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売れない作家の日本定点観測

ファーウェイの経営方針を肯定する人が増えれば、善しにつけ悪しきにつけ日本も変わるのだろう

2017-12-04 12:29:27 | 日記
https://togetter.com/li/1178031

これは参考程度に聞き流してください。むかし古代中国で、周という国が700年間ぐらい続きました。しかし規律が緩んで滅亡へ至りました。混沌とする春秋戦国時代へまっしぐらになりました。しかし絶望する人が増えたせいか、諸子百家という思想家が大量に現れました。暴力も搾取もなんでもありの社会で、小さなグループは大きな国家へ併呑されてゆく中で、墨子という聖人が現れ、彼は兼愛と非攻を唱え、文学的な才能を開花させるばかりでなく、比較的小さな城塞都市を具体的な軍事力を采配して大きな国家の侵略から守りました。墨子の言うことはどれも現実的です。彼の唱えた思想の1つに、尚賢というのがあります。若者を抜擢する際、コネではなく本人の能力を重視したのです。当時としては異例のことだったらしく、そうした現在で言えば合理的な判断が幸いし、墨子教団は儒学と社会を二分する勢力を確保します。しかし不思議なことに、秦の始皇帝が中国を統一し、春秋戦国時代が終わってみますと、墨子教団は跡形なく死に絶えます。なぜなのでしょう。記録のされない歴史の闇の中でなにが起こったのかはわかりません。しかし話を尚賢に戻しますが、墨子が現れ活躍する少し後の時代に、老子という仙人が現れまして、彼が残した文章によりますと、「尚賢思想が現れたために、人々は知恵を絞って相争うようになり、かえって混乱した」という記録があります。いまの日本で、こうした故事を持ち出したところで、受験闘争を勝ちぬき、満員電車に押し込められ、ノルマ必達の命を受けた若者には、ハナクソ程度の価値しか見出すことは出来ないでしょう。そして能力主義のファーウェイに、かの地の古典を引き出して敵うはずもありません。ただこれから能力主義を取り込むにしても、そういう考え方もある、ということをお伝えしたかったのです。墨子教団は消えてなくなりますし、老子思想は愚民思想を疑われますし、いいことがありません。私も文章を書こうと考え、実際に書きだしますと、もう過去に書いたことを繰り返しであることに気づきます。これから冬至まで毎日四分づつ早く暗くなります。黄昏の迫る郊外に、今日も無事に日が暮れるのを目の当たりにします。老けこむ年代ではないのですが、無理して筆を進めますが、この時代になって人工知能の発展が目覚ましいそうです。クラウドの一定の範囲に一定の情報を一定の経験で組み込みますと人外の結果が現れるといいます。理系人の能力というのは実数で表される点が清新なのですが、人工知能も、そしてたぶん人の知恵も、実態は実数では表せられないということなのではないか。ファーウェイの取り組みは、現在の日本で生きる若者の喉元に鋭い問題意識を突きつけます。若者のリクルートの問題は切実なものがあることでしょう。しかし日本型雇用も日本が上り坂の経済の時は先進諸外国が真似をしようとしたわけです。現在の中国経済は人民元安から人民元高へ移行する過程で比較的人民元安の最中に、先進国に比べて人件費が相対的に低い状況の中で各国の投資や投機が重なって生まれたわけですから、ファーウェイの能力主義だけを取り上げ、中国経済の興隆を説明するのはフェアーではありません。解雇規制を撤廃せよ。みなさん、どこからともなく伝わってくるこの呪言は、能力主義に結びつくとお思いですか? もう少し範囲をとって言い直しますが、解雇規制の撤廃は、日本経済のさらなる向上に結びつくとお考えですか? 会社の業績は上昇するかも知れないが、GDPはどうか? 社会不安に陥るのではないか? 必ずしも、1つの経済を1億2千800万人で分けているわけではないですが、諸外国に比べて失業率は低い日本。中国の冗談を真に受けないほうがいいかも知れませんよ。