社、ゴム製品17社、ガラス土石製品40社、繊維62社などで、303社となり、医薬40なども加えると、343社になります。

一方、他の工学部関係の業種を見てみると、電気機器216社、建設133社、精密機械、37、機械164、輸送用機械84となります。

会社数からは、化学系の会社が、かなり多いことがわかると思います。

化学会社が、電気や機械系出身者を採用することは少ないですが、
逆に、電気・機械系の会社は、化学出身者を採用することが多いです。
ものづくりの上で、分子や原子レベルで素材を考えるということが、必要とされているのでしょう。

今年の就職では、当研究室の学生さんの多くは、すでに内定を貰っています。やはり、化学業界は人不足なのか、(あるいは景気がよいのか)よくわかりませんが、例年より、2ヶ月近く早いペースです。

ということから、私としては、受験するなら工学部の化学系学科をお勧めします。
偏った見方かもしれませんが、「就職で考えると、工学部化学系有利」だと思っています。(また、化学系学科の宣伝になってしまいました。)
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理学部の化学と工学部の化学の違い?

ときどき、高校生に、
「理学部の化学系と、工学部の化学系はどう違うか?」という質問を受けます。

私が考える限り、あまり違いません。もちろん、工学部独自の研究を行っている研究室も少数ありますが、理学部化学も工学部化学も、学習内容や研究内容は、共通している部分が多いです。

逆に、私から、高校生に、同じ質問をしてみると、
「理学部化学系はアカデミックで、工学部化学系は実用的な化学。」という答えが返ってきます。高校生から見ると、あまり中身が見えていないようです。「アカデミックな化学の研究がやりたいので理学部。」と答える人もいるくらいです。実際は、あまり違わないのですが。

偏差値や倍率では、どの大学でも理学部化学の方が高いようですが、理学部化学系出身者も工学部化学系出身者も、たいていは、化学メーカーの研究者になります。出口のところ(就職先)は、差がないようです。

というわけで、私は、「比較的入りやすくて、就職も良い工学部の化学」をお勧めします。
(工学部化学系の教官なので、こういう結論になるのかもしれませんが。)
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この時期の研究室の風景(2月下旬)

当研究室は、この時期(2月下旬)は、少しゆったりと時が流れています。

4年生は、2月末までに卒論を出さなければならないので、一生懸命パソコンのキーボードを打っています。仕上げたら、皆、旅行を計画しているようです。うらやましいです。

修士1年生は、就職活動で、毎日のように出かけています。内定をもらい就職活動が終わった1年生は、実験を再開しています。就職活動ばかりしていると、実験が恋しくなるそうです。

修士2年生は、修士論文を製本に出し、研究の片づけをしながら、学術誌に投稿する論文のためのデータを集めています。引越しの準備もあり、忙しそうです。3年間、研究室で毎日会っていた学生さんがいなるのは、さびしいです。会社でも、元気に頑張って欲しいです。

博士課程の学生さんは、自分のペースを崩さず、実験を進めています。

スタッフは、入試関係の業務や、会議、学会、新学期の準備などで、少し忙しいです。

私は、この時期は、学生さんの行った研究を、論文にして、世界に発信したいのですが、英語を書くスピードが遅いので、なかなか、進みません。でも、仕上げて、学生さんの努力が報われるよう頑張りたいと思います。
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大学院受験について

大学院受験の勉強は、受験する専攻の過去の問題を入手し、解析することが重要です。入学したい専攻が(本学か他の大学にかかわらず)決まっているなら、すぐにそこの過去問題を手に入れて、とりあえず全部解いてみることです。

それによって、「何が出題されていて、自分には何が足りないか」が、わかるからです。自分の弱点を補強するのが早道です。
新学期が始まる前の、春休みのうちにはじめた方がよいでしょう。

ときどき、関係ない勉強を一生懸命して、失敗する人がします。それだけは、避けてください。

万が一のときを考えると、複数の大学院を受験した方が良いでしょう。そのときも、予め、希望する研究室の先生に会って説明を聞くなどしておいた方がよいと思います。大学院の説明会を開催しているところもあるので、出席した方が良いでしょう。自分の研究室を受ける場合は、研究室の先輩にいろいろ尋ねるのがよいでしょう。

試験は、数学、英語、理科(化学か物理)、専門教科の大学院が多いです。プレゼンテーションを試験としている大学院もあります(そこは、年に3回ほど試験があります)。

本専攻に限って言うと、大学院改組が行われ、2つの専攻が統合された形になりましたので、両方の問題を行うのが良いと思います。(数が多くてたいへんなので、友達と手分けをして過去問を解答するのも良いかもしれません)

計画を立てて、今日から、頑張ってください。
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卒研をしている4年生の一日(セミナーと報告会の日)

当研究室では、毎週月曜日、午後1時より、研究室のセミナーと報告会があります。
研究室の全スタッフと全学生が集まって行う共通の勉強会です。

セミナーの内容は、前半が雑誌会、後半が問題会です。時間は1時から3時半くらいまでです。

 雑誌会は、化学の欧米の学術誌から、最新の論文を一つ選び、和訳し、内容を説明します。4年生にとっては、和訳が大変な作業であるようです。普段使わないような英単語や専門用語があり、内容を完全に理解するまでに、2-3週間ぐらいかかるようです。論文の内容をA4またはA3の用紙にまとめ、当日は、30分ぐらいで皆に説明します。その後、全員から、質問を10-15分受け、答えます。各自、年に3回あたります。

 問題会は、スタッフや博士課程学生が作った問題を、4年生と修士学生が解きます。当研究室では、有機化学反応のメカニズムを出題しています。新しい論文などから問題を集めてあります。

セミナーが終わると、報告会です。
各自が、自分の研究状況や問題点を、パワーポイントを使って、5分ぐらいで、報告します。スタッフが質問やアドバイスをします。学年ごとに、3週間に一度行います。4時半か5時に終了します。

報告会が終わると、簡単な掃除があり、学生さんはへとへとのようです。特に、雑誌会を担当した学生さんは、疲れています。たいていは、この日は早く帰るようです。

たいへんですが、こういうことをやり続けていると、1年後には、立派な研究者になります。学会などで発表しても、たいていの質問に答えられるようになります。ほんとうに、若い人の吸収力はすごいです。
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卒研をしている4年生の一日(4月中ごろの様子)

当研究室は、9時半に始まります。(遅刻する人も少しいますが)

各4年生は、それぞれ、独立したテーマで研究をしていますので、
1日のはじまりは、
パンとジュースで朝食の人、
パソコンでメールをチェックしている人、
実験のガラス器具を組み立てている人、
ノートに実験の手順をまとめている人、などいろいろです。

実験の内容としては、有機合成実験、分離操作、生成物の分析、分子集合状態の測定などを、行います。それぞれが自分のペースで行います。修士になると、いくつも並行に行いますが、4年生は一つずつ、こなしていきます。わからないことは、先輩に聴くと、親切に答えてくれます。

昼食の時間もまちまちで、11時半~13時半の空いた時間に、外で食べたり、食べ物を買ってきてパソコンルームで食べたり。

担当の教官は、一日に午前か午後に1回か2回、学生さんとディスカッションをしに回ってきます。行き詰っているところを一緒に考えたり、アドバイスしたりします。一回あたり5分から10分ぐらいです。ときどき、雑談をすることもあります。

黙々と実験を行っている人もいますし、途中で、お茶を飲む人やおやつを食べる人もいます。
帰宅の時間もまちまちで、5時半ごろにアルバイトや部活が入っている人が帰っていきます。多くの人は、夜7時ごろまで実験を行っています。熱心な人は、夜遅くまで実験をしています。土日にアルバイトを入れている人が多いようです。平日の実験終了後のバイトはきつそうです。

研究をはじめてしばらくは、授業に比べると、立っている時間が多いのと、拘束時間が長いので、疲れるようです。慣れてくると、休憩をとるのがうまくなるので、疲れなくなるようです。
4月ごろは、こんな感じですが、12月ごろになると、だんだんと実験時間が長くなるようです。1月ごろになると、みんなかなり遅くまで頑張っています。近頃の若い人も、根性があります。
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就職か、博士進学か

 修士1年の学生さんは、現在、就職活動に忙しく、毎日、面接などにでかけています。
 私は、しばしば、修士の学生さんに、博士課程への進学を勧めるのですが、たいていは断られてしまいます。私も無理には勧めません。博士課程への進学を考えている学生さんは、学科全体でもほんのわずかのようです。「博士課程に行くと就職が悪くなるから」という話を良く聞きます。本当でしょうか。自分も、博士号を取得してから、某化学メーカーへ就職しましたので、あまり就職が悪いとは思いませんでした。当研究室で、最近、博士号を取得した学生さんも、全員、化学企業や大学関係に就職できているので、やはり就職難というイメージはありません。インターネットで平均的な就職率を調べると、博士60%、修士70%でした。やはり、それほど大きな差は無いようです。
 「もっと自分で考えて研究がしたい」と思っている人は、思い切って博士課程に進学するのもよいのでは、と思います。
  ときどき、「就職がダメだったら、最悪、博士課程に行けば良い」という会話を耳にします。これはいけません。研究したいという強い意志がなければ、博士号もとれないと思いますので。老婆心ながら。
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どうして工学部の化学を選んだか。

 私は、今から、20数年前、高校3年生になった4月から8月まで、「将来何をするか?」で長い間悩みました。将来の具体的な目標がない状態では、勉強もやるきになりませんでした。「何か世の中の役に立つこと」をずっと考えていました。
 夏休みのある日、生活で使う物が、ほとんど化学でできた材料であることに気が付きました。たとえば、服は、化学せんいや化学染料が使われ、車はいろいろな部品でできていますが、タイヤ、塗料、ケーブル、ハンドル、ガラス、フロントパネルなどは、やはり化学メーカーが作っているものです。パソコンの中身も化学的に作られた材料を組み合わせたものばかりです。
 そして、高校生の私は、「工学部の化学系の学科に進めば、世の中の人の暮らしを良くできるのではないか」「工学系の化学の研究者になろう」という考えに到達しました。

 環境問題は、化学を学ばなければ、解決できない問題だと思っています。たとえば、CO2を減らすにはどういうガソリンがよいのか、リサイクルをしやすい材料はどのような物質なのか、オゾン層を破壊しない冷媒はどんな分子なのか、などは、化学の知識なしには解決できないと思います。化学研究者がたくさん必要です。
 でも、日本では、工学部の化学系を受験する人の数が減ってきています。日本の将来が少し心配です。
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学科ホームページの重要性

本日は、朝から、留学生の面接を行いました。
アジアの各地から、受験生が来ていました。

どの受験生も、
「インターネットで、大学のホームページをみて、
この大学のこの学科を受験することを決めた」とのことです。

ホームぺージは、海外からの受験生の大学選びに大きな影響を与えているようです。
おそらく、日本の受験生もインターネットで志望校を選んでいると思われます。

当研究室も、ホームページを持っていますが、
高校生には、わかりにく内容かもしれません。
たくさんの受験生が当学科を受けてくれるようにするためには
高校生が見てもわかるような内容にしなければ、と反省しています。
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