美城丈二@魂暴風;Soul storm

僕が見た、あの日(と今日)の悲喜哀感。
A writer;美城丈二Another face綾見由宇也

『揺れている、影。』第三稿・美城丈二

2006-11-26 10:15:17 | 『揺れている、影。』
 揺れていた、影。その心だけが揺れている。  久方ぶりに駆けてきた東京地方は、陽が翳ったあとの暗転、小春日和の午後となった。相変わらずの喧騒。怒号さえ、街の佇まいに溶けてはいるが、いつ、なんどき悲痛な響きを伴った声を発する、ことか、無償に落ち着きを取り戻せない。  僕は、この街でかつての彼女と八月(やつき)を過ごした。  無論、今では苔むすアパートの跡も無く、壮麗なマンションが立ち並び、あの頃の . . . 本文を読む

あの日灯りの、校舎の裏のまちぼうけ-僕の中のクリスマス・イブ

2006-11-15 07:48:49 | 魂暴風Personal【楽曲忌憚】
 卒業間近、好きな女の子にひとこと、「好きでした」と告げて別れたい・・・なんて想いは大嘘。やはり、告げる限りはその後、長らく結ばれたいと純真に素直に想い描いていた、あの頃。いや、長らく結ばれたいなんて、また真っ赤な大嘘。きっと未来永劫、結ばれたいと強く強くこのこころに念じて・・・。そう、いうものが10代のあまりにもいま、振り返ればこっぱずかしいほどの執着、一途心。  何故、ああも焦がれたのか!?少 . . . 本文を読む

いじめに附いて

2006-11-14 08:00:01 | 魂暴風Personal【思惟無き世界】
 いじめに附いて、謂いえる想いは、わたしの幼い頃から、つまりずっと以前から、「そう、いうものはあった」という事実、のみだ。「昔は、陰湿じゃあ、無かった」「いまは、痛みを知らないから、こんなことをしたら死んでしまうといった見境が判らない」どこかでそんな言葉を聞いたが、いじめられていた、つまりいじめられっ子であったわたしから言わせれば(ただ、或る時期を過ぎ、その世界は消滅したけれど)昔もいまと変わらず . . . 本文を読む

re-publication‘流星’

2006-11-01 08:11:44 | 魂暴風Personal【楽曲忌憚】
 風鈴がちりりと奏でぬのちの夕暮れ時、ヒグラシが鳴いている。夏、です。  僕はお風呂あがりで縁側に向かい、ひとり静かにビールを飲んでいる。寂しいもんです。なのに心は乾いており、ひどくこの風情が心地良く想えるのは、何故だろう?  と、そこへ幼馴染がやって来る。  「ほれ・・・」  縁側越しにつまみなどをくるんだビニール袋を差し出すと、  「よし、俺も付き合おう」  と傍らにどさりと座る。あぐらを組ん . . . 本文を読む