万華鏡の楽しみ ガラス色の幸せ

万華鏡の魅力、ガラス色の幸せを伝えたいと思います

万華鏡を通してみた空模様は?

2011-08-31 14:21:34 | 万華鏡ブログ

木工の万華鏡作家、高林千稔(たかばやしちとし)さんの最新作をご紹介します。
3種類の外観があるこの作品のタイトルは「 Look of the Sky 」です。 空模様という意味ですが、そこに何を見るかは覗く人次第、タイトルに縛られることなく、自分の心を映して、万華鏡を楽しんで欲しいと高林さんは考えています。

柔らかいカーブを描く本体は滑らかで手に収まりやすい形状。全長14.5cmの小ぶりな作品ですが、作家さんの思いと技を形にした個性的な万華鏡です。

タイプは3種類で、それぞれ木材とオブジェクトセルのトップ(背景の色となるところ)の色が対応しています。 

どの作品も10-11個のガラスオブジェクトをオイルの中に入れていますが、そのうち7個は白をベースとしたオブジェクトです。 驚くのはその白が全部違う白なのだそうです。その上、厚みや大きさ、ねじり方をあえていびつにすることで、オブジェクト同士が重なり合った時に出来る陰影を際立たせ、映像に奥行き感とボリュームを持たせています。白をベースにすることと、形の工夫で、陰影のある映像が生み出されるのですね。 オブジェクトはどれも、ひとつひとつ、複数のガラスロッドから作り上げたオリジナルの色だそうです。

左側の作品はメープル材の明るい色に、濃い茶色のラインが入っています。 セルの背景は白です。 7種類の白のオブジェクトに加え、残りのオブジェクトは淡いブルーや、白いラインの入った濃いブルーが3-4個入っています。 青を映しこんだ白い陰影が様々な映像となって展開します。

真ん中の作品はエンジュ材の木目が美しく、ラインは赤茶色。 セルの背景はブラウン。
7種類の白いオブジェクトに加え、白いラインの入ったオレンジ、白いラインの入った茶色などが、温かみを映し出します。

そして右側の作品は 濃い茶色に薄い茶色のラインが入っています。セルの背景は黒。
この作品だけはほとんどが白ベースのオブジェクトで、ほんの少し濃い紫を混ぜ合わせています。 白の重なり合いがこんなに豊かな様相を見せるのが不思議でもあり、また白だからこそなのだなあと実感します。

この万華鏡は、先端のオブジェクトセルを回転させることができます。 オブジェクトセルと木部を繋ぐアルミのリング部分を回し、映像の変化を楽しみます。

以前にも触れたと思いますが、高林さんはランディー・ナップさん、シェリー・ナップさんの工房で万華鏡製作を学ぶ機会に恵まれました。 彼らの万華鏡の素晴らしさを理解し、その教えを生かしながら、自分だけの万華鏡つくりに努力なさっている作家さんです。

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伝説の時代に思いを馳せる万華鏡

2011-08-30 18:19:09 | 万華鏡ブログ

ルーク&サリー・デュレット夫妻の「ギネヴィアズ ハート」(写真右)は、そのロマンティックな風情に惹き付けられる万華鏡で、彼らのロングセラーのひとつにもなっています。 同じく アーサー王物語にテーマを求めた次の作品が、「ランスロッツ・クエスト」(ランスロット卿の探求の旅)という万華鏡です。(写真左) 2011年に発表されました。

王妃ギネヴィアと円卓の騎士ランスロット卿の道ならぬ恋・・・アーサー王伝説で語られるこの恋は、戦いや殺し合いも引起こし、必ずしもハッピーな話ではありませんが、語り継がれた物語から、冒険とロマンスにあふれたその世界や人間像を私たちに想像させるものがあります。

この「ランスロッツ・クエスト」はその雰囲気を伝える、ちょっとクラシックな感じの作品です。
筒の色は何層にも重ねた手描きの模様で、サファイヤのブルーとエメラルドのグリーン、その上に重なるゴールドと銅色の影が見えています。落ち着いた雰囲気です。 ガラスのような透明で耐久性のある樹脂をかぶせているので、滑らかで持ちやすいです。

オブジェクトセルのトップには騎士の像が飾られています。 ギネヴィアのほうはハートの飾りでした。 このセルは先端部で回転します。

オブジェクトにはランスロット卿のエピソードを物語る様々なものが入っています。
たとえば聖杯、真珠貝の十字架、銀の剣、ハート、鍵など、独特の味わいのあるビーズに混じって入っています。 どんな映像になって見えてくるか楽しみですね。

深い青の輝きが印象的だなあと思いながら覗いていると、まったく違った雰囲気の映像が生まれてきます。

デュレット夫妻の作品では、オブジェクトに入れた金属製の飾りと、様々な表情のビーズが、その組み合わせによって映像の雰囲気をがらりと変えるので、まわすたびに驚きと喜びをもたらしてくれる万華鏡です。

 

 

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Tranquility  静穏

2011-08-21 17:28:03 | 万華鏡ブログ

心静かに穏やかなこと・・・そんなタイトルの万華鏡です。 スティーブ&ペギー・キテルソン夫妻の最新作 Tranquility もまた、ダイクロイックガラスの饗宴。 といっても前回ご紹介したGalaxy とは違って、曲線で切り取ったダイクロイックガラスを、パッチワークのようにつなぎ合わせています。表面は透明なガラスを重ねているので、手触りは滑らか。 ガラスの深い輝きを導き出し、様々なダイクロイックガラスを全面に組み合わせた筒のデザインの独自な表現には、新しさを感じます。

ガラスを曲線でつなぎ合わせ、焼く技術。それをさらに筒にする技術。 きっと難しいのだろうなあと想像します。

中の映像は彼らの定番、オイルセル、黒い背景、横から光を取り入れるオブジェクトセルの中から生み出されます。  2ミラーシステム9ポイントというオーソドックスな映像ですが、この素晴らしい色合い、美しさにはすっかり参ってしまいました。

ペギーさんの技術と感性と万華鏡への想いが感じられる味わい深い、そして美しい映像の連続。 今日は言葉ではなく、一瞬、一瞬の映像たちに語ってもらいました。

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きら星のごとく

2011-08-18 22:20:12 | 万華鏡ブログ

久しぶりの投稿になります。 今日はアメリカから届いたばかりの万華鏡をご紹介します。
スティーブ&ペギー・キテルソン夫妻の作品で「Galaxy」といいます。 銀河とか、銀河系という意味ですが、私はきら星という雰囲気かなと思いました。

輝きに満ちた筒はダイクロイックガラス。 でもこんな独特の質感のあるものを見るのは、初めてです。キテルソン夫妻はこれまでもダイクロイックガラスを筒のデザインにした作品を数多く作ってきましたが、表面に透明なガラスを重ね、滑らかな感じに仕上げていました。
今年のコンベンションで、コージー・ベーカーさんを偲んでのオークションで、初めて発表された独特のガラスの焼き方です。

中の映像はペギーさんのお気に入りのひとつ、3ポイントの映像です。 ミラーの角度は60度の組み方で、オブジェクトの映り込む部分が大きく、オブジェクトの形や組み合わせが映像にシンプルに反映されるミラーシステムです。 そのシンプルさが、単純さに繋がるリスクがあるミラーシステムですが、そこはさすがのペギーさんの腕の見せ所で、陰影や色合い、質感などの組み合わせが素晴らしい映像展開です。

薄いベールをかぶったような重なりがとても素敵で、一番気に入っているところです。

華やかさも忘れません。

絵の具で描いたような色の流れはどうやって生まれるのでしょう?

オブジェクトセルの横からのぞくと、ペギーさんが作り上げてきたオブジェクトの数々が見えます。 このオブジェクトとこのオブジェクトが一緒に見えたら、どんな風に見えるのかな?などと想像しながら、セルを回し続けてしまいます。

下の写真は筒の反対側の色合いです。 光のあたり具合で、虹色の輝き方も違いますが、とにかく「きら星のごとく」の輝きに目を奪われる万華鏡です。 
金色の部分に手を添え、オブジェクトセルを回転させて、映像の変化を楽しみます。

 

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個性あふれる映像美

2011-08-06 23:16:09 | 万華鏡ブログ

「おとなも楽しむ万華鏡 2011」展から、佐藤元洋さんのパーラータイプの作品です。先端のオブジェクトセルが、とても滑らかに回転し、繊細なドライセルの映像が次から次へと生まれていきます。

ガラス造形としての美しさと、ガラスオブジェクトが奏でる映像変化のシンフォニーに心惹かれる作品です。

そして山見浩司さんの作品。 
シンプルなデザインにも気品の感じられる外観です。そして映像の素晴らしさは、さすが日本の万華鏡界をリードしてきた作家さんならではのものです。

小ぶりなミニジュエルという作品(奥にみえるもの)は、オーソドックスな正三角形に組んだ3ミラーシステムですが、生み出される模様の美しいバランス、オブジェクトの組み合わせの妙に感動しました。

そしてステンレス製のシンプルな筒の中に、意外な映像世界を展開する細野朝士さんの作品も勢ぞろいしました。 テレイドスコープにも様々なミラーシステムを取り入れ、筒の向こうの景色を万華鏡模様に変えてしまいます。 それぞれ見え方が違うので、数本持っていると楽しいです。

右側手前の短い筒は新作のレインボウシリーズです。 長さ6cmほどの小さな万華鏡ですが、偏光万華鏡の映像は、きれいに映りこんでいます。 6ポイントの映像は・・・

そして8ポイントの映像もいかがですか?

それぞれの作家さんが目指す"万華鏡の美"。 外観にも映像にも、その個性の饗宴を味わっていただければ幸いです。

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いろいろな味わいの表現

2011-08-03 23:36:45 | 万華鏡ブログ

おとなも楽しむ万華鏡展からご紹介を続けます。
今年小嶌淳さん・喜多里加さんの作品が並ぶ中、ちょっと珍しい作品を見つけました。
「グリモワール(*魔術書)」というタイトル。 どこか怪しげな古い書物のような形です。
覗き口は鍵のところです。左にある時計をプッシュすると、電動で動き出します。中をのぞくと炎の中を覗いているよう様な印象の映像展開です。
(*最初、「悪魔の書」と書いてしまいましたが、ちょっと違っていたようです。ごめんなさい。)

万華鏡に独特の"不思議なストーリー"を表現する、小嶌さんらしい作品ですね。

中里さんの作品は、辻優子さんとのコラボレーション「夢シリーズ」が並びました。
独特の風合い、模様が魅力の陶器に、中里さんの映像世界が相乗効果を見せている、素晴らしいコラボレーション作品です。 中里さんのガラス作品も素敵だけれど、この陶器の作品もやっぱりいいなあと、魅力の再確認でした。


そして今年もさらに美味しそうなKarin さんのパフェ。 いえ、スウィーツ万華鏡です。
きれいで楽しい万華鏡です。

いろいろな味わいの作品をご紹介しました。 明日も続きます。

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まだ美しいと思える心があるから、大丈夫。

2011-08-02 23:00:26 | 万華鏡ブログ

今日からそごう横浜店で始まった「2011 おとなも楽しむ万華鏡」展に伺いました。 夏の恒例の万華鏡展になりましたが、作家さんのグループが自ら企画、展示、販売する万華鏡展としては先駆けとなった催しだと思います。 回を重ねて8回目と伺いましたが、嬉しいことですね。 
中村あや子さんが中心となって、今年も14名の作家さんが関わる展示です。
その中村さんご夫妻の作品の中でもとてもユニークで、毎回その映像に惹かれるのがこの作品です。 そして毎回少しずつ色合いや見え方も違うような気がするので、今年もご紹介しました。

光沢の美しいガラスに手描きの模様が組み込まれた素敵なホイール万華鏡です。角のアイホールから覗きます。

次は木村えみ子さん。

ちょっと変わった立体映像を生み出すのは、テイパードミラーシステムのこの万華鏡。虹色の「とげとげ」はどうやって生まれるのかわかりますか。

小林綾花さんは初参加。 右側の虹の星シリーズで美しい輝きのある映像世界を見せてくれます。
左側の細井厚子さんの作品は、静かな世界に引き込まれる美しさ。 ずっと引き込まれていたい・・・

毎年のキャッチフレーズも、この万華鏡展の楽しみの一つです。
今年は・・・「まだ美しいと思える心があるから、大丈夫。」

並んでいる万華鏡はいずれも美しくて、たくさんの感動をくれます。 だから私も大丈夫!かな?
いろいろなことがあって、生きている長さが長くなればなるほど大変なこと、困難なことにも遭遇するんだなあと思うこの頃ですが、やっぱり美しいものを見ると心の目も変わる気がします。 

この万華鏡展は6階美術館通り特設会場で8月8日まで開催中です。

次回も続きます。

 

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