[ブログ内検索] [漢字に関する書籍] [漢字源] [中国古典選] | 漢字の由来 投稿者:横内 知子 投稿日: 2006-01-20 22:38:52 縁という字の由来を教えてください。 ○の円と関係はありますか? どなたか、御教えていただければ、 大変ありがたく思います。 |
【縁】
■解字
会意兼形声。
彖(タン)は、豕(シ)(ぶた)の字の上に特に頭を描いた象形文字で、腹の垂れ下がったぶた。
豚(トン)と同系のことば。
縁は「糸+音符彖」で、布のはしに垂れ下がったふち。⇒彖
※彖
象形。頭の大きいぶたを描いたもの。字形の上では豕(シ)とほとんど同じ。
端に酷似しているのが、彖の系列に属するコトバである。この字自体は、頭の大きいブタ(豕)の象形であるが、ブタを t'uan と称したのは、その腹が上から下に垂れ下がっている点に着目した命名であろう。 ※豕(シ)は、イノシシの直進する習性をとらえたもの。 ※猪(チョ)は、ブタの太って充実し、群居する性質に注目した命名である。 『漢字語源辞典』(藤堂明保・学燈社)p.541 より |
■単語家族
垂・朶・妥・堕・段・端・断 ・・・・ 上から下へおちる(おす)、↓型
彖 ─ 縁 ─ 椽 ─ 掾 ─ 篆 ─ ?
■音
【呉音・漢音】エン
■訓
ふち, へり, よる, よって, えにし, えん
■意味
(1)ふち。へり。布や飾りなどのわきに垂れたはし。物のへり。
▽去声に読む。《類義語》⇒端・辺。「辺縁(へり)」
(2)よる。へりからもとへたどる。手がかりによって何かをさぐる。手づるにそって進む。
▽以下、平声に読む。《類義語》⇒因(よる)・沿(そう)。
「縁渓行=渓に縁りて行く」
「猶縁木而求魚也=なほ木に縁りて魚を求むるがごとし」〔孟子・梁上〕
(3)よって。それがきっかけで。原因となって。《類義語》⇒因。
「縁愁似箇長=愁ひに縁つて箇くの似く長し」〔李白・秋浦歌〕
(4)えにし。手づる。つながり。「人縁(人どうしのつながり)」「姻縁(インエン)(結婚によるつながり)」「由縁(ユエン)(いわれ)」
(5)《仏教》ある原因、ある条件からある結果を生じる外的条件。
▽内的原因を因という。「因縁(インネン)」
[例] 「花が咲くための因縁」
【因】直接的な原因 ・・・・ 種をまく
【縁】間接的な原因 ・・・・ 水をやる、雨が降る、日光が当たる、土を掘り返されなかったetc.
上記の因と縁がそろってはじめて草木が生育し、花を咲かせることができる。
《日本語での特別な意味》えん。家のはしに出たえんがわ。
【円】
■解字
会意兼形声。
員(イン)・(ウン)は「〇印+鼎(かなえ)」の会意文字で、まるい形の容器を示す。
圓は「囗(かこい)+音符員」で、まるいかこい。⇒員
■単語家族
圏(ケン)(まるくとり巻く)・園(周囲をとり巻いた庭)・宛(エン)(まるくかがむ)・丸・環(カン)(まるい輪)などと同系。また圜(エン)・(カン)(まるく囲む)とも縁が近い
※なお、ピンインは、「縁」「円」ともに、「yuan2」です。
※「人民元」のことを、「ジンミンゲン」と読む人がいるが、「ジンミンエン」と読むのが正しい。
日本語の「円」は、中国語表記では「元」であり、とくに区別するときは「日元」(日本円)と書き、発音の方もともに「yuan2」で、つまりは「元=円」なのだ。(「百元」を日本語に翻訳すると「百円」となる)
ただし、両方とも「エン」と呼んでいたら紛らわしいので中国元(チュウゴクエン)の方を「ゲン」と呼ぶことが多い。いちいち「ちゅうごくえん」、「にほんえん」と呼んで区別するのは面倒くさいですものね。