このブログを書き始めた頃(2006年)は、まだ作家が創る万華鏡というものがあまり知られていなかったし、ネットでの情報も少なかったので、自分が巡り合った作品や作家さんをご紹介したい気持ちであれこれ書いてきました。 最近では本当に情報も増え、また多くの作家さんが自ら情報を発信する中、自分ができることは何だろうと迷うことの多いこの頃です。 いろいろ悩んでたどりついたのが、当たり前ながら、自分の視点を大事にするということ。 自分では創ることができない代わりに、国内外のたくさんの作品に触れたり、多くの作家さんの話を聞いたりという私の経験からの視点で、そして、いち万華鏡ファンとしての視点で、これからも万華鏡のことを綴っていきたいと思います。
久しぶりにトム&キャロル・パレッティー夫妻の作品をご紹介します。 スターフィールドというタイトルで、私のお気に入りの一つなので、今までにも何度かご紹介してきました。 でもまたその面白さにはまって、その瞬間をとらえた写真を載せようと思います。
パレッティー夫妻はユニークなアイディアと品質と美しさを兼ね備えた作品を創ります。
このスターフィールドのユニークなところは、とても細かいガラスの粒と大きなガラスオブジェクト、メタル素材の組み合わせの面白さです。 オブジェクトの統一感を意識する作家さんは多いですが、この作品では統一感よりも異種の組み合わせの妙を楽しんでいるところが彼ららしさでしょうか。
銀色の細かい粒が、ザァーっと流れる中、次々に現れる大きなガラスオブジェクトの模様が美しく、見ごたえがあります。 流れそのものが鏡の反射で方向も分散され、面白い景色です。
ダイクロイックガラスの輝きは光を発するような模様に。
ミラーシステムの第3面に使った木材の映り込みはパレッティー夫妻の独特の表現です。
これらの模様を生み出すオブジェクトセルはこんな感じです。
銀色の粒の中から顔を出したガラスオブジェクトが映り込んだところです。
この組み合わせ、ありそうで、なかなか無いタイプです。 ドライタイプだけど流れるオブジェクトを楽しみ、大胆に変化する模様にしばし手を止めて見入ってしまう魅力があります。