万華鏡の楽しみ ガラス色の幸せ

万華鏡の魅力、ガラス色の幸せを伝えたいと思います

ユニークなオブジェクトの組み合わせを楽しむ万華鏡

2015-03-27 20:58:11 | 万華鏡ブログ

このブログを書き始めた頃(2006年)は、まだ作家が創る万華鏡というものがあまり知られていなかったし、ネットでの情報も少なかったので、自分が巡り合った作品や作家さんをご紹介したい気持ちであれこれ書いてきました。 最近では本当に情報も増え、また多くの作家さんが自ら情報を発信する中、自分ができることは何だろうと迷うことの多いこの頃です。 いろいろ悩んでたどりついたのが、当たり前ながら、自分の視点を大事にするということ。  自分では創ることができない代わりに、国内外のたくさんの作品に触れたり、多くの作家さんの話を聞いたりという私の経験からの視点で、そして、いち万華鏡ファンとしての視点で、これからも万華鏡のことを綴っていきたいと思います。

久しぶりにトム&キャロル・パレッティー夫妻の作品をご紹介します。 スターフィールドというタイトルで、私のお気に入りの一つなので、今までにも何度かご紹介してきました。 でもまたその面白さにはまって、その瞬間をとらえた写真を載せようと思います。

 

パレッティー夫妻はユニークなアイディアと品質と美しさを兼ね備えた作品を創ります。 
このスターフィールドのユニークなところは、とても細かいガラスの粒と大きなガラスオブジェクト、メタル素材の組み合わせの面白さです。 オブジェクトの統一感を意識する作家さんは多いですが、この作品では統一感よりも異種の組み合わせの妙を楽しんでいるところが彼ららしさでしょうか。

銀色の細かい粒が、ザァーっと流れる中、次々に現れる大きなガラスオブジェクトの模様が美しく、見ごたえがあります。 流れそのものが鏡の反射で方向も分散され、面白い景色です。

ダイクロイックガラスの輝きは光を発するような模様に。 
ミラーシステムの第3面に使った木材の映り込みはパレッティー夫妻の独特の表現です。

これらの模様を生み出すオブジェクトセルはこんな感じです。 

銀色の粒の中から顔を出したガラスオブジェクトが映り込んだところです。

この組み合わせ、ありそうで、なかなか無いタイプです。 ドライタイプだけど流れるオブジェクトを楽しみ、大胆に変化する模様にしばし手を止めて見入ってしまう魅力があります。

Comments (2)
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ガラスと金属の共演

2015-03-10 22:08:03 | 万華鏡ブログ

昨日に続き、中里保子さんの個展から新作の万華鏡をご紹介します。 Wing Way という作品で、風の通り道をイメージして創られたと伺いました。
ニュアンスのあるガラスで作られた三角錐の筒、それに巻きつくような透明なガラスのうねりと金属の絡み合い、 積層ガラス・・・中里さんらしさが随所にありながら、今まで見たことのない作品です。 外観の色味はオブジェクトセルの色だけで構成された、ガラスと金属の造形作品です。 爽やかな風が通り抜けていく印象です。

大きなアイホールから見えるのはテイパードミラーシステムが生み出す立体的な美しい映像です。 実際に見ると、もっと立体感が感じられ、別世界を覗きこむようです。

Wing Way 2つ目の作品は、ガラスのスタンドがついたパーラータイプです。 

台座の部分にあしらった金属、オブジェクトセルにあしらった金属、ガラスにまとわる金属のブレードなど、ガラスと金属の組み合わせがこの作品も目を惹きます。 デザインしたように金属を加工するのもご自分でなさるそうです。 堅い金属を切ったり、たたいたり、丸めたり、折ったり、くっつけたりするのは大変な作業と思います。 万華鏡作りには本当にいろいろなテクニックが必要とされるのだなあとあらためて感じ入ります。

この二つ目もコンセプトは同じですが、オブジェクトセルに違いがあります。 ガラスオブジェクトの入ったオイルセルのミラー側は真鍮の板に切り込み模様を入れてあります。 その金属の模様がガラス色の上に重なるのです。

こちらも立体的な映像ですが、重なり具合が分かるでしょうか。

次は新作の「凛」シリーズの作品です。 美しいガラスと回転するオブジェクトセルが特徴です。

「凛」シリーズの中で、次の作品はオブジェクトセルが二重になっています。 手前のオイルセルにはメタルオブジェクト、そして奥のドライセルにはガラスオブジェクトが入っています。

金属とガラスが重なり、オイルセルとドライセルが重なったところがユニークですね。 何がユニークかというと、オブジェクトの動きの感覚がそれぞれ違うからです。これは実際に覗いて動きを見ないとわからないかな。

次の「凛」シリーズはスタンドの付いたタイプです。 透明なガラスの台に乗っているだけなので、脚の部分をもって、持ち上げて覗くこともできます。 金属のような光沢を感じるガラスの表情が素敵です。

こちらはオイルのシリンダー型のオブジェクトセルで、偏光フィルターを仕切りとして、偏光素材とガラスオブジェクトの2種類を入れています。 中里さんの作品で使われることの多いオブジェクトシリンダーで、回転させると映り込むオブジェクトの違いで、映像の雰囲気が変わります。

私のつたない写真よりはるかに素敵な万華鏡ばかりですが、多くの方に知っていただきたく、ブログでご紹介させていただくことを快諾してくださったヴィヴァンさんにも感謝しています。
チャンスのある方は、ぜひ足を運んでいただければと思います。

Comment
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

一貫したテーマと新しい表現

2015-03-09 22:18:34 | 万華鏡ブログ

今日から銀座のギャラリー・ヴィヴァンさんで開催中の中里保子さんの個展に伺いました。
今日ご紹介するのは、「コンストラクション プロジェクトIII、 WA 2015」という作品です。「輪」をモチーフとした独創的な作品は今までにもいくつか創ってきました。 一貫したモチーフを新しい形で表現していくのが中里さんの姿勢で、昨年のコンベンション出品作品と同じアイアンのスタンドを使いながら、使うガラスとオブジェクトのスタイルを変えて、新しい造形作品を生み出しています。 全体の姿のバランスのとれた美しさ、雰囲気のある表情が目を惹きます。

「コンストラクションプロジェクト」というのは、、万華鏡の筒、オブジェクトホイールを組み合わせて創り、入れ替えもできるというこの構造を基本として発展させていくシリーズで、昨年のアメリカで開催された万華鏡コンベンションがスタートでした。 「コンストラクション・ジャンクション Mandala」という作品です。

その時はオブジェクトホイールのデザインから「マンダラ」と名づけられました。

今回は本体のガラスとオブジェクトホイールのデザインを新しくしたもので、全く違う雰囲気の作品になりました。

いろいろな形の枠に仕切られた中に、ピンク系、ブルー系、グリーン系、イエロー系、透明のものなどに分けられたオブジェクトが入っています。それぞれに美しいガラス細工と、周辺にあしらわれた金属の線、ブレードなどで飾られたホイールは、それだけでもお洒落で、きれいです。一体どんな映像になるのか、わくわくします。 

ホイールを回転させると、オブジェクトは仕切られた中だけで動くので、色が混ざり合うことなく映像は変化していきます。写真では良く表現できていませんが、一つ一つのガラスの模様がくっきりと見え、白い半透明の背景なので、全体が明るく清々しい映像展開です。

万華鏡の構造という観点を基本としながら、アートの表現で大きな広がりと奥行きを感じさせられ, 中里さんのチャレンジ精神を見る思いがしました。 そのチャレンジ精神あふれる新作については、また明日ご紹介します。

中里保子展
2015年3月9日~3月21日  11時~19時(最終日17時まで)
作家在廊日  9日、15日、18日、20日
ギャルリー・ヴィヴァン  東京都中央区銀座2-11-4 富善ビル1F

Comment
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする