2006・7記述
ゆっくりと12月のあかりが灯りはじめ
慌ただしく踊る街を誰もが好きになる
僕は走り 閉店まぎわ 君の欲しがった椅子を買った
荷物抱え 電車のなか ひとりで幸せだった
いつまでも 手をつないでいられるような気がしていた
何もかもがきらめいて がむしゃらに夢を追いかけた
喜びも悲しみも全部 分かちあう日がくること
想って微笑みあっている
色褪せたいつかのメリークリスマス
こんな楽曲です⇒B'z『いつかのメリークリスマス』
いつのことだったろう?、彼が22、僕が27ぐらいの頃。だから随分、昔の話しです。古里の山梨でいまや一家三人、仲睦まじく暮らしている、僕の大学の後輩。彼は将来はエンジニア志望で、当時、いくつかの相談を持ちかけられたことがあった。工学士としての夢を抱いていた彼は、大学を卒業後は海外にある、とある工場(研究所)で技術的なことを学びたいと願い、「どうしても自分の望むべき夢に向かうには避けては通れない場所」みたいなことを言っていた。他の方法も無論、模索してはいたのでしょうが、彼の尊敬して止まぬひともそこにおり、技術的なことは言うに及ばず精神的なこと、それはもとより相対的に体系的に様々なノウハウを学びたいとよく彼は僕に話してくれたものだった。だが、彼には一方で苦悩のときを抱え込んでいた。
彼には当時、愛しい彼女が居た。彼女には身体障害者としての母がおり、無論、彼女は、こちらに留まってほしいという希望を持ち合わせていた。ふたり連れ立って歩んでいる様はなんとも微笑ましい限りで僕には眩しく映じて見えたものだ。まさしく傍から見てお似合いのカップル、今で言うところのイケメン、彼女には身体障害者の母を持つなどという影すら感じられないセレブな印象さえあった。
当時、僕にも彼女は居たが、そのころからいっぱしの理屈家だった僕には、とてもとても作り出せないかのようなふたりだけの空間が見てとれて、とても羨ましく思ったものだ。つまり僕とは世界が違う、なのに彼とも彼女とも何かしら気が合った。当時の僕に彼らと感応出来る素養があったというよりも彼らの気さくな一面が僕の波長に合ったということだろうか?
時が過ぎ、いよいよ進路を選択せねばならぬ時期に入って、彼の苦悩は更に深まるばかりとなった。彼は深く、彼女を愛していた。だが自分の夢も捨てがたい。
と、そんな折り、一通の封書が彼のもとに届いた。工場勤務、採用了承の通知。彼は揺れていた。とにかく動揺していた。心から喜べない自分を知るに及んで、どうすればよい、どうすればよい、とその一通の封書を僕に見せながら、ない交ぜになっている自分の感情を計りかねている様子だった。
歌いながら線路沿いを 家へと少し急いだ
ドアを開けた君はいそがしく 夕食を作っていた
誇らしげにプレゼント見せると 君は心から喜んで
その顔を見た僕もまた素直に君を抱きしめた
いつまでも 手をつないでいられるような気がしていた
何もかもがきらめいて がむしゃらに夢を追いかけた
君がいなくなることを はじめて怖いと思った
人を愛するということに
気がついたいつかのメリークリスマス
彼の母とも懇意で、彼のアパートにもちょくちょく通っていた彼女は、ささやかでよい、普通の家庭を夢見る女性だった。見てくれとは裏腹に質素な生活を望む、普通のお嬢さんだったのだ。彼は想いをどちらかに封じ込めず、僕のところへやって来た。幾人かのひとに相談したらしく、けれど、皆、そんな大事なことは決められないとやんわり拒否した様子だった。それもひとつの思案、思慮だろうけれど、当時からすでに僕は物事を断定したがる性質として有名な部類だったから(苦笑)、僕に聞いてみるのもひとつのそれこそ思慮と彼は想ったのかもしれない。
部屋を染めるろうそくの灯を見ながら 離れることはないと
言った後で急に 僕は何故だかわからず泣いた
いつまでも 手をつないでいられるような気がしていた
何もかもがきらめいて がむしゃらに夢を追いかけた
君がいなくなることを はじめて怖いと思った
人を愛するということに
気がついたいつかのメリークリスマス
立ち止まってる僕のそばを 誰かが足早に
通り過ぎる 荷物を抱え 幸せそうな顔で
僕も弱ってしまった。海外となればおいそれとは帰ってこれまい。その間、彼女を待たす結果になる。母は病人だ。いつ、なんどき、ことが起こるかもしれない。僕は告げた。「10年後を思い描いたら、どうだろう?、そのとき、君は工学士として輝いている自分を採るか、彼女との仲睦まじい生活を想い描けるか?、答えはふたつにひとつなのだから、あとは君が決断しないとね。」今から想えば、なんと冷や冷やもののアドバイスだったろうかと思う。僕は暗に彼に彼女を想い続けられるのか、みたいな含みを持たせた言葉を投げかけてしまったようだった。そのことに対しては僕は、君は彼女の母の面倒もみなければならないのだぞ、という覚悟みたいなものも匂わせていたんだろうなといま自身の言葉を思い起こして感じる。
やがて彼は決断した。彼女を採った。長年の夢を捨て、女を採る。とても彼らしい選択だと素直に思えた記憶がある。
いつまでも 手をつないでいられるような気がしていた
何もかもがきらめいて がむしゃらに夢を追いかけた
君がいなくなることを はじめて怖いと思った
人を愛するということに
気がついたいつかのメリークリスマス
好きな、惚れた異性といつまでも一緒にいたいと想う気持ちは、男であろうがおんなじ、変わりない。不変の想い。だが、この世は男女の別れがあまりにも多過ぎる。好きあって一緒になったのに、傍目からはさもあっさり、別れたかのように見えてしまうのは何故なのだろう?
彼はしばらく振りに先だって、挨拶代わりのメールを送ってきた。第二子が生まれるそうだ。男と女、やっぱり絆を結んで最後まで。そういう恋愛がいまの世こそ、あってもいいなと僕はそのメールを読んで思った。熟年離婚なんてしゃれにならないぞ。それこそ男と女、一寸先はわからない。だけど、彼らふたりはきっとそんなことにはならないさ、と僕はいま、10年後の彼らを思い描き、感慨を募らせた。
いつまでも 手をつないでいられるような気がしていた
何もかもがきらめいて がむしゃらに夢を追いかけた
君がいなくなることを はじめて怖いと思った
人を愛するということに
気がついたいつかのメリークリスマス
彼はそのメールで先輩もそろそろですかと問いかけてきた。僕はしばし思索し、ひとことこう、メールを返した。「僕は観念が強いから、果たして結婚はどうだろう?相手に引かれるかもな(笑)。……でもいまでも熱烈な恋をする自信はあるぞ(笑)。僕は未だにそういう男だと自分をしっかり吟味致しております(笑)。」彼は、らしいなとパソコンの前でくすくす笑っていることだろう。
当時、流行っていたこの曲を彼はよく、いまでも歌うらしい。傍らで静かにあの奥さんが微笑んでいる。その情景にもっとも映える言葉とは、やはり「愛情の一断片」という言葉なのでしょうね。ワオッ!!愛情か?、自分で書きながら正味、照れますな。けれど羨まし過ぎる事実なんだろうな……。
彼らは良いです。彼の選択は間違っていなかったと今、つくづく思い返す。そうして真正面から答えを返した自分にも少々のお褒めの言葉を言ってあげたい(笑)。良き夫に良き伴侶。彼らは僕の理想のカップルですね。愉しい青春のひとこま、忘れられぬ思い出を有難う。
ゆっくりと12月のあかりが灯りはじめ
慌ただしく踊る街を誰もが好きになる
僕は走り 閉店まぎわ 君の欲しがった椅子を買った
荷物抱え 電車のなか ひとりで幸せだった
いつまでも 手をつないでいられるような気がしていた
何もかもがきらめいて がむしゃらに夢を追いかけた
喜びも悲しみも全部 分かちあう日がくること
想って微笑みあっている
色褪せたいつかのメリークリスマス
こんな楽曲です⇒B'z『いつかのメリークリスマス』
いつのことだったろう?、彼が22、僕が27ぐらいの頃。だから随分、昔の話しです。古里の山梨でいまや一家三人、仲睦まじく暮らしている、僕の大学の後輩。彼は将来はエンジニア志望で、当時、いくつかの相談を持ちかけられたことがあった。工学士としての夢を抱いていた彼は、大学を卒業後は海外にある、とある工場(研究所)で技術的なことを学びたいと願い、「どうしても自分の望むべき夢に向かうには避けては通れない場所」みたいなことを言っていた。他の方法も無論、模索してはいたのでしょうが、彼の尊敬して止まぬひともそこにおり、技術的なことは言うに及ばず精神的なこと、それはもとより相対的に体系的に様々なノウハウを学びたいとよく彼は僕に話してくれたものだった。だが、彼には一方で苦悩のときを抱え込んでいた。
彼には当時、愛しい彼女が居た。彼女には身体障害者としての母がおり、無論、彼女は、こちらに留まってほしいという希望を持ち合わせていた。ふたり連れ立って歩んでいる様はなんとも微笑ましい限りで僕には眩しく映じて見えたものだ。まさしく傍から見てお似合いのカップル、今で言うところのイケメン、彼女には身体障害者の母を持つなどという影すら感じられないセレブな印象さえあった。
当時、僕にも彼女は居たが、そのころからいっぱしの理屈家だった僕には、とてもとても作り出せないかのようなふたりだけの空間が見てとれて、とても羨ましく思ったものだ。つまり僕とは世界が違う、なのに彼とも彼女とも何かしら気が合った。当時の僕に彼らと感応出来る素養があったというよりも彼らの気さくな一面が僕の波長に合ったということだろうか?
時が過ぎ、いよいよ進路を選択せねばならぬ時期に入って、彼の苦悩は更に深まるばかりとなった。彼は深く、彼女を愛していた。だが自分の夢も捨てがたい。
と、そんな折り、一通の封書が彼のもとに届いた。工場勤務、採用了承の通知。彼は揺れていた。とにかく動揺していた。心から喜べない自分を知るに及んで、どうすればよい、どうすればよい、とその一通の封書を僕に見せながら、ない交ぜになっている自分の感情を計りかねている様子だった。
歌いながら線路沿いを 家へと少し急いだ
ドアを開けた君はいそがしく 夕食を作っていた
誇らしげにプレゼント見せると 君は心から喜んで
その顔を見た僕もまた素直に君を抱きしめた
いつまでも 手をつないでいられるような気がしていた
何もかもがきらめいて がむしゃらに夢を追いかけた
君がいなくなることを はじめて怖いと思った
人を愛するということに
気がついたいつかのメリークリスマス
彼の母とも懇意で、彼のアパートにもちょくちょく通っていた彼女は、ささやかでよい、普通の家庭を夢見る女性だった。見てくれとは裏腹に質素な生活を望む、普通のお嬢さんだったのだ。彼は想いをどちらかに封じ込めず、僕のところへやって来た。幾人かのひとに相談したらしく、けれど、皆、そんな大事なことは決められないとやんわり拒否した様子だった。それもひとつの思案、思慮だろうけれど、当時からすでに僕は物事を断定したがる性質として有名な部類だったから(苦笑)、僕に聞いてみるのもひとつのそれこそ思慮と彼は想ったのかもしれない。
部屋を染めるろうそくの灯を見ながら 離れることはないと
言った後で急に 僕は何故だかわからず泣いた
いつまでも 手をつないでいられるような気がしていた
何もかもがきらめいて がむしゃらに夢を追いかけた
君がいなくなることを はじめて怖いと思った
人を愛するということに
気がついたいつかのメリークリスマス
立ち止まってる僕のそばを 誰かが足早に
通り過ぎる 荷物を抱え 幸せそうな顔で
僕も弱ってしまった。海外となればおいそれとは帰ってこれまい。その間、彼女を待たす結果になる。母は病人だ。いつ、なんどき、ことが起こるかもしれない。僕は告げた。「10年後を思い描いたら、どうだろう?、そのとき、君は工学士として輝いている自分を採るか、彼女との仲睦まじい生活を想い描けるか?、答えはふたつにひとつなのだから、あとは君が決断しないとね。」今から想えば、なんと冷や冷やもののアドバイスだったろうかと思う。僕は暗に彼に彼女を想い続けられるのか、みたいな含みを持たせた言葉を投げかけてしまったようだった。そのことに対しては僕は、君は彼女の母の面倒もみなければならないのだぞ、という覚悟みたいなものも匂わせていたんだろうなといま自身の言葉を思い起こして感じる。
やがて彼は決断した。彼女を採った。長年の夢を捨て、女を採る。とても彼らしい選択だと素直に思えた記憶がある。
いつまでも 手をつないでいられるような気がしていた
何もかもがきらめいて がむしゃらに夢を追いかけた
君がいなくなることを はじめて怖いと思った
人を愛するということに
気がついたいつかのメリークリスマス
好きな、惚れた異性といつまでも一緒にいたいと想う気持ちは、男であろうがおんなじ、変わりない。不変の想い。だが、この世は男女の別れがあまりにも多過ぎる。好きあって一緒になったのに、傍目からはさもあっさり、別れたかのように見えてしまうのは何故なのだろう?
彼はしばらく振りに先だって、挨拶代わりのメールを送ってきた。第二子が生まれるそうだ。男と女、やっぱり絆を結んで最後まで。そういう恋愛がいまの世こそ、あってもいいなと僕はそのメールを読んで思った。熟年離婚なんてしゃれにならないぞ。それこそ男と女、一寸先はわからない。だけど、彼らふたりはきっとそんなことにはならないさ、と僕はいま、10年後の彼らを思い描き、感慨を募らせた。
いつまでも 手をつないでいられるような気がしていた
何もかもがきらめいて がむしゃらに夢を追いかけた
君がいなくなることを はじめて怖いと思った
人を愛するということに
気がついたいつかのメリークリスマス
彼はそのメールで先輩もそろそろですかと問いかけてきた。僕はしばし思索し、ひとことこう、メールを返した。「僕は観念が強いから、果たして結婚はどうだろう?相手に引かれるかもな(笑)。……でもいまでも熱烈な恋をする自信はあるぞ(笑)。僕は未だにそういう男だと自分をしっかり吟味致しております(笑)。」彼は、らしいなとパソコンの前でくすくす笑っていることだろう。
当時、流行っていたこの曲を彼はよく、いまでも歌うらしい。傍らで静かにあの奥さんが微笑んでいる。その情景にもっとも映える言葉とは、やはり「愛情の一断片」という言葉なのでしょうね。ワオッ!!愛情か?、自分で書きながら正味、照れますな。けれど羨まし過ぎる事実なんだろうな……。
彼らは良いです。彼の選択は間違っていなかったと今、つくづく思い返す。そうして真正面から答えを返した自分にも少々のお褒めの言葉を言ってあげたい(笑)。良き夫に良き伴侶。彼らは僕の理想のカップルですね。愉しい青春のひとこま、忘れられぬ思い出を有難う。
さてさて、そろそろ、『まっく×丈』のお時間、近しかと。僕は男の友情として、まっくさんに筆を折らせるわけにはいきませんので(もう、ほとんど強引ともいう、それで・・・笑)。
お互い、今後もときに愉しく、ときに真摯に参りましょう。どちらも二重人格者ということで(猛爆)。丈
私も同情されるのは好きではないです。もっとも、私の場合の反応は「同情するなら金をくれ!」の類ですが(苦笑)。
>「俺に任せとけばまちがいないんよ!!」
少なくとも男性には持ち主(?)が多い感性か、と。言った後に開き直れるか、真摯に請け過ぎるかは大きな違いに感じますけれど・・・
女性の中には、それでも(それ故?)さらに大きく包もうとする方がいるから厄介ですね。男を子供にしてしまう。私は、そんな時は速やかに男の子に戻ります(汗)。
恋愛よりも夢を追いかける方が多いと思える中、
こういった話を聞くと、恋愛の力も捨てたもんじゃないなと思えました。心温まる素敵なお話を聞かせて頂きました。
女房は、私の分かり易い文ですら「ぐはっ・・・」と目を背けたようなヤツですから(苦笑)。
>僕は観念が強いから、果たして結婚はどう、だろう?相手に引かれるかも。
逆、なのではないでしょうか?
観念が強いから結婚を(まで)考える女性が現れると引いてしまうのではないか、と。
いや、観念に立ち入ろうとする女性にすら、あるいは・・・
男一匹、女に想い切り甘えに甘えるのも悪くはないものです。
強い男は女に甘えることも恐れないのではないか・・・とは、近年になって想い強くしていることの一つ(自己弁護)です。
そして勿論、丈さんにも!!」
まっくさん、またそんな泣ける言葉、投げかけないでくださいよ。僕は心底、ちょっといま、弱っているんですから。でも、書ける性分・・・だから僕は誤解されやすいのかな?(苦笑)。直にお逢いして、酒でも飲みたいなあ。
ところで奥様と娘さん?はお元気、ですか?、僕の文章を読んでいただいて、ご感想でもお聞かせ願えたら・・・。僕はいま、自信喪失気味(苦笑)。ひとのことはよく見えても、自分のことはてんで解らない性質の男です。いまだに、餓鬼なんでしょう。コメント、いつもいつも嬉しいです。丈
性愛は寄る辺たる形があるけれど、恋愛には寄る辺がない。変わり行きながら自分・・・自分達で築いていっての恋愛はある、のではないでしょうか。
「第三の道」は、誰でもない、二人で切り拓くしか、ない。ドラマや漫画、映画、小説から知り得た恋愛では越えられない物語が、そこにはあるのだと想うのです。
後輩さんに良き10年後を!
そして勿論、丈さんにも!!
只今傷心中かな?
癒える事のない傷心ではないことを祈ります。
‘いつメリ’を知っていたとは驚きです。
B'zなら食いつきますよーー大好きですから(ワラ
自分を癒すときのお勧めはケツメイシの‘涙’です。
しょっちゅう落ち込んでますから。